人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

274 / 2536
そして、お前達にはまだ、やるべき事が残っているのだろう。修正は引き伸ばしておく。励め


本来なら、王に挑戦した者を生かして返す道理はないが・・・――私は、姫に敗北した身だ。甘んじよう

・・・行くがいい。我が身は、特異点と共に滅びる


・・・最期に、嘆願することがあるとしたら


我が騎士を、よろしく頼む。・・・さらばだ、英雄姫

・・・これより先も。お前の輝きと尊さが――喪われぬ事を祈っている



――ベディヴィエール卿。そして・・・エア


お前達の想いは、確かに私に届いた

ベディヴィエールは私に忠義を届け

エア・・・あなたは、私に・・・敬意と感謝を届けた

聖槍の獅子王は滅びるとも・・・私には、意味があった

――この獅子王(わたし)には、意味があったのだ


私には――それが――


エピローグ1/2 永遠のカタチ

――――声がする

 

 

 

『長い旅路、本当にお疲れ様。君の罪は、贖罪の旅は、此処に清算され、結実した』

 

 

 

声がする

 

 

『本当なら。君の物語は此処で終わりだ。魂は燃え尽き、虚無へと落ち果てる』

 

 

声がする

 

『だが・・・――其処は御機嫌な王様が織り成すとびきりの痛快絵巻。簡単な結末じゃ終われない。君にも・・・もう少しと鞭打つ酷い話なのさ』

 

 

聞き慣れた、声がする

 

『さぁ、目覚めなさい。悪夢にうなされる必要はもうない。自責する必要はもうない。君の旅路を、真に彩りを加えるために』

 

 

懐かしい、声がする――

 

 

『さぁ――皆が待っているよ』

 

その声に導かれるように、意識は、上へと上り、覚醒していく

 

 

・・・私は・・・――

 

 

 

 

 

「――――!」

 

 

山の村、部屋の一室にて・・・弾かれたように身体を起こす。天井、壁、床。どれもが質素ながら素朴で優しい造りの家屋

 

 

「――ここは・・・?」

 

 

彼は、思い返す。王城に行き、聖都に至り、獅子王と対面し、そして・・・

 

 

「・・・聖剣を、返還し・・・私は・・・」

 

ふと、弾かれるように右腕を見やる。聖剣――私の罪の証。その輝き。

 

 

――無い。右腕があった場所は、軽やかな空白が在るのみだ。銀腕の重さも、魂を焼く音も、聞こえてこない、伝わってこない。

 

 

「・・・生きている・・・?」

 

呆然と、口をついてその事実を確かめる。身体も、心も、精神も。ちゃんとこうして、此処にある

 

「私は・・・ベディヴィエール。円卓の、騎士王の・・・」

 

「目覚めたか。ベディヴィエール。大任を済ませたばかりで済まないが、もう1つ・・・貴方には役が残っている」

 

響く声に、即座に顔を上げる。扉を開け部屋に入りしは、誉れも高き騎士王。アルトリア・ペンドラゴンだ

 

 

「騎士王・・・私は・・・」

 

困惑するベディヴィエールに、呆れ笑いを浮かべながら答える

 

「自らの生存をまったく考慮に入れていないとは、貴方らしい。・・・――貴方の全てを、何のために快復させたと思う?」

 

「――私は、まだ・・・?」

 

「安心なさい。この特異点は修復される。もう間も無く――聖都こそは有り得ぬ歴史。それを修正する力はいつもより何倍も早く、強い。そして、私達は既に聖杯を手にしている」

 

騎士王の言葉に、ほっと息をつくベディヴィエール

 

「・・・勝ったのですね。私達は」

 

「はい。貴方は聖剣を返還し、獅子王は敗北を認めた。――最後の計らいにて、皆をこうして一ヶ所に集めてくれたのです」

 

計らいにて?状況が飲み込めぬと言ったベディヴィエールに、騎士王が肩を貸す

 

「貴方の生命は、癒され、鞘が繋いでいる。消失とはいかない。――私は界聖杯の力を借りている故、退去は皆より遅い。・・・貴方の忠節に、助力がまだできる」

 

「き、騎士王・・・!?」

 

「だが、まずは慣例をこなしましょう。――皆が、待っています」

 

困惑し、混乱するベディヴィエールに端的の真実を告げ、歩き出す騎士王

 

 

扉を開け、東の村の広場に到達する。騎士王と歩みを共にしながら

 

 

そこには・・・その場所には

 

 

「あ!起きたみたい!みんなー!ベディヴィエールが起きたわよーーぅ!」

 

優しき僧、三蔵が二人を見つけ高らかに声を上げる。それを聞き付け、東方の大英雄と少年が笑顔で向かえる

 

「おつかれさん。――お陰さまでこの通り、村はバッチリ無事だったぜ!」

 

「お帰り!ベディヴィエール兄ちゃん!」

 

「三蔵さん・・・、アーラシュさん。ルシュド君・・・」

 

ニカッ、と顔を見合わせ笑い合うアーラシュとルシュド

 

「俺と呪腕殿は活躍した時代が近いってんで、暫く此処に残るらしい。なんで、改めて挨拶にな。ルシュドとも、もう少し世話を見ることになったってわけだ」

 

「アーラシュ兄ちゃん、弓とか、色々教えてくれるって言ったからね!約束だよ!」

 

「おう!・・・頑張ったな、ベディヴィエール。お前さんの覚悟、見届けたぜ」

 

「・・・そんな。私は、ただ・・・無我夢中だっただけで・・・」

 

アーラシュは何も言わずに、ベディヴィエールの頭に手を起き、頷く

 

分かっている、と。それだけを伝えるように

 

「てな訳で――もう一仕事だ。とびきりの笑顔を浮かべるくらいの余力はあるだろ?」

 

「笑顔・・・?」

 

それは、と聞く前に。紫色の髪の爽やかな少年と緑色の髪の青年が緩い雰囲気にて挨拶を交わす

 

「お疲れ様ー。長い旅路だったねぇ。あぁ、右腕が無くなっちゃって痛々しい」

 

「御主も人の事は言えんだろうが。左腕が死人の色、のんべんだらりの惨い有り様ではないか」

 

「あはは、まぁそういう技だし。いいんだよ、彼と同じさ。――僕が呼ばれた意味はそういうものだ。護りたい物を護りきれたのなら本望さ。うん――ラーメスとネフェ、こほん、には泣かれたけど生きているなら平気平気!」

 

右腕を軽快に上げ、朗らかに告げるモーセ。呆れながら肩を貸してやるトータ

 

「――あなたが呼ばれた意味・・・。うん、ありがとう。モーセ」

 

「どうだい?中々にいい弟子だったろう?トータと違ってちょっと自由だったけどさ」

 

「うん。・・・うん!?ちょっと待った!貴方のはちゃめちゃなんでもありの破戒の何処が!ちょっとなのよ――――ぅ!!」

 

「うひゃあお師さんが怒った!ラーメス!助けてー!」

 

「はははははは!全て世は事もなし!腹が減ったのなら言えベディヴィエール殿!最後の飯くらいは振る舞うぞぅ!」

 

賑やかに騒ぎながら、三人は愉快げに走り去っていく

 

「皆さん・・・」

 

「ベディヴィエール殿」

 

静かに、音もなく膝まずく四つの影。――山の翁、ハサン・サッバーハだ

 

「ハサン殿!」

 

「我等、山の民を代表して貴方に感謝を。――よくぞ獅子王を討ち果たされた。歴史は元に戻り、聖地は取り戻されましょう。――本当に、感謝に堪えませぬ」

 

呪腕のハサンの言葉に、ベディヴィエールは首を振る

 

「この時代に、尽力していなかった方などおりません。皆が戦ったからこそ、私は役目を果たすことができたのです」

 

「――騎士、というのも・・・けして馬鹿にできる存在では無かったのですなぁ・・・」

 

「何を言う。『騎士などは悪逆非道、獣以下の畜生どもよ!』と息巻いていた貴様が」

 

「ははは、空気を読めぬ輩は困りますなぁははは、百貌の。此処は水に流す場面ですぞ?」

 

「・・・その。お疲れ様でした・・・」

 

「長い長い旅、誠に見事。――我等一同、このご恩は忘れませぬ」

 

言い争う呪腕、百貌。静かに労る静謐、煙酔

 

彼等はこの時代に残り、復興に勤める。聖地が復活するその日まで、山の翁の命を果たすのだ

 

それが――初代たる山の翁の、命でもあるがゆえに

 

 

「こちらこそ。・・・皆様の身のこなし、業。けして忘れません」

 

 

「フッ、暗殺者が業を覚えられるとは奇怪な・・・では、また後で御会いいたしましょう」

 

煙酔のハサンの言葉を皮切りに、四人は疾風のように飛び去る

 

「「「「御免!」」」」

 

その素早さは、山の民と、土地と生き抜き極みに達した者の業の極致でもあった。それを、二人は見送る

 

 

「あ!目覚めましたねベディ!こっちですこっち!」

 

ぴょんぴょんと跳びはね手招きするはヒロインX、アルトリアだ。此度はセイバー殺しの顔は浮かべず、笑っている

 

 

「いつつつ・・・お、おうチキン野郎。生きてたのかしぶてぇな・・・」

 

「・・・サー・ベディヴィエール。お疲れ様です」

 

身体中をズタズタにされ、治療中のモードレッドとランスロットが顔を上げる

 

「この度は聖剣返還本当にお疲れ様でした!本当に本当によく頑張りましたね!それに比べこの円卓の恥さらしどもと来たら。迂闊な失言でアッ君怒らせて勝てた試合を引き分けに?嘗めているんですか?獲物の前で舌なめずりは三流の真似ですよ?騎士道嘗めてるんですか?」

 

アルトリアは容赦なく二人の鎧を蹴飛ばし唾を吐く

 

「だから貴方達は円卓の恥晒しなのです。メンタルクソザコ湖に私モドキの不出来な息子。恥を知りなさい恥を。ガウェ――ゴリティーンをソロ討伐した私に申し訳ないとは思わないのですか?」

 

「ちげーんだよ父上!こいつがバカな一言言いやがって本気出させやがってさぁ!オラきいてんのか頭湖野郎!テメーのせいでしなくてもいい苦労しなきゃならなかったろーがコラァ!」

 

「・・・面目次第もない。裏切り者は私一人だった・・・」

 

ガチ凹みするランスロット。捲し立てるモードレッド。それを睨み付けるアルトリア

 

 

「私達に必要だったのは、こういった本音のトークだったのかもしれませんね」

 

その、ある意味・・・ある意味微笑ましい様子を見て、穏やかに笑う騎士王

 

 

「ま、この円卓の汚点達の治療はお任せください。撮影には間に合わせますので。ほら、さっさと治す!霊核は護ったのですから大したものではないでしょう!」

 

「いててて!蹴るな!蹴るなよ父上――!!」

 

「私は・・・もしや、剣技以外はダメダメな騎士だった・・・?」

 

「・・・強く生きなさい、ランスロット」

 

それだけを告げ、騎士王とベディヴィエールは騎士宅を後にする

 

 

「もうすぐ、太陽王達が到着すると聞きます。――現地サーヴァント達の集まりで行う慣例の儀に、貴方も参加していただきたい」

 

騎士王は楽しげに、空を見る

 

「――永劫の1つの形。別れを笑顔に、楽しげなものにする、旅の締め括りです」

 

その横顔は・・・かつて見た王と変わらず、穏やかで、気高く、美しく。晴れ渡る空に負けず輝いている

 

「それは――」

 

問い返すベディヴィエールに、一言だけ返す騎士王

 

「――記念撮影ですよ。ベディヴィエール」

 

「記念、撮影・・・――」

 

 

「騎士王ー!ベディヴィエールさーん!」

 

二人の騎士を呼びしは、新しき善の騎士たる少女、マシュ・キリエライトだ

 

 

「撮影の準備ができました!最後の儀式、張り切って参りましょう!」

 

「サー・キリエライト・・・もしや、私も?」

 

「はい!皆で、記念撮影です!」

 

そういって、マシュは二人の背中をぐいぐいと押し運ぶ

 

「さぁさぁ!皆さんにも声をかけてきますから!」

 

「ふふっ、お願いします。マシュ」

 

「~!」

 

 

そして、最後の刻――

 

 

 

「フハハハハハハ!!太陽にして神である余が中心なのは分かりきっていよう!!」

 

「おぉ?そりゃあつまり!余と覇を競うと言う訳だな!?」

 

睨み合うオジマンディアスとイスカンダルに呆れ果てるセミラミス

 

「喧しい奴等だ・・・誰が一番かなど、下らん・・・ぁあ・・・」

 

プレシャス玉座にとうとう陥落し、顔を緩めさせる

 

「トータ!担いで!うつらなーい!」

 

「解った解った!叩くな叩くな!」

 

「(ネフェルタリは内緒なんだっけ?じゃあしょうがないな。・・・幸せにね、ラーメス)よーしラーメスは僕と肩を組もう!」

 

「許す!!!」

 

がっしりと肩を組みピースするエジプト組

 

「ふむぅ。そういや写りこむにはちと背丈の足らんファラオがいるのぅ?」

 

「ふ、不敬ですよ!」

 

「まぁそういうな。先達に敬意を払うは後輩の役目よ!どれ!」

 

イスカンダルはニトクリスを肩車し、一番後ろに回る

 

「きゃあぁあぁあ!ふけっ、ふけいですよ~!」

 

「わはははははは!そればかりではボキャブラリが足らんぞ!もっと弁舌を鍛えよ弁舌を!」

 

「そんな事を言われても~~~!!」

 

「ふむ、私もあれをするか?クレオパトラ」

 

カエサルの言葉に首を振るクレオパトラ

 

「貴方がいてくださるなら、それで――私は何も望みませんわ、カエサル様――」

 

「クレオパトラ・・・お前は美しいな・・・」

 

「カエサル様――きゃあぁあぁあ!」

 

勢いよく抱きつきふくよかさに吹き飛ばされるクレオパトラ。カエサルがてへぺろにてフォローする

 

「すまぬな、クレオパトラ。私はこれが全盛期なのだ」

 

「――フィットネス・・・スポーツジム・・・いつか、いつか・・・!」

 

「アーラシュ兄ちゃん、やっぱり・・・流星はいいや?」

 

アーラシュの肩に乗るルシュドがアーラシュに訪ねる

 

「お?まーだ嘘だって疑ってるのか?そりゃあ嘘みたいな話だがなぁ、嘘みたいな本当の――」

 

「だって、それが出来たらアーラシュ兄ちゃん、死んじゃうじゃない。・・・しないでね。アーラシュ兄ちゃん」

 

「――そうだな。あぁ・・・そうだな。お前さんが立派になるまで、死ぬわけにはいかないよな」

 

聡明なルシュドの頭を、強く撫でてやるアーラシュ。二人は、これからも共にあるのだろう。そう、共に

 

「・・・」

 

「ハナム?」

 

「いや。・・・サリア。無事で何よりだ」

 

「――はい」

 

かつての人生にて、縁があった女性。遠い記憶を・・・ハナムは噛み締める。彼もまた――皆と共に歩むのだ

 

「ふと思ったのだが、私達写真大丈夫か?大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。仮面があれば」

 

「そういう問題か・・・?」

 

三人のハサンが、穏やかに戦く。アウトだったらシャッターと共に首が落ちるのだ。無理からぬ話だろう

 

 

「――お父さん」

 

マシュが、ランスロットに歩み寄る

 

「な、何かなサー・キリエライト。私は、その・・・」

 

「――最後くらいしゃんとしてください!」

 

「とぅわっ――!」

 

容赦ない口撃で凹ませた後

 

「・・・隣に失礼します!」

 

どすん、とランスロットの隣に座るマシュ

 

「――サー・キリエライト・・・?」

 

「最後くらい・・・優しくしてあげなきゃ。親子の絆の意味がないじゃないじゃないですか」

 

目を見開くランスロット、恥ずかしげに顔を背けるマシュ

 

「――――あ」

 

「『あ』?なんです?何か――」

 

「Aaaaaaaaaaa――――――!!!!!!」

 

感極まり叫ぶランスロット。はじめて受けた息子娘の気遣いにクラスチェンジを果たすダメ親父

 

「うるせぇ!!傷に響くだろうが!!」

 

「貴方もですよモードレッド。傷に響きますから黙ってください」

 

「五月蝿いですお父さん!!!」

 

「ぐあっはぁっ――!!!」

 

円卓コントを繰り広げ笑い合い、殴り合う騎士達

 

 

「目覚めたか。此度は貴様ら円卓の内輪揉めでもあったからな。その筆頭の貴様らにセンターは譲ってやろう」

 

そして腕を組み撮影器具を用意するは我等が英雄王、クラス・ゴージャス。ギルガメッシュである

 

「英雄王・・・」

 

「苔の一念。水滴が岩を穿つがごとき執念、見事であった」

 

王の言葉に、深々と頭を下げるベディヴィエール

 

「騎士王。後始末は任せるぞ」

 

「――はい。その為の・・・界聖杯。・・・本当にありがとうございます。英雄王」

 

「礼など要らぬ。我は我の好きに振る舞っているだけなのだからな。さて――」

 

 

【ただいま~!!!】

 

漆黒の馬【龍騎】により飛翔しながらリッカが降り立つ

 

「山の翁とやらに挨拶は済ませてきたか?」

 

英雄王がリッカからカメラを受けとる。頷くリッカ

 

【うん!伝えてきたよ!『力を貸してくれて、ありがとうございました!』って!・・・】

 

 

 

 

【礼には及ばぬ。我はあくまで助力のみ。天命を告げしは、汝の力なり】

 

【でも、じぃじも確かにいてくれたから。――私は、それを忘れない。・・・ありがとうございました。キングハサン。貴方のこの外套、宝物にします】

 

【――藤丸リッカ。揺るぎなく進め。この先にいる者は、大魔。人類が抱きし原初の罪。――汝と近しく、また永遠に遠きもの】

 

【――】

 

【心せよ。――また、必ずや見えん事を。誇り高き龍よ】

 

【――うん!】

 

 

 

 

 

「・・・また会おうね。じぃじ」

 

リッカは、身に纏った外套を強く握りしめた。縁を信じ、再会を願って――

 

右胸には・・・リッカと山の翁の、二人だけの写真が入っていたのだった――

 

――役者は揃いましたね!

 

(シャッターはボクにまかせろー!)

 

エアとフォウがカメラをいじり、タイマーをセットする

 

「――皆さん・・・」

 

「ほら、ベディヴィエール!はやくはやく!」

 

リッカがベディヴィエールの手を引き、楽しげにセンターに導く

 

「――騎士王。貴方も・・・よろしければ」

 

「・・・はい。ベディヴィエール」

 

騎士王も同じく、センターに参列する

 

 

「よし!――特異点攻略記念だ!貴様らの全身全霊の笑顔で写るがよい!では行くぞ!」

 

――さん、に!

 

(いち!)

 

 

カメラが回り、この時代の締め括り、笑顔を切り取り、永遠のものとする

 

 

「はい!ゴージャス!!」

 

リッカの言葉に、大合唱が響き渡る

 

 

「「「「「はい!ゴージャス――――!!!」」」」」

 

 

誰も欠けず、皆が笑顔のお別れ

 

 

けれど、確かな絆は此処に

 

 

――獅子王。これもまた・・・永遠の答えなのかもしれませんね・・・――

 

 

そんな奇跡を――ずっとずっと、変わらぬものとしたのだった――




――では、行きましょう。ベディヴィエール。・・・心残りはありませんか?


――はい。かの獅子王には、彼がいます。私がおらずとも――彼は、きっと。私より・・・ずっと適任だ

――では、私の手を取りなさい。騎士王の名の下、貴方を送り届けよう。――本当に、お疲れ様でした。ベディヴィエール

――いいえ。私は――貴方と言う存在に出逢えて、この上ないほど・・・幸福でした――


王城


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


「――・・・」

「獅子王。ご健在、でしょうか。――賊軍が、じき、やってきます。御身に限って敗北は有り得ませんが、どうか、細心の御注意を」

「・・・」

「貴方は・・・相手の理念を、尊重してしまう癖がありますので」

「――アグラヴェイン卿。気遣いは卿にこそ必要ではないか?手足は砕け、胴は裂かれ、片目を失っている。余程の仇敵と戦ったのか・・・」

「・・・はは。確かに。ふざけた力量の男と、狂犬のような剣技の騎士を二人ほど――我が全身全霊を以て、引き分けにするのが精々でした。こうして半死半生になりながら、・・・貴方に、汚らわしい反逆者を見せるわけにはいきませぬ故」

「そうか。アグラヴェイン卿、こちらへ。玉座に近づく事を許す。――その傷では気休めにもならないだろうが、手を。いくばくかの痛み止めにはなるぞ」

「……いえ、畏れ多い。それに、私には仕事がまだ、五つばかり残っています。」

「――・・・」

「賊軍の排除。侵入者の排除。破壊された聖都の修復。聖抜を受けた市民たちの誘導。そして―――最後にただひとり残される貴方が住まう、絢爛たる離宮の仕上げ」

「――――」

「まだ・・・やる事が、ありすぎる。ありすぎる、というのに―――・・・・・・現実は、ここまでのようだ。今度こそ、貴方に、理想の国を献上する予定、でしたが―――まことに、お恥ずかしい―――私の計画は、今回もうまくいかなかった」

「・・・そうだな。だが罪には問わぬ。――もう休むがよい、アグラヴェイン。働きすぎなのが、貴公の唯一の欠点だった」


「――――まさか。貴方に比べれば、私など――」








とある、理想郷

木にもたれかかり、安らかに目を閉じ、眠り続ける青年と、そのとなりにて空を見上げる、一人の騎士

青年の姿は、穢れなく、美しく。その顔になんの、苦しみもなく。安らかに、穏やかに寝息を立てている

風が吹き、青年の髪を揺らし、頬を撫でる

華が咲き誇り、青年を癒し、包む

右腕は無く、なんの憂いもなく、眠り続けている

そんな彼に・・・少女騎士は、穏やかに語りかける

「――騎士道の末世は潰え、星見の勇者達は、前に進んでいく」

「――――」

「彼等なら、大丈夫でしょう。きっと・・・果てに待つ【悪】でさえも、討ち果たすことができる。何せ――私を何度も何度も害し、また立ち塞がった英雄王なのですから。それが物語の主役であるのならば、不安や憂いなど何もない」

「――――」

「――本当に、お疲れ様でした。長い、長い旅を・・・よくぞ」

「――――」

「・・・貴方は」

「――――」


















 





「貴方は・・・どんな夢を見るのですか?ベディヴィエール――――」

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。