人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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レアルカリア

レン「リッカ、お願いだ。君や皆の力を貸してほしい。この魔術理論をなんとしても形にしたいんだ」

リッカ「レン…!」

レン「この理論は、必ず王となるための旅路の力になってくれる。私はこれを、絶対に成し遂げさせたいんだ。その為に、皆の力が必要なんだ。だからどうか…お願いだよ…!」

リッカ「……ふふっ、レンはクールなイメージだったけど、そういう表情も素敵だね」

レン「ぁ…そ、そうかな?」

リッカ「安心して!私は全ての頑張る人の味方だから!カルデアの皆にも伝えて、理論を形にしてみせよう!」

レン「…!」

リッカ「仲間であり、友達だもんね!私達!」

レン「…うん、そうだね。私達は、友達だ…!」


新たなる教室

「ま、魔術や祈祷を全て弾く力場の理論の普及化だって────!?」

 

ロマンも仰天したこの理論の発展と解明は、レアルカリアとカルデアの合同で猛烈な速度にて開発が進められる事となった。

 

「魔術師同士の戦いの禁忌にならないかしらこれ?こんなの仕込まれていたらキャスター側から灰皿飛んでくるわよ!?」

「まずは高出力、広範囲、個人使用の三本に絞り発展させてみよう!もしかしたら時計塔も怖くなくなるかもだ!」

 

「ボク達が見つけられて良かった!ソロモンメタをこちらが特許してやるぞぅ!」

 

(師匠たちが生き生きしているわね…)

 

カルデアは全面的にバックアップを行い、理論体系の飛躍と洗練を担う。神代魔術師達が、魔術案を構築しダ・ヴィンチがそれを形にし、ロマニが筋道を立て編纂する。

 

「リッカ、ヘラクレス、マシュ。戦士からして力場の発生するタイミングや使用用途はどんな場合がいいかな?」

 

「そうだな。私は突撃し圧殺することが多いので、ドーム状に力場を発生させられたのなら攻防一体を体現できて助かる。そう、ヘラクレス・ディストーション・フィールド的な感じで」

 

「魔術攻撃をパリィ出来る左手にしてみたいなー!見切って弾いて切り捨てたり、弓矢の魔力をパリィで稼げたりしたら面白そう!」

 

「ラウンドシールドに反射状態が付与できたなら、防げる攻撃はたくさん増えるはずです!エンチャントミラーです!」

 

リッカ達から、戦士としての観点の理論構築や仮想敵の対策、使用用途の提案を聞き及び、レンが魔術のカタチを考案する。

 

 

「ぐうぅうぅっ…………!!」

 

『無理をするな。我が母の魔術は並大抵ではない』

「ラニのあなた、無茶は駄目よ…」

 

「いいえ、これも仲間の為…王を目指す旅の助けとなるため!次なる攻撃、お願いします!」

 

『じゃあ次は私だねぇ。えーい!ミラルーツ雷単発ブレス〜!』

 

「ぐわああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

そして出来上がった技術や魔術の雛形を、ラスティがレナラやルゥと共に死ぬ思いで形とする。レナラの魔術の数々を完璧に弾けるようになるまで、ルゥの龍体のブレスを弾けるようになるまで、何度でも、何度でも、何度でも。

 

「まだまだ……!!祝福ある限りオレは折れることはない!」

 

仲間達との王を目指す旅に燃えているラスティは、瀕死ないし当たりどころが悪く死んだ際にも即座に蘇り、特訓に舞い戻る。褪せ人は祝福ある限り不死なため、このように最高峰の祈祷と最高峰の魔術を相手に理論から生まれた技術を凄まじい勢いで開発、洗練させていった。

 

『だが、やはり無理はするな。私の王。これは、お前の伴侶の嘆願だぞ』

「ラニ…。うん。死ぬギリギリに留めるよ!」

 

「この発見は間違いなく新たなる教室に値する。トープスの教室の学徒の為の杖を作ろう。凡才や、鈍石をこそ活かせる杖を」

 

レンはその理論を活かせる為の杖作りに着手し、魔術全体の普及化を担う。彼女は、トープスの魔術理論がレアルカリアの歴史に名を残す事を確信していた。

 

誰にも解らなかった、思い至らなかった事を成し遂げる。そのために必要なのは技術ではなく、その道を信じ歩むこと。レンはより沢山の人が魔術理論の研鑽に触れるべきと考えたのだ。

 

『杖自体に、魔術を記憶させて術を発動させるのはどうかしら』

 

「メモリーストーンを魔術輝石の代わりに…流石です、レナラ様」

 

レナラの助言も受けながら、レンはその理論に寄り添う杖を開発する。予め術が埋め込まれた、魔術師の開花を導く杖を。

 

「生きた証を、徒労なんかでは終わらせない。必ず、トープスの探求を形にしてみせると約束したんだ。それに…」

 

人が思い描いた前人未到の領域が、どういった世界を生むのか。レンはそれに想いを馳せていたのだ。

 

「私は見たい。人の目指した極地というものを」

 

レンは真摯にその作業に打ち込み、共同理論開発は一週間を以て完了することとなる。

 

 

「出来たよ、皆!一人一人に魔術を渡すよ。トープスの魔術理論は花開いたんだ!」

 

興奮したレンが、一人一人に完成した魔術を配る。それはレンやレナラ、ラスティが構築された理論の下、洗練に洗練を重ね生み出した魔術たち。

 

「ヘラクレスには『魔斥力の力場』を。これは君の周囲を魔術と祈祷を弾く質量のある力場が包むものだ。弾く他に、物理的なバリア・フィールドの役割も担えるよ」

 

「なるほど、つまり展開して突撃すれば…」

 

「フィールドを纏った大英雄の大突進に堪えきれる生き物なんて、存在しないだろうね」

 

魔術、祈祷を完全に弾く質量を持った球体が、こちらにジェット機並の速さでぶつかってくる。ヘラクレスに渡された魔術理論は、そういう類の魔術であった。

 

「リッカには、運命力と神々の力…御祓の力による清めと弾く理論を掛け合わせた『御祓の力場』を。これは八百万の神々と絆を結んだリッカならではのコンセプトにしてみたよ」

 

伊邪那美の槍にエンチャントし、呪いや呪詛、ひいては土地の穢れを清め、弾き飛ばす魔術をレンは組み上げた。

 

「この地には外なる神々の干渉…狂い火や、腐敗といった恐ろしい病のようなものがある。それを君が宿す中で最高峰の格を持つ『伊邪那美命』の力と合わせ、外なる神々の力を弾き飛ばしてしまうんだ。槍の力を合わせれば、土地の浄化だってあっという間さ」

 

「こうしてみるとイザナミおばあちゃんがドン引きするほどのチートすぎるなぁ…!」

 

つまりトープスの理論は、リッカに神々の業すら退ける力を授けたのだ。鈍石と罵るは、本質を捉えられぬ愚か者という他ない成果であろう。

 

『それは、私がラスティと編み出したの』

 

「レナラ様…!」

 

『…助けてあげて。ケイリッドと、私の大きな息子…ラダーンを』

 

 

レナラの想いとともに受け取ったそれを、リッカは強く強く頷き受け止めた。

 

「ラスティ。君に託す魔術は『魔を敷く法』だよ。これはロマニがアダム先生やエミヤ氏の『固有結界』を参考にした、世界の法則に干渉し、塗り替える魔術として編み出した。……一番大変だったけどね」

 

使用者の魔力を削り続け、世界を塗り替え書き換える魔術。そこでは魔術、祈祷、それら全てがラスティの一存で干渉、打ち消され無力化されるといった世界を展開する魔術を統べる法を展開するもの。

 

ラスティはあらゆる全てを窮め尽くしている。故にその魔術の範囲内の中で、ラスティは全ての魔術と祈祷を統べる王となる。王が敷く魔術の法。それはまさに『魔法』の領域。ラスティのみが扱えるであろう、叡智の極限であった。

 

『念願のオリジナル魔術だな、私の王』

「ありがとう…!レン、君自身にも個人的な礼を!」

 

「私に?」

「オレは別世界で、あの人の理論を受け取ったに過ぎなかった。こんなふうに発展や改良はできなかったんだ。それを、君は果たしてくれた。本当に…ありがとう!」

 

「…大げさだなぁ。凄いのは、トープスや皆だよ(ひょこひょこひょこひょこ)」

 

『耳がひょこひょこしているな』

(凄く嬉しいんだなぁ)

 

同時に彼にはリッカ発案の弾く左腕を再現し、彼は──かつての戦いにて垣間見た──左腕のパリィを実現させた。

 

 

「はい、ルゥには魔術杖。才能がない子でも魔術の楽しさや面白さを感じてもらえるような杖だよ」

『わぁ〜!嬉しいなぁ、これで私も魔術師だ〜!』

 

ぶっかぶかのローブを纏い、杖をかざすちんまりとした祖龍。侮ることなかれ、これはルゥ自身の絶対者としてからくる万能さを助けることとなる。

 

『回復でしょ、バフでしょ、それからそれから星明かりにエンチャントでしょ…』

(ルゥ…覚えられない魔術や祈祷が存在しないなんて…)

 

彼女は見る。源流すら並ぶ魔術の粋達を。

彼女は祖龍たる存在。普段は迂闊な愛嬌の存在だが…

 

比類無き命という点では、彼女自身に並ぶものなどあり得なかった。

 

…こうして、トープスの理論は短期間で極限まで研ぎ澄まされ様々な成果を残した。

 

「ありがとう、ありがとう。お前さん、本当にありがとう…」

「また泣いてる」

 

感銘のままに手を握り泣くトープスに、レンは苦笑しながら応えたという。

 

……そして、その功績を認めたレナラの手により、

 

トープスの魔術を学ぶ『教室』が設立されることとなった。




レン「やったね、トープス。これでもう鈍石だなんて言われないよ」

(これで少しは、人の役に立つことが出来たかな)

トープス「おーい!お前さん!可憐な亜人のお前さん!」

レン「トープス、おめでとう。これで立派な教室持ちの教師だね」

トープス「あぁ、その事なんだがね。これを見ておくれ」

『亜人魔術師の輝石頭』

レン「これは…私の顔?」

「そうなんだ。実はレナラ様にお願いして、教室のシンボルはお前さんにしてもらったんだよ。禿頭の輝石頭なんて、被る学徒が可哀想だからね」

レン「でも、それじゃ本当にトープスの功績が…」

トープス「いいんだ。私一人では初歩の初歩がせいぜいだったものを、お前さんと仲間達が極めてくれた。それだけで私は、満たされたんだよ」

レン「トープス…」

トープス「私はお前さんの教室で教鞭をとる教師でいい。この魔術は、お前さんのものにしておくれ。それが、私の望みなんだ」

レン「……解ったよ。実は私も、『魔を敷く法』は使えるからね。これを私の、切り札の一つにする」

トープス「───『魔法』」

レン「?」

トープス「その魔術だけは、極みの中の極み。君やあの凛々しい褪せ人が使うものは、魔術を統べる魔術…。故に、魔法とも呼べないかね?」

レン「魔法…」

トープス「故に君は、魔術師ではなく、『魔法使い』だろう。麗しき亜人の魔法使いや。君は私の、まばゆい導きであったよ…」

レン「…こちらこそ。素晴らしい魔法を、貰ったよ」

トープス「あぁ、そうだ。教室の名前なんだが、実はレンという魔術師は既にいてね。レナラ様に別の名前を賜ったんだ。もしよかったら、名前はこれにしないかい?流れ星のように自由で、一番星のように煌めく自在の君にレナラ様が付けた名前は…」

レン「──────うん。なんだろうね。物凄く…その名前は気に入ったよ」

…こうして、『力場魔術』の教室は発足した。

その新たなる教室は、こう呼ばれるだろう。

『フリーレンの教室』と。
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