人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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魔女の夜会さんが、新魔術のテキストを考えてくださいました!

魔斥力の力場
魔術学院レアルカリアの新しき魔術の一つ

術者を中心に質量ある力場を展開し
展開された魔術や祈祷を弾く
足を止めずに連続で使用することが出来る

学院で最も新しき、力場魔術を扱うフリーレンの教室の魔術
遥かな星の奔流さえも、己の力で遮らんとする魔力の天蓋
無謀と笑うは容易いが、成し遂げるものにとっては最強の魔力防護となるだろう


御祓の力場
魔術学院レアルカリアの新しき魔術の一つ
狭間の地ならざる律が組み込まれているため、使用は困難を極める
その源流は、一説には葦の地にあるとされる

使用により毒、朱い腐敗、睡眠、発狂の蓄積を軽減し
また、それぞれの状態を癒す
それ自体が浄化の力を持つ器を通じれば、土地の穢れをも癒すことが出来る

万の禍事、罪穢の全てを祓う、神の息吹よ
苛む宿痾の禍源を、どうか浄め、鎮めたまえ


魔を敷く法
あらゆる魔術と祈祷を我が物とせんとする王の魔術。
フリーレンの教室に伝わる新しき「伝説の魔術」の一つ。

術者の魔力を用い力場として放出、一時的に世界法則を塗り替える。
範囲内の魔術と祈祷に干渉し、消し去ることができる
魔力が尽きぬ限り、動きながら連続展開することが出来る

律の力による修正を受けるため、界の維持には尋常ならざる負荷がかかる
それでもなお、世界を統べんとする者のみが至ることを許される

全ての星も祈りも、我が手の内に
集え、律を統べる王の法下へ

絶対王政は、此処より始まる

亜人魔術師の輝石頭
魔術学院レアルカリアにおいて
探求を認められた学徒が被る輝石頭のひとつ
教室の長の師にして無二の友を象ったとされる

ルーンの減少と引き換えに、知力を高める

最新の教室たるフリーレンの教室は
星々が輝く空間、そこにかかる力場を探求する
また、才乏しき魔術師の開花を導かんとする異端である

どのようなものであれ凡才、鈍石とは扱わぬ
必要なのは技術ではなく、その道を信じ歩むことだ


本当に、ありがとうございました!


誇りの在処

「そうなんだ……。ネフェリさんに、そんな事が…」

 

魔術学院のテラスにて、ヘラクレスに呼び出されたリッカはネフェリの現状と、顛末を聞き及んだ。それは、義父ギデオンに捨てられて消沈しているということ。そして、アンスバッハより二つのものを受け取っているということだ。ヘラクレスはそれを、リッカに手渡す。

 

「これは、遺灰らしい。誰の召喚にも応じないものらしいが…」

 

「…鷹?なんだね。なんとなく解る」

 

「うむ。そしてこれは、傀儡の製薬だそうだ。飲んだものを傀儡に変える薬であるらしい」

 

リッカに渡した後、ヘラクレスは静かに口を開く。

 

「導きであり、父であった者に捨てられた哀しみを、果たして外野がどう向き合うべきか。心を捨て、傀儡にしてしまえば哀しみや迷いは消え去るだろう。だが、それは『迷わなくなった』にすぎん」

 

「うん。心を奪って人形に、傀儡にした事を迷いを越えただなんて言えるはずが無い。苦しくても、恐ろしくても。あらゆる想いを生み出す心を捨てちゃいけないんだから」

 

リッカの答えに、ヘラクレスは満足げに頷く。

 

「我がマスターにして弟子たるお前ならば、そう言うと心の内では信じていた。ではこの薬は…」

 

 

「待って待って!その薬、もしかしたら使い道があるかもってラスティが言ってたんだ!」

 

リッカの制止に、ヘラクレスはやや訝しげな疑問を浮かべる。

 

「あの御仁が?少し意外だな、彼は傀儡など必要とするような性根では無いと見受けているが」

 

「なんでも『他人の尊厳を踏み躙る輩を穢し、絶望させる為のものだよ』って真顔で言ってた…」

 

「…具体的な対象を見つけているようだな。よし、彼の王を信じてみよう」

 

リッカに製薬を託し、再びヘラクレスはふと考え込む。

 

「しかし、その遺灰はネフェリに渡すものなのだろうか。ストームヴィル城の古き王という話であったが…」

 

「鷹だったんだね、王様。色んな存在が王様だった時代があったんだ」

 

そんな会話を広げていた時、夜空より声を響く。満月の女王、レナラの声が。

 

『その遺灰…リムグレイブの、古き嵐の王のものね』

 

「レナラ様!」

 

(冗談抜きでレアルカリアやリエーニエでは全知全能なのではあるまいか、彼女は…)

 

最早出来ない事を探すほうが早いのではとすら思わせる万能サポートぶりに驚くヘラクレスの上から、声は語りかける。

 

『その鷹は、きっとゴッドフレイ縁のものよ。かつて最初の王ゴッドフレイは、嵐の王と一騎討ちを行ったとされる。その遺灰が、きっと…』

 

「嵐の王…!ゴッドフレイとタイマンした王様の遺灰がこれって事なんだね!?」

 

先史の時代、ゴッドフレイと嵐の王は一騎討ちを行い、ゴッドフレイが勝利しリムグレイブを手中に収めたとされる。その因果関係に、さらなる補修が行われる。

 

「…かつての王は戦士でもあったとするのであれば、その再演は、もしかしたら彼女の再起のきっかけになるのやもしれん」

 

「ヘラクレス?」

 

「戦うのだ。私とリッカが一蓮托生のマスターとサーヴァントとして、この古き嵐の王と。そしてそれをネフェリに見せ、戦士の始まりの誓いを思い出させるのだ」

 

誰にも召喚されぬその古き鷹を、その境遇を再現する。ゴッドフレイの代わりに、ヘラクレスが堂々と古き嵐の王と、リッカの力を借りて戦う。

 

それはかつての、戦士の誓いを思い出させる目論見があった。道に迷ってしまったのであれば、自身を見つめ直し初心に帰ると良い。

 

「私には解るのだ。ネフェリは誇り高く、戦士としての生き方に対して真摯である存在だ。そして最初に、私が狭間の地にて友誼を結んだ相手である故放っておけなくてな」

 

ヘラクレスの願いや言葉を、リッカは聞き入れた。これもまた、きっと大切な縁となるのであろう。

 

そして何よりも、自身の師匠のたっての願いであるのならば。リッカに断る理由もあるはずが無かった。

 

『なら、その子をレアルカリアに連れていらっしゃい。戦いの場を、魔術で再現してあげるわね』

 

レナラの提案に、ヘラクレスは驚愕の返事を行う。

 

「しかし、この遺灰は誰の召喚にも応じる気がないようで…」

 

『その子は、隷従と屈服を拒否しているのよ。挑戦者としてであれば、きっと姿を晒してくれるはず。その時にどうするかは、あなたたち次第よ…』

 

レナラの言葉に、リッカとヘラクレスは頷き合い意志を一つとする

 

 

「せっかくだ。ネフェリに見せてやるとしよう。神話の時代の再演を」

 

「うん!ヘラクレスと私ならきっと大丈夫!何せ私達の、最強の大英雄だもんね!」

 

「フ、そういう事だ。では早速ネフェリをレアルカリアに招いてみよう。まだ円卓で、力無く項垂れてしまっているはずだ」

 

方針を固めた二人。嵐の王との戦いを見せ、何か立ち直るきっかけにしてくれたのであれば。

 

ヘラクレスにとって、ネフェリとの友誼の念は深いものではない。

 

ならば何故、これほど世話を焼こうとするのか?それは彼にとっても、とても大切な理由である。

 

(美女の損失は世界の損失だ。私はお前を見捨てることが出来なかったよ、ネフェリ)

 

至極真っ当な理由。美女の命運は良いものであってほしいという願いのもとに、ネフェリの下へ向かうのであった。

 

 

「ここは…噂に聞く、リエーニエの魔術学院…か?」

 

思惑通り、ネフェリはリエーニエにやってきた。ヘラクレスたっての願いともあらば、反故にするのは得策ではないのだと踏まれたのであろう。

 

「来てくれた事に感謝しよう、ネフェリ。まずはこれを見てほしい」

 

「それは、遺灰か?…古い、嵐の匂いがするのだな」

 

ネフェリ・ルーは戦士、蛮地の王ホーラ・ルーの末裔である。即座にそれを見抜いたヘラクレスは、告げる。 

 

「今から私達は、この鷹に真正面から戦いの儀を挑ませて貰う。私と弟子の一人のマッチだ。この嵐の王との戦いを、お前には見ていてほしいのだ。ネフェリ」

 

ネフェリは未だ覇気のない返事を繰り返すが、問題なく彼は続けた。これは彼の中で、決定事項であるのだ。

 

「かつて、ゴッドフレイが行ったとされる対決。始まりの戦士の誓いを思い出させるに最高のシチュエーションであろう?」

 

「まさか……この為に、私を?」

 

 

「あぁ。お前はゴッドフレイの近縁なのだろう?今、見失いかけている迷いや悩みも、彼の戦いを紐解き前を向かせる活路も、きっと戦いにて見出すタイプと見受けた」

 

「私達が、あなたの心に嵐を呼び戻してみせる。これはヘラクレスの…私の師匠のお願いでもあるから」

 

 

リッカはネフェリの目を見据える。ネフェリは、彼女の嘘や虚偽とは無縁の存在と信じるに足ると判斷し頷いた。

 

「……何から何まで、手間を掛けさせて申し訳ない。君達の驚愕の力、是非とも私に見せてくれ」

 

これにより、変則のボスの戦いが幕を開ける。

 

遠き古き王たる遺灰を起動し、その背中にヘラクレスが矢面に立つ。極めてシンプルかつ、歯応えのある荒療治。

 

だが、それでも。

 

カルデアは彼女の心を尊重し、彼女の心に嵐を起こさんがために最強クラスの敵、元なる王に挑む。

 

「では、行こう。リッカ」

 

「うん!」

 

ネフェリ、リッカ、そしてヘラクレスはレナラの広げた幻術に、モヤを通り抜ける形で入る。

 

戦士の魂に、再び火が灯ることを信じて。




ヘラクレス「あれが…」

リッカ「嵐の王!」 

ネフェリ「…なんということだ」

リッカ達が見る、鷹の王の遺灰の正体。


嵐の王「…………」

それは、全長十数メートルにも及ぶ王たる鷹。

ネフェリ「あれが…嵐の王…」

嵐の王は、構えるヘラクレスとリッカに応えるように。

礼儀と言わんばかりに…

その雄々しき翼を広げ、リッカ達に襲い掛かった。
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