人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「ガウェイン卿が離脱しただと・・・!かのガウェインが退けられたなど、有り得るのか・・・!」

「ちったぁやるみてーだなアイツらも!トリ公死んじまったのもアイツらの仕業か?」


「・・・――まさか・・・いや、それより今はガウェイン卿だ。彼は今何処に。まさか、ランスロットとは違う真なる忠義の騎士が裏切りなど――」

『直感で一歩下がるモードレッド』

「帰ってくんぞ」

「何――?」

外壁を突き破り吹き飛んできたゴリラモンド卿に巻き込まれステンドグラスに叩き付けられるアグラヴェインとガウェイン


「がはぁっ――!!」
「ぐふっ――!!」

そのまま二人仲良く気絶する

「だははははははははははははははははははははははははははははは!!コントかよお前ら!おもしれー!!しーらね、オレしーらね!迎撃行ってきまーす!」




「――休め、アグラヴェイン。私からの休暇届だ」

騎士王はゆっくりと、剣を下ろした・・・


奮戦――総ては、虐げられし生命の為に

激震する聖都、正門前

 

「不穏分子、発見、排除」

 

今を生きる生命を摘み取らんとする、聖なる騎士の群れ

 

 

【マリー!ロマン!難民の皆をモニターして!安全圏に行ったら教えて!撤退するから!】

 

『解ったわ!貴女も無理をしては駄目よ、リッカ!』

 

 

『円卓の騎士が現れたら潮時だ!直ぐに逃げること!いいね!』

 

 

ロマンとマリーの言葉に、深く頷く、生命を守護せんとするおぞましき邪龍、リッカ

 

 

【ありがとう!マシュにも声をかけてあげて!】

 

正門前にて敵を引き付けるリッカ、騎士王、英雄王

 

ハサンとジャックの護衛を受け、離脱する難民

 

その殿にて護衛を行う、マシュとレオニダス

 

 

この戦いの勝利とは、騎士を滅ぼすことではない

 

【来て!『エミヤ』!】

 

か弱き生命を守護し、護ることである!

 

召喚され、赤き外套のアーチャーが現れる

 

「このタイミングで格の低い私を呼ぶとは!先程の冴え渡る采配はどうしたのかね!」

 

エミヤの皮肉に、事実をリッカは突きつける

 

【正義の味方なんでしょ!今彼等を護らないで何を護るの!】

 

「――」

 

愕然とするエミヤに構わず告げる

 

 

【格が低い、相手が強い、こっちが弱い!それは全部――何もしない言い訳にはならない!!】

 

「――――まったく、君はやはりあの英雄王に相応しいマスターだよ・・・!」

 

観念したかのように笑うエミヤ

 

「敵は騎士、こちらが確実に悪役だ。だが――此方に大義はあると信じよう!」

 

【そうそう!正義の味方って、そういうものだからね!小難しい理屈じゃなくて、誰かを護るために戦う人なんだから!】

 

「あぁ――その通りだ!」

 

【――行くよ!】

 

頷き合い、粛清騎士の直中へ飛び込んでいくリッカ、そしてエミヤ――!

 

【リッカぁ!!ドォリィルゥ!!】

 

身体中から螺旋の泥ドリルを突きだし、一纏めの超巨大な大螺旋ドリルに変化させ、右腕にて回転させる――!

 

【――ブレイクゥゥウゥウゥウッ!!!!】

 

固形化したドリルにて粛清騎士を巻き込み、撥ね飛ばし、蹴散らし、粉砕し、辺り一体を邁進していくリッカ

 

そのまま急転換、空中へ飛翔し、騎士たちを認め天空にて胸部に魔力放出のエネルギーを爆発的に高め、臨界まで上昇させ――

 

【総ての騎士を燃やし尽くす!!】

 

超純度かつ、おぞましい段階にまで凝縮されし生物では堪えられない魔力そのものを叩きつけ発射する!

 

【ブレストッ!!ファイヤアァアァアァッ!!!】

 

溢れ出る漆黒の火焔。命中した騎士は一瞬で融解し、霧散し、熔け、消え去って行く

 

そのまま眼下の騎士を焼き払い、同時に『月女神の弓矢』の宿る左腕を突きだし、構える

 

【月は、いつも其処にある――行くよ、アルテミス!】

 

『おっけおっけー!あげあげでいくよ~!せー、の!』

 

アルテミスの赦しを切欠に、莫大な月の魔力がリッカの左腕に凝縮され、濃縮され、臨界を越え、『対城宝具』として叩き込まれる――!

 

【『『アナタに届け、月の総て(アルテミシオン・アルテミット・レイ)』――!!』】

 

 

月そのものの輝きと光線が、騎士の全てを無慈悲に飲み込み、消滅させし死の災厄となりて降り注ぐ――!

 

超巨大なレーザーめいたその攻撃を防ぐ手だてを持たぬ騎士は、哀れにも消滅以外の道は潰え、滅び去る

 

――そして騎士達の数名はやがて『アレは手に負える相手ではない』と標的を変え、逃げた難民を討伐せんと歩を変える

 

「ふんぬぅあぁあぁあぁあっし!!」

 

「はぁあぁあぁっ――!!」

 

 

その進軍を阻むはマシュ、レオニダスの両名だ

 

鍛え抜かれた肉体

 

研ぎ澄まされし雪花の心

 

二つの盾と守りが、安寧を望む魂を守護する!

 

「っっっ――ふぅうぅう――!!」

 

10、20と増えていく人海を撥ね飛ばしていくレオニダス

 

「はぁあぁあぁっ――!!」

 

押し寄せ、止め、受け流し、食い止めるマシュ

 

 

唯の一人も通しはしない。それこそが我等の戦い

 

けして、背後の生命を脅かさせはしないと猛る二つの盾

 

 

「まだまだぁあぁあぁあっ!!!」

 

戦士の叫びが身体を奮い立たせ

 

「ステータスアップ!これで耐えます――!」

 

雪花の盾は、マシュの心に応え更に強さを増し、強度を増していく――!

 

 

「背中を見せるとは迂闊だな。その隙、逃すつもりはない!」

 

弓をつがえ、放ち、穿ち。騎士の数を減らしていくエミヤ

 

「今を生きる者達の未来を奪うことは感心しないな。質の悪い悪霊と詰られるのもやむ無しと思いたまえ!」

 

即座に飛び上がり

 

 

「我が骨子は捻れ狂う――!!」

 

投影、螺旋剣を持ち出し弓矢に変え、一息に放つ!

 

 

「『偽・螺旋剣(カラドボルグII)』!」

 

 

投影した贋作の弓矢を射出し、そのまま宝具破壊『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』にて爆発させ、魔力爆破を起こし騎士達を一網打尽にし、まとめて討ち取る

 

「悪いが、お前達に仕事をさせるわけにはいかん。『正義の味方』に一家言あるマスターにどやされてしまうのでね!――今回ばかりは」

 

即座に着地し、白黒の剣『干将・莫耶』を投影装備し、白兵戦に向かう!

 

「切り捨てられる少数の為に、戦わせてもらう――!」

 

赤き弓兵は、かつて望んだ理想を胸に戦う――!

 

 

「騎士を名乗る者よ。お前達の前に在りしは、ブリテンの赤き竜」

 

ゆっくりと歩みながら、目の前に群がる騎士達を切り捨て、正門に歩み寄る騎士王

 

「ウーサー・ペンドラゴンの嫡子、アルトリア・ペンドラゴン。我が名、我が威を上回る大義と意志を背負うものこそが、私に挑むがいい。無辜なる民達を害したお前達に、真の誇りがあるのならば」

 

返り血すら弾く高貴なる輝き、その足取りにて騎士達を蹴散らしながら、正門の前に辿り着く

 

「――やはりこれは、紛れもなくかの城の正門。ならば、力や害意で此を開けることは叶わない・・・」

 

騎士王は知る必要があった。この扉が、門が、真に正しきものか

 

「聖なる力、その意志が不可欠。――探さなければ。聖剣に比肩する、聖なる力を」

 

門に触れながら、騎士王は答えを得る

 

「太陽王が言っていた事とは、この事だったのですね」

 

『フン、査定は済んだか?アルトリア』

 

群がる騎士達を、財が貫いていく。雨のように降り注ぐその財は、的確に急所のみを狙い、討ち果たしていく

 

 

「はい。まだあと一押しを探さねばならないようです。この門を突破する、一押しを」

 

『太陽王の方針はそういうことであったか。確かに門が開かねば進軍も何もあるまいな』

 

二人は頷き合う

 

 

――まだ、進撃を果たすときではないってことだね。まだこの世界を見てみよう、フォウ!

 

(うん!もう少しで難民達も離脱できるはずさ!もう一踏ん張りだ、エア!)

 

――ありがとう!誰も、死なせはしない!

 

 

民を護る戦いは、騎士達を蹴散らす蹂躙は尚も続く――!

 

 

 

「皆、互いの者達を支え合え!辛いのならば、肩を貸せ、助力を乞え!なんとしても全員生き残るのだ!」

 

ハサンの激励に、しっかりと応え離脱を続ける一同

 

 

「皆、大丈夫だ!」

 

「私達には山の翁がついている!」

 

「考えるのは後だ!走れ、走れ!」

 

焼けた大地を走り、おぞましき聖都から離れていく

 

「もう少しだ・・・む!?」

 

ハサンが異変を感じ、一人の親子の前に駆け寄る

 

「ご無事か、貴人」

 

「す、すみません・・・、皆様の脚を、引っ張って・・・」

 

その女性の体力の消耗は余りに激しかった。僅かな食料、水も総て子を生かすために、譲ったからだ

 

「お母さん、大丈夫・・・!」

 

「大丈夫、大丈夫よ・・・ルシュド、貴方がいてくれたなら・・・私は大丈夫・・・」

 

「・・・」

 

「ハナム、いえ・・・お声が似ているだけかも知れませんが・・・どうか、私に何かあったら、この子を・・・」

 

「――感心しませんな、子の前で親がそのような算段を立てるとは」

 

すかさずハサンは親と子を背負い、身体を万能布ハッサンで巻き付ける

 

「残された子はどうなる。なんとしても生き延びられよ。年端もいかぬ子に、愛を注ぐ事が出来るのは貴女だけなのですぞ」

 

「――っっ・・・はい・・・!」

 

難民の皆も、頷きながら脚を止め、その様子を見守る

 

「――さぁ、皆のもの!苦難は必ず報われる!走れ、走るのだ――!」

 

「――そうだ。その通り。君達の道には希望がある君達の道には未来がある」

 

ゆっくりと呟く、紫髪の神秘的な少年

 

「ぬっ――!?」

 

「それでいい。進むんだ。進んだ先には陽があり、暖かに君達を照らすだろう。どうか迷わずに、君達が陽の祝福を得られんことを」

 

そしてゆっくりと歩み、難民達の最後尾に位置を取り

 

 

「――我等が赴く道筋を助けたまえ、主よ」

 

高々と、手を掲げる――

 

 

「『十の災い(モーセ・テンズ・ディザスター)』――」

 

 

 

 

 

『難民の皆は安全な場所まで離脱した!もう大丈夫だリッカ君!』

 

ロマンの言葉に、兜越しに安堵を漏らすリッカ

 

【良かった・・・!】

 

「速やかに撤退だ!援軍は無尽蔵、まともに相手など押し込まれるだけだぞ!」

 

エミヤの言葉に頷き

 

 

【皆!!撤退するよ!!】

 

声を張り上げ、全員に撤退の意志を伝える

 

 

そして

 

【だぁあぁあぁあぁっ!!】

 

拳の掌を地面に叩きつけ、漆黒の泥を辺り一帯に浸透させる

 

 

「!?」

 

「なんだ、身体が、沈む・・・!?」

 

騎士達を即座に飲み込み、圧し、砕く漆黒の孔と化し、騎士達をまとめて無力化する

 

 

「――後輩はそういうラスボスのような技を修めなければならない決まりでもあるのかね?」

 

【ほら、行くよエミヤ!マシュと皆に・・・】

 

 

『まずいわリッカ!そっちにサーヴァント反応!――円卓の騎士よ!!』

 

マリーの報告と共に

 

「くたばりやがれ――!!!!」

 

暴走の祝福を受けし円卓の騎士、モードレッドがリッカもろともエミヤを吹き飛ばす――!

 

 

【ぐうっ――!】

 

「無事か、マスター!」

 

強烈な一撃を脚の鎧で相殺し、エミヤに身柄を受け止めてもらい、減速する

 

 

「チッ、バカみてぇにかてぇな。ぶっ殺すつもりではなったのにうぉっ!?」

 

即座に聖剣の一撃を察知し飛び退く。モードレッドのいた場所が抉り取られる

 

「『暴走』の祝福を持ちし騎士、モードレッド。此度は戦いに来たわけではない。剣を引け」

 

即座に二人を庇う騎士王、モードレッドは獰猛に笑う

 

 

「ハッ、ここまで虚仮にされて黙ってられるか!『遠き異郷よりおぞましき邪龍来たりし時、白亜の結託はひび割れ、神託の塔は崩壊する』なんて御告げが下されてるんでな!そのカッコイ――いやいや、悪趣味な鎧!確実にテメェだよな、邪龍ってのは!」

 

【なんだか、そうみたいだね・・・!凄いのはこの力で、私は唯の乙女なんだけど!】

 

リッカとエミヤ、騎士王が身構える

 

「そうかよ!なら――此処で死んでけ!!テメェの首をあげりゃ、少しは気分も晴れるだろうよ!」

 

高々とクラレントを掲げ

 

「祝福よ!オレに限界を越えさせやがれ!!」

 

霊基が軋み、削れるような凄まじい威力の魔力を練り上げ、クラレントを輝かせる――!

 

「――退かぬならば・・・マスター、此処でまた一人円卓を・・・」

 

剣を構える騎士王、弓を投影するアーチャー

 

【ごめん、流石に三騎士、それに円卓には私は打ち合えるかどう――】

 

 

「――いいえ!貴方達の死地は此処ではない!」

 

鋭い声の一喝と同時に

 

「『一閃せよ、銀の腕(デッドエンド・アガートラム)』!!」

 

モードレッドの『祝福』を、一時的に断ち切る銀の流星が駆ける――!

 

「――!」

 

騎士王は目を見開く

 

 

「貴方は――」

 

「っっつ・・・誰だ!死にてぇのか!!」

 

モードレッドは身を捻り致命傷を避けはしたが、練り上げた魔力を吹き散らされる

 

「お早く!此処は私が!」

 

【貴方は――!?】

 

振り返らず、右腕を高々と掲げる

 

「――罪人。――ですが、今は・・・義によって剣を執る者です!レディ!」

 

「テメ、ェ・・・――何処のボンクラだ!オレのギフトを切り裂くなんざ・・・!」

 

「モードレッド、貴様が彼女らを詰る資格はない!そう、義憤により立ち向かった彼女達を詰ることは、けっして!」

 

瞬間、リッカの身体に『天の鎖』が巻き付き、遥か天空へと回収され、身柄が天へと上っていく

 

【なあっ――!?】

 

「え、ひゃ、わぁ――!?」

 

咄嗟に謎の騎士を掴みとっていたため、引き摺られるように天空へと巻き上げられていく謎の騎士

 

「な、待ちやがれ――!」

 

リッカ達に気を取られた瞬間、騎士王は瞬時に懐に潜り込み

 

 

「がはぁっ――!!!?」

 

モードレッドの腹に痛烈な前蹴りを打ち込み、遥か正門へと吹き飛ばし叩きつける

 

身体がめり込まんほどに叩きつけられ、血へどを吐くモードレッドを認め、即座にドゥン・スタリオンに騎乗する騎士王

 

「退きますよ。目的は果たしました」

 

「了解した。――全く。抑止の輪にも見習ってほしい人事ぶりだよ、マスターの采配は」

 

皮肉げに、そして誇らしげにカルデアに帰還していくエミヤ

 

「飛び立て、ドゥン・スタリオン」

 

脚にて檄を入れ、愛馬は天空を駆け、ヴィマーナへと戻っていく

 

 

「て、め――まちやが、れ――・・・!?」

 

 

モードレッドは、息を呑む

 

 

 

――空が、真紅に染まっていた

 

夜だと言うのに、不気味な血の色に染め上げられる一面の空模様。キャンパスに血液をぶちまけられたような鈍色の真紅

 

「なんだ・・・!?アイツらか!?」

 

見ればカルデアの戦力は即座に撤退していく。彼等は預かり知らぬ事なのか?とモードレッドは推察する

 

――そして、ソレは降りかかった

 

「ッ、ぶぁっ・・・!?」

 

雨だった。それは、紛れもない血の雨であった

 

 

真紅の空から降り注ぐ『血の雨』。それらが獅子王の領地を余さず侵し、猛烈な勢いとなって落ちてくる

 

「なんだ、これ――!」

 

モードレッドは更なる変容に目を見開く

 

 

「っづ!?」

 

兜越から羽音がする。それらはおぞましき交響曲となりて耳を犯す

 

「――っっっ」

 

彼女は『ソレ』を目にし、息を呑んだ

 

それは『ブヨ』そして『アブ』であった。血を吸い、疫病をもたらす災厄の虫

 

土地を犯し、死を振り撒く語るもおぞましき虫が現れ、増え、やがて目の前をおぞましく覆い尽くす

 

 

「なんだ、なんだこれは・・・!クソッ、退け!聖都に入れ!早くしろ!!」

 

『リッカ達と戦っていなかった』騎士達をまとめあげ、聖都に避難する騎士達

 

 

 

――その災厄が降り注ぐ間、獅子王の領土は人の踏み入れる場所では無くなった

 

 

血の雨が降り、ブヨ、アブが余すことなく飛び回り、蛙が飛びはね、蝗、疫病が蔓延する

 

一歩脚を踏み入れたならば、即座に災いに身体を食い破られ死に至り、また死に絶える

 

『聖都の周り』のみに、見るも語るもおぞましき災厄が降り注ぎ続け、来るもの全てを拒み続ける

 

 

――それを見た、目の当たりにした騎士や、聖都の民は口々に呟いたと言う

 

『神の災いが降りかかった』と――

 

 

――聖抜は、もうこの特異点では行われはしないだろう

 

 

最早誰一人、聖都には近づかぬのだから――

 

 

 

 

 

「ナイス!ナイスギル!死ぬかと思った!」

 

リッカ、そして謎の騎士がヴィマーナへと着陸する

 

「うむ、話は後だ。災厄に巻き込まれよう。離脱するぞ」

 

「はい、ありがとう、ございま――」

 

謎の騎士は、礼を告げ

 

「ちょっと――!?」

 

そのまま、肉の焼く音と共に倒れ伏した・・・

 

 

《――随分と酔狂な長旅を過ごしてきたようだな。肉体は滅び、魂は燃やし尽くし、精神のみで稼働しているとは。虚仮の一念、というやつか》

 

――王?

 

(あのクズ・・・餞別を贈るのはいいけどフォローがまるでなってない!筋肉と神経に焼けた義手を繋ぐとか何を考えてるんだ!)

 

感嘆するギル、怒るフォウ

 

《エア、カプセルの空きはあったな。一つ、見繕ってやれ》

 

――は、はい!あの、彼は・・・

 

「――彼は、正しい英雄ではないのです。プリンセス。――今は私と王を信じ、彼を癒してくださりませんか」

 

騎士王が、『魂』に語りかける

 

――は、はい!

 

即座に『本当にすまないカプセル』に、謎の騎士は叩き込まれた――

 

「・・・貴方は、どこまで優しいのです。――『べディヴィエール』」

 

誰ともなく呟く騎士王の目から、一筋の涙が伝わり落ちた――




難民キャンプ


「呪腕の!?・・・いや、カルデアにいる呪腕か・・・!よくぞ、皆無事で・・・!」

「中継基地が幸いした。此処に作ってくださった者達に感謝せねばなるまい。――よくやってくれた、ジャック」

「えへへ・・・」


「食料、水!たんまりあるぞぅ!飲め、食え!歌え!わははははは!!」

「――呪腕の。頼みがある。カルデアの皆を、『村』に案内してやってはくれぬか」

「――戦いか」

「然り。これより私は、イスカンダル殿と皆を取りなす。必ずや、協力を結ばせよう」

「――心得た」

「じゃあ、僕とお母さんもついていく!」

「はい!皆様のご恩に、報いらせてください!」

「・・・サリア、ルシュド・・・」

「・・・承知した。身柄、必ずや送り届けよう」


「フハハハハハハ!!余は輝ける難民である!ネフェルタリ!振る舞え!そして振る舞え!」

「はい、ラーメス。皆様に、アスタルテの恵みあれ――」


荒野

「こんなものでいいかな?近付いてはいけないよ、皆」

「さーて、次は何処に行こうかな?~♪」


ギャーテ!ギャーテェ!

「むむ?面倒事の気配!行ってみよう!ラーメスに鉢合わせしたら面白いけどね!」

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