人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
【ガイアメモリ。地球の記憶を収めた代物だ】
【俺達が独自のルートで獲得したメモリに、死者を使役する死者蘇生兵士…】
【自分等は手を汚すことなく、死体を化け物に改造し戦わせる。極めて合理的だな】
【あぁ。死んでいい命など銀河にはいくらでもある。さぁ、起動しろ!】
【ビーン!】【ヨガ!】【カブキ!】【コックローチ!】【マグマ!】【アノマロカリス!】【バイオレンス!】【スイーツ!】
【死者蘇生ドーパント軍団…!これで星の慈悲は我々の…!ん?】
「………やれやれ。ライダーの魔王様はおちおち寝かせてもくれないようだ」
【なんだ、貴様は……?】
「俺の名前か?…そうだな。地獄に行ったらこの名を告げろ」
『エターナル!!』
「大道克己。…変身」
『エターナル!!』
【エターナル……!?大道克己!?】
【何故だ!?とうの昔に二度死んだ筈!?】
エターナル『死神は、死期を迎えた魂を迎えに来るものさ』
【【【…………!!】】】
『さぁ────』
『地獄を、楽しみな』
『なんだその不気味で面妖な姿は…。無機物と有機物の継ぎ接ぎとでも言うのか?』
ガタノゾーアの復讐に燃える眷属、ロイガー。有翼のライダーシステムを利用する彼の前に立ちふさがりしは、仮面ライダーグリスとローグが一つとなったグリスローグ。
黄金のローグに、マントと重厚な装甲を纏わせたきらびやかな仕様。そして複眼に当たる部分は赤く、その内に秘めた闘志を想起させる。だが、ロイガーはそれをさしたる脅威とは考えていなかった。
『地べたを這うがいい、下等な人間め!貴様らは我等支配者を見上げていればよいのだ!』
傲慢な台詞とともにグリスローグを一方的に攻撃しようと距離を取る。空中に向かわれれば、ヘリなどのボトルを使わなくては太刀打ちできない。
『グリスローグ……舐めんなよコラァアァア!!』
突如変身者の一人、猿渡一海が絶叫したと思いきや駆け出し跳躍する。気合い任せのヤケクソ……などではない。
『行くぞテメェら!!』
瞬間、赤、青、黄色のベストマッチクロウが現れ、背後に羽の要素として展開される。
『オラァアァアァアァァァァァァァァァ!!』
三つのユニットは瞬く間に翼となり、無限にグリスオイルエネルギーを吹き出す噴出器官となる。それは即ち、グリスローグに無限の推力を与える、という事。
【何!?】
『大義のための、犠牲となれ……!』
更に続けて、肉薄した瞬間に脚に紫色の鰐の双顎を乗せた蹴りの乱打が即座にロイガーに喰らいつく。
【ぐぉおぉおぉおぉお!!?】
『咬合!!回転!!殺傷ォ!!』
そのままロイガーを巻き込む形で大回転。変則的なライダーキックである、クラックアップフィニッシュを叩き込んだのだ。そのライダーキックはどんな相手にも必ずや戦火を挙げてきたまさに必殺技。
【ぐぉおっ…貴様、離れろっ!!】
しかしロイガーもやられてばかりはあり得ない。なんと翼の羽ばたきを使い、グリスローグを力付くではねのけた。そのまま接近戦を拒否するために遠距離の戦いに移行するが──。
『どこまで行っても逃がしゃしねぇ!!』
なんと、噴出したグリスオイルにより空中を自在に飛行するグリスローグ。正確には力任せの大飛翔であるのだが、それに関わる負担をローグ部分の能力で損害軽微に減少させながら怒涛の射撃戦を展開したのだ。
【ば、馬鹿な!?】
ロイガーからしてみればそれは完全なる想定外。自身らが悠々と舞い人間を見下す天空に、本来あり得ない人間が飛翔しているのだから。
【人間風情がぁぁっ!!】
ロイガーは眷属の力を使い、グレート・オールド・ワンとしての力を解放し翼より甚大なダメージを与える為の攻撃手段とする。
『おおおっ!』
しかしその黄金の鎧を着たグリスローグに一切の攻撃は無力化される。ローグ側の利点、メリットは極めてシンプルだ。
『列強!頑強!!屈強!!!』
そう、単純に極めて硬い装甲にクロコダイルの力を再現したかのような剛力。スペックだけなら随一を誇るローグの合体…それを突破するには、羽根の打ち付け程度にはあまりにも軽すぎたのだ。両手にはトランスチームガン、ネビュラスチームガンの両手持ちを行いながらもロイガーを追い詰めていく。
【ば、馬鹿な…!この力はなんだ!?この気迫は!この苛烈極まる情動は!?】
互いが縦横無尽の攻撃を行う中、ロイガーが絶叫する。アトラック・ナチャが作り上げたシステム、劣ることなどありえないとばかりに。
【たかが二人の人間が合体した程度だ!それなのにこの支配者にしてガタノゾーア様の眷属たる私が!?】
やがて気迫の差が出てきたのか、射撃戦に変化が見られる。ロイガーの射撃が、グリスローグの弾幕に劣り始めたのだ。それはまさに、彼から言わせれば──。
『仮面ライダーってのはなぁ!肩書きで勝負するもんじゃねぇんだよ!!』
【!?】
『心の火…!心火を燃やして愛と希望を命を懸けて守り抜く!そいつの為に命を張れるやつを、仮面ライダーって呼ぶんだコラァ!!』
やがて情勢は完全に決し、ロイガーは縦横無尽に飛び回るグリスローグに空中に射撃で釘付けにされてしまう。
『俺達には守るべき大義が、平和が、細やかな幸せがある…!』
近づけば、頑強を極めた攻撃を何度も何度も叩きつける。その距離に、敵など存在しなかった。
『皆が生きる明日のため、限界を超えて強くなるのが仮面ライダーだ…!故にこそ!』
『テメェなんぞに負けるつもりはねぇんだ、コラァ!!』
【………!】
心の動き。心の気迫。
それが力となるのならば、自身にはそれを発することなど叶わないとロイガーは思う。
眷属である以上、主に従うのは絶対だ。それ以上やそれ以下でもない。
だからこそ、どのような場所でもパフォーマンスは一定だが逆に想像を絶するような力を発揮することはない。それは人間でも同じ。
だが眼の前にいる人間は、仮面ライダーはそうではなかったのだ。
人間とは、自身以外のためには限界すら超えていく。弱体化したとはいえ神という存在相手に、だ。
それは──彼自身が、彼ら自身が望む戦いであるからだ。
眷属にあるのは使命。
そこに、望みなど挟まる余地も無かった。
『決めんぞ、ヒゲェ!!』
グリスローグが、激しくレバーを回す。必殺技のシークエンスに入ったのだ。
『グリスローグ!Are you Ready!?』
瞬間、三つのベストマッチクロウが分離し、無数の攻撃となって襲い掛かる。それは、一海の部下たる者達の魂の具現。
【くぅうぅう……!!】
『はぁぁあぁあ!!』
そのまま、ベストマッチクロコダイルによる必殺の挟み込み蹴り。そこに更に回転を加えたデスロールにて、ロイガーを喰らい尽くす。
【ぐぁあぁああっ……!!】
『オラァ!!』
そして地上に深く叩きつけられ、最後の決着の瞬間がやってくる。
『俺たちの前に!!平伏せえぇえぇえぇえぇえぇッ!!』
『決着だ…!』
『マッシュ・アップフィニッシュ!!』
叩きつけられたロイガーに向けて、ベストマッチクロウ、ベストマッチクロコダイル、更に現れたベストマッチキャッスル、ベストマッチスタッグ、ベストマッチオウルを完全に合体させたグリスローグが、輝きながら回転キックを叩き込む。
【所詮は、付き従い盲従するだけの眷属の限界、か…】
敗北を悟ったロイガーであるが、不思議とその心持ちは穏やかなものであった。
こういった人間に敗北したのならば、それは十分すぎる敢闘にして、健闘であるというもの。
ニャルラトホテプ、ハスター、マイノグーラ、シュブ・ニグラス、ツァトゥグァ、アトラック・ナチャ。人間に興味を持ち、彼等に触発をされた邪神は数しれない。終いにはガタノゾーアは光の巨人、祖なる龍、彼等の信じる仮面ライダーにも敗れた。
その事実をあまりにも受け止めきれずにいたのだが──。
【──だが、見事だ!人間よ、ヒーローよ!仮面ライダーよ!!】
自らの敗北が目前に迫る中、ロイガーは高らかに声を上げる。
【その激しく猛々しい心火を、くれぐれも絶やすでないぞ!!深海のルルイエで、お前達をずっとずっと見守らせてもらおうではないか!!】
『くらいやがれぇええぇええぇえぇえぇえぇッ!!!』
【アッハハハハハハハハ!!やはり神のままでは、見えるものも見えぬのだなァ─────!!】
渾身のライダーキックを受けながら、ロイガーは大いに笑い運命を受け入れる。
爆発、爆風、轟音。辺り一帯に伝播する衝撃。
だが、それでも。パネルを手にし立っていたのは……。
『────見たか、コラ……!』
『俺達が、勝たせてもらった…!』
グリスローグ。推しと付き合ったオタクとホテルで語り合うことに定評のある新進気鋭の存在がベストマッチした仮面ライダーであったのだ──。
パンドラタワー前
クローズビルド『ニャルさん!お待たせ!】
『しっかり勝ってきたぜ!】
ニャル【あぁ、信じていたとも】
グリスローグ『わりぃ、ちっと苦戦した』
『だが、勝ってきたぞ…パネルだ』
【グレート・オールド・ワンを倒したか……。仮面ライダーは本当に素晴らしいな】
クローズビルド『これで、パンドラパネルとロストボトルが揃った】
グリスローグ『あとはあいつを、ぶっ潰すだけだな…!』
【…ナイア。モア。待っていてくれ…!】
いよいよ、皆は歩きだす。
エボルト【……………】
最悪の、敵の下へ。