人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ギルガメッシュ「よもや貴様がそこまで神々の頭を焼き尽くしていたとは予想外であったわ。振り返り、温故知新にも意義があったようだな」

マルドゥーク『(⁠‘⁠◉⁠⌓⁠◉⁠’⁠)』

シドゥリ『王よ、英雄神は『知らなかったそんなの…』と仰せです』
エレシュキガルAI『お兄様に責任の所在は無いことを主張するのだわ』

ギルガメッシュ「ええい、そんなことは我も百も承知よ!……しかし、我等の相手の糧がエアと似て非なる雑魂とはな」

ティアマト『エア…思い詰めねばよいのですが…』

ギルガメッシュ「問題はあるまい」

ティアマト『?』

ギルガメッシュ「ヤツは雑魂ではない。我の至宝だ。何をすべきかなど、あやつが一番分かっていようからな。そして、ヤツは決して孤独ではないのだ」

ティアマト『それは……』


周年話〜世界に生きる者としての君へ

夏草の公園にて、エアはベンチにてとある存在を呼び出しおもむろに会話を切り出していた。

 

──実はワタシ、この世界に転生してきた存在なんだ。ギルの庇護を受けて、ようやく自分を持てたくらいに頼りない存在だったの。

 

『えっ、そうだったんだ!?』

 

夏草のコンビニでお菓子を買い、晴天の下に自身のルーツを語る。その相手は大天使ルシファー。エアのお誘い通知で5分足らずにやってきた彼女のカルデア以外の友人である。

 

──唯一神…ビーストΩもワタシと同じ、数多無数の転生者の成れの果ての存在らしいの。ティマイオスさん…唯一神のアルターエゴみたいな存在が教えてくださったんだ。

 

『そうだったんだ………いや本当にそうだったんだ………』

 

この世界の最重要機密のマシンガンラッシュには流石のルシファーも顔を覆い天を仰ぐ事しか出来なかったものの、彼が認める至尊の美しさの所持者たるエアに、ルシファーは親友のように親身に接する。

 

『僕にわざわざお話した、って事はカルデアの皆にはまだ秘密なのかな?とても大事な秘密だし』

 

──うん。おいおい話すつもりだけど…今はまだ、ロマニさんみたいに隠すことが切り札になるかもしれないから。

 

『それでも僕には話してくれた…。そこには、大切な意味があるんだろう?』

 

いくらでも相談に乗るよ。彼はハープを取り出し気を落ち着ける美しい音色を奏で始めた。エアは、彼に告げる。

 

──転生者が、この世界の本当の敵なら。この世界に転生してきたワタシが唯一倒す事のできる『敵』でもあると思ったの。

 

『同じ転生者の不始末は、転生者がつけると?』

 

──うん。……この世界の全ては尊く、美しい価値がある。なら転生者は、その世界の何に当たるのかな、と考えて…

 

エアは空を見上げる。

 

──美しい世界に土足で踏み込み、自分の思うままに世界を踏み荒らす。それが転生者という存在の悪しき一面だということならば。……その不始末は、やっぱり転生者が責任を負わなくちゃいけないと思ったんだ。

 

『……それを、君が成すのかい?』

 

──うん。ワタシはかつて、この世界の全てを尊んだ。なら、その尊い世界を、全ての生命を守り抜くために…。

 

そして、天を睨み告げる。

 

──ビーストΩとなってしまった、たくさんの転生者達の魂を……討ち果たさなくちゃ、と考えたの。

 

全てを尊んだ故の責任。

 

自身が全てを尊んだ転生者であるなら、自身のみを尊ぶ転生者の決着は己がつけねばならない。

 

その為に、自身は転生者としてこの世界にやってきたとエアは語る。

 

──ワタシは、ビーストΩを打ち果たすことで…やっと本当の意味で、『この世界』の一員になれるんじゃないかなって。そう考えたの。

 

だが、その考えには多角的な見方が必要な事も必要だとエアは知る。独善は、邪悪に並ぶ悪であると彼女は学んだ。

 

──ルシファーはどう思う?かつて神からすらも自由で、ギルと並んで己を貫いた存在として、是非意見を聞かせて欲しいな、って思ったんだ。

 

それは友人として、偉大なる自由の先達として。決意の是非を聞いてみたかった相手。果たして自由の大先輩は、何を思うのかと。

 

『僕から言わせてみれば…』

 

ルシファーはハープを奏でながら、真摯に彼女に言葉を紡ぐ。

 

『何かを討ち、何かを殺すことで証とする。そんな野蛮な選択は、君らしくないと僕は思うよ』

 

──!

 

『アダムのやつを見てご覧?神を殺した第一人者かもしれないけど、その成果を誇ることは決してしていない。むしろそれを、消えない罪として背負い続けている』

 

その音色は、哀しさを孕む。エアの決意の先を憂いて。

 

『全てを尊ぶ君が、神であれ何かを【殺す】事で、原罪と共にこの世界に根付く結末は…僕は嫌だとはっきり言っておくよ。君の友達として、ね』

 

──ルシファー……

 

『アダムをよく見てご覧。あいつは神を討ち果たしたけれど、心では自責の念を消せてない。【完膚無きまでに殺せていたなら】【消滅まで果たせていたなら】ってね。どんな理由があれ、殺しで本当の意味で魂が救われることはないのさ』

 

──アダム先生すらも、そうなってしまうだなんて…

 

『ましてや、君が討とうとしている存在は力だけ御立派な何でもない者達だ。自分達の意義や意味を考えることもない、豪華な飾り物や力に縋るばかりで、成長をやめてしまった哀れな亡者たちだ。とても君が手を汚し、背負うような魂じゃない』

 

ハープの音色と共に、ルシファーは友に語る。

 

『君の魂はもっと自由でいいんだよ、エア。君のマスターであるリッカちゃん。君の王たるギルガメッシュを見てご覧?それぞれ絶対悪、神の楔として生まれを望まれた。だが、彼女らは自身の生き方を見出した。それこそ、君の目指すべき指標だよ』

 

──リッカちゃんに、ギル…

 

『どう生まれたか、どう根付いたかなんて大切じゃない。大事なのはどう生き、どう考え、どう世界に向き合うかだよ。ほら、見てご覧?』

 

ルシファーはエアに、世界を観ることを促す。エアの眼前に広がるは、青い空に白い雲、豊かな緑に人の営みの風景。

 

『これが、転生者たる君がこの世界に向き合った結果だよ。君が世界を美しいと、尊いと告げたように、この世界もまた君の魂を受け入れ、尊んでいる』

 

──………!

 

『僕はビーストΩの向き合った世界をこの目で見てきたからね。それはもう塩の純白とも言うべき潔癖で醜い世界だった。そしてそれが、転生者達の望んだ世界でもある。自分は転生者だから、だなんて哀しい壁を作らないでおくれ、美しい君よ』

 

ハープを奏で、ルシファーは手を差し出す。

 

『君が世界を祝福した瞬間から、世界は君を受け入れているんだよ。転生者としての責任なんて必要ないさ。胸を張って『この世界に生きる者』として、君は護り戦えばいい』

 

──いい、のかな。この世界に、いても…

 

『勿論さ。君を受け入れたこの世界は、僕が夢中になる程美しい!もっともっとこの世界を輝かせておくれ、エア。僕は未来永劫、君の紡ぐ世界と物語のファンなのだから!』

 

エアは、込み上げる感覚と想いを懸命に堪えルシファーの手を両手で包み返した。

 

───ありがとう…ルシファー…

 

『御礼をいうのはこちらだよ、美しい君。この世界に、君という福音が現れてくれて本当に良かった!』

 

色んな人に話を聞いてみるはずが、初手にて最適解を突きつけられたエアは涙を零しながら理解を得る。

 

──そうしたら、ワタシも戦う以外の手段でこの世界に何かを残すことをしないとね!地に足つける事を色々考えなくちゃ!

 

『カルデアで戦う、以外の足跡かぁ。そうだねぇ。この場合何かを作る、何かを託す、何かを生む、みたいな手段だけど…』

 

──次はカルデアの皆にも色々聞かなくっちゃ!古今東西の英雄が集うだなんて考えなくてもすごいことだし!

 

『ホントにね〜。そうだなぁ、僕ら魔界の住人も協力してあげられたら…』

 

その時、ルシファーの頭上に転輪が浮かぶ。バアルとの個人的回線だ。

 

『ルシファー様、至尊の魂との語らいの最中申し訳ありません』

 

『大丈夫だよ、どうかした?』

 

『それが………厄介な魂を保護しました。ビーストΩに見つかると、下手をすれば英雄王の致命的な瑕疵となりかねない存在です』

 

『えっ』

 

『どうかご指示を伺いたく。夏草の龍宮城にてお待ちしております』

 

ルシファーは通話を切り、エアと顔を見合わせる。

 

──ど、どうしたの?ルシファー…

 

『なんか、ギルガメッシュ絶対殺すスピリットが保護されたんだって』

 

──えっ!?

 

『見に行く?』

 

そのあまりの風雲急に、エアは首を縦に振ることしか叶わなかった。

 

 

 




バアル『ルシファー様、エア殿。御足労に感謝を』

──バアルさん!先のご連絡は…

ルシファー『君が嘘なんて言わないのは解るけど……大げさじゃない?』

バアル『………こちらが、件の魂となります』

蛇『(むしゃむしゃ)』

ルシファー『ん?なんだいこの音』

───る、ルシファー!!羽根、羽根に!?

蛇『(むしゃむしゃ)』

ルシファー『(エネル顔)』

バアル『………ギルガメッシュの『不老不死の霊薬』を喰らった…蛇にて、ございます』

蛇『(むしゃむしゃ)』

ルシファー『(エネル顔)』

──る、ルシファーーーー!?
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