人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

2562 / 3000
十香「私達の世界を!全ての生命を!これ以上好きにはさせないぞ!エンシェント・デイ!!」

サタナエル【今こそ、力を合わせる時だ。零光】
零光『うん!…サタナエル』

サタナエル【?】
零光『ずっと私を護ってくれて…ありがとう!』

サタナエル【────あぁ。こちらこそだ】

狂三「───良いことを思いつきましたわ、リッカさん。零光さん」

リッカ「どったの!?」

狂三「子は親の望み通りに育つべし…。そんな妄言を、真っ向から否定してあげようではございませんの。ごにょごにょ」

零光『………なるほど!凄くいいアイデア!』

リッカ「何?何?なんなの?なんなの?」

狂三「十香さんも、私に引けを取らないメインヒロインである事を見せて差し上げましょうか?」

十香「むむむむ?」

サタナエル【お前達、何を……】

零光『こうするのです!藤丸龍華、あなたに光あれ──!』

リッカ「ファーーーーーー!?」

十香「り、リッカー!?」

リッカ「「「「「「「ど、どういう事なの…?」」」」」」」

カルデア一同『『『『『リッカが増えたーーーーー!?』』』』』

リッカ「「「「「「「へ────わぁ!?」」」」」」」

狂三「零光に私の力、分身の力を再現していただきましたの。今時のゲームには、『女主人公』がいるのは当たり前ですわ、リッカさん」

リッカ「「「「「「「!!」」」」」」」

狂三「あなたが神の走狗や生贄でなき事、そして……世界を救い偽りの神を討ち果たす者である事。どうか見せてくださいまし」

リッカ「「「「「「────おうっ!!」」」」」」

狂三「士道さんが生きるこの世界を、よろしくお願いしますわね。そして十香さん?」

十香「な、なんだ?私もいっぱい増えるのか!」

狂三「全ての精霊と光の力を、あなたに」

十香「なんだと…!?」


零光アイン・ソフ・オウル

『ビーストα、神に捧げられし供物。この世全ての敵。討ち滅ぼす。討ち果たす。それこそが神の意志。大いなる意志である』

 

エンシェント・デイは立ち上がり、下界を見下ろし翼を広げる。神の摂理にそぐわぬ裁定機構が、再び音を上げ起動する。間もなく世界は、その裁きに晒されることだろう。

 

『滅び去るがよい。貴様らの存在は、この宇宙において──』

【うるせぇ、黙れ─────!!!】

 

瞬間、エンシェント・デイの眼前に巨大極まる影が現れ、それを渾身の力で殴りつける。それは、偽りの神を討ち果たす黒き悪たる真の神。

 

【何偉そうに値踏みしてんだよ、ガラクタ!私達の魅力は、そりゃあもう銀河に収まらないプリマドンナだぜ!!】

【意味不明】

 

アジ・ダハーカ・アンリマユ。アジーカ、アンリマユの最大形態にしてリッカの力の源泉が、真っ向からエンシェント・デイを抑え封殺する。

 

『悪神。その力もまた、神が与えし』

 

【リッカ!準備はいいな!!】

 

エンシェント・デイには目もくれず、アンリマユは自らの背に声を掛ける。

 

「ハデス、エレシュキガル、じぃじ!行くよ!!」

 

エンシェント・デイに肉薄し、令呪を構えしは人類最悪のマスター、藤丸リッカ。信頼を置くサーヴァント達と共に、エンシェント・デイの持つ聖なる防護を突き破りにかかる。

 

「私のマスターへの再三の侮辱、断じて赦してはおけないのだわ!」

【見るがいい、神を束ねし彼女の輝きを!】

【死を奪い、己が盲信を強いる者よ。最早生きるに能わず──!】

 

冥界のサーヴァント達が、自らの宝具にてエンシェント・デイを打ち据える。アンリマユが中和する神の防護の間隙を縫い、槍が、艦砲射撃が、告死の一撃が完膚なきまでに叩き込まれる。

 

「サタナエル!私は士道君みたいに、精霊の力を宿したりはできないけれど…」

【リッカ】

「それでもあなたに、願いは託せる!私の全霊、令呪を全部持っていって!」

 

リッカは令呪の三画を全てサタナエルに託す。それは、莫大極まるサタナエルへの力の譲渡として彼に全霊をもたらした。

 

「行って!絶死皇凰!奪われてしまった死を、あるべき場所へ!!」

【────あぁ!】

 

サタナエルは頷き、天へと飛び立つ。それはエンシェント・デイのさらなる上へ。神を見下ろす傲慢なる空へ。

 

【お前の中に満ちる、死を奪われし魂…。余さず返してもらおう】

 

『神を見下ろす、傲慢なる者め───』

 

絶死皇凰(サタナエル)、顕現裁定。在るべき場所へと還るがいい───!】

 

サタナエルの翅より、無数の赤黒き閃光が満ち溢れる。それは彼が司る、絶死の命運にして死の力そのもの。触れてはならぬ純粋なる死。

 

『───!!!』

 

アンリマユにて中和されていたエンシェント・デイの防御を貫通し、その本体に無数の風穴を開ける。完全なる直撃、サタナエルの神への叛逆。

 

成果は如実に現れた。封じ込まれた魂が、死を奪われた魂が正しき輪廻へと戻っていく。それこそが、サタナエルのもたらす安らぎにして慈悲。

 

『神の信徒達が、洗礼を受けた魂達が──』

【愚かなり。それは呪いに他ならぬ】

 

『涜神の徒らめが───』

 

エンシェント・デイが怒りのままに神の裁きをもたらさんとした───その時だった。

 

「『憐憫の断頭台(ゲーティア・ギロチン・ライブズ)』─────!!!!」

『!?!?!?』

 

瞬間、リッカのパンクラチオンにして最大奥義、憐憫の断頭台によりエンシェント・デイが遥か地上に叩き落される。彼女がヘラクレスにより賜った、ナインライブズのラストワン。

 

「ディアナ・セレーネ・ノヴァァァァァァァァァァっ!!!」

 

その着地に合わせるように放たれる、地上にいたリッカの月の祝福を爆縮開放する一撃。アッパーの要領で撃たれた月の力の奔流が、下から衝き上げるようにエンシェント・デイを撃ち据え、天へと突き上げていく。

 

「雷位開帳!『龍哮一閃・雲曜神雷』!!天照神楽・画竜点睛!!」

 

天に放り投げられたエンシェント・デイが、紅蓮と紫の軌跡に滅多斬りとされる。母の護り刀と龍哮の刃を構えたリッカがその絶技にて、縦横無尽の極意を解き放ったのだ。

 

「『天沼矛』……イザナミ御祖母様の慈悲を此処に!」

 

天沼矛を構えたリッカが、エンシェント・デイをその恵みの奔流で捉える。日本における創造神、八百万の頂点はたった一つだけの神の力の上を行く。

 

『私の進化を刻み込め…!ナアカル・コーラス!バルキー・インパクト───!!』

【リッカの親父はオレ様とアダムで充分だ。跡形もなく消え失せろ──!!】

 

ゼロビヨンドとデモンベインの力を束ねたリッカ、ベリアルスーツを着用したリッカのバルキー・インパクト、デスシウム光線がエンシェント・デイを徹底的に叩きのめす。

 

『『『リッカ!!アクセス・グランテッド!!』』』

 

リッカのリッカによる波状攻撃は止まない。三つのアクセス認証を受けたニトライザーが、三種三様に輝きを放つ。

 

「空を吹き抜け、奇跡の神風!!」

『藤丸リッカ!ミラクル・スポイラー!!』

「怪力乱神、ここにあり!!」

『藤丸リッカ!グランド・レッキング・パワー!!』

「誠心誠意、奉仕の心」

『藤丸リッカ!ルナダイアリティ・サーヴァント!!』

 

幻想郷の力を束ねたリッカが三つそれぞれの姿に変わる。神風が如き疾風にて切り刻み、圧倒的な怪力無双で叩き潰し、理路整然とした状況把握で最良の結果を導き出す。

 

『あり、得ない……!ビーストαとは、神に捧げられる供物…討ち果たされるべき生贄…!それが、何故神の力を上回らんとしている……!』

 

リッカの積み重ねてきた無数の力と奇跡に、理解できぬと声を上げるエンシェント・デイ。

 

「それは、私を愛してくれた皆がいるから。私を受け入れた皆がいるから。この世界の全てが、お前たちの予想と認識を上回る程に素晴らしいから起きてるんだ!」

 

『神の被造物に過ぎぬものが…!神を、主を、上回る事などあり得ない…!』

 

「なら見せてあげるよ!全てを繋ぎ、奇跡を起こす神に至り、星を軽くブッ壊せる人間の力と可能性を!!」

 

そしてリッカは手に取る。彼女にとって、決して揺らがぬ人間の頂点達の力を。

 

『リッカ!アクセスグランテッド!!』

 

手にしたのはなのはメダル、早苗メダル、響メダル。リッカの魂と共鳴を起こし、金色の輝きを放つライズメダルへと進化を起こしたそれをリッカはニトライザーに叩き込む。

 

「奇跡を導け!開闢の星!!なのは師匠!サナちゃん!ビッキー!!」

 

『なのは・ストライカー!』

『早苗!』

『響・エクスドライブ!』

 

「行くぞぉおおっ!!!」

 

気合を漲らせ、リッカは高々とニトライザーを掲げる!

  

「『『『えい!えい!!おーーーーーっ!!!!!』』』」

 

『藤丸リッカ!エクスドライブ・ストライカー!!』

 

四人のシルエットが一つに重なり、現れしは虚無すら討ち果たす極限形態。リッカが紡ぎ上げた絆の究極たるエクスドライブ・ストライカー。

 

『この世界に必要なのはたった一人の独善じゃない!全ての生命が織り成す至尊の物語だ!!』

 

『そのようなものは──!』

 

『それを不要だと言うのなら!滅びるべきはビーストΩ!!お前の方だッ!!!

 

エクスドライブ・ストライカーが力を束ねる。収束により、全ての生命と希望、命が生み出す力の全てを。

 

『絆と奇跡でぶん殴るッ!!全力全開、絶唱臨界!!』

『ビースト・α………!!』

 

そして、リッカの拳から───

 

───奇しくもそれは、彼女の魂の父の神殺しの神話に酷似した───

 

『『星光束ねる(スターライト・)絶唱の(エクスドライブ・)秘術(ソーマタージ)』──────!!!!!』

 

撃ち放たれし、命の全てが織り成す七色の奔流。それはたった一色の塩の純白に過ぎない唯一神の偽りに満ちた防護を消し飛ばし、エンシェント・デイに叩き込まれる。

 

『こんなもの……!このようなものがぁあぁあっ……!!!』

 

拮抗にもならず、神のもたらした祝福が剥ぎ取られていくエンシェント・デイ。

 

だが、リッカの狙いはたかが容れ物の破壊などではなかった。

 

『リッカ!!見えたわ、やはりエンシェント・デイの力は、千年王国に続いていたものよ!』

 

『!!!』

 

そう、リッカは全身全霊を込めて『時間を稼いでいた』のだ。カルデアが活路を見いだせる様に。囚われた魂、千年王国の所在を見つけられるまでの間。

 

『この物語の主役は私じゃない!いつだってこれは、御機嫌王とその宝物たちの物語だ!!』

 

『き、きさ、貴様────!!』

 

そして、全ての準備は整った。

 

『道を開けろ!!救世主が推し通るッ!!』

 

リッカが待っていたものの準備。この世界を救う存在が、天に飛び立つ。

 

『見事だったぞ、リッカ!シドーと同じくらいにカッコよかった!!』

 

天空に浮かび上がるは、アイン・ソフ・オウル。背後には、セフィロトの樹の完全なる樹形図。それを守護するように、七色に煌めく夜刀神十香。

 

『無限の完全なる輝きは、人の手には余るもの。神の手には負えぬもの。故にこそ、慈悲深き父は新たなる存在にそれを託したのです。人でなく、神でなく、それでいて確かに側にあるもの』

 

『─────まさか。まさかそれは───!』

 

「そう。それこそが三位一体。神がもたらした真なる姿…!」

 

七色に煌めく十香は告げる。自身が至った究極の姿。無限の輝きを宿す自らの真名。

 

『我こそは『聖霊』!!夜刀神十香・アイン・ソフ・オウル!!!──出でよ!『無尽無辺光』ッ!!』

 

十香が厳かに指を鳴らす。その時彼女の背後に、天の主が座す玉座と、そこに刺さった大いなる大剣が現れた。それは、精霊から遥か上の領域に至りし聖霊たる彼女の力。

 

『彼女こそが振るい得る。この輝きを、この力を。彼女こそは、この世界にて目覚めた『聖霊』。神に等しき者だから』

 

『行けぇええ!!十香ちゃーーーんっ!!』

 

リッカの秘儀が、完全に固定する。エンシェント・デイを通じて偽神がひた隠しに隠していた魂の保管されし千年王国を。

 

『うぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!』

 

十香が引き抜いた剣は、本来のサンダルフォンの逸話の如くに巨大極まる。十香の手から剣先まで500年は踏破せねばならない程に。

 

『止めろ!人の子如きが、精霊如きが───!!』

 

エンシェント・デイの狼狽は、果たして誰のものか。

 

『このような、神に仇なす真似を───!!』

 

今、放たれる。全ての魂を解き放つ一撃。

 

『『鏖殺公・万物救済斬(サンダルフォン・アイン・ソフ・オウル)』──────!!!!』

 

突き刺されたその剣の輝きは、エンシェント・デイの全てを一瞬で消し飛ばし。

 

そこに繋がっていた魂の動力機関。『千年王国』を完膚なきまでに叩き壊し。

 

囚われていた魂の全てを、光に導き元ある輪廻と因果に立ち還らせ。

 

遥か天に座す、ビーストΩが目指す独善に満ちた世界の土台たる千年王国の、完全崩壊へと至らしめた。

 

『─────終わったね』

『うむ!』

 

リッカと十香が、光に満ちる特異点を見守る。

 

アイン・ソフ・オウルが更に輝く。特異点の是正による世界の修正。

 

アイン・ソフ・オウルにより、辻褄合わせは起こらない。全てはあるべきままに、全ては誰もが願うままに。

 

即ち、サタナエルと零光が来る前の。この世界の当たり前の日常へと──。




零光『ありがとう。皆。皆のお陰で、囚われた魂を解き放てた』

十香『零光!』

零光『皆目を覚ますよ。精霊の皆も、五河士道も。偽神から隠されていた、依代に狙われていた彼も、すぐに』

狂三「あぁ、成る程。偽神はあわよくば、精霊を束ねし士道さんを狙っていたのですね。故に、隔離されていた…」

十香『どこまでも破廉恥な奴め!だが戻ってくるのならよい!ふふ、シドーも今の私を見てきっと惚れ直すはずだ!むふー!』

サタナエル【……俺達の放浪も、終わりだな】
零光『うん。私達には、この力を担う責任があるから』

サタナエル【立派になった、零光】
零光『あなたや、皆のお陰だよ。……リッカ』

リッカ『ん?』

『もし良かったら、私とサタナエルを…カルデアの仲間にしてほしいな』
サタナエル【確信した。お前たちこそ、偽神を討ち果たす旗印だ】

リッカ『────私は勿論、大歓迎!!』
オルガマリー『願ったり叶ったりよ。あなた達は、大切に保護されるべき方々だもの』

零光『ありがとう!……狂三』

狂三「あら、お別れの挨拶ですの?生憎私は分身体。特異点で生まれた分身体ですから、終わればもろとも…」

零光『あなたも、一緒だよ』

狂三「─────」

そして、全ては元に戻る。

精霊たちは目覚め、世界は目覚め………

世界を懸けた、デートは終わった。





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。