人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ディーヴァ『大丈夫、意識を失っているだけ!命に別状はないわ!モア、すぐに治すからね!』
モア「は、はい!おじさま……おじさま…!」
ニャル「…………」
モア「モアはまた、護られるばかりで……何も、何もできなかった……!」
〜
エボルト【………マジかよ……】
〜
モア「………よくも……」
ディーヴァ『しっかりしなさいマスター!まだまだあなたの娘さんはあなたの愛が要るんだから!』
(目を覚ますまで、全リソースを使いましょう!)
「よくも……私のおじさまを……!」
【まさかカルデアのスーパーエースがここで出張って来るとはね……オレの活躍はもう一年くらい先な筈だが?】
エボルトの作り上げたパンドラ空間。そこに力付くで侵入を果たしたリッカ、並びにディーヴァ。カレイジャスハート、並びにフィリアガペーという全力状態のエクスドライブ・ストライカーによりエボルトと相対する。
『私はソウゴお爺ちゃんから沢山のライダーの話を聞かせてもらってるの。当然あなたもね、星狩り一族、火星からの侵略者エボルト!ニャルパパの元相棒!』
そう、オーマジオウは全てのライダーを知っている。直近2024年、平成9000年以上の間のライダーの事を全て。
それをリッカは聞き及んでいた。初視聴の喜びを引き換えに、あらゆるライダーの脅威に対処するために。
【……!】
『どういうつもりか、たっぷり聞かせてもらうよ!私のやり方で、そう、具体的には!』
そう告げるか速いか、瞬間移動を越えた時空跳躍もかくやの速さ──エボルトがまるで反応できない速度を以て彼の眼前に現れ。
〈戦意喪失するくらい叩きのめした後でねぇっ!!〉
カレイジャスハート、ガングニールモードが叫ぶと同時に叩き込まれる鉄拳。
【ぐぅおぉおぉおぉおぉっ!!!??】
クウガアルティメットフォームもかくやの凄まじき拳にもんどりうって吹き飛ぶエボルト。それは彼の知る人間の範疇を遥かに越えていた。
〘響!デュランダル・フリューゲル!〙
フィリアガペーに響メダルを読み込ませ、金色の刃を以て猛然と突撃するリッカ。
【ちぃっ!】
本来の能力と、ナイアフォームに起因する闇の力を使用するエボルト。
【いくら強かろうが、人間には限界がある。ライダーシステムもない人間等に何度も遅れは…】
───しかし。その見通しは甘かった。
『
エボルトが用意していた防御を、容易く打ち破るリッカ。
【何ぃ……!?】
エボルトの防護と想定を上回る要素。それはリッカを『個人』として認識していた事だ。
リッカの自己認識は、最早人間一人に収まっていない。
『うぉおぉおぉおぉおぉおぉおりゃあぁあぁあぁあぁっ!!』
自身の力は汎人類史の力。自身の戦いは汎人類史の決戦。
『斬り裂けぇーーーーッ!!!』
自身の敗北は汎人類史の敗北。自身の勝利は汎人類史の勝利。
ギルガメッシュ、並びにエア、マシュ、じゃんぬのマスターとして。
【ぐぅあああああぁぁぁっ!!?】
文字通り彼女は、『この世全て』を背負う覚悟を以て戦っているのだ。
その決意の前に、人を侮る超越者や上位者が勝てる道理などなく。
リッカの攻撃は、悉くエボルトに会心の一撃を叩き込んでいた。
【ぐっ、ぐぅうぅう……!!】
そして更に、エボルトの計算外の事態が起きていた。
【お前、その武器は…!宇宙の穴を塞ぐ針じゃねぇか…!】
『フィリアガペーね!』
【おまけに……!クソ、最悪だぜ。まさか光の巨人までこの地球に噛んでいたとはな……!】
光の巨人。エボルト、ひいてはブラッド族最悪の天敵。隆盛を極めていたブラッド族は、宇宙の番人たらんとする無償の愛の体現者にほぼ全ての数を減らされていた。
【化け狐に狸親父め…!やけに物わかりがいいのは俺如きどうとでもなるという楽観視でもあったってわけか…!】
『…!?』
【舐めてくれるな!ここで死ぬわけにはいかないんでなァッ!!】
忌々しげに吐き捨て、全霊を込めてリッカを排除せんと迫りくるエボルト。光の巨人の力まで引き出されてはいよいよ以て危険信号だ。
【俺には、やらなきゃいけないことがあるんだよォ!】
『やらなきゃいけないこと…!?』
口走った言葉と過った疑問。それはパンドラ空間を軋ませ崩壊させるほどの大激戦となり、無数の爆風に彩られる。
【けぇえぇえああっ!!!】
『だぁあぁあぁあっ!!!』
二人は真っ向からクロスカウンターを交わし、互いに深々と拳をめり込ませる。
【ぐぅ、お───!】
『────!!』
しかし、ダメージはエボルトの方が甚大だった。それは格下たるリッカの底力と気合いが生み出した力の引き出し方の差。深々と、エボルトの仮面にヒビが入る。
【っ───!!】
『!!』
瞬間、エボルトがなりふり構わない形でクリンチをリッカに行う。
【────】
『────!?』
リッカの耳元で何かを囁き、凄まじい力で吹き飛ばすエボルト。
『エボルト……?』
【舐めるなよ、人間如きがぁっ!!】
激昂の様子で、エネルギー光球を生成するエボルト。それは空間諸共吹き飛ばすほどの領と規模。
【これを、受け止めきれるかぁっ!!】
エボルトは叫び、躊躇うことなく超巨大なエネルギー光球を撃ち下ろす。マシュがいない中、防ぐ事は不可能だ。
───真っ向から、打ち砕くしかない。
『エクシードモード・起動!フィリアガペー、単体必殺モードにチェンジ!』
両手に二つの得物を持ち、カレイジャスハートを最大出力に展開。同時にフィリアガペーになのは、早苗、響メダルをスキャンし単体最大火力を展開準備。
〈準備いいわ、リッカ!〉
〘フィリアガペー・準備完了!〙
『はぁああぁあぁあぁあぁあっ!!!』
両手に握りしフィリアガペー、カレイジャスハートを十字に組み…
───彼女が敬愛する光の巨人のように───
溜め込んだエネルギーを光球に向けて放つ。その名は……!
『ハーモニクス・ブレエェェェェェーーーーイズッッ!!!』
エボルトの天敵たるウルトラウーマンフィリアの力に変換増幅した、リッカの体長の何倍もの光の奔流が、十字の得物より放たれる。
【何ィ!?】
エボルトが放った渾身の一撃すら、拮抗すらせず押し返す汎人類史における最高クラスの収束絶唱光線。それは瞬く間にエボルトに届き──
【ぐあああああああぁぁぁぁーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!】
七色の奔流に呑み込まれ、大絶叫と共に大爆発を起こすエボルト。
リッカの龍鎧は汎人類史の修復用礼装であるのなら、フィリアガペーとカレイジャスハートを有するエクスドライブ・ストライカーは外宇宙存在への決戦礼装。入念に入念な対策、万全を期した警戒を以て、漸く勝負に持ち込める地球の奇跡。
完全なる虚無すら討ち果たした彼女の前に、落伍した宇宙人に過ぎないエボルトが勝てる道理は…
否。進化を続ける人類史に敵う道理は無かったと言えるだろう。
【ぐっ、ぐぅうっ……。なんて、こった……】
変身解除し、エボルトは本来の姿に立ち戻り跪く。
『…………』
【少し見ない間に……ここまで人間ってやつは進化していたのか……ハハハ、これだから人間は面白い……!】
先ほどのニャルとは打って変わり、今度はリッカが悠然と歩み寄る。
『勝負はついた。それにさっきの……』
【…………】
『詳しい話を聞かせて。さっきのは一体どういう……』
リッカが、エボルトに真意を問い質そうとしたその時。
「おじさまを………!」
『!!』
「よくも、モアのおじさまを〜〜〜っ!!」
リッカの背後から猛然とルシファースピアを振り上げるのは、涙を浮かべたモア。
『モアちゃん!待って!?』
リッカが制止する。しかし、トラウマを刺激されたモアの手は止まることは無かった。
「ハルマゲドン!!十分の一───!!」
それが今、エボルトに振り下ろされんとした時──
『ストップストップ!!モアちゃん!落ち着いて頂戴!』
素早くゴスペルホライゾンドルフィンに変身したディーヴァが、モアを取り押さえ制止させる。
しかし──それにより、ルシファースピアがモアの手から離れてしまい。パンドラ空間へ放られた瞬間──
『『!!!』』
大激震と大轟音。同時に、パンドラ空間内に加速度的にヒビが入り割れていく。ハルマゲドンの威力が、パンドラ空間全てに伝播しその全てを破壊してしまったのだ。
『空間が壊れていく……!!』
『パワフルすぎでしょモアちゃん!?』
(早く脱出しなくちゃ!)
「あ、あっ…!わ、私は…モアはなんということを…!」
全員の意識が、崩壊した空間に向かう。
【──試合には負けたが……】
『アンゴル! ライダーシステム! エボリューション!』
『Are you ready?』
【勝負には勝たせてもらおうかァッ!!】
『宇宙を駆ける星の断罪者代行‼ 仮面ライダーアンゴル!』
『フッハッハッハッハッハッハ!』
この期に及び、エボルトはその奥の手を隠していた。
『アンゴル! ゴア! アンゴルマッチ!』
『Are you ready?』
「!」
【貰ったぞ!もう一人の相棒の娘ェ!!】
『宇宙を駆ける星の断罪王‼ 仮面ライダーアンゴル ゴアフォーム!』
『フッハッハッハッハッハッハ!!』
アンゴル族の力を宿した禁忌のフォーム、アンゴルゴアフォームを開帳し、モアを生成したアンゴルストーンへと封じ込めてしまう。
『───!!……!!』
『モアちゃん!!』
『アイツ!この状況でなんてアドリブかましてくれるのよ!?』
【フフハハハハハハ……!無様に負けちまいはしたが、目的は果たさせてもらったぞ!そこに伸びてる相棒に伝えておいてくれよぉ?】
『───!────!!』
【助けに来たけりゃ追ってこい!お前の勝利の法則とベストマッチを楽しみにしてるってなァ!チャ〜〜〜〜オ〜〜〜〜!!ハッハッハッハッハッハッハァ〜〜〜ッ!!】
響き渡るエボルトの嘲笑。彼にしてもこれは極限状態の、完全なる計画の破綻を懸けた賭けであった。
親を失った娘の前で親を害すれば、必ずや冷静さを失うと踏んだ悪辣極まる悪魔の賭けに。
例え自身が敗北しても。
彼は、計画を次のステージに進めたのだ。
『エボルトオォォォォォォーーーーーーッ!!!』
一生の不覚を喫したリッカの絶叫が、崩壊するパンドラ空間に響き渡った───。
ディーヴァ『とりあえずここから出ないと!あなたまで失うわけにはいかないわ!』
リッカ『…………───うん……!!』
〜
【お嬢ちゃん。オレを……】
【ニャルみたいに、信じてみちゃくれないかい?】
〜
カレイジャスハート〈データ受信!なによこんな時に!?〉
リッカ『……!』
リッカも同時に、宙に浮かぶものを見つける。
『パネルに、トリガーに…ボトル……?』
時間がない。リッカはそれを素早く回収し、令呪を輝かせる。
『お願い!カーマ!グドーシ!』
カーマ『はーい。夏草の女神カーマ、到着でーす!』
グドーシ『一先ず時空を修復致しましょうぞ。カーマ殿』
カーマ『はい♪私達なら楽勝です♪』
そして時空は修復され、皆が脱出に成功する。
ニャル「……すまない。私のせいで…多大な迷惑をかけた」
リッカ「ごめんなさい!!私の、私のせいで…!!」
うたうちゃん「いいえ、私のフォローが万全でないばかりに……」
ニャル「二人共、それは違う。私達がするのは涙に濡れることじゃないよ」
「「!」」
ニャル「全てを取り戻す為に、戦うのだ。私は沢山の仲間から……そうするべきと声を受けたのだから…!」
娘を立て続けに奪われたニャル。
しかし……
二人を励ますその目は、強く空を睨んでいた。