人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ルシファー『エア、僕はバアルと蛇の肉体を見てくるね』

──大丈夫かな?ワタシも一緒に…

ルシファー『いいのいいの。君の悩みの解決が大事さ。しっかり自身に納得を齎しなよ?』

──ありがとう、ルシファー!

『またね!七周年おめでとう!』

──……やっぱり…

あなたは輝ける星だよ、ルシファー…




あの日の蛇に

ギルガメッシュは、カルデアに来訪した蛇と相対しそのまま無言にて相対していた。それは静寂の、言葉なき相対であった。

 

蛇の方は、かつて自身に霊草をくれた(認識齟齬あり)大恩ある存在であり再会を喜びすらしていたのだが、ギルガメッシュ自身のただならぬ態度にどうすればいいか解らないでいる。

 

(アイツにも思うところはあるんだな…意外だったよ。まさか怒るでも嘆くわけでもなく無言だなんて)

 

『かの王は不老不死の探求にて国を放り出し、数年も空座にしたあげく『我ちょっとみすぼらしいな?湯浴みして身を清めるかふはははは』などと余裕ぶっこいていたが故の国の閑散を招いた愚行中の愚行の想起をしていらっしゃるのでしょう。むしろ軽々しく流されては困ります』

 

──し、シドゥリさんが静かに激しておられます…!でも、シドゥリさんは一人待ち続けられたとか…

 

『えぇ。どうしても一言言ってやらなくば気が済まなかったものですから(にっこり)』

 

(並々ならぬ怒りを感じる…!)

 

──で、ですがギルも自らに課した使命を放棄させる死を、無二の友たるエルを喪った出来事なのです。その旅路には並々ならぬ決意が…

 

「ギル〜。君の人生のやらかしの象徴を招いたんだって?エレシュキガルから聞いたよ〜」

 

───決心の大本がいらっしゃいました!?

 

エルキドゥ、合流。不死に思いを馳せる原因となった死した命の緑の人が、神妙に固まる親友の肩をポンポンと叩く。

 

「虚栄心と欲望に足をとられるなんて慢心も極まったね。自分の人生の失敗に直面した今の気分はどうかな?ん〜?」

 

──待って!待ってエル!そこは、そこはデリケートな場所ではないのかな!?

 

「いいんだよ別に。どうせウルク完成させた後こっそり回収したんだろうし。へ〜、この子が不老不死の蛇か〜」

 

(パクッ)

 

「ふふ、聞きしに勝る暴食だ。泥なんて食べるべきじゃないよ、君?」

 

躊躇いなく手に噛みつかれながらもエルキドゥは笑う。ギルガメッシュにこれほど不躾に詰れる相手は宇宙で彼のみであろう。

 

「聞いたわよギルガメッシュ!アンタの人生のポカがやってきたんですってね!存分に嘲笑いに来てあげたわおっほほほほ!」

 

もう一柱存在していたのだった。

 

(うわ来た)

「うわ出た」

 

「何よその反応は。不老不死を土壇場でインターセプトしたグッジョブスネークはどこ?私としても花丸スタンプを上げ…」

 

(もぐもぐ)

 

「ぎゃーーー!?私の宝石庫に繋がって食べ始めてるー!?やめなさい!やめなさい悪食蛇!私の財は食べちゃ駄目でしょーがー!?」

 

「(けらけら)」

(あぁたくさん食え…おかわりもいいぞ…)

 

──全く止めようとしないのは流石のイシュタルさんアンチです!ま、待ってください!イシュタルさんは辛うじて善神ですので!止め、止め……、…!

 

「こんにちは〜。ギルガメッシュ、あなた不老不死の蛇を招いたのね?神話の弱点は概念的に覆せないから、カルデアに万が一が起きないように冥界のケージを作って……」

 

──エレシュキガルあぶなーい!?

 

「私の宝石を食うなー!!(→→→)」

 

「(ひゅー→→→)」

 

(→→→→)「あぶぁあぁあ〜〜〜!?」

 

───エレシュキガルーーーー!

 

顔面に直撃する冥府の女主人がもんどり打つなど盛大なるハプニングが巻き起こる中、奇しくもメソポタミア組が集まる形となる。

 

「大丈夫かい、エレシュキガル?災難だったね、可哀想に…」

 

「すっごい勢いで爬虫類が迫ってきたのだわ…夢に出そう…」

 

(ケージを作ってくれたとかいう気遣いの化身はどうだ。それに引き換えイシュタルと来たら…)

 

「この卑しい蛇公!そこに直りなさい躾してあげるわーっ!!」

 

(スン……)

 

「何よその『これだけ?』みたいな顔は!?もうホントにぶっ飛ばす!!」

 

『イシュタル様、仮にも不老不死の蛇たるもの。打倒は不可能かと』

 

「動物虐待は良くないな。命は大切にしないといけないよ」

 

「命もないアンタがそれを言うわけ?笑えるジョークね〜?」

 

「へぇ……」

「ふーん…?」

 

『……通信を繋げてみれば、そこは若き日の過ちが雁首を揃えて恥の上塗りをしていた、か。頭痛を通り越して目眩がするわ』

 

───賢王!お久しゅうございます!

 

『息災のようだな、エア。お前の悩みと現状は千里眼でまるっと見守っていたぞ?というよりもだな、そういう場合はまず賢い我に相談しに来ぬか!』

 

──あわわ、申し訳ございません!……あれ?もしや、転生者という事もお見抜きに…?

 

『当然であろう。お前が生前傍にいたならば、ウルクの生娘たちなどに目もくれなかったわ。ふはは、口にすればやらかしが増える、英雄とは、生きる恥と見つけたり。我の今日のウルク格言に加えておくか』

 

「(シュルル)」

 

『む。………改めて対してみれば、生理的に忌避感を感じるものよな』

 

蛇の対向をそこそこに、賢王はエアへと向き直る。

 

『エアよ、自らだけの悩みなどという噴飯ものの愚考は早々に抜け出したことは褒めてやろう。成長は決して無駄では無かったと我の太鼓判を受け取るがいい』

 

──あ、ありがとうございます!賢王、ワタシは…

 

『皆まで言わずとも良い、分かっている。お前の悩みは半分正鵠を射て、半分的外れと言うべきものだ。明星めに諭された以外の半分の悩み、お前が納得する形の決着をもたらすに、そやつは相応しかろう』

 

「(シュルル)」

 

『世界にいる証を立てる。お前はとうにその偉業をかの神殿で果たしているが、更にを望むならばささやかで良い。その蛇、未だ功績が先んじているだけの無銘であろう』

 

──…はい。その通りです。

 

 

『名を有さぬものは、本当の意味では世界に根ざしたとは言えぬ。命名というものは託したもの、託されたものの互いの価値を保証するものなのだ。愚かな我がお前にした事、忘れてはおるまい?』

 

──…はい!

 

『その様子では心配することもなかろうな。では、己の思うままに証を立てるがよい!』

 

──ありがとうございます!賢王ギルガメッシュ!

 

『なるべく時間を見つけ我に顔を見せに来るがよい!毎日とは言わぬ、週五謁見が望ましかろう!ではな!ふははははは───!』

 

愉快なアドバイスと共に、賢王は去る。同時に、御機嫌王がため息と共に腕を下ろした。

 

《賢しい我め…玉座から動けぬ分際で我の台詞の大半を奪いおって。それであるから賢しいと言われるのだ、まったく》

 

──ギル…?

 

《何も言うな、些か準備が必要だったまでの事。我の繊細なる黄金細工の如きヒヒイロカネハートにな?》

 

──硬いのか柔らかいのかどっちなんです?

 

《お前の振り返りの締めくくりだ。存分に此奴を使え。我の黒歴史オブやらかし、見事愉快なラベルを貼ってみせよ!》

 

ひょい、と蛇を持ち上げる。そして、王は蛇をエアに託し、告げる。

 

《こやつの名、お前が授けてみせよ!偉大なるギルガメシュ叙事詩の新石版制作の大役、特に我がお前に許す!!》

 

──………!!

 

《愛着あり、かつ親しみやすい名前を捻り出してみせるがいい!ああああ、等の安直な答えは拳骨+再提出という死より重い罰を覚悟しておけ!任せたぞ、我が至宝よ!!》

 

「(シュルル)」

 

───は、はいっ!

 

奇しくもそれは、かつての無銘への意趣返し。

 

無銘の蛇に、彼女は託すこととなる。

 

この世界への証……

 

名前という、大切なもの。その命名の儀式を。

 

 




蛇「シュルル………」

───そういえば…

…ワタシ達は、同じだったんだね…。
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