人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ラダーン『リッカ、此度も無事に共に勝利を得ることができたな!』

リッカ「ラダーンさんがいてくれると安心感が違いますよ!本当にありがとうございます!」

ラダーン『なんのなんの。これでますます我等の結束は深まり、王の座が更に近付いた事になる!実にめでたい!と!いうわけで!』

リッカ「いうわけで?」

ラダーン『この屋敷は我等が勝ち取った!ならばするしかあるまあい───勝者の宴を!!』

リッカ「おぉ〜!!」

ラダーン『冒涜の火山館は終わり、これより此処は英雄、ヴァルハラが如き褪せ人が集まる英雄の館に生まれ変わる!!さぁ褪せ人達を、英雄を招こうぞ!我が素晴らしき相棒よ!』

リッカ「おぉ〜〜〜〜っ!!ところでヴァルハラの知識をどこで?」

ラダーン『カルデアの賢き老人よりだ!』


小黄金樹

オーディン『』

黄金樹の化身『……!?』

オーディン『次なる先はマレニアが手早いか…』

化身『!?』


腐敗燻る聖樹へと

『冒涜は終わった!!祝福に導かれし褪せ人の館に此処は生まれ変わる!共に勝利の美酒に酔いしれよう!!乾杯!!』

 

「「「「「かんぱーい!!!」」」」」

 

ラダーンが表層のリッカが、乾杯の音頭を取る。ライカード、神喰らいの蛇を討ち果たした事により、火山館はカルデアが獲得。それにより、ここは冒涜の館ではなく、次なる時代の為の褪せ人達が集う英雄たちの戦士館へと生まれ変わる事となった。

 

ライカード、タニス、ラーヤの親子に実質的な統治は任せ、異なる世界の褪せ人達に力を貸し、手を差し伸べる『協力者』。そして血の指や背律者を狩る『狩人』。その活動の本拠地として、火山館は生まれ変わっていくであろう。今宵はその、痛快なる一歩を謳う大酒宴の席であった。

 

「お見逸れしたぜ、あんたら…!まさかあの神喰らいの蛇までやっちまうとはよ!」

 

「驚いたか詐欺ハゲのパッチ。二度と変な罠なんか仕掛けないように」

 

「いやぁ、助けに行ってやれなくてすまないな!流石にゲルミア火山は遠かった!はっはっは!」

 

パッチやトラゴス、それに様々な褪せ人達が交流を酒と共に行っている。所有する大ルーンは二つ以上たる証を見せれば、誰が王座に近いかは一目瞭然。争いなど起きるはずもなかった。

 

「ライカード。よもやこうしてまた正気の貴様と話せる日が来ようとはな」

 

「そうだな、ベルナール。我らはけして日向は歩けぬが…共に影として陽を護ることはまだできよう」

 

「フッ……それこそ、我等しか歩めぬ冒涜の道か」

 

ライカードは英霊としてカルデアのサーヴァントの所属となりつつ、依代を火山館に設置されこの場所の統治を任される。火山館は英雄達の統率、次世代の罪罰の在処を彼という覇王の下で担っていく事となるであろう。

 

「おら、追加のカニグラタンだ!ラーヤ、持ってけ!」

 

「はい、ボギー様!」

 

ラーヤはビッグ・ボギーと共にエビとカニ料理を極める道を選択。彼女なりのやり方で、人々に祝福をもたらしていくのだ。

 

「はい、お母様。お熱いのでどうぞ、お気をつけてくださいね」

 

「ありがとう、ゾラーヤス。お前が道を見つけられた事…心から、嬉しく思うよ」

 

当然、タニスの意志を継ぎ火山館の統治者の教育も受ける。彼女は本当の意味で、自身の為に生きる事を…その意味を見出したのだ。

 

「あのラスティにレン、マシュには感謝しねぇとな。ライカードに俺の腕前を売り込んでくれたんだからよ」

 

ビッグ・ボギーは火山館の料理長に就任。その辣腕を振るっている。『飢えからくる貧しさや卑しさをブッ殺す』…それが、彼の掲げる冒涜のモットーであった。

 

「まずはネメアの獅子。これはかのゴッドフレイの宰相セローシュに勝るとも劣らない獅子であった。あらゆる刃物を受け付けぬこの獅子を、私は三日三晩絞め落とす事により…」

 

ヘラクレスは褪せ人達に自らの踏破した試練を物語っていた。ラダーンと楽しげに談笑していた英雄譚が、褪せ人達に流れる戦士の血を大いに刺激したのだ。彼は早くも、ゴッドフレイやアスラに勝るとも劣らぬ戦士として畏敬を集めていたのだ。

 

「エビグラタン美味しいな〜」

「カニコロッケも本当に美味しいですよ、レンさん!ルゥ様!」

「ほふほふ、んひ〜。おいひぃ〜」

 

レン、マシュ、ルゥはひたすらにカニとエビ料理を食べていた。狭間の地ならではの殺人エビと殺人カニの身は、リッカらの世界から見てもとても大きく美味であるが故だ。

 

『全く、兄上はどこまでも強引かつ人騒がせだ。人を集めてはしゃぐばかりが能でもあるまいに』

「まぁまぁ、義兄ラダーンは常に規格外な御仁と言うことで。機嫌を直しておくれ、ラニ。今日はとことん付き合うからさ」

 

『…………抱き寄せてくれ。お前の吐息と、鼓動を感じたい』

 

関わるもののほぼ全て、殺し奪う道しか選べなかったラスティが垣間見る、笑顔に満ちた旅路。

 

(カルデアの皆と出会えて本当に良かった。これからも、誰一人欠けさせないためにオレの全身全霊を尽くさなくては)

 

決意を新たに、頭を撫でられ目を細め身を委ねるラニを抱きながら誓いながら、ラスティは宴を過ごしていたのだった。

 

「やぁ、リッカ。あのライカードを食らった蛇まで君は下したのだね」

 

リッカの隣に座り、声をかける存在。それはリッカにとって、狭間の地における友人のような関係の女性。

 

「レダさん!お久しぶりー!もしかして、お祝いに来てくれたのかな!」

「うん。君が活躍し、力を振るうのはとても喜ばしいものだからね。私は、君に惹かれているのだな。きっと」

 

レダの言葉に、リッカは照れくさそうに頭をかく。そんなリッカに、レダは問う。

 

「水を差してしまって悪いが、また君に託したいものを持ってきた。受け取ってほしい」

 

そうしてレダは、リッカにそれを渡す。半月が如き、秘割の符を。

 

『これは…!』

『間違いない、聖樹に続く道を拓く秘割符…!』

 

霊体と化しているミリセント、ラティナが共に驚愕を表す。それにより拓かれたのだ。ミケラの聖樹への道が。

 

「………私は、君に可能性を感じているんだ。かつて、ミケラ様がどうしても、どうしても直せなかった、実妹の宿痾の根治…或いは、退治が叶うのではないかと」

 

「……レダさんは、もうミケラ様に仕えることは伏せないんだね?」

 

「あぁ。もう君は立派な王の資格を持つ者だ。…そして、その先に行くこともできるかもしれない可能性を秘めた…」

 

そこまで告げ、レダは咳払いをする。過度の重圧をかけるのは良くないと感じたのだろう。

 

「ミケラ様の聖樹、そしてその先のエブレフェール…聖樹の最下層に、マレニア様は眠っている。ミケラ様の帰還を、待ち望みながら」

 

『マレニア…私と相打った先に姿が見えぬと思えば、回収されていたか』

 

ラダーンの重々しい声音を受けながら、レダの問いを聞き及ぶ。

 

「是非、君にはマレニア様に出会ってほしい。腐敗に抗う矜持を捨て、腐敗を解放した彼女の開花は、近い」

 

「開花……」

 

「既に彼女は二度咲いた。三度目に、きっと彼女は女神になる。そうすれば、ミケラ様と言えど彼女を元には…」

 

それだけ告げ、レダはリッカの手を握る。

 

「これだけは伝えておきたい。ミケラ様は、妹マレニア様の為に原理主義を捨てるほど、彼女の事を想っている」

 

「レダさん……」

 

「数多の奇跡と、困難を打ち払う力を魅せてくれた君に…マレニア様を、ミケラ様の原初の願いを託したい。マレニア様を、どうか、救ってはもらえないだろうか」

 

レダの真っ直ぐな視線に、嘘はない。その瞳には、白き祝福のルーンが刻まれていた。

 

それが何よりも鮮明に示していた。彼女がミケラに祝福されし、かの神人の剣であると。

 

しかし、その指令は恐らくレダ自身のものだ。それは、彼女がミケラの事を案じ思えばこそ…

 

そしてその使命と想いを…話し託す程に、彼女はリッカを信頼しているのだとリッカは受け取った。

 

「うん、解った。次は、マレニアさんに会いに行くよ」

 

モーグか、マレニアかのどちらかという話であったため、それはそう複雑な選択ではなかった。

 

「マレニアさんに会いたい人や、雪原に用がある人もいるしね。腐敗、なんとか出来ないかやってみる!」

 

「…ありがとう…。君ならきっと、そう言ってくれるはずだと信じていたよ」

 

安堵したように、握手を交わすレダ。彼女の清廉な信仰と願いは、リッカが動くに値するものだ。

 

「行く資格は手に入れたから、一気に聖樹にひとっ飛びしちゃうね!見てて、皆であっという間に向かっていくから!」

 

「ありがとう…。何かあったなら呼んでくれ。いつでも、力になると約束するよ」

 

レダの願いを受け、一同は次の道を定める。

 

ミケラの聖樹、そしてその地にいるマレニア。

 

『やはり、いたのだな。マレニア…』

 

ソレはミリセントの宿願を、果たす身でもあったのだ。

 

 




…場所を変え、禁域、巨人達の山嶺。

そこにあるソール砦…『聖樹の秘割符』を保管していた砦に、生きている者は存在していなかった。

兵士も、動物も、大将たるニアールも。

その全てが、針で貫かれたような傷と共に絶命していた。

秘割符は、持ち出されたのだ。

誰かに、或いは何かに。

そしてその血塗れの秘割符は…

リッカの手に、託されていた。
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