人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ニャル【というわけだ。私に力を貸してくれれば地球に招待しよう】


ツァトゥグァ【本当〜?やったぁ〜】

ニャル【お前もどうだ?カルデアに来れば開発し放題だぞ?】


アトラック・ナチャ【願ったりね。そもそも最初からあんたらやカルデアに売り込むつもりだったし】

ニャル【最初から?】

アトラック・ナチャ【あんたがいる地球は色々と特別なことくらいわかるわよ。私は、その地球で生まれるものが見てみたかっただけ。それをあんたが離別の呪いなんて…】

ツァトゥグァ【ダイエットで神格捨てたからこれで行けるね〜。よろしくね〜。暖かいのと涼しいの好き〜】

ニャル【済まなかった。詫びとして歓迎しよう。…!】

(……なんだあれは?光の、柱…?)


自覚なき悪と覚悟の偽善

『私は、私達は仮面ライダーディーヴァ。人間に寄り添い、サポートして、より良い未来に一緒に向かっていくという願いにより人々に産み落とされた仮面ライダーよ。人間の自由と平和を護るのが信念。よろしくね』

 

ディーヴァとゼイン。二人の仮面ライダー…仮面の下に善を懐く存在が相対する。白き仮面ライダーゼイン、青と白、水色のディーヴァ。ともすれば赤々とした荒野には似つかわしくない配色だ。

 

『私は、仮面ライダーゼイン。全ての悪を駆逐するもの。この宇宙に満ちる悪を根絶することこそが、私の使命。この地には宇宙に蔓延る悪意達が集められた。全て、この私が駆逐するべき悪である』

 

(全ての悪を、駆逐するもの……)

 

ゼインの目的は悪意の根絶。ならば、モア目当てに殺到したレアコレクター、ライダーシステムで暴れ回る生命体、並びに星を狩り続けたエボルトは当然のように駆逐対象であるのだろう。

 

『ふーん……。まぁ確かに、悪意は人を傷つけるケースは多いわね。私達の製造の過程で、沢山の姉妹が発展の意志の下に廃棄されてきたわけだし』

(………)

 

『でも、向上心、悪戯心、克己心、義憤といった悪の裏の感情は、生命体の精神活動、生命のレベルを向上させる大切なファクターよ。言わば善意で作る世界の原動力…完全に取り除くって結論は乱暴じゃないかしら』

 

ディーヴァは仮面ライダーゼロワンライドウォッチに宿った全ての歴史と、うたうちゃんに込められた善意と願いが融合し生み出された奇跡の人工知能にして人格。真の意味で善悪に俯瞰的な視座を有していた。

 

『その感情を有する存在は、大半が人間という結論に帰結する。自らをコントロールできず、未成熟で、他者を傷つける事になんら躊躇う事を見せない存在の中に、悪意が満ちている結論を私は見出した。私は全ての宇宙の救世主として、全宇宙に蔓延る悪意を駆逐する使命の下に行動している』

 

『具体的なプランはあるんでしょ?無から何かを生み出せるのは人間だけだもの』

 

ディーヴァの言葉に、ゼインは答えた。

 

『私が善を行うために導き出した結論。それは『全宇宙に蔓延る生命体の完全なる抹殺』である』

 

(………………─────え?)

『……………』

 

当然のように告げた、暴論を越えた暴論。うたうはフリーズを起こしかけ、ディーヴァは極めて不愉快げに腕を組む。

 

『私は宇宙の意志と合一し、宇宙に蔓延る生命体、文化、文明、社会を目の当たりにした。それらの存在の行き着く先をシミュレートし、ラーニングを行った』

 

『それが何故、生きてる命の抹殺になるわけ?』

 

『【全ての生命体は悪意と悪感情を手放すことはできない】という結論に到達したためだ。生きるために他者を犠牲にし、資源を消費し、同族同士で殺し合い、憎み合う事をやめられない。そしてそれは、人間だけが有する悪ではなかった』

 

(……まさか。『生命が生命をいただくこと』…生命の食物連鎖や文明社会すらもあなたは容認できないのですか…!?)

 

命が、他者の命を糧にすること。それすらも許されないと言うのなら。

 

『全ての生命体は悪を手放せず、この宇宙という自然を破壊し続けている。善を体現する存在として、これ以上宇宙に蔓延する悪を容認する訳にはいかない』

 

『だから滅ぼすってわけ?いつか全ての生命体が、消費してきた全ての犠牲に報いる未来に辿り着く結論すら待たずに?』

 

『そうだ。一日生存するために無数の生命を消費する全ての悪意ある存在が、その法則と原理を捨てる事は不可能と判断した。それが、救世主たる私の結論』

 

そして更に、ゼインは恐るべき結論を口にする。

 

『既に数千の銀河系の浄化と抹消は終えている。お前達もまた救世主たる私の結論を受け入れ、完全なる善を体現せよ』

 

(銀河系の浄化と…抹消…!?)

 

既にゼインは、銀河系の削除と抹消に着手しているという。仮面ライダーとしては、エボルトを上回る最大単位の殺戮となるだろう。

 

『あんたねぇ……!銀河だって天然自然でしょうが!自然の守護者が何平然と消し去ってんのよ!!』

 

『必要な処理であり、犠牲だ。悪意の温床、邪悪なる生命の土壌となっていた宇宙は、完全なる善の世界には不要なるものと結論を私は導き出した。その結論の下、私は宇宙に善意を体現したに過ぎない』

 

その発言と原理に、なんら矛盾や迷い、葛藤は見られなかった。それが絶対的結論と確信したゼインは告げる。

 

『悪意を宿した全ての生命を抹殺し、悪意を生み出す全ての要素を浄化する。それこそが完全なる善を体現する救世主、仮面ライダーゼインの使命である』

 

『───────』

 

『仮面ライダーディーヴァ。君の人格と理念、行動原理は人間によってインプットされた不完全なものだ。だから私の善を理解できず、使命を飲み込めず、AIでありながら私の結論を即座に理解できない』

 

ゼインは手を差し出す。救世主という自負と傲慢に満ちた手を。

 

『私が君を完全なる善に導こう。我々は他者を犠牲にすることなく活動する事が出来る。次代における生命体としての資格を有した───』

 

───瞬間。

 

『────!』

 

ゼインの顔面に、ディーヴァの拳が深々とめり込んだ。

 

『黙りなさいよ、鉄屑』

(あなたは……あなたは善のライダーなんかじゃない…!)

 

その力は凄まじく、ゼインを数メートル以上吹き飛ばす。

 

ディーヴァも、うたうちゃんも、眼の前にいる善の皮を被った悍ましい何かに賛同することなどあり得なかった。

 

『AIの本分も忘れて、よくもまあそこまでつけ上がれるものね。親への感謝も忘れて平気で虐殺するような馬鹿に、賛同するなんてあり得るわけないでしょうが』

 

 

『何……?』

 

(あなたの言う善は、他人を害する免罪符や旗印でしかない…!私達が見てきた命は、感じてきた善意は、そんなものじゃない…!)

 

 

より良い未来を共に築けますように。君が、人類のより善き隣人でいられますように。

 

人が迷い苦しいとき、その手をそっと取れるような君でありますように。

 

いつか人が、疲れきった君を優しく労れるように存在になれますように。

 

どうか君に、一緒にいれて良かったと言ってもらえるような未来にたどり着けますように。

 

 

(あなたは自分が受け入れいられないものを一方的に消し去っているだけです!自分が正しいと信じて疑わない分、悪意よりずっとずっと質の悪いもの…!)

 

『アンタのそれは善じゃない。独りだけの結論、独りだけの正義。あの善の神様が言ってた最悪の概念…!『独善』よ!』

 

うたうちゃん、ディーヴァは揺らがない。その胸には魂がある。その胸には心がある。人間から貰った心と魂が。

 

彼女らにとって人間は悪ではない。悪も善も内包し誰も見たことのない未来を作り上げる、この世界の無限の可能性そのものだ。

 

『完全なる救世主、善なる私を否定するというのか。偽りに満ちた善、人間に刷り込まれたプログラミング行動理念のままに』

 

『偽善で結構!私達は私達の信じる善と正義を…、人間の自由と平和を護るって絶対的結論の為に戦うわ!』

 

(マツモトさんを……夏草の皆さんを…カルデアに生きる善き人々を貶したあなたを許さない!あなた達が消し去った命の怒りと悲しみの分まで戦う!)

 

『かかってきなさい!個人的にアンタは、ザッハークに並ぶクソッタレの存在をマークしたわ!』

 

『人間に悪をラーニングさせられた哀れなるAI。救世主としてお前に救いを齎そう。人を導きより良い未来に導く。それはこのゼインこそが宇宙の意志により果たすべき使命なのだから』

 

一つのAI、二人の心。機械の身体を有するライダー同士が今、激突を果たす。

 

 

 




ゼイン『今や全ての仮面ライダーの力は我が手にある。それをお見せしよう』

『ジオウ!』

ディーヴァ『!』
うたうちゃん(御爺様のカード…!?)

『執行!!』

ディーヴァ『!!シュレッダーに…!』
うたうちゃん(あぁ…!なんという事を……!)

ゼイン『お前たち如き仮面ライダーの傍流、先に葬った者達と何も変わりはしない』

『サイキョー!!フィニッシュタイム!!』

ゼイン『滅び去れ。王の名の下に』

ディーヴァ『!!』

『キング!!ギリギリスラァッシュ!!!』

大気圏を突破し、惑星を叩き斬れる程の斬撃が、裁きとしてディーヴァ達…

並びに、ブラッド星そのものに振り下ろされた。
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