人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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大切なものの意味

【はぁあぁあっ!】

『ハッハハハハハハァ!!』

 

拳と拳、親愛と破滅思考、信念と信念がぶつかり合う。ニャルラトホテプ・トラペゾヘドロンとキルバスアザトースの激しい攻防が、星に余波を撒き散らすほどの力を発生させているのだ。

 

『お前も奇特な奴だなァ、ニャルラトホテプ!』

【何…!?】

 

『宇宙を自在に遊び場にできる力を捨てちまうなんてもったいない真似がよくできた!オレなら活かすにしろ捨てるにしろ、派手な使い道で使い倒してやったのになァ!!』

 

キルバスが廻し蹴りでニャルを吹き飛ばす。エボルトの兄、並びに行使する力がアザトースであることから、その格闘能力は比類なきものであることは如実であり、それは本来の力を行使したニャルラトホテプすら退かせる領域に至っていた。

 

『やらせるか!!】

『ぶっ潰す!!』

 

吹き飛び膝をつくニャルラトホテプをすかさずカバーするクローズビルド、グリスローグ。ビルド世界の最強ライダー達のコンビネーションは、神たるキルバスにすら通用している事実を示す。

 

『いいねぇお前たち!相も変わらず夢と希望に満ちたいい気迫だァ!』

 

だが、キルバスは有利であろうと無かろうと関係ない。快楽を第一、自身を第二とする存在のキルバスは、自らの生存に頓着しない。破滅型の死兵そのものだ。

 

『俺達の世界の歪みは、俺達が正す!】

『貴様の好きにはさせん…!』

 

『クローズビルド!アーユーレディー!?】

『グリスローグ!アーユーレディー!?』

 

二人のライダーが同時に必殺技シークエンスを起動しジャンプ。重装甲のグリスローグ、ベストマッチラビット、ベストマッチドラゴンの協力を受けたクローズビルドがキルバスに全身全霊を叩き込む。

 

『ラブ&ピースフィニィイィイィイッシュ!!】

『くたばりやがれぇえぇえぇえっ!!!』

 

それは直撃すれば充分に撃破と打倒に至った一撃。まさに乾坤一擲の必殺技。

 

しかし────。

 

『だが…夢から醒める時間だぜェ!?』

 

キルバスがドライバーのレバーを回す。エボルドライバーの形をした、白いドライバーがコールする。

 

『アザトース・フィニッシュ!』

 

その瞬間───信じがたい事が起きてしまった。

 

『なっ…!?】

『うおっ!?』

 

今まさにライダーキックを叩きつけんとした二人の動きが完全に停止し硬直。そして……。

 

「うわっ!」「うおっ!?」「だぁっ!?」「ぐうっ!?」

 

なんと二人のライダーの変身が完全に解除され、四人にもどされ地に這いつくばらされる事となってしまったのだ。キルバスは不気味に笑い、その様子を見届けている。

 

「何が起こったんだ…!?」

 

『知りたいか?知りたいよなぁ!こいつはアザトースの力の一端!一時的かつ極めて狭い範囲だが、範囲内の事象を思うがままとするって寸法さ!』

 

アザトースの見ている夢が世界。その概念を利用し、世界の摂理に強制干渉するライダーシステム。それを利用され、二人はライダーの変身能力を奪われてしまったのであった。

 

『いつまでもヒーローを夢見るのは良くないよなぁ?その手のものはさっさと卒業するものさ!甘い夢が醒めるようにあっけなく!』

 

「戦うことも、出来ねえってのかよ…!!」

 

『その通り!いつまでも夢を見る、寝ていられる!それこそはアザトースの比類なき特権だからなぁ!お前達ではどうしようもない存在ってやつなんだよ、残念ながらァ!』

 

クローズビルド、グリスローグがあまりにも呆気なく敗北を喫する。いや、勝負の土俵にすら上げられなかったというのが正しい評価だ。

 

【彼等をやらせはせん!!】

 

だが、時間は稼いだ。即座に復帰したニャルラトホテプが割って入り、光り輝くビームブレード型のトラペゾヘドロンを振るいキルバスに肉薄する。

 

『トラペゾヘドロン!邪神を封じる神器故、アザトースの力が効かないようだな!』

【ぬぅう……!】

 

『だが悲しい事だねパパさん!オレとお前とじゃあ種族の出来が違うのさ!!』

 

『アザトース!フィニッシュ!!』

 

ニャルラトホテプの攻撃をあっさりと弾き、首を掴み放り投げる。

 

『さいっっこうにクールだろぉ!?』

 

そしてそのまま、渾身のライダーキックがニャルへと叩き込まれる。致死ギリギリの、オーバーヘッドキック。

 

【ぐぉおぉおぉおぉおぉおぉおっ!!】

 

壁に超速で叩きつけられめり込むほどの衝撃を受けるニャルラトホテプ。キルバスの追撃は続く。

 

『残念だったなぁ!神の座を降りていなければこんな手間はかからなかったのに!』

 

キルバスはニャルを嘲りながら、拳を叩き込み続ける。

 

『神の力を捨ててやる事が家族ごっこだなんて!随分と勿体ないじゃないかニャルラトホテプ!』

 

【ぐっ…がはっ…!!】

 

『散々人を玩び殺しておきながら、情に絆されたのか?散々他人を虐げてきた癖に笑わせるじゃないか!』

 

【ぐふっ…!!】

 

『散々人を嘲笑っていたお前ならわかっているだろうに!愛や絆なんてものは幻想に過ぎないと!文字通りの甘い夢というやつだ!そんなものに憧れたのかァ!?』

 

【ぐおっ…!!】

 

『それなら目を覚まさせてやろう!エボルトに代わってお前を始末する事でなァ!!』

『アザトース・フィニッシュ!!』

 

そして最後に、痛恨のオーバーヘッドライダーキック。

 

【ぐああああああっ!!】

 

ニャルは再びなすすべなくそれを受け、半死半生の重症を負う。

 

圧倒的だった。ニャルの中で、その強さはまさにエボルトを上回っていた。

 

【ぐっ、がはっ!………っ…!】

 

『おやぁ?』

 

だが──ニャルは決して、その力の差に屈していなかった。

 

【貴様は、ここで倒さねば…貴様だけは私が、始末しなくてはならんのだ…!】

 

満身創痍で変身解除寸前ながら、ニャルは立ち上がりキルバスに挑まんとする。それは、神であるものには出せぬ力。

 

『驚いた。そんなにも家族の茶番が恋しいのか?』

 

キルバスの興すら殺すほどの執念で、ニャルはキルバスに向かい行く。

 

【家族、だけではない…。貴様は、汎人類史を破壊せんとしているのだろう…。やらせるわけには、いかないのだ…!】

 

『どうしてそこまで躍起になるゥ?お前は家族以外どうでもいいタイプだろう?』

 

【あの歴史は…あの世界は…私の愛する全てが生きている場所なのだ…!】

 

ニャルは告げる。そう、大切なものは家族であり、それら全てを取り巻く世界なのだ。

 

自分達だけが破滅の世界に生存しても意味はない。家族だけが終末を生き延びては意味がない。大切なものたちの笑顔は、世界の中で育まれるのだ。

 

【今なら解る。姫の尊重の意味が…リッカ君の信念と覚悟が…!】

 

楽しい生活も、豊かな暮らしも、笑顔の満ちる一時も。それらは世界とそこに生きるすべてが織りなすもの。大切な人々にも大切な人々がおり、それは世界の全てを構成し紡いでいるのだ。

 

【私を応援してくれた人々…私を愛してくれた者達…私が愛する者達…。それらが生きる世界…!大切なものを護るとは、それを生み出す世界を護ると言う事だ!】

 

『…!』

 

【資格など、罪など関係はない!私は闇として、影として、混沌として!眩い光の全てを護ってみせる!私という闇があるかぎり、人の尊き光を消すことは決してできぬ!】

 

(そうだろう、私の家族たち。素晴らしき隣人たち。私を受け入れてくれた世界よ)

 

ニャルラトホテプは罪に焼かれ続けるだろう。終わらぬ罰に苦しみ続けるだろう。奪った命に永遠に囚われるだろう。

 

だが───。その罪を仮面で隠し戦う者こそを人はこう呼ぶのだ。

 

【私は──!家族と家族が生きる世界の全てを愛しているのだから!!】

 

───仮面ライダーと。

 

ニャルラトホテプという神はとうに死んでいる。

 

今、此処にいるのは……。

 

ちっぽけながら、愛する者のために全てを懸ける人間だ。

 

 

ただの、人間であったのだ。




キルバス『そうか。ならそれを遺言にしてやろうじゃないか!!志半ばで死ぬがいい!!』

『アザトース・フィニッシュ!!』

ニャル【!!】

キルバス『死ねぇええぇえぇえ!!』

キルバス渾身のライダーパンチが、ニャルに迫り───

【ぐぅうぅうっ!】

漏れる苦悶の声。しかしそれはニャルではない。

キルバス『!?』
ニャル【!?】

エボルト【ぐうぅ……っ……!!】

庇い、受け止めていたのは…エボルトであった。

エボルト【フ、ハハ…本当に、骨の髄まで人間になったようだな、相棒…】

深々と貫通する拳。───致命傷だ。

【そんな、お前だから……頼みたい事がある…】
【エボルト…】

【オレと…こいつを倒すために、協力してくれ…。オレも、世界を滅ぼされちゃ、困るんでね…】

キルバス『愚かな弟よ!見苦しいぞ!』

キルバスはそのまま───。

キルバス『先にあの世で待っていろォ!!』
『アザトース・フィニッシュ!!』

エボルト【ぐああああああぁあぁあっ!!!】

殴り倒され、爆発四散するエボルト。

ニャル【エボルト!!……っ…】

キルバス『フン。愚かで軟弱な弟だ、全く』

【…………、!?】

だが───エボルトは滅んでいない。

ニャル【パネルに、ロストボトルに、トリガーが…】

エボルトが遺したものを

キルバス『エボルト!奴はなにを!?』

戦兎「!ジーニアスボトルが!?」

それら全てが、今重なる。

【ニャルラトエボル!!】

それは、エボルトが創り上げた切札。

キルバス『何!?』

ニャル【………!】

【ケイオスギャラクシー!!!】

全てを懸けて世界を護る。そう決意したニャルは迷いなくそれを手に取る。

【シネーイ!イケーイ!シネーイ!イケーイ!シネーイ!!】

混沌から這い出る星の輝きに包まれ、その時が来る。

【アーユーレディー!?】

ニャル【当然だ…!!】

【混沌銀河の害悪ヤロー!!ニャアァルラトエボルウゥッ!!シネーイ!!サッサト!シネーイ!!!】

仮面ライダーニャルラトホテプに、エボルを合体させた禁断の姿。

ニャルラトエボル【決着を…つけてやる……!!】

今ここに、銀河を震撼させるコンビが再結成されたのだ。

プレシャス&ラブ&ピースの為に。

大切なものを、護るために。
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