人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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レン「まず、巫女として君たちに伝えることがある。人間の二人だ」

リッカ「私とマシュの事だね!」

レン「君達は決して、死んではいけない。この地は黄金律という、死ぬことのない世界にはなっている。極論、復活し死ぬことはない」

ゴッドロード「……」

「死ねば甦れる。しかし君達が一度死ぬ度に、君達は死ぬ事になれてしまう。死ぬ事を恐れない生命は勇敢じゃない。愚昧である愚者だ」

マシュ「ごくり…」

レン「君達の旅路はこれからも続くでしょう?死をここに置いていっては、いけないよ」

リッカ「…はい!」

レン「よろしい。王の断崖からリムグレイブ地方の始まりの導きに行こう。だがその前に…」

ラスティ「人体を切り取り、自らの力とする外法『接ぎ』に手を染めた貴公子が褪せ人を狩っているんだね?」

レン「うん。私の手持ちの魔術は今『ルーンを力に変える魔術』と『星明かりの魔術』しかなくてね、倒せなくて困ってたんだ」

ルゥ『それなら、二人にやってもらおうよ〜』

ラニ『ヘラクレスとやら。ここは私の王の手並みを見ろ』

ヘラクレス「はい(人形を偲ばせているのだな)」

ラニ『アステールに比べれば、造作もあるまい』

ゴッドロード「勿論。マスターとマシュに、先導の力を測ってもらうとするよ」

(執筆中に値落ちしてしまったため、この時間に投稿とさせていただきます)


レベル1の一周目だと思うだろう?

「あれが、マリカ様の像…?」

 

礼拝堂から一同は出て、開けた広場に到達する。そこにはうら寂れた広場と巨大な女性の像がある荘厳な雰囲気の場所であった。

 

「あれこそが女王マリカ。黄金樹と共にこの狭間の地を平定した存在。神と呼ばれるものだね」

 

「金髪に豊満な肉体…。フン、ゼウスが好みそうな女神だ」

 

神様にいい思い出がないヘラクレスは基本的にマリカやラニに苦手意識を持っている。神の思考回路は大抵が意味不明であるからだ。

 

『うぅ〜〜〜〜ん………ひどい場所だぁ』

 

「ルゥさん?酷いとは、この場所が雰囲気がですか?」

 

『ううん、この世界全体のお話。すごい、疲れ果てて壊れ果ててる。生命の息吹がほとんど無いよ〜』

 

遺灰のルゥが示す通り、世界そのものに活力がない。何も生まず、何も進歩しない。それはまさに、黄金の停滞。

 

『生命が水たまりになって全然循環してない〜。早くなんとか?しなくちゃ…わ!』

 

瞬間、マリカ像の背後から巨大な異形の影が現れる。それらは無数の腕を獅子舞の肉体部分に貼り付けたかのような美男子の怪物。

 

『………………!!』

 

接ぎ木の貴公子。褪せ人の四肢を狙い攫う、最悪の初心たる冒険者を害する存在。

 

「では、約定通りオレがこいつを処断しよう。マシュ、我等が希望を護っておくれ」

「はい!先輩、こちらに!」

 

ゴッドロードが貴公子に歩み寄り、マシュたちが安全圏へと下がる。ラスティは星の輝きに手を伸ばし、武器を手に取る。

 

「使命を阻みし全てに踏破の轍を」

 

取り出せしは、無垢金の義手刀。聖別され、腐敗すること無き熾烈の刃。

 

「あれは、まさかデミゴッドの武装…?彼は一体…」

 

レンの静かな驚愕の眼前で、接ぎ木の貴公子とゴッドロードはじりじりと間合いを測る。

 

貴公子は得体の知れぬ眼の前のただならぬ褪せ人を警戒し尽くした慎重を。ゴッドロードは悠然かつ堂々たる威風を。その点にて最早、勝負の如何に至るものは決していたと言えるだろう。

 

『!!!』

 

貴公子が跳躍し、他者の腕を継ぎ接ぎした事による多刀の剣技を披露する。黄金の獅子鎧と王冠を懐いたゴッドロードに様子見は不要と判断したのだ。

 

頭上を取られ、不覚を取る───。

 

『!!?』

 

その様な事態、彼においては万に一つもあり得なかった。

 

「………」

 

ゴッドロードは、ただ静かに身の丈以上の長き刀を前に突き出した。それは何という事もない無造作。

 

『!!!』

 

しかしその合理と動作を見切った技量の極限は、振り下ろされた刃に刃を突きつけ巨大な肉体の動作を止めるというものであり。

 

『失せろ。私の王に挑む資格すら有り得ぬ貴様は』

 

僅かな接点のみで自身の数倍の敵を完全に抑え込む王道踏破に、ラニの人形が神としての勅令を下す。

 

『!!』

 

ゴッドロードは刀を緻密に振るい、流れのままに貴公子の身体を受け流す。まさか受け止められるとすら思わぬと言った様子で体勢を崩し膝をつく。

 

「まさか、刀でそんな動作を行うことが出来たなんて…脇差しでもないのに…」

 

レンの驚愕は、その次の瞬間の攻撃によりさらなる様相を齎される事となる。

 

「─────!!」

 

ゴッドロードは身体を捻り、まるで水鳥の如くに身体を捻り跳躍を行う。

 

そしてそのまま、竜巻が如き熾烈極まる斬撃の乱打を接ぎの貴公子に叩きつけた。ただ、起きた行動とはそれだけのもの。

 

ただし、それに付随した事象の因果関係は、彼自身の持つ加護や祝福の凄まじさを実感させるに相応しいものであった。

 

「きゃあぁぁあっ!?」

「く……っ」

 

なんと、熾烈なる乱舞からは蒼き刃の閃きが光線となり齎され、刃を一振りする背中に無数の飛来する斬撃が辺りを切り刻んだのだ。

 

そして同時に、巻き起こされた剣の威力は竜巻となり軌跡を残し、蒼き冷気を全ての敵対者に叩きつけるかのような、凄惨極まる現象を引き起こしたのだ。

 

彼が行ったのは、単独の足の跳躍から無数の斬撃を打ち放つ『水鳥乱舞』と呼ばれる絶技。極めて高い技量が要求されるその斬撃に、神たるラニの祝福と斬撃を乗せ、辺り一帯を斬り伏せる神の斬撃へと昇華させた事がこの戦いにおいて彼が齎した結果の答えであった。

 

『私の王は、こことは異なる狭間の地にて王たる力を示し、そしてなお千年の旅路を私と共に歩んできた者だ』

 

その経験は、その力は。高々愚かなる外法に満ちた存在などには追従すら許さない存在であるとラニは自慢げに語る。

 

『この狭間の地において自身より強い者は存在しないという言葉は、冗談でもなんでもない事実に過ぎない、という事だ』

 

無数に斬り荒れる最中で斬撃の竜巻として空の雲すら切り裂いたゴッドロードを自慢げに誇るラニ。それは決して、大げさな誇大広告や依怙贔屓などではない。

 

ただ、純然たる事実として。彼はひたすらに無慈悲な程に強さと力を示したに過ぎないのだから。接ぎ木の貴公子は、肉片すら残さず消え去った形となった。

 

「本来ならば地下に落ち、エレベーターにてリムグレイブに至るところであるのだが…我々には偉大なる龍が付いている。マスター、彼女の力を借りる事にしよう」

 

力を誇るでなく、驕るでなく、ただ当たり前のように敵を排除したゴッドロードはリッカたちへと進言する。彼にとって力とは、誇るものなどではない。ただ、鍛え振るうものにすぎないのだから。

 

「そ、そうだね!…褪せ人って皆あんな事できる人達なの…?」

 

「ルーンを力に変えてもらえる事が出来れば、あれくらいの事はきっと出来るようになる筈さ」

 

「凄いなぁ…!じゃあそんな未来を信じて、ルゥちゃん様お願い!」

 

呼び出されしは祖なる龍。一同を見下ろして余りあるほどの白き巨体。竜王すらも凌駕する雄々しさと気品を併せ持つ姿を、皆の前へと表す。

 

『うん、いいよ〜。あ、レンちゃんだっけ?どこに向けて飛べばいいか、教えてね〜』

 

「うん。それは勿論。まずはリムグレイブと呼ばれる始まりの地域の最初の導きで、作戦と今後の方針を話し合おう」

 

レンの言葉と共に、続々とルゥの白き身体の背中に一同が乗り込む。最後にゴッドロードたる彼を載せ終えた後に、大いなる羽ばたきと共にルゥは天空へと飛翔する。

 

『それでは!いざ、リムグレイブってところへ!』

 

大いなる翼と共に一行はまずリムグレイブ地方の関門前へと飛び立つ事となる。

 

「そこで狭間の地や黄金律、歴史などをキャンプがてら学ぶとしようじゃないか。私も、巫女として皆に色々伝えて導かなくてはならないからね」

 

「よろしくね、レン!………それにしても……」

 

リッカは見る。太陽よりも眩しく輝く、黄金樹の圧倒的威容と威圧、並びに驚愕に値するほどの巨大さと異様さを。

 

「あの麓が私達のゴールなんだとしたら…凄く、険しい旅路になりそうだね……!」

 

遥かなる旅路を懸念する言動でありながら、リッカのその言葉には諦観や戦慄等とは含まれておらず、

 

新しきと壮大なる冒険が行われる事への高揚と決心。何よりも、皆と共に歩めることへの歓喜を含んでいた。

 

……そして、その大いなる飛翔を見守る影がある。

 

「……彼等は、導かれている。黄金樹に、エルデンリングに」 

 

それは、旅人の衣装に黒いローブとフードを被り、傍らに霊馬を侍らせた霊体の少女。

 

「行きましょう、トレント。私達の使命を果たすためには、彼等の力が必要になるのだから」

 

『プルルルッ』

 

無数の斬撃の余波でずたずたになった礼拝堂を、その謎の影は後にする。

 

死ぬことなく、新たなる律の姿を見出し神の意志に見える旅路。

 

それが今、静かにかつ確かに幕を開ける。

 

 

それは停滞していた運命が、動き出した瞬間でもあった。




リムグレイブ〜ストームヴィル城関門前〜

レン「ここはリムグレイブといって、胎児の形の地形をしている狭間の地の南に位置する地方だよ。君達が目指す大ルーンを所持しているのは、ゴドリックと呼ばれるデミゴッドのミソッカスだ」

リッカ「ミソッカス!?」

レン「黄金樹の麓にある王都、ローデイルからここまで逃げてきて、圧倒的な能力を持つ他のデミゴッドに怯えきってストームヴィル城と呼ばれる城に引きこもった神たるマリカの遠き子孫…。血の薄い雑魚だと、星は教えてくれているね」

ヘラクレス「星が辛辣だった」

レン「大ルーンを集めるんでしょう?なら、ゴドリックの討伐はさけられない。そこで…」

?「そこで、私達と取引をしてもらいたい」

ラスティ「!」

メリナ「……はじめまして、皆さん。私はメリナ。皆さんと…取引をしたくてやってきました」

ラスティ「……メリナ………」

ラニ『お前にとっては懐かしい顔だな?私の王よ』

一同は関所前にて、謎めいた少女に霊馬と邂逅を果たすこととなる……。
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