人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ロマン「しかし、ラダゴンって人物には謎が多いねぇ…」

ゴルドルフ「愛妻家と思えば家族捨てて再婚するし、かといって未練はタラタラだしなんなのかね!?自分をコントロールできないのかね!?」

シオン「んー、どう思います?ホームズさん」

ホームズ「確かに、ラダゴンという人物の行動には不可解な点が多い。少しロマンチシズムを挟むが、ラダゴンがレナラ女史を愛していたのは確かだ。しかしそれを差し置いてマリカを選び、そしてラダゴンは未練を見せる……」

ムニエル「どうせまた今はその時ではない的な感じなんだろ、名探偵お得意の」

ホームズ「……マリカと、ラダゴン…。後にマレニアとミケラを授かりしこの夫婦。必ず何かがある。この世界における根底の謎たる何かが…」

オルガマリー(ラスティさんは知っているのだろうけれど、私達の導き手に徹してくれているから…話すのは私達が自力で真実に辿り着いたらでしょうね)

レナラ『ラダゴンを、知りたいの?』

ゴルドルフ「おぉう!?」

シオン(通信まで解読したのですか!?)

レナラ『なら、行ってもらいたい場所があるの。皆をそこに転移させるわね』

ロマン「あ、はい!…転移!?」

オルガマリー「…師匠も顔負けの神域すぎるわ…」
メディア『そ、そんな事はなくてよ!?』


結びの教会・司祭ミリエル

「ミリエル、お久し振りね」

 

正気を取り戻したレナラが、『一緒に行ってほしい場所があるの』と皆を転移させた場所。そこはリエーニエ北東付近、手入れがされなく久しい教会たる場所であり、レナラはその存在に声をかけた。

 

『おお、レナラさま…!御心を取り戻しなされたのですね…!なんという、なんという奇跡でしょうか…。おぉ、ラダゴン様…』

 

(((((亀だ……)))))

 

大司祭の帽子を被った、巨大な亀。レナラに撫でられ涙する亀は、その言動から理知的かつ温厚な印象をリッカ達に齎した。

 

「彼はミリエル。この結びの教会の司祭にして、贖罪の奇跡の守り手よ」

 

『これは失礼致しました…。貴方がたがレナラ様の御心を癒してくださったのですね。私はミリエル。皆様の篤き御心に感謝致します…』

 

彼こそが、この結びの教会の司祭。聖なる大亀、ミリエルその人。この教会の一任者であった。

 

「この場所は、レナラさまの思い出の場所なんだね」

 

レンが言葉にし、見渡す。外観は崩れた教会だが、その中心に女神の石像と水場がある清廉なる場所だ。

 

「えぇ。私とラダゴンが婚姻を誓った場所よ。黄金樹と月が、一緒に見えるの」

 

「至聖所とどっこいの神聖な場所だぁ」

 

「ルゥ様は至聖所をご存知だったのですね?」

 

「そうだよ、マシュ。あそこは神が王に招かれる場所であり、神が受肉を果たす場所。運命の王がいないと上手くいかないけどねぇ」

 

『おぉ、神聖なる古竜の人身まで…。大変申し訳ありません、私は足を悪くしており手入れもままならぬままで…』

 

「そこは大丈夫だよ!そしてミリエルさん、私達…ラダゴンの人となりを知りたいんだ!」

 

リッカの言葉に、ミリエルは喜びと共に頷く。

 

『ありがとうございます。では、私が知るラダゴン様の来歴をお伝えいたしましょう──』

 

そうして、ミリエルは語り始めた。レナラの伴侶、ラダゴンの知る限りの来歴を…。

 

 

ラダゴン様は、赤い髪をなびかせた…英雄でございました。

 

 

黄金樹の軍勢を率いてこの地を訪れ、しかし戦いの中でレナラ様と出会い…共に互いを愛し、侵略の戦いを悔い、カーリアの女王たる彼女の伴侶となりました。

 

しかし、最初のエルデの王、ゴッドフレイが狭間を追放されたとき…

 

彼はレナラ様を捨て、黄金樹の王都に戻り、女王マリカの王配、二番目の夫となり、二人目の、エルデの王となったのです。

 

未だ、誰もが答えを導けずにいるのです。

 

ラダゴン様が、なぜレナラ様を捨てたのか。

 

いえ、そもそも一介の英雄にすぎなかった彼がなぜ、エルデの王として選ばれたのか。

 

…ただ、ラダゴン様には…、秘密があったと聞いたことがあります。

黄金樹の王都の、ある高名な彫刻家が、ラダゴン様の大彫像を作るために召し出され、…秘密を垣間見たのだそうです

そして、大彫像にその秘密を隠したのだと。

 

 

そして、ラダゴン様の逸話は更にもう一つ。

 

かつてラダゴン様は、星の雫で自らを清め、侵略の戦いを悔い、レナラ様への愛を誓いました。

 

黄金樹の律と月の運命が結ばれたとき、争いの傷は、すべて清算されたのです。

 

それ以来、その奇跡はこの場所に宿っています。

 

御仁らが、ラダゴン様と同じようになされるのなら…

 

傷つき、壊れた人間関係は、あるべき穏やかな姿へと帰るでしょう。

 

 

『………………………』

(ラニはラダゴンの話をするとムスッとする…無理もない話だけれど…)

 

「支離滅裂だな。一大ラブロマンスを演じながら、レナラ女史を捨て王都に戻るとは」

 

ヘラクレスの言葉は、おおよその総意であった。侵略を悔い、償いを行い、互いを愛し、そして最後にレナラを捨てた。それは、不可解の極みの行いだ。

 

「王都にラダゴンの秘密があるのなら、解明した方がいいかもね。レナラ様のラダゴンへの想いを察するに、大切な事だ」

 

「……えぇ。もし良かったら、調べてほしいわ。ラダゴンに、どんな秘密があったのか…想いよりも強い、何があったというのか…私も、知りたいと思うの」

 

レナラは立ち直ったが、傷は浅くはない。沈痛なる面持ちで、ミリエルを優しく撫でる。

 

『…おぉ…!?そちらの褪せ人の御方の傍らの人形は、ラニ様ではありませぬか…!』

 

ミリエルが驚愕し、ラスティとラニに首を伸ばす。ラニは僅かに身じろぐが、バツの悪そうに頷く。

 

『…久しいな、ミリエル。息災そうでなによりだ』

 

『おぉ…!ではこちらがラニ様の王…!伴侶たる御方でしたか…!』

 

ミリエルは深々と、ラスティに頭を下げ礼を尽くす。

 

『褪せ人様、本当にありがとうございます。ラニ様は孤高と誇りを纏う女傑たらん振る舞いを行う乙女でありました』

 

『おい』

 

『彼女の暗き孤独な道…少女の御心にはあまりにも過酷。あなたという王を得た事はなんたる幸福でありましょうか…』

 

『もうよい、ミリエル。もうよいぞ、ミリエル』

 

『褪せ人様。そして皆様、どうか、どうかこれだけはお伝えさせてくださいませ』

 

 

レナラ様は、カーリア王家の女王。そしてレアルカリアの学院の統治者。

美しくも偉大なる、満月の魔術師です。

 

しかし、夫たるラダゴン様に捨てられた後に心を失くしてしまわれ、

学院が王家に反旗を翻したとき、その大書庫の虜囚となっておりました。

 

レナラ様は、ラダゴン様の贈られた琥珀のタマゴに縋り

許されぬ術に耽っておりました。

…おぞましい、産まれ直しの秘術に。

 

英雄ですら、女王ですらこうなのです。

 

…どうか、覚えておいてくだされ。

 

結びは、それが反故にされたとき、より惨たらしく壊れるのです。

 

英雄であろうと、神であろうと、人であろうと。

 

どうか結びを、絆を、想いを大切になさり、裏切る事のないように。

 

どうか、大切な隣人こそ宝であるということを忘れないでくだされ。

 

異なる想いが結ばれる。

 

それに勝る奇跡は、この世に無いのだと…。

 

 

『しかしラニ様、かなり縮まりましたかな?昔のラニ様は赤き髪にレナラ様譲りの大きな御身体で…』

 

『もうよい、あぁ、もうよい。よせ、ミリエル。よすのだ、やめろ』

 

質問攻めに会うラニを微笑ましく見守りながら、リッカが手を挙げる。

 

「皆!私はそんな縁ある地がこんな寂れたままとは許されざると思います!!皆で補修をしたいと思うんですがどうでしょうか!」

 

『まぁ…!』

 

「異論はない。ヘラクレス的にもそういうピュアな逸話は大切にしたい。アマゾネス的トラウマからもミリエル氏の言葉には一理しかない」

 

「私は人間のそういうロマンスやセンチメンタリズムが大好きなんだぁ。なんでもやるよぉ!」

 

「うん。ラニやラスティが改めて奇跡を再現してみるのはどうかな」

 

「あぁ、ラニに誓わなくちゃならないことは…フィアにハグされたりフローサクスに我が王って呼ばれたりラーヤから私の英雄って呼ばれたりミリセントやラティナと一緒に戦ったりローデリカと調霊したりハイータから狂い火の聖印を貰ったりした事かな…」

 

『王の旅路に必要な事だったのだろう?私は気にしていないぞ私の王(ラニィィィィィ………)

 

(気にしてる!凄い気にしてる!)

 

「ハグしたのかフィア…。私以外の英雄と…」

(ヘラクレスがちょっとショック受けてる!)

 

『狂い火に近付くのは止めてほしい』

 

「うわぁ!?」

 

その時、黄金の帆船ヴィマーナが天空より降り来たる。メリナがふわりと現れ、同時にギルガメッシュも堂々と下船する。

 

「マリカの足跡を追ってみれば、愉快な再会だな?話は聞いている、即ち改築であろう?我等改築王出張キャンペーンに任せておくがいい!」

 

──はい!教会のノウハウはマリカ教会にて把握していますから!

 

『あなた、狂い火を受領した経験が?運命の死をご所望かしら』

『私の王に近寄るな種火の少女。私の王だぞ』

 

『狂い火の王ではない。ならセーフ。命拾いしたわね』

 

「ヒェエ…」

 

『リッカ、だったわね』

「はい!」

『ありがとう。あなたは、とってもいい子ね…』

 

「おぉお…………」

 

シンプルな巨体に圧倒されるリッカ。改築作業は皆で行われた。

 

『皆様、本当にありがとうございます…』

 

結びの教会はかつての姿を…

 

いや、それ以上の姿を取り戻したという。

 




結びの大教会

レナラ『ラスティ、ラニ。では、二人を清めるわね』

ラスティ「女性遍歴が増えてしまい申し訳ありませんでした…」

ラニ『よい。隠すことなく伝えた誠実さにて赦すよ、私の王』

レナラ『はい、ではラニも』

ラニ『………ぶ』

ラスティ「ぶ?」

ラニ『ぶ…無愛想で、すまぬな。お前の伴侶として、もっとお前に想いを伝えるべきであるのに。人形故に、お前の子供も…』

ラスティ「いいんだ」
ラニ『!』

ラスティ「いいんだよ、ラニ」
ラニ『……………うん』

レナラ『ふふ、では、星の雫にて…』

ウヘー←清められる音

リッカ「ホシノだけに…」

ヘラクレス「よっしゃ、私もいっちょ浄めるかぁ」

星の雫×10

ヘラクレス「!?」

ギルガメッシュ「我に許しを請う罪などないわ、ふははは!」

──セイバーさんへのラブコール分星の雫を集めるべきです。

レン「………私も」
ルゥ「レン?」

レン「遠い過去に、蔑ろにした誰かがいた気がするから」

マシュ「先輩!この後輩マシュ、先輩のお役に立ちすぎてごめんなさいをしようと思います!」

リッカ「あっ、裁縫道具だ!黄金!?」
レナラ『ラダゴンの婿入り道具よ。ふふ、ラダーンやライカードの服や鎧を作ったのよ、彼は』

マシュ「先輩!?」


ミリエル『あぁ……』

…私は信じているのです。

この地に宿る奇跡が、またいつか、世界を結ぶのだと。
そしてそれは、今度こそ、決して反故にはされぬのだと。

皆様。ラスティ様。もしエルデの王にならんとするなら…


そういう王に、なって下されよ…。


──こうして。

狭間の地に一つ、蘇った奇跡があった。

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