人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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リムグレイブ

ルゥ『見て、リッカ』

『黄金の大便』

ルゥ『うんち』

リッカ「黄金の…」

ルゥ『ここに壊れた黄金律の真理があるよ』

リッカ「黄金の大便に!?」

ルゥ『この大便、乾かないしずっと熱いまま。大地に還らないままなんだ』

リッカ「それって……」

『そう。うんちはずっとうんちのまま。大地に還る事も、肥料になることもない。循環も、生まれ変わりも起きない。つまり…うんちになっても、うんちになる前の生命は生きてるの』

リッカ「そ、それじゃあ…!」

『そう。この世界では穢れたら、未来永劫穢れたままなんだよ。恐ろしいし、かなしいよ…』

リッカ「…………!」



レン「敵を倒すとルーンが貰える。私はそれを君の力にできる。見たところ君は魔術回路を有しているんだね。なら、最大713本増やせるよ」

リッカ「凄い!?…記憶喪失でも、覚えてるんだね」

レン「うん。私は何も覚えていないけれど、一つだけ、忘れられない事があったんだ」

リッカ「それは?」

「『人を知りたい』。人は果たして、その可能性は神に届き得るのか。それを導けというのが私の祝福だった。だから君がエルデンリングを目指す限り、巫女として君を支えるよ」

リッカ「レン…」

「まぁ……今はまともな魔術も魔法もないんだけど。もしかしたら私は、長生きしていただけのうだつの上がらない雑魚エルフだったのかなぁ(しょぼん)」

リッカ(可愛い…!)


ヘラクレス「すまない、ストームヴィル城について聞きたいんだが」

ゴドリック兵『アァウ!!』

ヘラクレス「すまない、ストームヴィル城について」

ゴドリック兵『アァウ!!』

ヘラクレス「すまない、ストームヴィル城に」

ゴドリック兵『パープーーーー!!』

『アァウ!』『アァウ!』『アァウ!』『アァウ!』『アァウ!』

ヘラクレス「野蛮人共め……(ドン引き)」


マシュ「………………」
ツリーガード『?』

マシュ「カッコいいです…!」
ツリーガード『…?』


学生寮、そして宴があるぞ

「周辺の探索、御苦労であった。祝福付近には時空を歪め一室を設けてある。存分に活用するがいい」

 

リムグレイブ。ひとまず周囲を探索していた一行は休息の時に入る。狭間の地の空気や雰囲気を肌で体感したカルデア一行は、どさりとソファやベッドに飛び込んだ。

 

「まさかまともに会話も出来ん程に市民や軍兵が狂い果てているとはな。火の粉を払うついでに殲滅してしまったが、これが狭間の地の挨拶なのだと思う事にした」

 

「ツリーガードさんに防御の真髄を聞いてきました!魔術は弾け、だそうです!」

 

「うんちで学ぶ黄金律の崩壊」

 

「うっひょ〜。ふかふかベッドだ〜」

 

『やはりそうであったか。この壊れ果てた世界、久方ぶりの感覚だな』

 

一行の所感にラニ人形がふむふむと頷き、ラスティに説明を促す。

 

「エルデンリングは狭間の地に生きる総てを祝福していた。それが砕かれ、壊れた時にその祝福を受けていた全ては連鎖的に壊れてしまったんだ。市民も、人間も、まともな会話が出来る存在は少ない筈だ」

 

「やっぱりそうなんだ…。ゲームで言えばぼくの夏休み32日目みたいな状態なんだね」

 

『おまけに、私が殺した黄金のゴッドウィンが黄金樹の麓で死に損なっているお陰で、狭間には死に生きるゾンビやアンデッドたる存在もあふれ出ている。マリカと私により、世界は壊れ果てたままというわけだ』

 

「後ろに控える存在を思えば、再起のための破壊と受け止めるしかあるまい。どのみち完璧な世界などマリカでは望めなかったろう」

 

『ほう。ヘラクレス、それは何故だ?』

 

「心を持つ神は得てして人の脅威にしかならんのだ。まぁ、我々はマリカを助けるためにエルデンリングに見えるのだから関係はなかろう」

 

(戦士でありながら、金仮面卿と似た知見…。ヘラクレス殿、流石はリッカの世界の大英雄…)

 

「まぁそれはともかくとして、ストームヴィル城に大ルーンの持ち主、ゴドリックはいる。ルゥの翼があれば到達どころか城を攻め落とせもするだろうから、どっしり構えるといいよ」

 

レンの言葉に頷く一同。確かに戦力は盤石だ。しかし、一度も死を許さないとなれば完全なる安心はできない。

 

「朝まで休もう。ここは安全なようだし──」

 

ラスティが安眠のスイレンを置こうとした、その時であった。

 

『───はじめまして。皆さん』

 

一同の前に、くすんだ赤毛に黒きローブ、左目が封印された異様な出で立ちの少女が現れる。それは霊体であり、静かに皆に姿を晒した。

 

『私はメリナ。皆さんと取引がしたいの』

 

「と、取引?」

 

『私を、黄金樹の麓に連れて行ってほしい。アルター高原の最中、王都たるローデイルへ』

 

それは、彼等の道を同じくするもの。エルデンリングが待つ旅の終点への同行の願いであった。

 

「ほう…。行きずりのヒッチハイカーというわけか。取引というからには穀潰しに甘んじる様子はないと見たが?」

 

『……私は、マリカの言霊を皆に伝えることができる。それは、あなたが持つ白と金のルーンの力となり…エルデンリングを修復する助けになる筈』

 

メリナと名乗る少女は見抜いていた。ギルガメッシュとエアが持つ、マリカの律なき律のルーンを。

 

『エルデンリングを掲げ、マリカから言葉を賜るのなら、そのルーンでマリカとエルデンリングを分かつしか道はない。…それが、取引』

 

───メリナさん、あなたは一体……。

 

『マリカは、私の母。私にとある使命と、言葉を残した。『白き黄金と、共に歩み。いつか運命の死に見えよ』と』

 

「後半が物騒だね、マリカの使命」

「鬼ママだったのかなぁ…ヒィン」

 

『祝福同士を繋いだり、望むのならば、この世界の歴史を教えられる。…どう?』

 

メリナは静かに返事を促す。

 

「皆、この取引は受けてあげてほしい。メリナとは共に歩むべきだ」

 

すると、ラスティは強くメリナとの協力を促した。

 

「彼女は敵ではないし、マリカの娘という絶対的な狭間の地の鍵を握る存在だ。必ず我々の旅に必要な要素たる者だよ」

 

『…!』

 

「私に異論はない。誰かを背負うのはいつもの事だ」

 

「私も〜。仲間が増えるのは嬉しいよねぇ」

 

「マリカに関わる魔術とかもあれば尚良しかな、私は」

 

「異論なしです!」

 

「うん!じゃあ、よろしくね!メリナ!」

 

一同はメリナをあっさり受け入れ、リッカは握手を求める。

 

『……ありがとう。でも、私は……』

 

だが、メリナは握手に手を伸ばそうと躊躇い、霊体となり消えてしまった。その様子は、親交を躊躇するかの如くに。

 

「………?」

 

「……彼女はまだ、人と仲良くする事を躊躇っている段階なんだ。それは彼女の、マリカから受け取った使命に由来するものでね」

 

ポン、とリッカの肩にラスティが手を置く。君に非はないんだよ、と告げるように。

 

「でも、それでもオレは君や皆にメリナの友になってもらいたい。使命のみに生きる生命ではなく、彼女も尊厳ある一人の人間であってほしいんだ」

 

「ラスティさん…」

 

「あくまで、個人的な願いなんだけれど…どうかな?」

 

ラスティの照れくさそうな笑顔で頭をかく動作にほっこりしながら、リッカは頷く。

 

「勿論!意志があるなら、絶対に仲良く出来るのが私のモットーだからね!」

 

「!ありがとう…!じゃあ皆にお礼として、とびきりの御馳走を振る舞わせてもらうよ!」

 

「とびきりの」

「御馳走!?」

 

「ドラゴンとエルフの食い意地が凄まじい」

 

「そう、それは───『勇者の肉塊』さ!」

 

 

「「「「「えっ………………………」」」」」

 

「えっ?」

 

「ラスティってカニバリズム推進派だったのぉ…?」

 

「人は見かけによらないんだね。やっぱりホーラ・ルーの戦士達ってそうだったのかな」

 

「怪物なら山と肉塊にしてきたが勇者はちょっと……」

 

「ダメです!私もリッカ先輩も、狭間の風習に慣れそうにありません!」

 

「人肉はNGでお願いします!!」

 

 

「とんでもない誤解が起きてるーー!?ちょっと待ってほしいんだ皆!何も勇者を肉塊にしたというわけではなくて、勇者の御馳走として大変に好まれたという意味で!」

 

『ドン引きだ。お前の馳走は、ヤバすぎる』

 

「ラニぃ゙!?」

 

『このようなとんでも野蛮風習王はさておき、私もオススメを紹介しよう。お前たちは知らんだろうが、カニは肉より卵だぞ?』

 

「カニ玉だーー!!」

 

『よし、私の王よ取ってこい』

 

「酷い!勇者の肉塊も是非是非食べてもらうからね!?」

 

 

───ラスティ様は凄いですね…。千年以上休むことなく戦い続けているのに、人間性や魂に僅かな綻びも無いなんて…

 

《アダム・カドモンは別格の規格外として、確かに無類の強靭よな。だがアレは天性のものではあるまい》

 

───と、言うと…?

 

《アレは一度砕け、失意に塗れた事があると我は見たぞ。ヤツの素性…知る日が楽しみではないか》

 

「お待たせ!ついでにクマも狩ってきたよ!」

 

「クマ肉だーーーー!!」

 

「うっひょ〜!狭間の地で御馳走だ〜!」

 

「レンさんがエルフにしてはなんだか俗です!」

 

「クマはいいぞ…美味しいぞ」

 

『…………』

 

「ほら、メリナも一緒に!」

 

『わ、私は……』

 

「大丈夫。ヴァイクやベルナールの様にはならない子達だよ」

 

『!…………解った』

 

「あ、メリナ!」

 

『………御優しい事だな、私の王』

 

「…ボックにメリナ…。あの日のオレの旅路は、決して完璧な足取りじゃ無かったからね。これはきっと…」

 

オレなりの、もしもを歩む旅なんだ。皆に囲まれて困惑するメリナを見つめながら…

 

ラニの王は、静かに遠き追憶を噛み締めた。

 

『時に私の王よ。この世界の私には話をつけておいた』

 

「早っ」

 

『全てが終わったなら会いに来い、とのことだ』

 

「…勿論!」

 

こうして、狭間の地の最初の夜は更けていった。




ラニ『さて、ストームヴィル城のゴドリックを倒す前に大まかな時系列の共有をしておくか。私の王』

ラスティ「はい!」

リッカ(甲斐甲斐しい…)
ヘラクレス(尻に敷かれ気味だな)

ラニ『私が夜なべした紙芝居で、お前達に教えよう。魔女ラニの紙芝居……『ラニ芝居』だな、フフフ…』

ルゥ「神なのにギャグセンスはないんだねぇ」

『祖龍の氷像』

リッカ「ルゥちゃん様ーーー!」

ラニ『そこの呑気な龍は放っておき、ざっと解りやすく伝えよう。では…』

ラスティ「………」

『…………』

「はっ。はじまりはじまり〜!」

『よし(フフン)』

ヘラクレス(愛する王に構ってもらいたい盛りの乙女か、この神……)
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