人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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(感想メッセージは明日行います!そして明日前回のマテリアルにアナザーガタックさんの名前を追加いたします!)

ラダーン【マレニア…大丈夫であろうか】

ラニ『……』

ラダーン【ミケラは何やら達観したようであったが、兄妹としての絆は確かに存在していたと私は確信している。それを、ミケラは棄てるなどと宣った】

ラスティ「彼女はミケラの刃で在ることに誇りを持っていました。それが、あの様な別れでは…」

ラニ『…姿が見えぬのは、隅でさめざめと泣きでもしているか、だな』

ラダーン【むぅう、ラダゴンの子としては励ましてやりたいが…!】

マレニア「貴公ら、此処にいたか」

「【!?】」

マレニア「貴腐騎士らが影の地を散策し、地図を集めてくれた。早速行動の方針を決めよう」

ラダーン【ま、マレニア。その…大丈夫か?】

マレニア「大丈夫、とは?」

ラダーン【う、うむ!大丈夫なら良いのだ!大丈夫ならば!】

ラニ『……』


決意の刃と傷みの翼

「様々な情報を集めた結果、ミケラ兄様の待つエニル・イリムとは、塔の町ベルラート上部に繋がる神殿のような箇所のようだ。この地は封印の木にて封じられており、それを焼き払うには種火の存在が必要だ。この種火とは、影の城にいる串刺し公、メスメルの力を借りるのが良いはずだ」

 

ミケラとの別れの後、リッカらは方針を定める会議を行っていた。ミケラの待つエニル・イリムへと向かうルートの開拓を担当しているのは、件のマレニアだ。彼女が率先して、指揮を執っている。

 

「砦を越え、メスメルと会い、種火を譲ってもらった後にラウフの古遺跡の蕾の教会へと向かう。そこには蕾の聖女ロミナが存在しているとの事だ。討ち果たさねば封印の木は焼き払えまい」

 

『砦の突破は私と私の王に任せろ。あの場には我が母の妹、レラーナがいる。話をつけるには私達の方が都合が良い』

 

双月の騎士、レラーナ。レナラの妹であり、月の剣技を極めた騎士。彼女はメスメルを慕い王女の座を捨て、メスメルと共に影の地へと渡った来歴を持つ。メスメルに会いに行くならば、邂逅は避けられないだろう。

 

「戦いになったらオレがなんとかする。君達は、メスメルとの対話に全力を尽くしてくれ」

 

「串刺し公、メスメル。こちらの歴史にも同じ称号を懐く護国の鬼将がいるのは数奇なものだな」

 

ヘラクレスの言葉に然り、ヴラド三世の渾名を有するデミゴッド、その未知数の実力は侮れない。何故ならばメスメルは狭間の地に訪れず、大ルーンを賜らなかった程に秘匿されていたのだ。ラダーンですら、その全容は掴んでいない。

 

【対話の余地があればよいのだがな…何事も平和的解決が一番だ】

 

『赤獅子軍の将軍が何を腑抜けた事を』

 

【オールウェイズバトルウェルカムなジャンキーではないのだ我が妹よ…】

 

「私はここのマヌス・セリス大教会が気になるね。なんだか場違いなくらいに立派な教会だし」

 

レンは影の城の裏側、マヌス・セリスの大教会を示す。

 

「それに、遺跡っぽいのもある。多分だけど、重要な先史時代の異物にまつわるんじゃないかな。この遺跡と教会」

 

「レンが気になる場所言うなら、私も〜。この、ギザ山!気になるよね〜」

 

ルゥが示してたのは、影の地の中心から離れた位置に存在する巨大な山。ギザ山という、竜の総本山。

 

「凄い生命力を感じる…パッパパワァ的な暴虐の生命力…!」

 

「ルゥちゃん様にそんなに言わせるなんて…とんでもないのがいそうだね…!そして、私達が目指す最終的な目標は、ギル達がマーキングしたここ!」

 

影の地上部、完全に城の後ろに庇護されるように存在する、隠された地。そこにはギルらがマーキングした印が付いている。

 

「マリカの故郷で、貰った大ルーン全部を使って修復ルーンを作る。マリカの想いはメリナが読み取ってくれるんだって。それで出来るんだ。マリカの想いから生まれる大ルーンが!」

 

それを形にし、エルデンリングに掲げ修復する。それが、この旅路における最後の締めくくり。それは、もうすぐそこに迫っていた。

 

「種火の件は、最悪オレがなんとかできる。メスメルの命は必ずしも奪わなくてもいいということは断っておくよ」

 

「狭間の地では万能と思っていたが、影の地でも問題なく万能だな。ラスティ殿」

 

「一人で何でもできないと、生きていけなかったからね。狭間の地や影の地は」

 

「では、まとめよう。まずは砦にてレラーナを突破。そのままメスメルを打倒。隠された地のマリカの故郷に向かい修復ルーンを生成。ラウフの古遺跡に存在する蕾の聖女ロミナを撃退。封印の木を焼き払い、エニル・イリムを現出。神の門にて兄様と決戦を行う。大目的は、こうで相違ないな?」

 

マレニアの言葉に、一同は頷く。ミケラは新たなる世界の在り方をかけて、雌雄を決さなくてはならない影の地における神である。避けることは不可能だ。

 

「では、大教会にギザ山はサブクエストという事になるのでしょうか?」

 

「そうだね。でも、絶対に成し遂げるべきって確信があるよ!」

 

レン、ルゥの直感や予感をリッカは強く推進していた。困難な試練と、目も眩む宝は比例するもの。新たな出会いと、世界を救う素晴らしい何かがある。旅において、ソレは不文律であるからだ。

 

「では、マリカの故郷を拠点としてサブクエストを片付けよう。この地は強敵ばかり、単独行動は危険故、可能な限り皆で挑むべきだ」

 

マレニアは一貫して、冷静で毅然な指揮官の様相を崩すことはなかった。腐敗が消え、…身体に刻まれた生々しい傷跡も消えた彼女は、しかし戦士の様相を保つ。

 

「…マレニア、ミリセントも大丈夫?無理してない?」

 

リッカがその懸念を真っ先に口に出す。マレニアの醸し出す意気は強く、しかしリッカは一歩踏み込んだ。

 

「気を遣ってくれているんだな、君。私達は大丈夫だよ」

 

ミリセントの人格が表層化し、リッカに笑みを返す。

 

「マレニアの中で、ミケラの選択は誤り、間違えているという結論を出しているようだ。折り合いもつけている」

 

「………」

 

「間違っている道に向かってしまったならば、それを糺すもまたミケラの刃たる使命。…少なくとも、私達はそう折り合いをつけているよ」

 

気丈にして凛とした振る舞いを、マレニアは一行に示す。それは揺るがぬ、熾烈なる意志の刃の如くに。

 

「もうすぐ夜になる。黄金樹の輝き無き影の地の夜はまさに深淵だ。夜を明かし、英気を養い向かおう。いいだろうか?」

 

マレニアはあくまで毅然と、ミケラと戦う意志を崩さない。一同の刃であり剣として、自らを厳しく強く律している。

 

『レラーナは我が母の妹。生半可な相手ではない。ついでにミケラとかいう糞餓鬼を倒せちゃった、という気概で挑むぞ』

「ら、ラニ?…気持ちは解るけれど…」

『(ぷいっ)』

 

【ははは、母への情が強すぎるが故父ラダゴンを許せんのだな?だが案ずるなラニよ!少なくとも、私は決してミケラになびかぬ!ずっと味方だ!】

「義兄ラダーンは自らの力で魅了を弾いたのですよね…?」

 

【そうらしい!まぁそう言われても全くピンとこなかったのだが!やはり気合いか!気合いが違うということか!】

 

「………凄い漢だ…」

 

「旅路もそろそろ終わりかぁ…狭間の地に帰ったら、ラスティが拒絶の棘を焼き払えばいいわけだし…」

 

「旅が終わる頃には、レンの記憶だって元に戻る筈だよ。頑張ろうねぇ」

 

「うん。自分が何者かをちゃんと思い出して、はやく本当の自分で皆と触れ合いたいと思うよ」

 

「神か……殴りがいのある神を頼みたいところだ。神に対しては感謝の中に一発殴りたいという細やかな願いがあるのだから」

「私はいつだって、先輩や皆さんを護り抜くだけです!」

 

一同がキャンプルームを組み立てながら、影の地における旅路にも想いを馳せる。

 

この旅路、この戦いは偽神の点在する時空と座標を見出す戦い。

 

神のいる座を、潜む場所を見つけ出すためにマリカを仲間とする為の戦い。

 

「すまない、リッカ。私とマレニアは鍛錬を行う。先に眠っていてくれ」

 

「うん、おやすみ。マレニア、ミリセント」

 

「あぁ。おやすみ、リッカ」

 

狭間の地、そして影の地。エルデンリングを巡る旅の終盤が…

 

 

間もなく、始まろうとしていた。

 

 




マレニア「─────!!」



腐敗や宿痾なんて関係ない。

お前は、私の妹だ。

支え合って生きていこう。兄妹で、ずっとずっと。



マレニア「!!」



悲しまなくていい。

涙しなくていい。

必ず、お前の兄がお前を救うからね。

マレニア。

私を信じて待っているんだよ。



マレニア「─────!!」



私は約束を果たして戻って来る。

必ずお前を助けてみせる。

何があっても。約束だよ。

約束だ───。



マレニア「…………………」

リッカ「───雨、降ってきたね」

マレニア「………貴公か。雨など、見受けられない」

リッカ「降ってるよ。あなたの心に。涙になって降ってるよ」

マレニア「……!」

リッカ「神様だって、泣くことはあるよ。心があるんだもの。それを、誰も否定はできないから」

マレニア「…………私は……」

リッカ「はいっ、どうぞ!」

マレニア「…?」

リッカ「私の胸、貸したげる。いっぱい泣いて、明日から一緒に頑張ろっ!」

マレニア「………」

リッカ「私、沢山の人にこうしてもらったんだ。だから今度は、私が誰かを癒す番なんだ。だから、ね?」

マレニア「…………兄様」

リッカ「うん」

マレニア「……あぁ、兄様、兄様……兄様…!」

リッカ「うん」

マレニア「………兄様………っ!!」

リッカ「うん…」

マレニア「…信じたくない…!兄様が、兄様が、愛を…愛を捨てただなんて…!あの、あの優しい兄様が…!」
リッカ「うん、うん」

マレニア「兄様は、私の、私の…!大切な、兄なのだ…!たった一人の…大切な…!うっ、ううっ…ううっ……!」
リッカ「そうだね。辛かったね。絶対に、棄てちゃいけないよね」

マレニア「私は、私は…………!!」
リッカ「うん、うん…大丈夫。解ってる。全部、伝わっているからね…」

マレニアは、リッカに縋りつき泣き続けた。

リッカは静かに、それを受け入れた。

……影の地の夜が、静かに更けていった…。

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