人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ラダーン「では、赤獅子の同胞達よ。今暫しの別れである」

ジェーレン「忙しないことだ。正気を取り戻した後は、ケイリッドの為に我が身を焼くなどと」

ラダーン「そういうな、ジェーレン。将軍として、大恩あるケイリッドを護るは当然の行いだ」

フレイヤ「将軍!将軍と決着が付いたとは思っていないぞ!」

ラダーン「フレイヤ…」

フレイヤ「いつかまた、きっと戦おう!将軍はやはり、戦いの最中にあってこその将軍だ!」

ラダーン「フッ…。良かろう。いつでもその挑戦を受けて立つ」

ジェーレン「………では、時間だ」

ラダーン「あぁ。勇者達が待っている。──さらばだ、赤獅子の同胞達!また新たなる世界にて会おうぞ!」

赤獅子軍『『『『『『ウオオオオオオオオオオオオオ!!』』』』』』

〜空中

ラダーン『私は空を飛んでケイリッドの神授塔へと向かう。軌跡を追いかけてきてほしい!』

レン「無茶苦茶言ってる…」

ラダーン『では行くぞ!また後に!勇者達!』

ルゥ『(⁠゜⁠ロ⁠゜⁠)』

マシュ「本当に、飛んでいってしまいました…」

ヘラクレス「そうか、イアソンが私を見た時はこんな気持ちだったか…」

ラスティ「流石はラニの兄上…!」
ラニ『この様子だと、さぞ師匠を驚かせたのだろうな…』



ラダーン『自らが星となり重力を制する!!ウォオオこれが重力魔術の真髄!師匠!これがそうなのですね!』

師匠『知らん…何それ…怖…』

ガイア&オウガ&ガイウス(((爆笑)))



ラニ『私の母、母胎として完璧問題』
レン「黄金勢力が攻めるのも納得だね…」

この後必死にラダーンを追い、北西の神授塔へと向かった。


御祓の業火〜そして猛き雌獅子へ〜

神授塔。呼んで字の如く、神の託宣を、或いは啓示を受ける高き塔。そこでデミゴッド達は、それぞれの二本指により砕けた大ルーンを授かったという。

 

そこにて、ラダーンは横たわり鎮座。自らの肉体と、大ルーンを薪として…ケイリッドの腐敗を焼き払う為に肉体を殺すのである。

 

『私の方は準備も覚悟も出来ている。いつでも始められよ、勇者たち』

 

ラダーンは既に迷いなどないとばかりに穏やかな面持ちでその時を待っている。十メートルを超える巨体が鎮座しているのは大迫力であるが、それに圧倒されている場合ではない。土地を丸ごと御祓ぐというのだ。入念な準備は不可欠である。

 

「まず、私とラスティくんで魔を敷く法を使い焼く対象をきっちり腐敗に留めるよ。焦土になんてしたら偉いことだからね」

 

レンが立候補し、ラスティと共にケイリッド全体を魔法にて範囲設定する。それにより被害を無くすためだ。

 

『こちらカルデア。協議の結果、カグツチ君が力を貸してくれるようだ。イザナミ様と力を合わせれば、神の力を退ける聖なる炎として振るえるようだよ!』

 

『では、儀式として兄上の魂はリッカへと私が定着させる。……予め言っておくが、兄上程の魂を受け入れるとなれば、どんな弊害が出るか分からぬぞ』

 

「覚悟の上だよ。私だって、全てを懸けて困難に挑んでるつもりだから」

 

リッカもまた、ラニの問いに覚悟を返す。その振る舞いと返答に、ラニは何も苦言を返すことは無かった。

 

「リッカ。今から焼き払う腐敗には、停滞を苗床にしている性質がある」

 

「ラスティさん」

 

「かつて腐敗の女神がもたらした腐敗。それを打ち払った『流水の剣技』。それを、君の故郷の神事、神楽の形で振るうんだ。きっと、腐敗を退ける一助となる。今からそれを、君に託すよ」

 

そのまま、ラスティはリッカに流水の剣技…かつて腐敗の女神を退けた剣技を彼女へと伝授する。それは全ての所作が流麗に、無限に繋がる流転の剣舞であり、留まる事無き技であった。

 

「これをヘラクレス殿と話し合い、高め合い、形にしてほしい。きっと、力を貸してくれるはずだ」

 

「うん!ありがとう、ラスティさん!ヘラクレス、やろう!」

 

「うむ。そういった事ならば得意分野だ」

 

『もしどうにもならなくなったら任せてぇ。雷槌でなんとかするよぉ』

「そ、それは最終手段でお願いします!ルゥさん!」

 

下手すればケイリッドが消滅する一撃に必死に釘を刺すマシュ。一同は、思い思いの準備を進めていく。

 

『…………………』

 

楽しげに話すラニや、その伴侶たる王のラスティに感慨深げな表情を贈りながら、ラダーンは静かにその時を待つ。

 

……そして、三時間後。皆の準備が整う。ケイリッドに巣食う宿痾を焼き払う準備が。

 

「……行きます。ラダーンさん」

 

『頼む。そしてケイリッドを君たちに託す』

 

ラダーンは大ルーンを展開し、目を閉じる。ラダーンの大ルーンは燃え盛っていた。朱き腐敗、その侵食に抗するために。

 

「──────!!」

 

リッカは天沼矛を静かに構え、神に奉納する神楽を舞い始める。それは天照大御神に捧げる神楽であり、神の力を借り、敬意を示す為の交信。

 

「おおっ、あれこそがリッカの降ろせし…!」

 

ラスティが驚嘆したのは、リッカの身体に浮かび上がるアマテラスの紅き紋様、そして、天沼矛に宿る朱色にして透き通る炎。

 

「天照大御神、そして火之迦具土神。伊邪那美命の力により束ねられ、流水の剣技によりそれはケイリッドへと飛び火する」

 

「ラスティくん。私達も始めよう」

 

ヘラクレスの解説、レンの合図に頷き、ラスティは全ての杖を展開し自らの魔術を起動する。

 

「『全ての星も祈りも、我が手の内に。集え、律を統べる王の法下へ』」

 

レンの詠唱により、ケイリッド全体に魔を敷く法の範囲指定が行われる。

 

「『絶対王政は、此処より始まる』」

 

そして厳かにラスティがカーリアの王笏を地面に突き立てたことにより、其処には魔を敷く法が展開される。何を傷付け、何を護るか、何を無価値とし、王道とするか。それらの全てを一存する絶対空間。

 

『腐敗の根源は…あそこかぁ』

 

そしてルゥが土地を見据え、狙いを定める。腐敗の根源、その存在の在処を。

 

「先輩!準備万端です!どうぞ御存分に!」

 

「オッケー!」

 

マシュの言葉に応じ、いよいよその神楽が本領を発揮する。神楽の舞は炎を纏い、やがてその炎が神授塔へと溢れ出す。

 

「はあああああああっ…………!!」

 

力強く、また流麗に舞い踊るリッカに呼応し、大ルーンもまた燃え盛りその炎を燃やす種火となる。腐敗を焼き払う、神の炎と成りうる。

 

『──────』

 

それはラダーンの身体に燃え移り、炎を更に燃え上がらせる。ラダーンの肉体は、彼自身の精神力により留まっていたが…とうに限界を迎えていたのだ。

 

それでも尚、正気を取り戻したのであれば。我が身の全ては世界の為に。彼は覚悟と共に、薪となるを受け入れたのだ。

 

「………………」

 

かつて、不死を返上し死した自分と瓜二つな現状を静かに見つめるヘラクレス。そして、それは訪れた。

 

『わぁ〜!熱く…ない!』

 

「これは、加具土さんの神火…!」

 

清廉なる炎が、ケイリッドを包み燃え盛る。何もかもを焼いていく。

 

しかし、その炎が焼き尽くすのは腐敗のみ。腐敗を生み出すものを静かに焼き尽くし、そうでないものは優しく癒す。

 

神授塔から見える景色。それはケイリッドが炎上していく光景。しかし、灰や黒煙の代わりに立ち昇るは朱き腐敗。外なる神の力が、同じく狭間の外なる神の伊邪那美命、天照大御神、加具土命の三柱により退けられていくのだ。

 

力こそ王の故。それ故に、腐敗は弱き神の理として消し去られていく。そして満ちるは、清らかなる御祓の焔。

 

『────ケイリッドが立ち戻ってゆく。かつての赤き大地に。壮健なる大地に』

 

燃え盛る炎の中で、ラダーンは確かにそれを見た。おぞましく腐りゆくだけだったケイリッドが。元の姿を取り戻していく。

 

それだけが、ラダーンには気がかりであった。無念にも腐りゆく故郷を、救うことが叶わなかった一点だけが。

 

だが、それは最早杞憂となった。新たなる王を目指す者達により、ケイリッドは息を吹き返す。

 

そしてこれは、今は姿を見せぬミケラにこその福音であろう。

 

ミケラは黄金律を捨てた。妹マレニアの腐敗の宿痾に、黄金律は無力であったが為に。

 

だが、腐敗はこうして退けられる。それを成し遂げる者達が現れたのだ。

 

この事を把握し、或いは理解し、ミケラが飛躍した救済に手を染めぬ事を、無邪気なる悪を成さぬよう願いながら…───。

 

『我が身、愛すべき故郷の礎とならん────』

 

ラダーンの肉体は、聖なる炎の内へと消えていくのだった──。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

リッカの神楽も最高潮へと達する。神に捧ぐ舞、神を降ろす舞は、その苛烈極まる流水の型を完璧に再現する。

 

最早それはリッカの意識の埒外ですらあった。トランス状態となったリッカは、もはやその身を全て己の信ずる神へと委ねていた。

 

高まる気運、燃え盛る焔。焼けていく腐敗。焼き尽くされていく宿痾。

 

「─────、この歌は…?」

 

やがて、マシュがその様な事を口にする。それは、神授塔へと届く歌だった。

 

『赤獅子の皆だよぉ。皆が歌ってるんだね。それで、伝えようとしてくれてる』

 

「ルゥさん…」

 

『腐敗からの解放。そしてラダーンと私達への……深〜い、感謝をね』

 

それは、赤獅子に伝わるラダーンへと捧げられし歌。赤獅子達の歌。

 

それが、腐敗の焼失をラダーンへ、勇者達へと告げたのだ。

 

御祓は、成った。レンとラスティが、共に魔を敷く法を解除する。

 

「────ふっ!!」

 

その神楽を締め括るように、リッカは槍を一振りする。

 

全ては焼き払われた。腐敗は、ケイリッドより消え去った。

 

「……ラダーンさん…」

 

それは、ラダーンの肉体も然り。

 

ケイリッドの救済の薪として。

 

ラダーンの肉体は、焼き払われたのだ──。




ラニ『よくやってくれた、リッカ』

リッカ「ラニさん!」

ラニ『兄上に代わり礼を言う。…ありがとう。私達の旅路の果ての主賓が、お前で良かった』

リッカ「えへへ…あ、でも終わってないよ!」

ラニ『あぁ。……兄上の魂を、お前に宿すぞ』

リッカ「バッチこい!」

ラニ『────!』
リッカ「…………!」



ラダーン「うら若き乙女の中に失礼します…」
アジーカ【将軍っ。サイン、サイン(フンス)】
リムル【うぉおラダーン将軍だぁ!本物だぁ!】
アンリマユ【よっ!お疲れちゃんだぜ将軍様!まぁゆっくりしてけや!】

ラダーン(歓迎してもらえている!?)

丑御前【こんにちは、将軍様】

ラダーン「!?」

丑御前【リッカの…母でございます…】

ラダーン「母ッ…!?」



ラニ『…成功だ。……私が分かるか、リッカ』

リッカ『う、ううん…』

ラニ『よし。落ち着いて自らを見ろ。…取り乱すなよ』

リッカ「?」

立ち上がってみればやけに目線が高い。肉体に力が漲るのが分かる。そして腰から足にまで感じる、髪の感触。

ラニ『…どうやら、私の兄上の魂は大きすぎたようだ』

ヘラクレス「……ゼウス好みの肉体になってしまうとは…」
ラスティ「まさに義兄ラダーンが女体化してしまったようだ…!」

マシュ「先輩が…ゴッドノッブルートに!?」
レン「ずるぅい…なんだその発育はぁ…」
ルゥ『ふぁ〜。180センチ位はあるね』

燃え盛る焔のような長き赤髪。
雄々しさと艶めかさを完璧に備えた肉体。
何故か纏っている黄金獅子の軽装鎧。
そして、祝福に燃える黄金の瞳。

ヘラクレス「女ヘラクレスの次は女ラダーンか。流石だな」

リッカ「───魂宿してこうなる事なんてあるぅ!?」

無茶苦茶を通した代償として…

リッカの見た目は、女ラダーンを彷彿とさせる20代半ばの女傑になったのであった。
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