人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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キヴォトス シャーレオフィス

アツコ「はーい。エデン条約のあれこれ振り返りが始まるよ〜」

サオリ「振り返り…振り返りか…」

ヒヨリ「あんまり振り返りたくなるような思い出じゃない気がします…基本的にに御迷惑を皆さんに…」

サクラコ「いいえ、あの騒動は私達の結束を強く、信仰を確かにしてくれました。それぞれの立場を越え、皆が手を取り合って…」

ヒナ「………少なくとも、その点には同意する。アダム先生の頑張りあってこそ、だけど」

アコ「アダム先生ときたら、『無茶と無謀は生徒の為にならいくらでも』なんて!心配するこちらの立場にもなってくださらないと心労とストレスで頭がどうにかなってしまうでしょう!?」

コハル「ていうかその服なに!?なんで横乳出してるの!?エッチなのはダメなんだから!」

アコ「どこがエッチなんですか名誉毀損で訴えますよ!?」

イチカ「いや〜、まさかこうしてゲヘナと皆で談笑する日がくるとは思いもしなかったっすよ〜」

ツルギ「…アダム先生のお力あればこそだ」

ヒフミ「はい!やっぱりアダム先生の大きな背中に、私達は何度も何度も助けられました!」

アズサ「うん。………素晴らしい大人は、存在したんだな」

ナギサ「……そ、そのアダム先生は一体どこに?」

セイア「……ん、モモトークだ」

ミカ『アダム先生とラーメン堪能中〜♪』

セイア「…………始まりまで残り20分だと言うのに…」

ナギサ「ミ〜〜〜〜〜カ〜〜〜〜さ〜〜〜〜〜ん〜〜〜〜!!」

〜柴犬ラーメン

ミカ「あははっ、ナギちゃんぷんすこだろうね☆どういいわけしよっか?」

アダム「遅刻しなければ問題ない。5分前はあちらにいよう」

ミカ「ここ…アビドスなんだけどな〜?」

アダム「大将!すたみなラーメンおかわり!」

大将「あいよっ!」

ミカ「ま、いっか!ラーメンデートさいこー!」



ミカ「ね、アダム先生」

アダム「ん?」

ミカ「どうして先生は、神を殺そうと思ったの?」

アダム「どうして…とは?」

ミカ「だってアダム先生はカッコよくて、落ち着いてて、頼もしくて、カッコよくて、頼りがいしか無くて、強くて、カッコいいじゃんね?」

大将「かー、ごちそうさん!」

ミカ「そんなアダム先生が……誰かを【殺す】だなんて。イメージできないな〜って」

アダム「………オレには、許せない事がある。他者の尊厳と権利を踏みにじることだ。オレの殺した神は、それらをまとめて犯した」

ミカ「神……えっと。ヤルダバオト、だっけ?」

アダム「そうだ。………まぁこれも、振り返りにはなるか」

ミカ(聞きたいな〜という顔)

アダム「解った。五分程度で語り明かす。サラリと聞いてくれ。お姫様にするにはやや血なまぐさいからな」

ミカ「う、うん!」

アダム「偽神…正確には私を産み出した神は、私を王として産み出した。エデンという箱庭を管理する、王として──」




振り返り〜先を生きる者の始まり〜

神は、一人の人間を作った。ソレは、神に似せられた一人の男だった。

 

ソレは完全なる黄金比で造られた、始まりの人間であった。その存在に過不足は何一つなく、全ての存在の頂点に立つ王としての能力を有せし王であった。

 

彼は問うた。『我は何のためにあるのか』と。

 

神は答えた。『統べよ、治めよ。支配せよ』と。

 

ソレは、管理者としての役割を担わされた。エデンに満ちるつがいの生き物達を助け、育て、支配すること。それこそが、神が作り出したそれの役割であった。

 

ソレは、神に従い生き物達を治めた。自らのみがある神の似姿として、生き物達と共にエデンにあった。

 

ソレは駆ければ誰よりも速かった。

 

ソレは翔ければ何よりも遠く飛び立った。

 

ソレは泳げば何よりも深く潜り沈んだ。

 

神の如き力、神の如き威光を、ソレは備えていた。

 

生き物達は、誰もがソレに平れ伏した。

 

ソレは告げた。

 

『顔を上げろ。皆にもこれは出来ることだ』

 

神はただ、全ての生命に平伏と服従を強いた。生き物たちはそれになんら疑問を持たなかった。

 

ソレは、全ての生命に自立と成長を説いた。自らの力を、皆の成長と可能性を助けるために使わんと思い立った。

 

彼は獅子に牙と爪の使い方と、雄々しき心を説いた。

 

鹿やリスに、小さいものならではの利点や生命としての自己保存、逃げ方を教えた。

 

鳥たちには羽ばたき方と、羽の休め方を。互いの羽の繕い方を教えた。

 

魚たちには深く潜れる呼吸の仕方を教えた。けして溺れない心構えを教えた。

 

今ある魅力や利点を、よりよく伸ばせるように。より素晴らしいものになってくれるように自らに備わった力と教えを説いた。

 

 

動物たちは、ソレを慕った。神のように大きく、神よりも近いソレを敬い、愛した。

 

彼には王の力が備わっていたが、傲慢さや尊大さは備わっていなかった。ただ、純真な想いがあった。

 

全ての先を生きる者。全ての動物たちは、ソレよりも後に生まれたもの。

 

神により仰せ遣った、エデンを管理する役目。それを、ソレはこの様に解釈した。

 

より良い者達が集まれば、より良いものがうまれる。より良いものができる。それこそが、ソレの見出したエデンの管理の在り方であった。

 

数多の動物たちが、代わる代わるソレを慕い崇めた。

 

自分達はこんなに速く走れるようになった。

 

自分達はこんなに高く飛べるようになった。

 

自分達はこんなに深く潜れるようになった。

 

ありがとう、ありがとう。みんなあなたが教えてくれた。

 

沢山の動物たちが、彼に感謝を捧げた。

 

沢山の動物たちが、彼に頭を下げた。

 

ソレは言った。

 

『より良い世界は、皆の力で作るべきだ』

 

 

それが彼の導いた、エデンの姿であった。一人の絶対者ではなく、沢山の存在が正解に向かっていくべきだと。

 

そうして生まれる何かを見出す事こそが、自身の使命。自らを産み出した神に報いる事であると。ソレは確信していた。

 

ソレは生物達と共にあった。

 

ソレは生命達と共にあった。

 

より良い世界、より良い未来を創っていこう。そしてそれが、神の慈悲と恩寵に報いる何よりの道だとソレは信じた。

 

そしてソレは、やがてエデンに存在する全ての動物たちの王となった。

 

従えるのではなく、平伏させるのではなく、皆で力を合わせる事を説くソレを、動物たちは心より王と認めた。

 

 

ソレには意志があったが、名前がなかった。ただ、王であれと望まれた使命以外を、有してはいなかった。

 

そして彼には、つがいがいなかった。彼は究極にして頂点。つがいなど要らぬというのが神の思惑だった。

 

動物たちはそれを嘆いた。彼にもまた祝福があってほしい。

 

神の代弁者としてだけでなく、彼自身の素晴らしい人生と、名前があってほしいと動物たちは考えた。

 

動物たちは集まり、彼に相応しい名前を考えようと思い立った。

 

また、自身らに教えてくれたように、自分たちも何かを彼に返したいと願った。

 

つがい、つまり女性は神に皆で頼み作ってもらおうと考えた。

 

そうして動物たちは1週間ほど悩みに悩んだ。考えに考えた。ソレの名前を。

 

ソレが、大切な一人の存在であることの証。ソレの宝物になってくれるような名前を考えたいと願った。

 

そして、彼がエデンの開拓と開墾を終えた頃に皆の意見が定まった。

 

ソレの名前に贈られた名前は『アダム・カドモン』。動物たちが考えた『はじまりのおとこのひと』という意味の名前。

 

それほど深い意味は持たせられなかったが、アダムは膝を折り、皆と同じ目線に立って喜んだ。

 

お前たちが、誰かに何かをしてあげたいと思った。それは善き心の産まれだ。私は、それが何よりも喜ばしい。

 

動物たちはアダムを祝福した。そして更に、動物たちはアダムに一つの果実を献上した。

 

それは、動物たちがアダムに授けられたものを固形化して産み出された『知恵の実』。神が厳重に管理する果実と同じもの。

 

神は何故、それを食べてはならないかを言わなかった。

 

動物たちは、アダムこそは食べるに相応しいと信じた。

 

それらは動物たちに芽生えた知恵の結晶。アダムが授けたものが、神の果実として動物たちに結実していた。

 

アダムはそれを食べた。動物たちの智慧を集めた奇跡の果実を口にした。

 

すると彼には『自我』が芽生えた。みずからが何を、どうして、どのような生きるべきかを思えるようになった。

 

アダム・カドモンという名前は、彼を王へと押し上げた。彼は民に尽くす喜び、民が慕う感激を知った。

 

『ありがとう、お前たち。私はこれからも、お前達と一緒だ』

 

動物たちは、アダムの誕生と覚醒に心から喜んだ。

 

これからも共に、在るのだと感激した。

 

そして、アダムにさらなるプレゼントをしようと考えた。

 

 

それは、つがいだった。アダムは真なる王になった。なら、それに相応しいつがいを授けてほしいと神に願いに行こうと決めた。

 

強きアダム、聡明なアダムに相応しい存在を。優しく、麗しき、気丈なる女性こそをと動物たちは願った。

 

アダムが寝静まった頃、動物たちはエデンに在る神の座へと至った。

 

アダムは夢心地の中にいた。

 

全ての先を生きる。その使命を授かれた事に神への感謝を抱きながら。

 

そして、心地よい微睡みの中にて日は昇っていった…──。

 

 

 

 




ミカ「…わぁーお。もうそこから先生なんだ!?」

アダム「あぁ。アダム、という名前はそこからの付き合いだ。産まれた頃に、皆が付けてくれた…大切なものだ」

ミカ「あ、もしかしてファームの子たちって…!」

「子孫であり、血縁であり……確かに、エデンにいた者達の名残があるな。懐かしいことだ…」

ミカ「それでそれで、その後は?どうなったのかな?」

アダム「………………」

ミカ「………先生?」

アダム「………動物たちは、智慧を奪われた」

ミカ「えっ…」

アダム「知恵を得て、成長した全てを神に奪われた。そしてその知恵で…創造された生命が現れた」

ミカ「それって…」

アダム「あぁ。………始まりの女、リリスだ。ここから、私は自らの運命を切り拓く事となるな────」
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