人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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───黄金のゴドリック、屈辱の戦。
ミケラの刃に、散々と敗れ
ひれ伏し、許しを請う。

奴らは、お主たち褪せ人を、おぞましい、接ぎの贄としか考えておらぬ
…ゴドリックなど、君主の名に値せぬ者よ。
王都から女どもに紛れて敗走し、ラダーンに怯えきって城に引き籠り。
マレニアを侮り、敗れ、その足指を舐めて服従を誓う
まったくもって惰弱な、恥ずべき男よ
いかに名家とて、黄金の一族、ゴッドフレイの血は、いかにも薄いと見える
…思えば、憐れな男よ。



マルギット『……………』


黄金の君主

『アハハハハハ!アッハハハハハ!これこそが強さ!これこそが王の故!黄金の君主が求めし強き力の姿よ!!さぁ───』

 

ゴドリックはその狂喜と共に竜の頭をこちらに向ける。接ぎによって示されたその口は大きく開かれ───

 

『燃え尽きるがよい───!!』

 

猛烈な火炎をリッカとルゥにて解き放つ。末裔にて矮小とは言え竜のブレス。その勢いは床を焼き、空気を燃やし、辺りを業火に包む程の威力を放つ。

 

『リッカ、こっち!』

 

ルゥが素早く跳躍し、翼を展開。リッカに手を伸ばすことで退避領域を作る。リッカも即座に意図を把握し、手を掴み範囲より退避する。

 

『無駄な足掻きだ!地に伏せよ!』

 

ゴドリックも即座に対応。右手の斧を振り回し、左手の竜の火と合わせ火炎の嵐を形作る。それらはストームヴィルに伝わる嵐呼びの戦技。

 

「っ…!」

『あつぅい!』

 

リッカを素早く翼で包み火傷を防ぐルゥ。地上に立つとゴドリックは斧を振りかぶる。

 

『我こそは、黄金の君主なるぞ!!』

 

一度、二度、三度と斧を叩きつけ大地を打ち割る。それは衝撃波となってリッカとルゥを何度も苛む事となる。

 

『わぁ〜!』

 

木の葉のように吹き飛ぶルゥ。まるでダメージはないが、勢いに逆らわぬ受け身の要領である。

 

「これが、接ぎの本領。竜すら繋いで得た力…」

 

『そうだ、小娘!!これこそが父祖に捧ぐ姿!これこそが力!王たる故の証!』

 

高々と王斧を掲げ、ゴドリックは謳う。

 

『我は惰弱で脆弱であった!神の末裔の血は薄く、弱く醜い男であった!これしか無かったのだ!接ぎの儀式の他に強く在る道は!』

 

「………」

 

『父祖ゴッドフレイは告げたのだ!力こそ王の故!故に我は至ったのだ!竜すら手にし、強き姿と力を!』

 

それは惰弱なる老醜の男の、どうしようもなき力の渇望と一族への誓願。気に病んでいたのだろう。自らが末裔にてその一族の名を穢している恥部である事を。

 

『御照覧あったか、父祖ゴッドフレイ!これこそが、我の誇る強さなれば……!!』

 

「それは違うよ」

 

目を回すルゥを助け起こし、リッカは静かに立ち上がる。

 

「力は敵を倒すだけの暴を指すんじゃないと私を知ってる。護ること、助けること、思いやることだって紛れもない力だよ」

 

『小娘……!父祖の教えを愚弄するか!』

 

「あなたは弱くなんかない。どのデミゴッドにも出来なかった強さの故を持っている。見落としているだけだよ。そんな外法に染まったせいで」

 

リッカはルゥと共に並び立つ。口の中に生肉団子をルゥは詰め込み、リッカはその身に悪神と邪龍の比類無き鎧を纏う。

 

『今から思い出させる。あなたの力が成し遂げた強さを!』

 

『不遜なる、接ぐ価値もなき娘如きが……!』

 

ゴドリックは激昂し、転げ回るようにリッカに接近し斧を振るう。

 

『人間如き等に侮られる所以は無いわ!!』

 

振り下ろされる斧を──

 

『ふっ!!』

 

鉄山靠の要領で、斧の腹を討ち果たし無理やりパリィの形で吹き飛ばす。

 

『何!?』

『ナインライブズ・アクトワン』

 

そしてリッカはゴドリックを掴み、後方に叩きつける形でそれを為す。

 

『大雪山落としーーーーーーっ!!』

『ぐあああぁあぁあぁあぁあ!?』

 

ナインライブズ、そして地獄の九所封じ。背中を破壊する大雪山落としが、ゴドリックの身体に叩き込まれる。

 

『そのニと三!ルゥちゃん様!』

『おっけー!』

 

ルゥはリッカに倣い、抱きかかえられる。そして部分的に祖龍の身体を解放し、ゴドリックの巨体を振り回し──。

 

『『スピンアームソルトーーーーっ!!』』

『ぐがあぁあぁぁぁ!?』

 

渾身のスピンアームソルトにて腕を破壊する。その一撃にて、接いだ飛竜は即座に息絶える。

 

そしてその攻撃は即座に連撃を受ける。ダブルニークラッシャー、兜割り、ストマッククラッシュ。いずれも、接いだ醜い身体を砕いていくフルコース。

 

『ぐあっ、がぁあぁっ……!』

 

身体中の接ぎは崩れかけていた。苛烈なダメージがそうさせていた。立っている事すら朦朧とするゴドリックに、渾身の一撃を叩き込む。

 

『ナインライブズ・アナザーラストワン!』

 

リッカがルゥの背中におんぶされる形で、祖龍の四肢を展開。ゴドリックの背後から、全身を締め上げる必殺の関節技を披露する。

 

『『超人圧搾機』ーーーーッ!!』』

 

それは全身をくまなく破壊するナインライブズの締めの一つたる技。崩壊寸前の肉体を、決定的な力で締め上げられるゴドリック。

 

『ぐあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ…………!!!』

『うおおおおおおおおおおおお!!!』

 

ゴドリックは渾身の力を込めるも、祖龍の剛力を振り払うことなどできるはずもない。そしてそれは、リッカの技術により食い込んでいく。

 

『こ、これは……!この雄々しき力こそは……!!』

 

身体が八つ裂きになる中、ゴドリックはそれを垣間見る。この力、強さこそは。自らの肉体のみで叩き伏せるその在り方こそは。

 

『ゴッド、フレイたる───王の、故………!!』

 

そして───

 

『ぐわぁあぁあぁあぁあぁあぁあっ!!!』

 

その時は訪れた。接ぎの儀式で形どった肉体がくまなく弾け飛び、リッカとルゥの前に惰弱な枯れ木が如きゴドリックの身体が力なく落ちる。

 

『……なんと、強き娘か…』

 

ゴドリックの言葉は驚愕と、娘にすら負けた自身への自虐。ルゥがおんぶより降り、リッカはゴドリックに歩み寄る。

 

『黄金の麓にも還る事なく、ここで我は果てるのか……』

 

『…………』

 

『……強き娘よ、教えてくれ…我の…』

 

全てを悟ったゴドリックはリッカに問う。

 

『我の、強さとは…如何なるものであるのだ…』

 

それは、彼に在るとされる強さ。リッカはそれに、気付いていた。

 

『あなたは、このリムグレイブを護った。美しい景色を、美しいままに』

 

『!』

 

『デミゴッド達は勝者にはなれずに、世界は荒廃だけが残された。でも、リムグレイブは綺麗なまま』

『黄金の君主として、立派じゃない?領地を護るのも立派な強さじゃないかなぁ』

 

ルゥとリッカの言葉に、ゴドリックは深く息を吐き天を見上げる。

 

『…領主の強さ。守護者の強さ…それが我の力であると…お前達は言うのだな…?』

 

「そういう事。力こそ王の故なんでしょ?」

『だったら引き続き、この領地を護りなよ。それは黄金の君主にしかできないでしょ?』

 

『…………おぉ、父祖よ……赦し給え……』

 

枯れ木のような腕を上げ、彼は祈る。

 

『貴方に強さを捧ぐを止め、真なる領主の道を志さん事を…』

 

そして、やがて憑き物が落ちたかのように彼はリッカ達に向き直る。

 

『娘達よ。見事な戦いであった』

 

『!』

 

『我は接ぎを止め、新たにリムグレイブの黄金の君主たらん。この地を我が力で護らんとしてみせようぞ』

 

ゴドリックは強く頷く。矮小な身体だが、意志は黄金の輝きを放つ。

 

『故にこれは、その誓いにする。受け取るのだ。我が大ルーンを』

 

そして託されしは───ゴドリックの大ルーン。エルデンリングの根幹を為す、要の輪たる偉大なる欠片。

 

『お前達はいつかエルデンリングに見え、王となるを目指すのだろう?であれば、我等はお前達新たなる王に忠誠を誓うであろう…』

 

「いいの?」

 

『敗残には慣れ、生き恥も晒している。ならばせめて…矜持だけは失ってはならぬという事だ……』

 

ゴドリックは納得したかのように、頷く。

 

 

『その大ルーンを持ち、神授塔へと向かうのだ。大ルーンはその力を取り戻すであろう』

 

「わぁ、手に入れただけじゃダメなんだ」

「解った!あなたは…?」

 

『領主として、領地に伝える文を認めねばからん。心配は無用。さぁ、往くのだ』

 

『リッカ、ラスティ達と合流しよう!』

「うん!」

 

リッカは大ルーンを受け取り、ルゥの背中に乗り一同と合流する。

 

『父祖よ………』

 

ゴドリックは再び空を見上げ…

 

『今一度、ご照覧あれい……』

 

重責から解放されたかのように、笑みを浮かべながら父祖に誓うのであった。

 

リムグレイブの再建…

 

黄金の君主たる使命を。

 




リムグレイブの神授塔

リッカ「これで、いいのかな?」

『ゴドリックの大ルーン』

ルゥ『光戻ったよ!やったね!』

レン「流石だね、デミゴッドを下すなんて。こっちもこっちで沢山の物資を手に入れたよ」

マシュ「門番ゴストークさんに騙されたりもしましたが、しっかり反省のシールドバッシュを叩き込んでおきましたので御安心を!」

ヘラクレス「申し訳ない。敵を絶やしていて遅れるなど…君が無事でよかった」

ルゥ『こっちが強すぎたからかもしれないねぇ』

ラスティ『とにかく、全員無事でよかったよ。大ルーンもゲットできたのは本当に流石だ』 
メリナ「………あなた達を円卓に連れて行く。王を補佐する組織、円卓へ」

ギル「ほう。正式な支援組織が在りながら滅ぼしたようだな」

──ここは行くべき箇所に、行ってみましょう!

メリナ「解った。では皆、少しだけ目を閉じて───」

そして一同は導かれる。

英雄の集う、円卓へと。


ゴドリック『……………………』

マルギット『…惰弱なる末裔の割には、よく頑張った』

床で放置されしゴドリックに、マルギットが姿を現す。

『次なる目覚めまで、眠るがいい』

誰にも、死の侮辱をさせぬよう。

マルギットはただ、ゴドリックを護ったわけではなく。

その瀕死に、静かなる暗殺者が彼の尊厳を…

一人、護っていたの。
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