人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ストームヴィル城、正門前

みすぼらしい男「おーい、あんたら。こっちだ、こっち」

レン「?君は?」

ゴストーク「俺はゴストーク。門番をやっている者さ。あんたら…ストームヴィル城に入りたいのか?」

ヘラクレス「入りたい、ではない。入るのだ」

ゴストーク「うぉっ…。な、なら正門はやめときな。精兵が固めてるし、オススメしないぜ?実は隠し通路を知っていてな…」

レン「それはありがたい。でも、必要ないかな」

ゴストーク「なんだって?」

レン「すぐに交通が良くなるからね」

〜上空

リッカ「どう、ルゥちゃん様?」

ルゥ『うーん、そうだねぇ。やっぱり、綺麗な景観を残してるのはここと湖方面くらいで、東とか腐ってるみたいに酷いなぁ』

ラスティ「狭間の地は、破砕戦争の果てに荒廃を極めた。特にケイリッドは悲惨の一言。君たちで言う、戦場跡なんだ」

リッカ「そんな中、リムグレイブは綺麗なんだね」

ラスティ「ゴドリックは弱いが故に、その地を無闇な戦火に巻き込みはしなかった。それが結果的に、領地の守護に繋がったのさ」

ラニ『血は薄いが、それなりに領主の才はあったらしい』

リッカ「…解ったよ。マルギットさんの言ってたことが。だからこそ、まずはゴドリックを止めなくちゃ」

ラスティ「!」

リッカ「接ぎなんて儀式がなくても、あなたには強さがあると伝えよう!」

ラスティ「あぁ!では…リッカとルゥは地図に示した場所に向かってくれ。そこにゴドリックはいる」

ルゥ『あれ?ラスティはどうするの?』

ラスティ「ストームヴィル城のゴドリック兵の加勢を阻む。城内で暴れ回るから、ゴドリックを戦闘不能にさせるんだ」

そして、ラスティはルゥの背中より飛び降りる。遥か下部のストームヴィル城へと。

リッカ「ラスティさん!?」

ラニ『問題ない。見ろ』

その姿を───


アデューラ・ラスティ『──────!!!!!』
その姿を、古竜たる姿とラニの騎士たる竜の剣持つへと変えて。

リッカ「ドラゴンになったーー!?」

ラニ『ヤツは竜の心臓を喰らい尽くしたドラゴン・ハーティドでもあり、竜王もまた討ち果たした。神秘を極めた私の王ならば、あのような芸当も可能だ』

ルゥ『すごぉい』

こうして、ストームヴィル城の攻略が始まることになる──。



接ぎ木のゴドリック

ストームヴィル城。かつて嵐の王が鎮座していたとされる嵐吹きすさぶ城。王都ローデイルから逃げ出したゴドリックが居住としている場所。

 

そこはリムグレイブの要であり、ゴドリックら黄金の落伍者達が守護する広大な城である。故に防御は固く、突破は容易ではない難所であることに間違いはないが───。

 

 

『──────!!!!』

 

天空より飛翔した、黄金獅子の鎧と月の剣、グランサクスの雷の槍を二刀流に握る古竜の存在にストームヴィル城は大混乱へと陥った。

 

巨大極まる体躯の古竜へと姿を変えたラスティは即座にストームヴィルの防衛設備を破壊し尽くしていく。右手に握る巨大な冷気の剣で備え付けられたバリスタを破壊し、左手の槍で強大なトロル、獅子、並びに増援たる精兵を蹴散らし、ストームヴィル城の戦力を引き付け衆目を集める。

 

狭間の地には飛竜と古竜が存在する。そしてその竜の心臓を取り出し、喰らい、その力を我が物とする竜餐という儀式が。

 

荒ぶる竜の力を心臓を喰らうことにより力とする。ラスティは全ての竜を討ち果たし、その心臓を喰らい、更には嵐の中心に在る竜たちの王すら討ち果たした。

 

故にそれは、彼に古き竜の領域たる姿を示した。黄金の獅子鎧と王冠を戴く暗月と黄金の竜。ドラゴン・ハーティドたる彼は、竜の力を完全なる力と変えたのだ。

 

『私の王よ。あまり命を奪うな。交渉の際に面倒な禍根となる』

 

ラニはその傍らにてラスティに指示を出す。その補助をするように、集めた敵を眠らせ無力化するなどといった補助に余念がない。

 

その衝撃的な侵入者に、ゴドリックの兵卒達は成すすべもなく叩き伏せられ、或いはラニにより眠らされる事となる。結果的に抜け道を選び探索を行うレンとマシュ、メリナ。ゴドリックへの道と退路を切り拓いたヘラクレス、ゴドリックに対面したリッカとルゥのサポートは、彼により十全に果たされたと言えるだろう。

 

右手の月の剣、左手の大古竜の雷に抗う術は兵にはなく、現れて数分で、ストームヴィル城はゴドリックを残した裸の居城と相成った。

 

『他愛もない。リッカ達の協力に行くか?』

 

ラニの言葉に頷きつつも、月の竜王と化したラスティは城より離れた塔を見やる。

 

『リッカ達は必ずゴドリックから大ルーンを賜る。神授塔への道を切り拓いておかないと』

 

『フフ、そうであったな。では、さっさとゴーレムを処置しなくてはなるまい』

 

ラニの言葉に頷き、月の竜王は雄々しき翼を広げ飛び立つ。

 

ラスティは微塵も疑うことはない。仲間と友の勝利と制覇は。

 

彼の理性と心胆は、狂った世界において異常な程に強靭かつ真っ当であった。

 

 

「む……」

 

失地騎士、トロル、坩堝の騎士たる精鋭たるを単独で縊り殺したヘラクレスは、とある人物と出会う。

 

「む…。お前は、戦士か。その堂々たる振る舞いは…」

 

最低限の衣装しか纏わぬ、鍛え抜かれし女性の戦士。失地騎士を葬っていたその女性は、ヘラクレスと邂逅する。

 

「私はヘラクレス。ゴドリックの暴虐を制しに来たのだ」

 

「そうか……。私はネフェリ。ネフェリ・ルー。ホーラ・ルーの末裔たるものだ」

 

ヘラクレスと握手を交わせさネフェリ・ルーは、ヘラクレスに問う。

 

「ゴドリックは大ルーンを所持している。それは大いなるエルデンリングの欠片。そしてそれは、『円卓』の導きとなるだろう」

 

「円卓……」

 

「大ルーンを手にしたならば、また会えるだろう。貴方のような屈強なる戦士に必要かは解らないが……共に戦える機会があるならば、声をかけてくれ」

 

ネフェリはゴドリックすらとも事を構えることを辞しておらず、ヘラクレスに持ちかける。共闘の誓いを。

 

「解った。いつか必ず共に戦おう」

 

それに対し、ヘラクレスはネフェリに握手を返した。

 

これもまた、マルギットが試練として授けていた民との交流。

 

また一つ、縁がカルデアへと結ばれたのだった。

 

 

『共に、末裔たるものよ。竜の末裔よ…』

 

リッカとルゥは、その存在を捉えた。ストームヴィル城の外部、竜の亡骸に縋るように在るその存在。

 

『その力、きっと我を強きに高めようぞ…』

 

『あれがゴドリック…?なんか…』

 

「歪な体型、だね」

 

そう、豪奢な服装で着飾っている身体はあまりに異形を極めていた。ゴドリックらしき頭部に、トロルの胴体に巨大なゴーレムの腕を付け、その手には斧を持っている。

 

『────褪せ人風情が……』

 

やがて、ゴドリックがリッカとルゥに気づく。人型に戻っていたルゥはともかく、リッカを明確な敵対者と認識したのであろう。

 

『不遜であろう。………地に伏せよ』

 

黄金の斧を雄々しく叩きつけ、その全容を顕とする。

 

『うへぇ……』

 

ルゥが顔をしかめる通り、その身体からは無数の腕が生やされていた。無節操な存在たちと、その歪んだ強さを支えさせるかのように。

 

『我こそは──黄金の君主なるぞ!』

 

リッカらより2倍も大きさの威容を誇るように、ゴドリックはその姿を現したのだ。

 

「接ぎの儀式……とんでもない事になってるね…」

 

本体は矮小な胴体部分であろうことを、リッカは見抜き素早く童子切を抜き放つ。どちらにせよ、戦闘は避けられない。その上で、対話を選ばなくてはならないのだ。

 

「行くよ、ルゥ様!」

 

そして素早く、リッカは遺灰という形でルゥを特殊召喚する。龍体だとゴドリックは慈悲なく原初の塵に還るため、あくまで普段の小さき姿でサポート全般を行うのだ。

 

『小娘共、我らへの下らぬ狼藉など…!』

 

リッカは全てを話しきる前に、ゴドリックの王斧をその身でしっかりと受け止める。

 

そう、受け止められるのだ。斧の巨大な一撃でありながら、確かにリッカへと防がれてしまった。

 

『ぬぅうっ!?』

 

「マルギットさんの打ち込みの方が、きっともっと強い…!」

 

それは確かに強力な一撃だが、膂力に頼り切った稚拙なもの。今までの敵達、並びに先のマルギットを鑑みれば、リッカに受け止めきれない程の一撃には程遠かったのだ。

 

『それ〜!!』

 

ルゥは素早く動き回り、中身の詰まった各種壺やヘイトコントロールに終始する。実際にルゥの動きに、ゴドリックはついてこれていなかった。

 

『馬鹿な…!』

 

「強いパーツをただ付けているだけじゃ、そこに技術は宿らない!」

 

そう、ゴドリックの接ぎはあくまで屈強なる姿を寄せ集めたにすぎない。故に斧は稚拙、回避は鈍重、暴虐はルゥの糞壺を防ぎきれぬほどに弱い。

 

マルギットの言う暴走とはまさにこれであった。強さを外法で手に入れてしまったことにより、とめどない力の欲求を抑えきれなくなっている。

 

ならばこそ、止めねばならない。ゴドリックの黄金たる所以は、別にあるのだと。

 

「だから今───私はあなたを倒す!」

 

斧を弾き返し、その衝撃で態勢が崩れたゴドリックに向けて、リッカが跳躍を行う。

 

「チェエエェエストォォ!!」

 

大上段、ゴドリックの頭上を取り放たれた渾身の一撃は……

 

『ぐあああああぁあぁぁ!?』

 

彼の技術で無力化すらできず、脳天に峰打ちの一撃が直撃。

 

『ば、かな………』

 

そのまま、どっさりと地面に叩き伏せられたのであった…。




ルゥ『大丈夫?死んだ?』

リッカ「峰打ちで気絶を狙ったんだけど…」


ルゥ『近寄って確認して……』

ゴドリック『ああああああああああああ!!!』

瞬間、二人の前に信じられない光景が起こる。

『ぐあああああああああ!!』

なんと、ゴドリックが斧を左手に叩き付けたのだ。それは突然の、狂気の事象。

リッカ「何を…!?」

ゴドリック『ああああああああああああ!!あぁぁっ!!』

そのままゴドリックは、なんと左腕を関節あたりから切断。

『はぁあ……!はぁぁ……!竜の末裔よ…』

ルゥ『まさか…』

『その力を我に……!』

そして横たわっていた竜の死骸を、首に向けて手を突っ込みそれを為す。

ゴドリック『父祖ゴッドフレイよ……!!』

竜の死骸はゴドリックの左腕に接がれ、その事により飛竜のブレスを放つ彼の新たなる力となる。

接ぎ木の果て、彼は父祖たるゴッドフレイに叫ぶ。

『御照覧あれえええぇぇい!!!!!』


血の薄い矮小な生まれを否定するかのように。

それに応えるかのように──

竜の頭部が、天へ向けて火を噴いた。
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