人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ローレッタ「マレニア様!」

寄付騎士「「「「「マレニア様!」」」」」

マレニア『すまない、お前たち。世話を掛けた』

ローレッタ「何を、何を申されます!ご帰還、お待ちしておりました…!」

フィンレイ「あなたたちが、マレニア様を治してくださったのね。私はフィンレイ。騎士全てを代表して、お礼を申し上げます」

リッカ「いえいえ!人助けは私達の趣味ですから!」

フィンレイ「感謝を…。我等マレニア様傘下の貴腐騎士、これより皆様と協力関係に至りましょう。存分にお頼りくださいませ」

ラダーン【あの苛烈な騎士らとも同盟とは!これほどの大連盟、在りし日のローデイルに迫る勢いではないか!】

レン「まさかオトモだなんて。どこで修行したの?」
ルゥ『ポッケ村の農場なんだぁ』

マシュ「おや?…ラスティさんとラニ様はどこへ?」



楽園の世紀、聖樹の復活

ミケラの聖樹。腐敗と宿るべき神の切除により醜く歪みねじ切れた聖樹。見果てぬ夢となった、楽園の世紀の旗印。それを見渡せる地に、ラスティとラニはいた。

 

『マリカの血縁は大抵呪いと悲業を有して生まれる。ミケラとて、それから逃れられ無かったのが無情というものだな』

 

『あぁ。──末路がどうであれ、彼が目指した理想は弱者救済の楽園の世紀。苦しむ妹と生命を救いたいと願った無垢なる黄金の発足だ。それは決して、悪なるものではないと信じる事は出来るだろう』

 

ラスティの言葉と、視線は穏やかなものだ。ミケラの夢の成れの果てを見つめる。

 

『リッカ達の旅路は素晴らしいものだ。生命、魂。それらを問わず関わる者たちを救い、時に決着させ次に繋げる。私の旅路とは全く異なる、実り多き輝ける旅』

『私は暗く冷たい道、お前は全てを制す王の道。それらとは一線を画す道筋を、見せられたな』

 

力を示し、全てを踏破する王の路行き。

冷たき空へ、千年の旅を始める路行き。

 

今歩む道は、それらと全く異なるものと確信したが故に、かつて自身が出来なかった事を為さんとする。

 

『殺すだけでなく、奪うだけでなく。何かを示し、蘇らせる。未来に繋げる旅路に相応しい事を、私もやってみようと思う』

 

ラニと頷き合い、ラスティはその聖樹に向けて力を示す。

 

『そう、それは例えるならば。『誰もが夢見た聖樹の姿を蘇らせる』といった、奇跡のような現象を示す事。奪うことなく希望を示す、異なる道だ』

 

ラスティは静かに片膝を付き、厳かに祈りを捧げる。見届けるはラニのみの中、その力を解放する。

 

『私に託された力は、アスラの他にもう一つある』

 

そう、戦士の理性にして戦士達の技と技術、神を殺す炎のアスラが招いた『神』にして『伴侶』。遥かなる地で至高の聖女と謳われし、一柱の女神の力。

 

『『至聖女セフィアラ』…。その祈りと寿ぎをもって、この狭間の地にて弱者を抱く聖樹を蘇らせよう』

 

いつかそれが、ミケラの還る場所であるために。

 

決して、力ばかりが世界の法でなきように。

 

褪せ人として旅をしたラスティは、全てが敵であり何者にも歓迎されぬ過酷さと痛烈さを何よりも知っていた。

 

それだけでなく、狭間には生きているだけで罪に問われる生命があり、世界には弱者を虐げる残酷な蛮習が蔓延る場所がある。

 

その世界の不条理に抗わんとした一人の神人が、夢見て旅立ったであろう理想の還る場所を此処に蘇らせんとラスティは決意をしていたのだ。

 

その力は宿っている。【アスラの業炎】の他にもう一つ。ラスティに託され、授けられた紛れもない神の祈りと祝福。

 

『女神にして至聖女セフィアラよ。この地に宿る祈りを奇跡に言祝ぎ給え』

 

ラスティが信仰の触媒として握るは『光の真球』。形なき光がかたちどる完全なる真球。それはセフィアラたる女神が託した、至高の祝福の証。

 

ラスティは、それに祈りを捧げ再現する。女神として現世に現れ、至聖女として受肉したセフィアラの輝ける力の一端を。

 

『数多の祈りを、確かな形へ。夜明けを彩る暁の如く、朝焼に飛び立つ白き隼の如くに』

 

ラスティに託されたもう一つの力。それこそが、女神セフィアラの『光』。

 

『遍く世界に、輝ける光よ在れ───!』

 

その信仰による祈祷が、ミケラの聖樹の全てを包みこんでいく。暖かく柔らかい、春の日差しが如き白き輝きは聖樹を照らし出し…

 

変化は、起きた。

 

『かの聖樹をどのようなカタチで望むか。それはこの地に招かれた全ての生命が識っている。願っている』

 

なんと、捻じ曲がり、醜く歪んでいた聖樹の形が真っ直ぐ伸びていく。若葉が生長するように、まるで特撮の早送りの映像のように。輝ける光の中で、聖樹は確かにその姿を変えていくのだ。

 

かつての全てが望んだ形へ。一人一人が心に思い浮かべ待ち望んだ、輝ける無垢金の聖樹へと。

 

『お前の父祖アスラの伴侶だけあり、その力はやはり凄まじいな』

 

ラニが舌を巻くように、その力は瞬く間に街一つと聖樹を包みこんで余り在る程の作用であった。

 

ラスティが受け継ぎ、今ここで開帳せしは、女神にして至聖女セフィアラが末期に彼に授けた力にして祝福たるもの。

 

『至高天セフィアラ』。人々の願いと想いを力にし、因果律と事象に干渉し世界そのものに干渉し変化を齎す、神の力そのもの。

 

効果の程は束ねられし信仰に極めて強い依存するため、ラスティ一人では彼の魔力とスタミナを加護により無限にする程度の力しか発揮できないが…

 

ミケラが敷いた弱者救済の理想。弱者達が見上げ、夢見た輝ける聖樹の在り方と、その姿。誰もが願った、優しく無垢なる聖樹の在り様を束ね、ラスティはその事象に変革を起こしたのだ。

 

美しく、麗しい真っ直ぐと輝いた聖樹。弱者を救済する希望の象徴。まさにミケラの理想たる、その姿へと成長『させ直した』。セフィアラの力と人々の起こした奇跡の証明が、この祈祷を通じて形となったのだ。

 

『どうか見守り給え。輝ける世界を、祝福にて癒し包み給え──』

 

ラスティ一人の祈りでは、これほどの力を発揮する事は叶わない。悲しいことだが、どれほどラスティが強く強大であろうと、有する人格は一つ故に信仰は一つ。

 

この祈祷の力を、全力を使用するには数多無数の祈りと願いが必要不可欠であった。より良い未来を望む数多無数の祈りと願いが、この祈祷を神の力たらしめる。

 

故にラスティの旅路において、この祈祷は自らの強化と祝福の枠を出ることは無かった。褪せ人に信仰など集まる筈もなく、殺し奪う戦いに切なる祈りが宿る筈もない。

 

故にこそ、この祈祷は今はじめて力を発揮したのだ。自分達だけでは行えぬ奇跡。自分達だけでは発動せぬ祈祷。

 

『────至聖女、セフィアラよ…』

 

胸中には浮かぶ。かつて自身が信仰し仕えていた至聖女の神託にして言葉。優しく抱かれながら告げられた言葉を。

 

 

ファルトリウス。この世の全ては連なり、繋がり、支え合い、助け合う事で大いなる一つの世界となっているのです。

 

強者も、弱者も、老いも若きも、男も、女も。それら全てに、不要なものも害してよいものも有りえません。

 

心に慈悲と、慈愛と、寛容を有しなさい。ファルトリウス。

 

強さと優しさ。それを兼ね備えたものこそが、真に世界を担うに相応しき者となるのです。

 

私は貴方を愛しています。

 

そして貴方もたくさんの人々と、貴方の背を追いかける生命を愛しなさい。

 

あなたなら出来ます。

 

だってあなたはアスラと私の、自慢の────ですから。

 

信じていますよ、ファルトリウス。

 

いつかあなたが導かれる、遥かなる地にて。

 

私の祈りと願いが、アスラの力が。貴方を護り導かんことを──。

 

 

『………』

 

そして光の奔流の中で、ミケラの聖樹は完全に再誕する。

 

無垢金で一枝一枝が編み込まれた、輝ける至高の聖樹へと生長を果たした姿へと。

 

弱者たちが夢見、見果てぬ夢として心に懐いた理想の聖樹へと。

 

都市、エブレフェールから歓声が沸き起こる。捻じくれていた聖樹が復活する奇跡に、虐げられし弱者達が沸き立っているのだ。

 

エルデンリングの破砕により砕けた世界。聖樹が再誕したそこだけは、確かなる意志と正気がよみがえったのだ。

 

『ふふ…。あやつらも今は大いに面食らっているだろう。このような奥の手があったのかとな』

 

自慢げなラニが、ラスティの手を引く。

 

『帰るぞ。兄上の驚く顔が楽しみだ』

 

『ああ、勿論だとも!』

 

ラスティはその旅路にて、かつて出来なかった事を成し遂げられた事に喜びを感じていた。

 

殺し、奪う以外で大切な人々の助けになれたこと。

 

それはラスティにとって、ラニの王となった瞬間と同じくらいに誇らしいものだ。

 

 

夜の王、ラスティ。

 

彼の信じる故とは力ではなく、慈悲や愛であるのだから。




至高天セフィアラ

女神として顕現したセフィアラの力
それを祈祷として振るうもの

数多無数の祈りを束ね、現実をより良い事象に変革する

セフィアラの治世とは、愛と慈悲、寛容による仁政であり
ありとあらゆる者の魂を癒し、救い続けた

父の苛烈にして激しく滾る豪炎
母の柔和にして優しく宿る祝福

それら宿し、暗月の加護を以て、王は誓う。

我が道を阻む総てに、踏破の轍を
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