人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ラスティ「メーテールと和解できたのかい!?」


レン「お陰様でね」

リッカ「今度はパパポポ様が一緒にいてあげるから大丈夫だよ!」

ラスティ(じ〜〜〜〜〜〜〜ん…………)

リッカ「ど、どうしたの?」

ラスティ「行った先の神秘や怪異、人々と心を通わせる!オレこういう王道冒険譚好き!!」

レン「やっぱり気にしてたんだ…」

ラニ『望むべくも無かったものだろうからな…』

ラスティ「でもラニがいてくれるから歩んだ道に悔いはないしやり直したいとも思わないよ!」

ラニ『ッッ………ば、馬鹿者…』

レン「情熱的だ…。よし」

ラスティ「ん?」

レン「ラスティ、ちゅっ」 
 
ラスティ「おおっ!?レン、その艶やかな投げキッスは!?」

レン「さすが、効かない」

リッカ「一筋なんだ!」

レン「流石は自慢の王様だね、ラニ」

ラニ『知らぬ………………』

ラダーン【ははーん?照れくさくて出来ぬのだなラニ!可愛い妹め!】



〜ラダーンの氷像〜

ラダーン【】
リッカ「最短距離しか走らないのはだめだってラダーンにぃさん…!」








人を知るべき意味

「凄かったね」

 

「うん、凄かったねぇ」

 

リッカとレンはマヌス・セリスの大教会から巫子の村へと帰還していた。風に揺られ、村を整備する音から離れ二人で体育座りを行っている。

 

先の指遺跡から始まり、ママを巡る旅にして儀式やメーテールとの邂逅。そして男も素晴らしいママになれるという気付きはレンの感性に飛躍的な進歩をもたらした。もたらしすぎて脳細胞が若干大変になっているので今のレンの作画コストは非常にかんたんな状態である。

 

「ママにもいろいろあって、様々な価値観があって、ソレは一括りにできないほどに多種多様。私は知ろうとした人間に日々わからされている気がするよ。深いなぁ、人間」

 

「そうだよそうだよ。流石に私も指ママになりたい人は初めてだったけど、すごい人間は多彩なんだよ!」

 

マリカの残した黄金は消え去った正気度の恢復に貢献する。揺られる花畑をみていると、やがてレンに知恵が戻ってきた。

 

「……この旅も、多分終わりが近い。その先私がどうなっているかは解らない。一緒にいられるかどうかも」

 

レンは記憶喪失のはぐれエルフ。巫女としての役割を全うしたならば、どこに向かうかは誰にもわからない。

 

「……うん」

 

「落ち込まないで。だからこそ、今こうして伝えたいことがあるんだから」

 

レンはそっと、リッカに肩を寄せもたれかかった。

 

「私は、この旅に参加できてよかったよ。私が知りたかった、人という種族。その魅力を、存分に理解できた」

 

彼女の胸には満足があった。彼女なりの人間の答えは、その一つはこの旅にて輪郭を得ていた。

 

「人間は、皆一生懸命頑張っているんだね」

 

それは長い寿命のエルフたるレンから見た、人間への称賛だった。

 

「寿命は短くて、一人一人は弱くて、間違いもたくさんするけれど。その積み重ねる一歩一歩は、龍やエルフ、神すら見惚れるほどに美しい」

 

「レン…」

 

「人間は今、織物を織っているんだね。歴史という織物を、足跡という糸で編んで懸命に」

 

時に絡まり、時に千切れたりするし、時に長さが足りなかったりする。

 

だけど、だからといって作ろうとしている織物が無価値にはならないし、今までの頑張りは消えたりしない。人間は一生懸命、歴史を織ろうと頑張っている。

 

「でも、やっぱり生命が短い種族。だからこそ、皆が未来に生命を繋げようとするんだね」

 

星屑のように儚い生命。それらはあっという間に消えてしまう。

 

だからこそ、一生懸命つなげようとする。どんなカタチでも、どんな命でも。人間は後に、たくさんなものを残す。

 

「リッカ達の旅路も、色んなものが繋がって…色んなものを繋げていくんだね」

 

この旅路を見た者が、新しい物語を。

 

この旅路を支える者に、新しい物語を。

 

リッカ達の叙事詩は、そうやっていままで紡がれてきたんだと。レンはそれを、確かな確信として理解していた。

 

「でも、それは寂しい事でもあるんだね」

 

リッカの頬を、レンは撫でる。

 

「永遠に生きてはいられないから……どれだけ仲良くなれたとしても、別れは来てしまうんだね」

 

避けられない別離。エルフや龍、神と人間はあまりにも寿命が違う。

 

どれほど親しく仲良くしても、別れは必ずやってくる。いや、親しく仲良いからこそ、別れは何倍にも辛くなる。

 

「だったら……私達は、出会わないほうが幸せだった?」

 

リッカは愚問と知りながら、レンにそれを投げかける。レンも、愚問と知りながらそれを笑う。

 

「私達は、お互いを知り得る幸せに恵まれたんだ。そしてそれは、別離だけの別れが全てじゃない」

 

そう、人間には辿り着けない寿命の壁を、自分は一緒に越えていける。

 

「リッカやみんなは、私が連れて行く。皆の頑張りは、皆の命は絶対に無くなったりはしないよ。その全部を私が覚えて、生きていく」

 

「何年も、何十年も?」

 

「何百年先だって、きっと忘れないさ。私が、皆のことをずっとずっと覚えて生きていく。何千年も先に、君達の頑張りは伝わるんだ」

 

長い寿命の中で、魂は老いていく。

 

しかし、その老いは輝きと約束が若返らせる。

 

「私は絶対に忘れないよ。リッカや皆の頑張りを未来に連れて行くために、旅を続ける」

 

それは、彼女が旅で見つけた答えの一つ。

 

「皆の事を、ずっと未来に連れて行くために。私は人を、知りたいと思ったんだ」

 

失った時に、初めて取りこぼした宝に涙した。

 

もう二度と、拾い上げられない宝に涙した。

 

それは、知らなかったから。

 

重さと、価値と、大切さと、日々の輝きの価値を。

 

 

だから知りたかった。だから知らなくちゃいけないと思った。

 

日々人間と過ごしていく上で増えていく思い出を、重荷と勘違いしないように。

 

どうせ別れてしまうのだからと、捨て去ってしまうことのないように。

 

永遠でないから、いつまでも一緒にはいられないから。

 

おじいちゃん、おばあちゃんになるまで一生懸命頑張ってくれた皆に、お疲れ様と言ってあげられる自分であるために。

 

あなたたちの頑張りは、決して消えてなくなるものじゃないんだと、息子や孫に自慢してあげられるように。

 

人を知るべき理由を、レンは知った。

 

それは、宝物を鑑定するのと同じ事。

 

レンにとって、人間は…───

 

「人間は、世界に散らばる宝物だね。リッカ」

 

膝枕にて見上げるレンと、見下ろすリッカの視線が交わる。

 

この旅路を知らないレンは、きっと違う答えを見つけるかもしれない。

 

一期一会があるように、レンの答えはレンだけのもの。

 

だが、それで良かった。

 

それでこそ、導かれた意味を自分で見つける事が出来た。

 

神と人、龍とエルフ。そんな旅路だったからこそ見つけた答え。

 

未だ記憶は戻らなくても、焦りや不安はもうない。

 

人の価値を、人の意味を知ったレンの表情は柔らかくなっていくだろう。

 

それだけでも、レンはこの旅路に参加できてよかったと笑ったのだ。

 

「──うん!」

 

そして、その答えはリッカにとってもかけがえのない、星のような答えだった。

 

人間は星空のように素晴らしく、汚濁のように愚かである。それは彼女と、アンリマユがよく知っている。

 

それでも、彼女は人間が大切で大好きなのだ。

 

善も悪も両方あって、その上で善を選べる人が大切なのだ。

 

その気持ちを、レンと共有できた喜び。

 

人間の魅力がちゃんと伝わってくれた事実が、何よりもリッカは嬉しかった。

 

「だけどまだ、旅は終わっていないからね」

 

レンはやがて、身体を起こす。

 

「まだ、リッカたちは自分の足で歩いていける。でしょ?」

 

まだ、レンが未来に連れて行くには早い。

 

まだまだ、人間は自分の歩みで頑張っていけるはず。

 

そう信じ、レンはリッカに手を差し伸べる。

 

「勿論だよ!」

 

その手を、力強く握り返す。

 

「私達の頑張りは、ここからが本番だからね!」

 

そう、まだ駆け抜けている最中だ。

 

この旅を終えるためにひた走る。

 

この旅が終わったら、また違う旅へ。

 

人間の命は短い。無駄にしていい時間はない。

 

「うん、それでこそだよ」

 

レンは頷き、その答えに満足する。

 

これから先も、頑張っていく彼女達の生命を終わらせないために。

 

頼れる巫女として、彼女を支えていかなくちゃ。

 

「その前に───祝わなくちゃいけない節目があるんでしょ?」

 

「うん!」

 

そうして夜空の月と、黄金の祝福が満ちる神の故郷にてそれを観る。

 

 

「この景色も、絶対忘れないようにしなくちゃね」

 

それは、レンの懐いた心象風景にも劣らぬ神秘的なもので。

 

この誓いと答えを、忘れられない永遠のものとする景色であるとの確信があり。

 

「また見に来ようよ!今度はみんなでね!」

 

「うん。約束だよ」

 

そして日々を歩むための、力となる。

 

彼女たちは歩みだした。

 

旅の続き、そして…。

 

叙事詩のまた一つへの、節目へと。




レン「皆」


「明日はおめでとうだね」
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