人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ロマニ「いや、ラニ様のお母さん凄いなぁ!?リッカ君やヘラクレスやマシュ達に一歩も退かない魔術師なんて存在したんだね!?」

オルガマリー「これが満月の女王。神話の世界において魔術の覇を築いた女傑の本領…」

ゴルドルフ「いや、でもどこか皆を試しているように見えないかね…?惜しみなく手札をさらしているのはその様に見えるが…」

シオン「ちょっと笑いかけたりもしてましたし、ロマニさん再現こだわりました?」

ロマニ「いや、ボクがやったのはあくまで魔術の再現だよ?人格の動きはノータッチさ」

オルガマリー「………本当に…?」


星々の絢爛

「魔術に限らず、万物において大事なのは見ること、真摯であること、そして良く学ぶ意志を持つことだ。魔術の女王が惜しみなく魔術を見せてくれる今しか、彼女の魔術を受け継ぐチャンスはない」

 

レンはそれが、困難であると承知の上で皆に頼んだ。

 

「彼女の魔術を見て学び、星の魔術の真髄を手繰る。その為に、皆はレナラ氏の魔術を撃たせ、耐えてもらいたいんだ。…頼めるかな?」

 

「勿論!私達も、ラニちゃん様のお母さんに情けないところは見せられないからね!」

 

一同はリッカの言葉に頷いた。力の差などあって当然。人間が容易な道筋を選べた事は一度とてない。神と決別した日から、困難に挑み進化してきたのだから。

 

「霊体は私と、ルゥ氏が引き受けよう。飛竜をお願いします、ルゥ氏」

「任せてぇ。デコイだけがミラルーツじゃないってとこ、見せてあげる!」

 

ヘラクレス、ルゥが霊体を引き付ける役割を担う。ヘラクレスは依然として、女性に武勇は控える故の露払いだ。

 

「では私が、レンさんの盾となり魔術の矢面に立ちます!」

「オレも協力するよ。魔術を退けつつ、義母レナラの魔術を引き出し続けてみせる」

「ありがとう、よろしくお願いするね」

 

レンをラスティ、マシュが護る。レンは魔術を見、閃き、掴むための学びを行うのだ。

 

『ゴッドウィンを思い起こさせる雷の剣聖よ。私がお前を守護しよう』

「ラニ様!」

『カーリアの魔術には、弾くものもある。まぁ信頼しろ』

 

小さいラニ人形が、リッカに寄り添う。ラスティはリッカとアイコンタクトの後、優しく強く頷いた。

 

『…………』

 

レナラは静かに佇み、出方を待っている。その有り様はどこまでも美しい、満月の英雄そのものだ。

 

「よぉし───じゃあ、行くよっ!!」

 

リッカが龍鎧を纏い、ラニを伴い真正面から躍り出る。普段の刀ではない、高町家に伝わる一子相伝の短刀術。

 

「カレイジャスハート!フォローお願い!」

『任せなさい!魔術師の頂点だろうと負けないわ!』

 

同時に、魔法デバイス【カレイジャスハート】を起動。放たれる魔術に完璧に対応を図る構えのまま、高速にて懐を制圧する。

 

『────』

 

回れ、回れ。レナラはカーリアの護身術にてリッカを迎撃する。

 

「おぉおおぉおおぉおおぉおおぉおおぉおっ!!」

 

雷位の瞬速を以てして、なお剣戟を成立させる杖術の絶技。

 

『母よ、思えば…我等は一度も、喧嘩をしたことがなかったな』

 

リッカの攻撃の隙を、ラニは全方位の力場でフォローする。杖の攻撃が、カーリアの返報たる力場の発動で防がれているのだ。

 

『……!』

 

故に、レナラは杖を使えない…その筈だった。

 

「なっ───!」

 

なんとレナラは幻影の杖を五つ増やし、それぞれより輝石の魔術を撃ち放つ触媒と成した。英雄たるもの、たった一人に手一杯になるなどあり得ないとばかりに。

 

「マルチタスクまでこなせるの!?スーパーママンすぎるよいくらなんでも!?」

『凄かろう?我が母ながら…いや、それどころではないな』

 

リッカとラニと剣戟を演じながら、レナラが魔術を惜しみなく放つはレン達に向けて。出し惜しみすることなく、魔術学院それぞれの教室にて最高難易度の魔術を降り注がせる。

 

「来ます!レンさん、お傍から離れないように!」

「うん、頼むね」

 

レンは余さず見透さんとする。その魔術の神秘、真意を。

 

「義母レナラ。ラニを産み落としてくださった貴方に無上の感謝を捧げます」

『───』

 

「故にこそ、彼女の王たるものとして恥じぬ姿を!」

 

ラスティは決意し、左手にレナラと同じ『カーリアの王笏』を握る。そして、宇宙にて悪意ある流星を相手に研鑽を極めた魔術の極意を展開する。

 

「それは──」

 

レンが息を呑む程の掟破りなそれは、左手の王笏の他に四つの魔術杖を浮遊展開する業。ラスティは、レナラの絶技に怒涛の数を以て対抗を成した。

 

かつての魔術学院最高師範アズール、並びにルーサットの魔術杖

。汚れた琥珀が埋め込まれた異端の杖、死王子の杖。そして、彼方の宇宙が埋め込まれし異質の杖。

 

それら全てを使い、レナラという魔術の頂点に抗する。調合されし霊薬を飲み干し、ラスティは一時的に無限の魔力を得る。

 

「行くぞ────!」

 

それにより、ラスティは放つ。かつて狭間の地における永遠の都を滅ぼし尽くした悪意ある隕石群。そして星の源流たる滅びの流星群。そして、レナラも使用した魔力の大彗星。

 

「『彗星アズール』!『滅びの流星』!!『アステール・メテオ』────!!!」

 

異空間より無数の流星群、アステール・メテオが放たれ、辺りを追従する杖達が無数の流星団を放つ。そして左手に握るカーリアの王笏から、魔力の大彗星たる彗星アズールを、レナラに向けて撃ち放った。どれも、比類なき知恵を有する魔術師さか扱えぬ秘術の中の秘術。

 

『リッカ、私に寄れ』

「ほあっ!?」

 

阿吽の呼吸でラニが反応し、リッカ毎魔力にて生成されし暗月…伝説の魔術たる『ラニの暗月』にて、リッカを防護する。

 

『私の王め、大盤振る舞いをする』

 

嬉しげに呟くラニ、そしてリッカは、それを目の当たりにする。

 

「───おぉお………」

 

それは、夜空と満月、水辺の空間にて繰り広げられる星達の煌めき。

 

ラスティが放つ魔術の最奥達をレナラの星達が迎え撃ち、無力化し、そしてまたレナラの満月の魔術達をラスティの無数の魔術が迎え撃つ。

 

星空が目の前に瞬き、落ちてきたかのように眩い光景。狭間の地における魔術師の奥義が辺りを埋め尽くす、驚天動地の星々の瞬きの戦場であった。

 

「おぉおおぉおおぉおおぉおおぉおおぉおっ!!」

『────!』

 

一時的な無限の魔力を得て、強引な魔術の秘奥を使用するラスティ。

難易度に加え、卓越した技量にてその圧倒的な魔術の暴力に完璧に対応してみせるレナラ。

 

───そこには、星見の垣間見た全て。魔術師達が決して到達してない探求の極致があり。

 

「…綺麗……」

 

リッカが思わずそう呟く程の…美しき星と月の、夜空の絢爛があった。

 

『私の王は、私と暗い夜空…お前達のいう宇宙に旅立った際に、あらゆる敵を討ち果たし私と律を守護する王で在り続けてくれた』

 

今この場で、言うべきではないのだが。ラニはそれでも口にした。

 

『──誇らしいよ。私に近しい全ての者達が』

 

自らを取り巻く者達を誇りに思いやる、彼女の人の如き暖かさを持つ心の所感を。

 

そして───それを間近に目の当たりにしたもう一人の存在もまた、それを思う。

 

「……綺麗だなぁ…」

 

マシュの背後にて、見識に徹するレンはその光景に魅せられていた。

 

繚乱する星々。交わる輝き。静謐と絢爛が完全に同居した空間。

 

「ヘラクレス!そっち行ったよ〜!」

「了解だ、ルゥ殿!」

 

人間、龍、半神。それぞれ全く異なる種族達が力を合わせる事で、神が如き英雄に届く戦いが生まれ出ずる。

 

「おぉおおぉおおぉおおぉおおぉおおぉお!!」

 

「ラニ様!私達も星々を引き受けよう!」

『うむ。見識は広げるものだ』

 

ラスティ、リッカ、そして自分を護るマシュ。そしてレナラたる存在も含めた人間の輝き。

 

…人間の、可能性という輝き。それを見て、レンはおぼろげながら悟る。

 

「外様、異物、外客でしかない私がここに来た理由は、間違いない。この輝きを見るためだったんだ」

 

星々の輝き。人々の輝き。

 

人が織りなす、魂の輝き。短いながらも鮮烈な命の輝き。

 

 

これこそが、喪った自身の記憶…そして、望みであると。

 

(支えたい。この輝きを齎す人間達を)

 

今の自身に足りないものを。今の自身が望むものを。

 

そして、壊れてそのままには決しておけない。

 

(レナラ様。どうか力を貸してください)

 

レンは、満月に祈った。

 

(あなたの齎す月明かりで、彼女達の旅路を支えたいんだ)

 

それは、彼女が月に捧げる祈りであり。

 

 

そして…。

 

〜〜

 

…───あなた、星の浪漫を愛しなさい。

 

 

…───遠き星屑に、想いを馳せなさい。

 

…───長い旅であろうとも、月も星も皆の傍にいる。

 

…───忘れないで、葬送の貴女。

 

…──大切な娘達を、お願いね。

 

〜〜

 

「………!」

 

声が聞こえ、レンが顔を上げた先には。

 

 

『───────』

 

静かに佇み…

 

微笑む、レナラの姿があった。




そして、静かにレナラの幻影は月明かりに消えていく。


レナラ『ラニ』

ラニ『…!』

レナラ『──幸せに、ね』

それは、ロマニがラニと共に再現を極めた彼女の故か。

元の大書庫に戻る頃には、レンの手に。

レン「…これは」

最上の智慧にのみ許される…

レナラの得物、カーリアの王笏が…其処に握られていた。

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