人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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(明日にかけて感想返信いたします)
レナラ『そういえば、あなたたち…全ての大ルーンを、集めているのね』

リッカ「はい!世界を完全に修復するために、全ての大ルーンが必要との事なので」

レナラ『そうなのね…。では、リエーニエのこの場所に行ってみるといいわ』

レン「南西部分…。レナラさま、ここには何が?」

レナラ『ここにはね、しろがね村という村があるの。永遠の都、その白銀の雫から生命を受けたとされる黄金でない生命。その人々が、身を寄せ合って生きている村。そこにはアルバスという長老がいるの。その彼が、持っているのよ。デミゴッド、ミケラとマレニアのいる地に向かう為の『秘割符』を』

ヘラクレス「なんと。レナラ様は本当に博識なる御方」

レナラ『あなたたちなら、きっと頼んでみれば譲ってくれるわ。

必ず必要になるものだもの、行ってらっしゃい』

ルゥ「じゃあ私に乗って、ひとっ飛びしよー!」

レナラ『……ラニ、ラスティ。気を付けて』

ラニ『ああ、解っているとも』
ラスティ「おそらく、しろがね村は…」


しろがね村

「こ、これは……」

 

しろがね村。レナラより教えられ、崖の下の日の当たらぬ場所にひっそりと設立された地理の村に辿り着いたマシュは声を上げることとなる。

 

殺されていた。脚が短い、或いは消え去りなくなっている異形の種族が無差別に、無作為に殺戮されており、村という集落は一目で陥落、壊滅していることが一目で明らかとなっていた。

 

 

「……しろがね族は、有り体に言えば黄金樹以外をルーツとしていた人造人間であり、それ故に黄金樹に祝福されぬ命という見方がある。それ故に、褪せ人の次くらいの被差別対象なんだ」

 

ラスティが付け加えた通り、そこに尊厳などはない虐殺の後はまさにそれが事実であることを示唆していた。

 

『この蛮行、どうやら同じ秘割符目当ての俗物が差し向けた刺客たちだろう。アルバス老が無事であればよいのだが』

 

「探そう。そして、この虐殺を止めよう」

 

リッカの方針に、一同は強く頷く。そして、壊滅した村へと足を踏み入れる事となる──。

 

 

「…あぁ、君。また会えたね」

 

祝福の輝きに導かれ、進んだ先には二人の影がある。一人は、針の騎士レダ。そして一人は、項垂れている戦士ネフェリ・ルーであった。レダはリッカを認め、静かに声を掛ける。

 

「レダさん!どうしてここに…」

 

「あぁ、この地に伝わるとあるものを君に託そうと思い、足を踏み入れたんだ。…まさかこんな有り様となっているとは思いもしなかったが」

 

レダもまた、この虐殺を見て驚いたという。この、凄惨極まる蹂躙を。

 

「ネフェリ、お前もまたこの虐殺を止めようと?」

 

ヘラクレスは、項垂れているネフェリに声を掛ける。彼女は、弱々しく頷いた。

 

「……弱いものを、強きものが虐げて踏みにじる。かつて私は、この光景を見知ったことがある。私の故郷も、このような末路を受けたのだ」

 

「…………」

 

ラスティがその言葉に、強く歯噛みする。ネフェリは、立ち上がった。

 

「私はもうあの日の弱い私ではない…。せめて、この蛮行の報いを受けさせてやろう。戦士として、それがせめてもの…」

「私もネフェリ殿に助力する。……リッカ、良ければ君の力も、貸してはもらえないか」

 

レダは、リッカに手を差し出した。

 

「君は、きっとこんな蛮行を許すような輩ではない。私達と共に、弱きを護る戦いを行える筈だ。どうだろうか?」

 

リッカは無言で、しかし力強くその手を握り返した。

 

「勿論。私は、私達はこんな真似を絶対に許しはしないよ」

 

「あぁ。それでこそだ。……私達は元凶に向かう。君達は、アルバス老を探してくれ。彼が無事ならば持っているはずだ。ミケラ様が宿らんとしている『聖樹』。そこに至る為の秘割符を…」

 

 

「ひいっ!ひいい…やめてくれ…、やめてくれっ……」

 

村の奥へ進んだ中腹地点。壺に擬態していたその存在を暴くと、その者は怯えを露わに許しを請うた。

 

「儂は何も知らぬ…何も、隠してはおらぬっ…。だから、お願いじゃ。やめてくれっ…」

 

脚が完全に退化した、白い肌の老人。その震える存在こそが、レナラの言っていたアルバス老であった。

 

「大丈夫です。私達は虐殺をやった連中とは無関係です。仲間じゃありません」

 

リッカが目線を合わせ、労るように声を掛ける。アルバスは、会話を試みる理性のリッカを信頼した。

 

「…あぁ、良かった…。わしはアルバス。見ての通り、しろがね人じゃ」

 

「しろがね人というだけで、こんな仕打ちを受けたのですか…?」

 

マシュの言葉に、アルバスは俯く。

 

「わしらは、祝福されぬ生命というのが認識なのじゃ。だから、これらの扱いは珍しくもなんでもない。しろがね人に付きまとう、宿痾のようなもんじゃて」

 

「差別意識。壊れた世界にも、神話の世界にもあるんだね」

 

レンの言葉には静かに、かつ確かに宿る怒りがあった。

 

「わしらは、この村はおしまいじゃ…。なぁ、あんたら。どうかこの秘割符を持っていってくれ」

 

アルバスはリッカに、それを手渡す。それは片割れとなる、二枚一対の秘割符。

 

「そしてもし、ラティナというしろがね人の娘に出会えたら…それを渡して欲しいのじゃよ」

 

「解りました。でも、これはまだ受け取れません」

 

リッカは静かに、アルバスにそう告げ立ち上がった。

 

「終わってしまった村なのだとしても、こんな事をした奴等に残さず報いを与えなくちゃならないから」

 

「おぉ、あ、あんた…」

 

「待っていてください。下劣な侵略者達の首…残らず取ってきますから」

 

リッカ達は頷き、駆け出した。

 

せめて村を、良く弔うために。

 

 

リッカ達は駆け抜けた。村々に点在する、何者かによる兵達を討ち果たしながら。

 

「下劣な輩に情けはかけん」

 

「生命皆平等なんだよ、ばかぁ!」

 

ヘラクレス、ルゥが猛り、力を上回る圧倒的な力で暴虐を制する。善なるものが力を振るえば、それは真理の律となるが故の善政。

 

「こっちだ、皆!忌み潰しはあちらにいる!」

 

ラスティはかつて訪れた土地勘を活かし、元凶までの道を作る。当然、このような兵に負けるなどあり得ぬ強さの下に。

 

(このサーコートの意匠、調べれば誰の私兵か掴めるはずだ)

 

レンは兵の素性を漁り、情報を集める。それが、誰の手によるものなのかを解明することを決めたが故に。

 

そして、虐殺のリーダー…いやらしい笑みを浮かべた仮面を被り、大きく叩き潰す包丁を二本持つ忌み潰し。そしてそれと戦う戦士ネフェリ、騎士レダに辿り着く。

 

「来たか!リッカ!」

「こいつを倒すぞ…!」

 

『忌み潰しは、薬で心を壊しこの悪夢のような任務に就いている。会話で止まるような存在ではない。容赦なく殺せ』

 

ラニの言葉に頷き、静かにリッカは歩み寄る。一言も無く、ゆっくりと左手の龍哮を引き抜いて。

 

【グオオオオオオオオ!!】

 

リッカを認めた忌み潰しが、その両手の包丁を振りかざす。無数の忌角が並べられた、おぞましい得物の一撃。

 

「君!気を付けるんだ、当たればただでは──」

 

レダの忠告。だがそれよりも先にリッカは動いていた。

 

【グオ─────】

 

忌み潰しの両腕が、斬り飛ばされる。龍鎧を纏っていたリッカが、紅黒い一閃によりカウンターを以て対処したためだ。

 

【どんな理由があれ、虐げていい命なんてあるはずが無い】

 

跪いた忌み潰しに向けて、右腕を振り上げるリッカ。

 

【それが許されると言うのなら】

 

そしてそれを一息に、忌み潰しの臓腑に向けて深々と突き刺す。

 

【間違っているのは世界の方だ】

 

そのまま腕を引き抜き、致命の一撃として討ち果たす。暴虐の報いとして内臓を撒き散らしながら、忌み潰しは絶命することとなった。

 

「……見えなかった。なんという力と技…アスラの如き威容だ…」

 

ネフェリは感嘆し、そして、供養の準備によろよろと歩き出す。

 

「やはり、君は私の見込んだ通りの存在だったよ」

 

レダはリッカに歩み寄り、肩に手を置く。

 

「弱きを助け、力を正しく振るう。確信した。君は…ミケラ様に、導かれている」

 

【ミケラ様…】

 

「ミケラ様は、弱きものと名もなきものを救わんとする御方だ。どうか君に、ミケラ様と出会ってほしいと思う。聖樹の先にて」

 

レダは頷き、そして歩み出す。

 

「その力に、その歩みの果てに、優しい世界がもたされることを願っている。……また会おう、リッカ」

 

【……うん】

 

リッカはレダに頷き、そして陰惨な現場を見やる。

 

「…ラスティさん。これは狭間の地で、当たり前の光景なの?」

「…残念ながらね。力こそ王の故。弱きものに、光や救いはないのが現状なんだ」

 

ラスティの言葉に、強くリッカは空を見上げる。

 

「変えよう。私達が、誰より強くエルデンリングを掲げる事で」

 

かつて、謂れなきこの世全ての悪を受けたリッカは強く誓った。

「…あぁ!」

 

この、壊れた世界を直すことを。

 

完全無欠の世界を、作ることを。

 

 




しろがね村

アルバス「ありがとうよ、あんたたち。しろがね人のわしらにこんなに良くしてくれて…」

リッカ「私達は、おんなじ命じゃないですか」

アルバス「…あぁ、なんという事だ。この世界に、そんな事をわしらに言ってくれる者がいようとは」

アルバスはリッカの肩を抱く。

アルバス「お前さんら。どうかその気持ちを忘れんでおくれ。もし、あんたらが王を目指しているのなら、片隅にとどめておくだけでいい」

リッカ「!」

アルバス「わしらのような、弱きものに…ほんの少しだけでも、優しい世界を作っておくれ。…ありがとうよ、可愛らしい娘さんや……」

……アルバスは消え去った。命を終え、しかし最後は安らかに。

リッカ「………ラティナさんを、探さなきゃ」

リッカに、聖樹の秘割符を託し。

一同は、ラティナを探ししろがね村を後にした。
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