人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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アンリマユ【そういやぁ、オガワハイムは二回もやったっけな。ったく、よりにもよってこんなもんを二回もやるハメになるとはな】

キラナ『私とか、サタンとか、色々出てきたね!』

アンリマユ【そうだなぁ…ここらで本格的にクソ野郎の尻尾とツラが見えてきたって感じもするよなぁ】

キラナ『いいことも悪いことも、ちゃんと振り返ろうね!セーヴァー!』

アジーカ【ザッハークもいた。振り返らずにはいられない。いろんな意味で】

アンリマユ【だよなぁ。じゃ、ぼちぼちやっていくとするかねぇ。振り返り、ってだけじゃ味気ない。せっかくだ。オレたちゾロアスター組の疑問にお答えしますか!】




振り返り〜オガワハイム・ゾロアスター〜

『私とセーヴァー…アフラ・マズダ様とアンリマユは、拝火教の二元神。この世すべての善と悪を司る、最古の信仰の神格なんだよね』

 

【あぁ、そうさ。その来歴は古いもんで、出自は唯一神がやった万物創造に近いんじゃねぇか?天地開闢ぐらい古いかもしれんが、神は信じられると言うより自然現象の擬人化でしか無かった時代だからな…】

 

『うん、そう。アフラ・マズダ様とアンリマユ様、そして中庸のアナーヒター様がそれぞれの頂点。性格や属性の原典…という側面を有していたんだよね』

 

【だが、毎度おなじみセファールに仲良くまとめてボコボコにされたワケだ。よりにもよってお互い最終決戦の直後に来やがったもんだからよ、まともに戦えなかったなんて笑えるオチだ。アジーカこと、アジ・ダハーカも火山の下に封じられちまったしよ】

 

【面目ない…】

 

『いいのいいの。どっちが勝っても今の世界のカタチにはなれなかったはずだから。そしてアフラ・マズダ様とアンリマユはアナーヒター様を未来に活かすため、最初で最後の共闘をして…』

 

【嘘みたいにボロ負けして今に至る、ってわけだ。私もリッカの殻、セーヴァーの人格を取り込まなきゃまともに意思疎通も出来ないくらいに弱体化しちまったってお話よ。泣けてくるねぇ…】

 

『アフラ・マズダ様は取り込む、じゃなくて使徒を通じて世界と触れ合うスタンスを取った。私という存在を通して、善と悪、独善と邪悪の違いを説くという形で、オガワハイムに遣わしたの』

 

【そういやぁ、それぞれの素性が明らかになったのも此処ってわけか。私…要するに悪神アンリマユは、この世全ての悪として捧げられたセーヴァーという少年を取り込み、その人格と方向性を世界で活動するための依代とした。外見は塗りつぶされてたから、リッカと会うまでは霊魂めいた活動しか出来なかったがよ】

 

『誰かを取り込む事で、その力を使うことができる?』

 

【そういうこった。リッカの使う泥、あるだろ?あれはアンリマユっていう神格の力を、アジ・ダハーカの魔力として変換して、リッカの魂で濾過して純粋な力として振るってんだ。もし直接使おうもんなら冬木の大火災の二の舞だぜ?聖杯にみっちり詰まってた汚濁そのものなんだからよ】

 

『アジーカとアンリマユ、リッカだからこそ使える力なんだね。そういえば、アジーカとは別のザッハークっていう奴がいたような』

 

【あれは、アジ・ダハーカの精神と本能。アジ・ダハーカ本体…悪神龍の肉体は、ダマーヴァンド山の地下深くに眠ってる。でも不老不死で死んだわけじゃなくて、肉体と、精神と本能…そして魂がそれぞれ世界に顕現している】

 

【お前はゲーティアの召喚術式でリッカに招き寄せられた、アジ・ダハーカの魂そのものってポジションなんだよな】

 

【うん。私はリッカの中で人類悪として覚醒するのを待ってた。アダムとイヴの産んだ最初の人類の強度を持つリッカだから、私を受け入れても大丈夫だった。本当なら三年で孵化するはずだったけど…】

 

『グドーシに会って、変わった?』

 

【そう。私は本能と意志あるかぎり悪逆と無慙無愧を繰り返す龍。ザッハークの人格をメインとした邪悪な龍。でも、グドーシとの触れ合いで、リッカを救った『善の味』を知った】

 

【肉ばっか食ってたやつが、菜食主義どころか金平糖にドハマリしちまったようなもんだ。カルデアに来るまでは、夏草の善性だけを食ってたんだろ?】

 

【だから、覚醒は凄く遅れた。私っていう存在のせいで感情が希薄だったけど、少しずつ治る筈だった。…カルデアに行くまでは】

 

『レフが爆発させる前の、魔術師達の悪意のせいで覚醒寸前まで行ってたんだよね…』

 

【そういう事。突然の悪意の過剰供給に、孵化寸前までいった。リッカの肉体と精神を乗っ取って、アジ・ダハーカが生まれかけた。魂の私は、どうすることもできなかった。けど…】

 

『マシュとの契約、そしてギャラハッドの加護でセーフ!だよね!』

 

【うん。そして監獄塔で退治されて、オガワハイムでもなんとかなって、今に至る】

 

【今更ながらすげぇ綱渡りだったもんだぜ。となると本来のアジ・ダハーカってのは、あのザッハークっていうクソ野郎の事でいいんだな?】

 

【うん。私という魂か、本能と精神のあいつかのどっちかが消えたら、アジ・ダハーカの本体の使用権が残った方に渡る。今は、アンリマユの力を借りて顕現している。それが、完全に自分の力でできる】

 

『なら絶対、負けないようにしなくっちゃ!アジーカちゃんが、アジ・ダハーカとして万全になれるその日まで!』

 

【正直、今のままでも全然構わないけど…悪用されるのは良くない。ザッハークは、ちゃんと殺す】

 

【その意気だ。クソ生意気にも私に逆らうとは気に食わねぇ。邪悪に落ち果てたペットの躾も、正しい悪の役目だからな】

 

『お魚みたいだね、アジ・ダハーカって!全部位使える素敵なドラゴン!』

 

【ご迷惑をおかけして面目ない】

 

『いいのいいの、アジーカは味方なんだから!私は、そうだなぁ…単純に、アフラ・マズダ様の使徒ってだけかな?』

 

【だけ、ってことはねぇだろ。魂がデカすぎて外界を認識できないから、善なる神の供物扱いで祀られてたのがお前だろうが】

 

『そういえばそんな扱いで一生終えた気がする!』

 

【セーヴァーが泣くからせめて覚えといてやれよなー…】

 

『うん。そう、セーヴァー!セーヴァーがお世話してくれたから、私、一人の人格を持てたんだよね!』

 

【途中から死んじまったから、後の事はほったらかしだがよ…あのあと、どうなった?】

 

『えっとね、倒れて目を開けたら、アフラ・マズダ様の目の前にいたよ。アフラ・マズダ様は白い大理石みたいな大きい姿で、光輪を懷いた大きな神様で、『良かったら私の使徒にならない?』って言ってくれた!』

 

【軽すぎだろ。こっぴどくセファールにぶち壊されてイカれちまってたのか…?】

 

『それで、魂は使徒になって、オガワハイムに邪悪な気配があったから送り込まれたの!そこで、再会したんだよね!』

 

【サタンとザッハークが手を組んで、アダムとイヴを利用して色々やってた】

 

【結局最後は勝ったわけだが、胸糞悪いザッハークはまだ殺り切れてるか微妙なところで、サタンは今姫様がカウンセリング中だな】

 

『シャムシードに酷いことしたのは、次のイベントまでやり返すのはとっておくね!そして、私達の最後の敵はビーストΩ、堕ちた唯一神…!』

 

【アジーカ、要するにビーストαポジションを生み出して人類を殺そうとさせたのはまあ悪くなかったが、残念な事に人類愛に覚醒する要素持ちにしちまった訳だ】

 

『迂闊だけど、話に聞く限りじゃ銀河ごと消しされる力の持ち主みたい。それは絶対、侮れるような存在じゃないね…!』

 

【アフラ・マズダ、アナーヒター、アンリマユ。また、力を合わせなきゃいけない戦い】

 

【あんなもんは金輪際だし、今じゃもう全盛期はほんの短い間だけしか使えねぇ。だが…依代のリッカがそうするんだったら、従うだけだわな】

 

『頑張ろうね!この世界の二元の論理を、二柱に代わって守り抜こう!おー!』

 

【おー】

 

【頑張らせていただきますよ、っと。目下ザッハークは二回ブチのめしてやったが、二度あることは三度あるって話も聞く。何事もなけりゃあ、いいんだがねえ…】




オガワハイム跡地


ルシファー『……サタンを名乗っていたとはいえ、本当に酷いことをしたなぁ…』

──ルシファー…

ルシファー『解ってる。責任逃れをするつもりはないよ。あれは僕の行った事。リッカの両親を弄び、聖王を辱めた。確かに僕の悪行さ』

──……でも、ワタシがルシファーの友達であることは変わりません。どれほど悪行を重ねたとしても、どれほど悪を果たしたとしても。

ルシファー『ありがとう。だからこそ…年末の戦いでは君にお願いしよう』

──!

ルシファー『僕を殺すことを、躊躇わないで。叶うなら、僕は…』

──ルシファー…?

ルシファー『──この世で、君が奪った…唯一無二の命になりたいんだ』
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