人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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すすみません、お待たせしました!


以前のレアルカリアにて

レナラ「レン。あなたは人を知りたいのね?」

レン「はい。それだけが、私の知る私です」

レナラ「じゃあ…その時にできるわね」

レン「できる?」

レナラ「えぇ。あなたの願う、あなたの魔法。それはきっと、あなたの願いを移した魔術になるわ」

きっと、素敵な魔法になるといいわね──。



誰かを助けるための魔法

「指の母…間違いなく、狭間の地において重要な存在だね、リッカ」

 

「私の知っているママと違って指しか見えないなぁ…凄いなぁ狭間の地…」

 

レンとリッカの前に相対する指の母。その存在について、リッカとレンが有している情報は少ない。

 

(ユミルはこれと会わせるために私達を導いたのかな。それなら、何のために…)

 

レンは静かに思案する。人を理解したい、知りたいというのならばその思惑、その思慮を読み取らなくてはならない。レンの頭の回転は、エルフならではの賢明さを宿す。

 

(自分でやらない事から、多分倒すのは無理だった。そしてユミルはママになりたいと言っていた。ソレはつまり…)

 

「…あれ?レン、あの指ママ…なんだか傷ついてない?」

 

その時、リッカはメーテールの身体が、指の肉体が欠損し傷付いている事に気付いた。それは、まるで鋭利な刃において斬り裂かれ身体の一部を切り取られたかのような。

 

「…もしかして。壊れた母という単語が表しているのがアレなら、誰か壊した人がいる、ってことかな」

 

レンはそう推察した。何か、誰かの冒涜で指の母は致命的に損壊し、それにより狭間の地の全てが狂ってしまったのだと。

 

「でも壊れた部分はあくまで一部。その力は健在だから…ユミルは、指のママになるためにこのママを私達に殺させたがっているのかも」

 

そして結論づける。彼女、そう仮定したメーテールは遥か巨大な姿をしており、生半な人間が倒すことなど叶わない。

 

ならば、指の遺跡を踏破できる強い力を有したものにそれを成し遂げさせる。力あるものが指の母の力を取り上げてくれる事を。

 

「……………」

 

リッカはレンの言葉を聞いて、メーテールを見る。

 

メーテールはリッカらを見ながら、襲いかかる様子はない。ただ、懸命に天を広げ、何かを受け取ろうと待っているよう見える。

 

「是非ともラスティの話も聞いてみたいんだけれど…多分彼、問答無用で殺すか殺されるかの戦いになっちゃってたと思うんだ」

 

レンの予測は正しい。ラスティは同じ様にユミルに導かれ、指の母と対峙した。

 

しかしそこは流石の褪せ人、メーテールはラスティに襲いかかりラスティはこれを返り討ちにした。

 

だがその時、メーテールは逃亡。ここならざる次元へと逃げ去ってしまい、母の力のみをラスティは手にするに留まったのだ。

 

結論から言えば…ラスティには、ラニ以外の全ては殺すか殺されるかしか赦されぬ孤高の道を歩まざるを得なかった。

 

だが、リッカとレンは違う。その視座は別の結末を見られる。カルデアの旅路は、ラスティとは違う、ラスティが望んだ結末に至る可能性を宿す。

 

「レン。今から私、すっごく変なこと言っていいかな」

 

「いいよ。言ってご覧」

 

「私…指ママとコミュニケーションを図りたいって思ってる。もしかしたら、意思がある筈!」

 

その根拠は、リッカが指さした。メーテールの唯一人間らしい両腕。それは、祈りに組まれていた。

 

祈りとは、心の所作。知恵なき下賎な獣に神はいない。ならば、指の母には神があり、心があるのだと。リッカは見抜いた。

 

そして……

 

「リッカならそう言うと思った」

 

その答えは、レンにとっても。

 

「ど、どうして?」

 

「ここまで旅した。ここまで一緒にいた。そんな『藤丸龍華』ならそうするって確信してただけだよ」

 

レンのウィンクは、確かな絆の証としてリッカを満たした。笑顔で頷き、まずは指の母に接触を行う。

 

〈ζ∈∷|∝∶∈∶|∈∷|∈∏ζ……〉

 

「怖くない怖くない、私はえっちなお姉さんだよ〜」

「ワタシ、アナタ、マルカジリ。コンゴトモヨロシク…」

 

マルカジリのワードが良くなかったのか、人間の腕にぶん殴られてリッカは数メートル彼方に吹っ飛んでいったが、レンは指の母の傷痕の調査に成功する。

 

「これは……魔術と呪術的な傷…。大いなる神や、それらを傷付けるために編まれた『運命の死』を宿した刃物で切り取られたのか…」

 

レンはレナラより魔術の全ての智慧を授けられた。故にこれは、凄まじき冒涜の果ての傷と導き出す。

 

「もし指の母がユミルの言うように導き手ならば、その傷により神の神託を受ける機能が壊れてしまったという事なのか…だから神の指示を受け取ったと誤解した神は、それでも好き勝手する狭間の地を神は見捨て、指の母は自らが壊れたことに気付けずひたすら受信しようとし続けた…なんていうアンジャッシュコントなんだろう…」

 

「ただいま〜(うぞぞぞぞぞ)」

「そのいっぱいのユビムシはどうしたの、リッカ」

「指ママがさっき産んでた!意外と仕草が可愛いんだ皆!」

 

ユビムシと共存を果たしたリッカが、レンの推測を聞くとうんうんと頷いた。

 

「じゃあ指ママの傷を癒して、治してあげれば…もしかして新しい時代の導き手の一つになってくれるのかも!」

 

「きっとそうだね。この傷付いたママを癒してあげたら、きっと狭間の地はあるべき姿に向かっていくかも」

 

レンたちは頷き、そして治癒を試みた。指の母の受けた傷と故障をである。

 

「この運命の死の呪いを解くのは私がやってみよう。試したい事もあるしね」

 

「試したい事?」

 

「うん。任せてよ、リッカ」

 

レンは立ち上がり、魔力を練る。

 

「………」

 

魔を敷く法。それは狭間の地にて作られたオリジナルの魔術。

 

しかしそれは全ての魔術と祈祷を知り尽くした絶対的なる王、ゴッドロードの王政を敷くためのもの。レン完全オリジナルの魔術とは、言い難かった。

 

レンのオリジナルの魔術は、まだ出来上がっていない。それは、自身の納得するものという意味ではあるが…

 

「人の全てを知ったわけで無くとも、私は確かに人を知った」

 

それは未来に突き進むリッカの決意であり、全てを護るマシュの勇気であり、力の全てを持ちながら誰かを愛すラスティであり、カルデアの善き人らであった。

 

「星の浪漫に想いを馳せ、星屑を愛でる心があれば、誰でも最高の魔術師になれる」

 

星の浪漫とは今を生きる世界の事。

 

星屑を愛でる心とは、星空のように満ちる人の事。 

 

ユミルの言葉、レナラの叡智、そしてレンの才覚と理論により、今ここに新たなる魔術が生まれる。

 

「…リッカ。君達の魔術の最奥の名前はなんだっけ?」

 

「固有結界だよ!」

 

「そっか。じゃあこれはこう名付けよう」

 

レンから魔力が溢れ、無機質な青と水床から、世界が切り替わる。

 

レンの魔術。それは彼女が持っていた心の形。

 

自分と誰かの願いを叶える、心象風景の具現。

 

「固有結界────『人を助ける魔法(レスキュラーク)』」

 

辺りには光が満ち、世界は静かに塗り替わる──。

 

 

「ここは…!」

 

三人は、夜空の下にいた。無数の流星群が降り注ぐ、花畑の中心の夜空。

 

「理論は学んでみたから、やってみたら出来た。うん、上手くいったよ」

 

レンは静かに杖を下ろし、空を見上げる。

 

「人を知りたい。『何故そう思ったか』を逆算して心象風景を再現してみたんだ。ここは、人間の願いを叶える場所。リッカが治したい、仲良くなりたいと思えば…指ママはきっと元に戻る」

 

「ほんとう!?」

 

「人を助ける魔法、だからね。少なくとも…私は君のような人間を、助けたいと願えるエルフだったみたいでよかったよ」

 

リッカはレンに、力の限りに抱きついた。

 

「グェッ(ゴキッ)」

「ありがとう、レン!!レンがいてくれて、本当に良かった!指ママと話してくるから待っててねっ!」

 

リッカは喜び勇んで指ママへと対話を開始する。きっとすぐに、この世界で仲良くなるだろう。

 

「首が安定しなくなっちゃった…」

 

ぐわんぐわんの首を揺らす中、レンは不思議な体験をする。

 

「────」

 

花畑の向こうに、誰かがいる。

 

青い服に、水色の髪の誰か。

 

幻のように、影しか見えなかったけれど。

 

その表情には──微笑があった。

 

「………」

 

その姿に、覚えがあったのかは分からない。

 

ただ、レンの目には浮かんでいた。

 

静かな、美しい涙が。

 

流星群は、静かに夜空を彩り続けた。

 

 

 




リッカ「仲良くなってきたよ〜!」

レン「さすがリッカ」

リッカ「名前はメーテールっていうんだって!パパと交信するために来たんだけど、ずっと上手くいかなくて困ってるんだって…」

レン「やっぱり」

リッカ「でも大丈夫!パパには心当たりがあったからすぐ来てもらったよ!」

レン「パパに?」



パパポポ『久しかったな、メーテール』

メーテール〈>∃≯≯∬∬∩∧∧∧<<〜〜〜〜〜〜!!!〉

リッカ「大いなる意志といったらパパポポ様だよね!」

レン「すっごい狂喜乱舞してる」

パパポポ『メーテールは私が異世界に送る娘だったんだ。まさかこんな場所にもいたなんて…ありがとう。確かに保護したよ』

レン「やったね」

メーテール〈≧∶∌∈∈≯∌∃∈⊇∬∝〜〜〜〜〜!!〉

リッカ「ぐぇー!!」

レン「すごい鯖折りだ」

パパポポ『メーテールからプレゼントがある。杖をどうぞだそうだよ』

レン「杖!」

リッカ「ワンドだ〜!」

大いなる彼方の杖

指の母、メーテールの尾指と
その指の捧げ持つ小宇宙を杖としたもの

魔術と祈祷、両方の触媒となる

母は、大いなる意志の波動を受信していた
壊れ、棄てられた後も、ずっとそれを待ち続けていた。

そしてそれは今、二人の旅人により報われたのだ



パパポポ『ママの力だ。大切にしてあげてね』

リッカ「ママの力…」

リッカ&レン「「あっ、これかぁ!」」

パパポポ『?』

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