人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ラニ『この地に流れついたのは、全くの偶然だった。遠くに律を運び、そしてその果てに我等は辿り着いた。この地の月…ムーンセル・オートマトンに』

ラスティ「そうだね。オレ達は岸波白野の協力の下、星の世紀の律を汎人類史の防護とした」

ラニ『今もなお、大いなる意志が齎した悪意ある流星は私達の律を破壊せんと群れをなして襲い来ている。お前は、それを討ち果たし幾星霜の日々を過ごしてくれている』

ラスティ「それが君の王たるオレの、そして汎人類史に生きる全ての存在を護るために戦うオレの使命だからね」

ラニ『……苦労をかけるな、私の王』

ラスティ「君の為の戦いだ。本望さ」

ラニ『………ありがとう』

リッカ『ラスティさん!ラニさん!管制室に来てもらえるかな!?』

ラニ『出番の様だ、我が王ゴッドロード』

ゴッドロード『あぁ。全ては今を生きる命の為に』


プロローグ〜始まりの礼拝堂〜

「これは………『大祝福』!?なぜ、カルデアに…!?」

 

リッカらに呼ばれ、ゴッドロードとラニが目の当たりにしたもの。それは女王マリカの祝福…。導きという、使命の行き先を示すもの。祝福を与えられし褪せ人しか見ることのできぬもの。それが今、カルデアの管制室に堂々と現れていたのだ。

 

「我々全員に見えるこれは…あなた方が見えていたものと同じ、で良さそうね」

 

「同時にこれは、レイシフトにおける座標を指し示しています。『霧の彼方、我等の故郷。狭間の地』…そう、トリスメギストスは伝えました」

 

オルガマリー、並びにシオンは告げる。それは、ゴッドロードとラニのいた地を指しているのだと。

 

『いや、星と月の律は既に我等の地に敷かれ遥か遠くにある。我々の狭間の地とは違う、平行世界の場所であろう』

 

「オレ達の狭間に、オレ達二人だけの意志で戻ることは無い。…この地、汎人類史に辿り着いたのも、千年を有している。千年分は離れているよ」

 

「ゴッドロード様何歳!?」

 

「1000と22歳かな」

 

つまりこの祝福は、全くの別世界。王なく神無き、壊れた狭間の地より齎されたものだと二人は断定する。

 

『となると、奇妙な話だ。戦士の末裔でないお前達に、マリカは祝福と使命を託した事となる』

 

「オレ達の世界では、マリカは自らの王とその戦士を強くし、黄金律に代わる世界のルールを掲げる強さを以て狭間の地へ戻ることを願った。君達人間が、そんな後始末を任されるはずはないんだが…」

 

ゴッドロードは考え込む。マリカの真意を。

 

「ハッ。答えは明確であろう。その女王とやらは我等を招いている。神の視座にて、我等に不可欠な導きの果てにあるものを掴ませるためにな」

 

すると其処に、真なる黄金の王ギルガメッシュが現れた。ラニは偉そうな奴めとそっぽを向き、ゴッドロードは即座に畏敬の礼を取る。

 

「つい先日、我が至宝に奇怪な授かりものが贈られた。柔く淡い乙女の憧憬が如き代物だが…夜の王よ、覚えはあるか?」

───こちらです!

 

王と姫が見いだせしは、白金と金、淡き虹により編まれた真円のルーン。その形は朧げで、触れれば消え去る幻影の如しだ。

 

『それは…マリカの遺志、か』

「エルデンリングの修復ルーンとしての機能を有している…。極めて不安定でか細く、小さいけれど。それはたしかに、世界を直す至高の資格だ」

 

ゴッドロードはルーンを翳す。完全なる真円のルーン、暗き呪痕が円環を為すルーン。ただひたすらに醜い、忌み呪いのルーン。

 

「これらと同じ、あなたがたは狭間の地を糺す資格を得た事になるんだ」

 

「フン。使命とは神らしい傲慢さだ。本来ならば我等を顎で使うなど不敬の極みだが…」

──ワタシには見えます。解ります。このルーンの持ち主は、ワタシ達に伝えたいことがあると!

 

「僥倖な事に、我が至宝が乗り気でな。我が至宝の導きであるならば、愉快な旅路を拓くも一興という訳だ。故にこの誘い──我等は乗ってやることにしたぞ?」

 

ギルガメッシュの言葉に、カルデア職員は即座に賛同の意志を取る。王自らの勅令。それは絶対の方針であった。

 

「そこでだ。夜の王ラスティ、並びに神たる星の世紀の人形よ」

『偉そうな奴め』

「ラニ、ラニ」

 

「貴様らは狭間の地の出であろう?先導に水先案内人の役割を果たすには最適と踏むが、どうだ?我等カルデアを導く為、離れた狭間を訪れる気概は残っているか?」

『どこまでも偉そうな奴め』

「ラニ、ラニ。…こほん」

 

私こやつ偉そうで好かぬ。そうむくれるラニを制しゴッドロードは告げる。

 

「喜んで。王とは夜闇を照らす灯りとなりて民を導き守る者。我が知見、我が経験が皆の助けになるのなら、それは王たる我の本懐なれば」

『ふん。私の王は強く優しい。有り難く恩寵を賜ると良い』

 

「良い返事だ、星の王よ。千年に渡る悪意ある流星の調伏、その旅の成果を頼らせてもらおうではないか。オルガマリー!」

 

「はっ!」

 

「此度の冒険、我と我が至宝が神殺しを為す。お前達は星の王と共に、修復の主に見えるがいい。その遥かなる旅路を、我が財たる貴様らに授けよう」

 

つまり、カルデアは神の元にギルガメッシュとエアを導くのだ。さすれば忽ちギルガメッシュは神を討ち、エアはそのルーンと共にエルデンリングを掲げるであろう。

 

──ワタシは世界を握りません。ただ、世界が現実の前に手折られ消えてしまう理想と希望が世界を慈しむ律を、神に託したいと思います。

 

それは、律なき律。人が人に齎す当たり前の慈愛と博愛が世界に満ちる優しき律の雛形。それは神の願ったであろう始まりの律。

 

エアは、神たる人に再びを託すために旅を決意したのだ。自らの野心など、彼女には欠片もありえなかった。

 

「騎士王は従者に入れておく。リッカ、貴様の推薦するサーヴァントを選び支度を整えよ。長旅になる故資材は我が出す。選出は丁寧にな」

 

「任せて!今から徹底的に冒険体制を整える!皆!やるよ!」

 

そしてカルデア一丸となった狭間攻略体制は、以下のようになる。

 

まずリッカはエルデンリングの欠片『大ルーン』を回収するデミゴッド討伐チーム。エルデンリングに真っ直ぐ向かう中核部隊だ。

 

「プリンセス、並びにリッカは私とマシュが御守りします」

「先輩!長旅にはイキイキナスビが必需品です!」

 

メンバーはリッカ、道中護衛に騎士王、マシュ。そして───

 

「冒険ならば、私はプロフェッショナルだ。リッカをノーコンテニューでクリアに導こう」

「デミゴッド討伐は任せてほしい。狭間の地においてオレより強い存在はいないからね」

 

ヘラクレス、ラニの王ラスティが大ルーンを巡る戦いを制する。同時にラスティは狭間の地の人々との交流と絆を結ぶ役割も制する。

 

「移動手段と、遺灰?オトモドラゴン?には私がなるよぉ。任せてぇ〜」

 

万全を期す為に、従者たる龍としてルゥ・アンセスが任命。狭間の地の大空を飛ぶこととなる。

 

「狭間の地の各ダンジョンは、グランドマスターズが並行して探索する。資材調達は任せてくれ」

 

カドックらは狭間の地の探索による宝探しや要因探しを担当する。神を討つ力を見出すためだ。

 

『私はお前達に律の加護を与える。同行はできんが、頼もしく思え』

 

ラニは神たる力で、落下死や状態異常による死を無効化する加護をもたらす。それは神に至ったラニならではの盤石な守護であった。

 

「我等は神を殺す以外の武は振るわぬ。善き旅路でエルデンリングとやらに辿り着いてみせよ」

──ギルガメ売店として、祝福にお店を構えます!

 

二人は資材支援に徹する。オガワハイム以来の売店活動だ。

 

「私達は当然バックアップよ。レイシフト扱いとして、皆を助けるわ」

「頼りにしておいてほしい!なんせ魔術が盛んな土地なら負けないからね!」

 

カルデアは常に盤石な構え。準備は整った。

 

「さぁ行くぞ者共!神たる輩の使命、馳せ参じてやろうではないか!」

 

「再び、エルデンリングを掲げ世界を癒す為に」

 

『……こちらの世界でも、ミケラは余計な真似をしなければ良いがな』

 

ラニの苦々しげな声音と共に、一同は狭間の地へと向かう。

 

そこは霧の彼方、大いなる意志が始まりの流星を送りし場所。

 

女王マリカが、カルデアに託した何かを確かめるために一同は向かう。

 

夜の王、並びに星の世紀の神が目の当たりにしたとは異なる狭間の地。

 

その先に何が待ち受けているのかは……

 

神ならざる人であるカルデアの者達には、未だ掴めぬものである。

 

だが、きっと旅する者はそれでよい。

 

未知は、未来に踏み出す大いなる力。

 

人はそれを、希望としてきたのだから。




─────王を待つ断崖───

ラスティ「ここが、オレが初めて降り立った地だよ。ここから使命は始まった」

ヘラクレス「王を待つ断崖…慧眼だな」

ラスティ「オレの場合指巫女は死んでいたが、さて…」

?「あ、やってきたんだね。おーい」

ラスティ「!」

レン「君達は王を目指す使命持ちだね。私はレン。エルフのレンだ。記憶喪失なんだけど、巫女として君達を導けと招かれた。一緒に行ってくれるかな?」

リッカ「エルフだ!採用!」

レン「やったね。魔法が好きだよ。覚えてないけど。よろしく」

ルゥ(遺灰)『幸先いいねぇ〜』

こうして、狭間の地の遥かなる旅路が始まる。
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