人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
今一度、今度は必ずやこの手に我等の世界を掴もうぞ。
その暁には……
あの青き星にて、我等は永劫に君臨することとなるのだ。
はい。お父様。
私はお父様と共に、必ずや成し遂げてみせます!
親に仕え、親の意志を果たす!
それが、仔の役割なのですから!
〜パンドラタワー
ニャル(特に敵対者もなくここに来れたが、やはりパネルがなくては入れないか)
【……任せたぞ、仮面ライダー達。共に必ず、エボルトを制そう…!】
【ううっ………!お父様…何故…どうして……!】
混迷を極めるエボルグランプリ。星一つを巻き込む戦いのさなか、その闘志と意志を翳らせて跪かせる者がいた。
【今度こそ、今度こそ共に我等親子が覇を掴むはずではなかったのですか…お父様…!】
彼女はクトゥーラ。離別の呪いにより地球を追放されたクトゥルフの娘であり、クトゥルフと共にニャルラトホテプへの雪辱を果たさんとこのエボルグランプリに参加した存在。
ニャルラトホテプとその娘を討ち果たし、今度こそ地球を支配する。そのために神格すら捨てこの催しに参じた筈が、クトゥーラにとって最悪の番狂わせが起きた。
そう、消え去ったクトゥルフの反応…。クトゥルフが何者かに討ち果たされ、殺められてしまったのである。それは無念極まる敗退、クトゥーラの野望の終焉であった。
【私は…どうすれば良いのでしょう…お父様…!】
クトゥーラは父を崇拝していた。彼女の意志はクトゥルフの意志であった。それ故にこそ、父は絶対であり、全てであった。
一度の敗北は追放であった。だから次があった。だが、神格を捨て去った後の死は一度だ。クトゥルフは、クトゥーラが神にならねば産み返す事はかなわない。
立ち会えすら出来なかった父の最期に、彼女は泣き崩れるばかり。彼女は父の幸福こそが、全てだったのだから。
【お、こいつはレアモノじゃないのか?】
【よしよし!捕まえて売り飛ばしてやろうぜ!】
【あの化け物から逃れておまけに拾い物!ラッキーだな俺等!】
失意のクトゥーラに迫る、宇宙ブローカー。レアものを売り払う、銀河における悪辣なものたち。
【……………】
クトゥーラに抵抗する余力はなかった。もう生きる意志すら希薄となった彼女はうなだれるばかり。父を失った、失意の中で。
【よしよし、いい子だ。じゃあ早速品定めを…】
ブローカーがクトゥーラのベルトに手を伸ばした、その時。
【オラァ!!】
【ぐへぇっ!?】
殴り飛ばすは仮面ライダークローズマグマ。クトゥーラを発見しながら様子がおかしい事を察し救援にやってきたのだ。
『おい、大丈夫か!何ぼさっとしてるんだ!』
クトゥーラに駆け寄る仮面ライダービルドジーニアス。クトゥーラは二人に覚えがあった。ニャルラトホテプを助けたライダー。
【……殺してくれ】
『何…?』
【もう、生きている意味がない…お父様が、いなくなってしまった……】
その発言の意図を、なんとなしに戦兎は理解した。
『親父が脱落したのか…』
【あ?それで凹んでたのかよ!】
【お前ら!横取りすんじゃねぇ!】
【そいつは俺等の商品だぞ!】
【ブローカーとして売り捌くんだよ!】
『……対強敵に使うつもりだったけど、まぁいいや。エボルトを見越して、行くぞ万丈!』
戦兎は一つのフルボトル缶を取り出す。赤い兎と青いドラゴンを意匠…『クローズビルド缶』を。
【お、おう!なんかもったいねぇかもしれねぇけどな!】
戦兎がボトル缶をベルトに装填、レバーを回す。
『クローズビルド!!Are you ready ⁉︎』
すると変身パーツエフェクトがビルドのみならず、クローズも巻き込み伸びる。待機音声に合わせ、2人が叫ぶ。
【おうよ!!】
『ビルドアップ!!』
同時にランナーが二人を押しつぶし、赤きビルドと青きクローズを混ぜたような見た目の『クローズビルド』へと変身を遂げる!
『ラビット! ドラゴン! Be The One! クローズビルド!イェイ! イェェーイ!!』
【お前たち……】
『俺達はあんたを倒しに来た。けど…今のアンタは戦うどころじゃないみたいだな】
【おおっ!こいつもレアモノだろ!】
【男同士で合体したぞ!?】
【半分半分でパーツが違う!不良品じゃねぇーか!】
『とりあえずここはアンタを護る。そっから先をどうするかはアンタが決めろ!】
クローズビルドは、大量のブローカーライダーに突撃を行う。100対以上に囲まれているが、ベストマッチな奴等には関係ない。
『よっと!!】
金色のベストマッチラビットを足がかかりに、クローズビルドが天高く翔ぶ。それは敵を、遥か見下ろす位置。
『ウォラァアァアァアァア!!!】
そのまま拳より、銀色のベストマッチドラゴンをオーラにして撃ち放つ。それらは辺りを巻き込み、余りあるほどの大威力。
【【【【【【ぎゃあぁあぁあ〜〜〜〜!!】】】】】】
吹き飛ぶブローカーライダー達。残すはリーダー格の存在のみ。ビルド世界最強のライダーの前に、我欲に満ちたライダーは余りにも無力であった。
【え、え、え!?嘘だろう!?全滅!?】
『贅沢な一撃だ、大盤振る舞いでくれてやる!】
レバーを回し、ベストマッチラビットを背後に呼び出しその後ろ足でビルドを激しく蹴り飛ばす。
『俺達はいつだって!負ける気がしねぇ!!】
そのままベストマッチドラゴンが背後からブレスを放ち、急加速と共にクローズビルドを撃ち放つ。その圧倒的な加速より放たれし一撃こそ──!
『ラブ&ピースフィニィイィイィイィイッシュ!!】
ベストマッチを極めた勝利の法則が、最大の威力をもってブローカーライダーを打ち砕く──!
【ぎゃあぁあぁぁあぁあぁあぁーーーーーーッ!!!】
その一撃は並の量産ライダーが受け止める一撃でなく、たまらずに大爆散を起こすリーダー格。彼等は圧倒的な数で稼ぎを成して来た者達。突出したライダーに勝てる道理はどこにも無かったのだ。
『ふぅ。いくらなんでも歯応えがなさすぎたな】
『じゃあやんなくて良かったじゃねぇか。見栄張ってんじゃねぇよバカ】
『天才物理学者に向かってバカとはなんだ!バカって言ったやつがバカなんだよこのバカ!】
『じゃあお前もバカじゃねーか!!】
完勝したにも関わらず喧嘩の絶えない二人。それにより、クトゥーラは救われた形となる。
【何故……】
『あん?】
【何故、助けた…?】
クトゥーラからしてみれば、弱っている敵など絶好のカモでしかない。殺し、パンドラパネルを奪い取るチャンスだったはずだ。しかしこの人間達は、そうしなかった。
『俺達は殺すため、破壊するために仮面ライダーになったんじゃない。より良い未来を創る為に仮面ライダーになったんだ】
【!】
『家族を亡くして泣いてる人を護ってあげることくらい、お安い御用さ。ヒーローにはな】
【…ヒーロー……仮面ライダー…】
『あ?でも確かエボルトんとこにはパネルが無いと駄目なんじゃねーの?】
『……あ】
『あ、じゃねーよ!忘れてたのかよやっぱりバカじゃねーか!!】
『バカバカうるさいよバカのくせに!いや参った困ったぞ、この流れでパネルをかけて勝負って言うのは…】
『カッコつけるからだバーカ!】
『だからバカバカうるさいって言ってるでしょーがこのバカ!!】
『お前だってバカって言ってるじゃねーか!!】
醜い一心同体の争いが絶えないビルド。あわやバッドエンドかと思われたが…
【…持っていけ】
クトゥーラはそれを差し出した。それは、パンドラタワーの道を開くパネル。邪神等が持っていたパネル。
『いいのか?】
【もう、我等には不要なものだ…。戦う理由も、もはやない……】
クトゥーラはよろよろと立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。その後ろ姿を…
『物理学当身!】
【はうっ!】
ビルドは問答無用で気絶させたのだった。
『お前何やってんだよ!?】
『助けて終わりじゃ無責任だろ。ひとまずカルデアに保護してもらおう。親を失ったら、生き方を決めなくちゃいけないんだ】
『……そうか。おう、そうだな】
『回収してもらったら、俺達もニャルと合流するぞ。エボルトをなんとかしないと!】
【…お父様……】
番狂わせは起きたものの、結果的に望みの成果を手にすることにしたビルドサイドであった。
一方 ロイガーサイド
グリス『ぐあああああっ!!』
ローグ『ぐぬぅうっ……!!』
ロイガー『弱すぎる…神格を捨てた私にこうまで翻弄されるなどと。仮面ライダー、恐るるに足らず!』
グリス『んだと、コラァ……!!』
ロイガー『さあ、お前達を贄としてガタノゾーア様の復権といたしましょう!ルルイエの礎となるがいい!!』
ローグ『ポテト、いや…一海』
グリス『あん?』
ローグ『あれしかない。わかってるだろう』
グリス『……〜チッ。言っとくが、追い詰められた訳じゃねぇからな!』
グリスは立ち上がり、スクラッシュドライバーからビルドドライバーへとベルトを換装する。
グリス『見せてやるぜ。俺達の『心火』ってやつをなァァァ!!』
『グリスローグ!!ブルァアア!!オーラァ!!ブルァアア!!オーラァ!!』
ロイガー『何をする気だ…!?』
『Are you ready ⁉︎』
『『できてるよ!!』』
『ロボット!クロコダイル!!YOU ARE THE ONE!!グリスローグ!!ドリャァア!!ブルァァァァァァァァァ!!!』
仮面ライダーグリス、仮面ライダーローグが一つとなったライダー、グリスローグ。
『こいつが俺たちの!!祭りだァアァアァアァアッ!!』
新たなるライダーが、ブラッド星に名乗りを上げた。