人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

27 / 2535
ジャンヌ「行きます!どうか主のご加護を!」

ジャンヌ「大丈夫!痛いと思わなければいたくありません!」


「我が同胞を、護りたまえ!」

「私が戦闘で頑張ります!大丈夫!私は大丈夫ですから!」



ジャンぬ「うるさーい!!!なんで二人いるのよ!!」


対話

「わ、わ、わわわぁ――――!!」

 

200㎞/hをマークし、霊脈を感知した地点まで『栄華極めし王の鉄馬』が爆走する

 

新たにサイドカーを追加し、ジャンヌ・ダルクを乗せる。総勢四人の大所帯だがバイクは宝具、なんの問題もない

 

「なんだ貴様の情けない声は!召喚の折に知識はあらかた受け取っていよう!バイクごときに何を驚く!それでも裁定者のクラスか!」

 

 

「わ、私は諸事情でサーヴァントとしての自覚があまり――!」

 

「喋るな!舌を噛むぞ!!」

 

「話し掛けてきたのはそちらでは――!?早馬だってこんな速度では――!!」

 

 

「ジャンヌさん、お気を確かに!」

 

「慣れだよ慣れ!慣れればなんとかなる!」

 

 

「貴女方は強い方たちなのですね――!!私は、意識が、飛びそう、で――!」 

 

「意識を保て、眠りに落ちるな!ここで眠るなら振り落とされるのみだぞ――!」

 

「そんなぁ――――!!!」

 

 

一直線に、平野を駆け抜けていくギルギルマシン

 

聖女の叫びすらも、マシンは置き去りにしていく

 

 

「そういえばそうであった!医師!」

 

『なんだい!というか観測が物凄く大変なんだけど!加減してくれないかな!?』

 

「霊脈に着き次第、何故ここが特異点なのかこやつらにきっちりと教えておけ!それと、補給物資の準備もな!」

 

 

『その言い方、何かやることがあるのかい!?』

 

 

「些末事だ!我は席をはずすからな!」

 

そうだ、何故だか解らないが。やらなければいけないといった思いがある

 

とある『下準備』と、器は考えているのだが――

 

『その速度なら10分もしないわ!ギル、気を付けて!』

 

「当然だ!ライダーたる所以を侮るな――!」

 

『ところで今更だけど、なんで君はライダーの適性を持ってるのかな!?』

 

「愚問を投げるな!我が何故ライダーたるかだと!?決まっていよう!」

 

 

アクセルを、フルスロットルで展開する。いよいよ最高速に達する黄金の鉄馬

 

 

「我が最も――玉座に乗った王だからだ――――!!!」

 

『なんだそれ――――!!?』

 

 

なるほど、玉座に座ることをライダーに見立てたのか。玉座に乗るライダー・・・

 

なるほど、ならこの器が、ライダーになれない筈はないな――

 

沈む夕陽より速く、ギルギルマシンは爆走し、そのまま森へ

 

 

搭載されていた自衛兵器で霊脈に群がるエネミーを一掃し、無事レイラインを確保したのであったとさ

 

 

 

 

意識混濁していたジャンヌの頬を軽く叩き起こし、マシュとマスターにこれからどうするかを話し合わせるよう指示をだし、召喚サークルを確立させた

 

これでカルデアのサーヴァントと補給物資が届くようになり、少しは安心できる環境、拠点を確立させた

 

 

支給された物資は最高級のもの。寝袋、携帯式シャワールーム、エミヤが出向き手料理を振る舞うなどの待遇だ

 

……目を白黒させるジャンヌが可愛かったと思ったのは、内緒にしておく

 

 

さて自分はと言うと、皆から離れた場所にて、いい感じの『地脈』を探していた

 

「ふむ……この辺りが適当、か」

 

 

『何をしてるんだい?エミヤ君の作った料理はいらないのかな?』

 

「我の分はマスターとマシュに回せ。少しでも身を休ませよ。先は長いぞ」

 

 

黄金の波紋に手を伸ばし、とある容器を手に取る

 

 

『――ってそれ聖杯じゃないか!?』

 

「喧しい。耳元で騒ぐな。案ずるな『まだ』これは起動せぬ」

 

その杯を、地面に叩き込む

 

 

『ちょ、なにしてるんだい本当に』

 

「これは『受容器』だ。聖杯が産み出した特異点を吸い上げるためのな」

 

『吸い上げるため……?』

 

「あぁ、特異点を修正した暁には、この場所は消え去るであろう。喩えるならば、中身が溢れるのだ」

 

消え去る特異点、それは総て無かったことになるのだろうか

 

――否、必ず残るものはある。それを手にいれる

 

 

自分の器と魂が『備えよ』と告げるのだ。――何かに、致命的な何かに対して

 

 

何かは――まだ、見えないが

 

 

 

「それを、この器で総て受け止めるのだ。特異点を構築していた総てを魔力に変換してな」

 

 

つまり、こぼれ落ちるリソースを受け止める受け皿を設置したのだ。

 

 

「成功すれば、極大の魔術炉心が出来上がる。中身を並々と注がれた聖杯が出来上がるのだ。満たされた、我の全力を賄える『貯蓄』を作り出す」

 

 

 

――それは、誰に向けて放たれる故のものなのか

 

『君、溜め込むとかできたのか!』

 

自分も驚きだ。英雄王はやりくり上手なのか……

 

 

「当然だ。解放は貯蓄あってのもの。出費は惜しまぬが、我は基本溜め込む男と知れ」

 

 

『へぇ……君とあってから、僕は驚いてばかりだ』

 

「であろう。凡俗に王の真意は見抜けまい。我はこの世で最も気ままな王だ!」

 

『いちいち否定するのもあれだし、素直に受け取っておくよ。気ままな王様、少し休んだらどうだい?働き詰めじゃないかな?』

 

ロマンの優しさが染みる。いい人だな、わざわざ連絡してくれるなんて

 

 

「何、貴様らはよくやっている。ならば我も責務を果たすまで。――職員に仮眠をとらせよ。貴様もだ。過労は残すな、遺恨になるぞ」

 

『大丈夫さ。さっきまで居眠りしてたから!』

 

「よし、深夜の整備は貴様がやれ」

 

『即決!?深夜手当ては出るかな……?』

 

「マリーに直談判するのだな」

 

『出なさそうだチクショウ!いいよ!こしあんつぶあんがあれば僕は幸せだからね!』

 

「細やかな幸せよな」

 

――気楽な掛け合いが、耳に心地いい

 

 

――夜が、更けていった

 

――

 

 

 

――皆が寝静まる夜、どうしても尋ねたい事があった

 

 

「――田舎娘」

 

ジャンヌを呼び出す

 

 

『はい、こんばんは。夜更かしですか?英雄王』

 

「あぁ、寝る前に一つ問うておきたい事がある」

 

――すまない、英雄王、個人的な用に付き合わせてしまい

 

 

それでも、聞きたいことがあったのだ。どうしても

 

 

「――何故」

 

 

『?』

 

「何故貴様は、何も恨まなかったのだ?」

 

どうしても聞きたかった

 

裏切られた、蔑まれた、見捨てられた

 

貶された、辱しめられた、火にかけられた

 

 

かつての味方に、護りたいと願ったものに見捨てられ、それでも祈りを離さなかった

 

何がそうさせた?何が君を突き動かした?

 

 

――特異点のジャンヌは、彼女達のジャンヌだ。自分が邪魔してはいけない

 

だから――カルデアのジャンヌに問う

 

「答えよ」

 

『なんだ、そんな事ですか』

 

こほん、と咳払いして

 

『私が選び、私が望んだ人生だからです』

 

 

「――――」

 

――――

 

『始まりは啓示でしたが、そこから先は破滅も含めて私が選んだ道、私が望んだ結末』

 

『誰かを救うために旗を持ち、誰かを救うために戦った』

 

『終わりが、綺麗でないとしても。私はそれで良かった』

 

『護りたかったフランスが。遥か未来に繋がったのだから』

 

――フランスを護るために立ち上がった

 

そのフランスが、最新の未来にまで名を残した

 

 

だからいいと、ジャンヌは言う。護りたいものを、未来へと繋げることができたのだから、と

 

――例え、それが――自らの屍の果ての結果だとしても

 

「――――呆れた頑強ぶりよ。貴様は城塞か何かか」

 

『そうですか?貴方もきっと、できますよ?』

 

「――?」

 

『見つけてください。貴方の護りたいものを』

 

『――貴方の総てをかけて、護りたいものを』

 

――……

 

「はっ、我に下らん問いを投げるな田舎娘。……いや、ジャンヌといったか」

 

『ジャンヌ・ダルクです!ジャンヌ・ダルク!』

 

「喧しい!話は終わりだ、寝ろ!」

 

「召喚サークルは設置した、貴様は手軽に使える絶対防御として酷使する故覚悟しておけ!」

 

『望むところです!お休みなさい!』

 

ブツリ、と通信が切れる

 

 

「全く。喧しい娘よ……育ちが知れるわ」

 

「――さて、寝るか」

 

 

……最後の言葉は

 

 

――魂に、告げられたような気がした

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。