人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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───…………………………

フォウ(エアが王律鍵の金型を見て硬直している…!)

ギル《あれはあやつなりの集中を高める儀式よ。かの鍵は金型が秒刻みで変化する。即座に正解を秒刻みで入力する故、極限の集中が養われるのだ》

フォウ(わかりきったみたいな態度取りやがって!)

──(すくっ、すたすた)

フォウ(エア…?)

──(むぎゅ)ん〜〜〜〜〜〜〜〜(すぅ〜〜〜)
フォウ(うわぁ〜〜〜〜〜)

ギル《摂取しているのだな…珍獣よりプレシャスパワーを…》

──ん〜、やっぱりフォウの可愛さともふもふは健康に聞くね!そのうち癌と風邪とインフルエンザに効くようになるよ!

フォウ(ノーベル医学賞はボクたちのもんだぜ〜!)

──でも、命名がこんなにも大変だなんて…。ギルも、ゲーティアも…本当に素敵な贈り物をしてくださったんだなぁ…

ギル《感謝を忘れぬ心がけ…成長しても敬愛と誠実は変わらぬな》

騎士王「プリンセス、よろしいでしょうか?」

──アルトリア!

騎士王「お話は伺いました。命名の儀、懸命に挑まれているとか。素晴らしき事です」

──えへへ。でも、とても大事だからこそ難儀していて…

アルトリア「心得ています。ですので…」

「気分転換をしましょう」

──気分転換!



姫と騎士王の息抜き

「ではプリンセス、前衛は私が。あなたには背中をお預け致します」

 

──了解です。お任せください!

 

騎士王アルトリア、並びにエアは二人連れ合いシミュレーションルームを起動していた。アルトリアの誘いにより、運動がてらの模擬戦闘を行う事となったのだ。二人がチームを組む、エネミー討伐形式である。

 

シミュレーションとはいえ設置された敵のレベルは高く、最終的にはウガルやドラゴンクラスが現れるもの。それ故、トップサーヴァント同伴でなくばならないレベル設定に二人は挑んでいた。

 

「では、参ります」

 

平原、眼前に広がる鬼や武者、エルダーグールといった強力なエネミーはアルトリアが請け負う。エクスカリバー、ロンゴミニアドの一刀一槍の独特な構えは、一振するたびに大地を砕き、一薙する度に天空を削り取る。もはやそれは、赤竜の堂々たる王道踏破である。

 

──周囲に大量エネミーのリポップを確認。その数推測382。座標全確認、行動予測開始。

 

エアは傍らに至尊の守護獣フォウを置き、左手に『終末剣エンキ』の弓形態を握る。これと天の鎖を右腕に沿わせた姿が、彼女の非常戦闘形態である。奇しくも乖離剣を握るギルガメッシュと、剣、弓、槍(鎖)と分担される形だ。

 

彼女はアーチャーとして極めて珍しい、終末剣エンキ弓形態を使用する『弓を使うアーチャー』の戦法を良しとしていたのだ。理由は常日頃からギルガメッシュに『弓とは最高のクラスなのだぞエア』と伝えられていたが故である。

 

とは言え、彼女の弓矢の射撃はエミヤのような壊れた幻想を乱射する投影射撃や、アーラシュのような絶技でも、トリスタンのようなポロロンスラッシュでもない。

 

──広域反射結晶宝具展開。時空跳躍宝具並列展開。因果確定宝具起動、運命裁断宝具起動。多重捕捉宝具起動。

 

彼女の撃つ矢は基本的に一射である。そもそも彼女が戦闘に出ることは即ち、ギルガメッシュの何らかの理由による不在の穴埋めであり、戦いになってはならない状況だ。

 

故に、彼女は『たった一射』にて『戦場を終結させる』事が求められる。

 

──光条収束矢、形成。フォトニック弦形成。弓張開始。

 

故にこそ、普段行う戦場把握演算の全てを一射に伝える、言うなれば宝物庫の砲門を一射に引き絞る『王の財宝』の極限剛射。

 

──臨界確認。収束矢、射出。

 

そしてエアの手から放たれし一矢は、完全無比に計算され尽くした軌道で捕捉された全ての敵を撃ち貫く。放たれた軌道にいたエネミーを即座に貫通し、戦場に散らばった反射中継ミラー宝具に、光の矢は無数に乱反射を繰り返す。

 

「見事です、プリンセス」

 

アルトリアの称賛は、二人が一歩も動かぬ間に敵勢力が全て撃ち貫かれた事へ向けられる。異次元、因果操作、光学乱反射の何重にも織り込まれた『必中必殺の弓矢』は、全ての財を集めたギルガメッシュにしか放てぬ至高の一矢。本来ならばここに時空加速宝具により七日間加速からの『ナピシュテムの大波』が来るのだが、シミュレーションルームが保たないので割愛となる。

 

──ウガル出現!アルトリア、お気をつけて!

 

バビロニアの魔獣ウガル。人より何倍も巨大なティアマトの眷属がアルトリアに唸りを上げて襲いかかる。

 

『■■■■■■■!!』

 

嵐を纏うその爪は、当たれば並のサーヴァントの霊核を容易く砕く一撃。かなりの強敵だが、それでも相手が悪すぎた。

 

「『全て遠き理想郷』」

 

瞬間展開される王の鞘。世界から自らを理想郷アヴァロンに隔離する乖離剣の最大解放すら寄せ付けない騎士王最強の守護。右手に聖剣、左手に聖槍、そして浮遊する鞘。騎士王は戦場に君臨する騎士たち全ての王である所以がここにある。

 

「『聖王鉄槌』」

 

王の鞘に阻まれ、その解除の余波で吹き飛んだウガル。それにエクスカリバーを逆手に持ったアルトリアが三度剣を振るう。剣の軌跡が、ウガルの肉体をバラバラに分かつ。

 

「『最果てにて輝ける槍』」

 

聖槍を即座に抜錨し、六つまでの誓約を強制解放。世界を繋ぎ止める星の一撃が、ウガルの肉体を輝きの中へと消し去った。

 

「状況終了。お疲れ様でした、プリンセス」

 

──はい、アルトリア。上手くサポートできて良かったです!

 

敵は400程に対しこちらは二人と一匹。それによりながら無傷による完全勝利を記録し、二人はシミュレーションを終わらせるのだった。

 

そして、そこはシミュレーションルームにおける騎士王内緒の空間。かつて自身が村娘として生計を立てた藁の家に馬小屋であった。エアとギルのみを招くプライベートルームの様相である。

 

「気分転換は成りましたか、プリンセス。行き詰まった時は身体を動かす事が一番です」

 

騎士王はギルガメッシュより事の仔細を全て聞いている。楽園のNo.2サーヴァントは騎士王な為、真っ先に情報が向かうのだ。

 

──はい!お陰様で頭が冴え渡り、一つ目…名前を導くことができました!

 

大型の猛獣クラスに巨大化したフォウを丁寧にブラッシングしながら、エアはインスピレーションを語る。やはり、肉体を動かすことは善き成果を導き出すのだ。

 

──名はエンキ!エンキにします!ワタシがギルに使用を許されている『終末剣エンキ』『天の鎖』『英雄神の身体』のうち、エンキの名を取りました!

 

ちなみに英雄神の身体とはマルドゥークの身体の事であり、エアのパンチやキックに応じてマルドゥークの身体が時空より同じ動きにて森羅万象を粉砕するというものである。

 

──戦うことにより、王の財宝の偉大さと形を知ることができました。このエンキという名前なら、ギルの拭えぬ黒歴史の立役者にも負けないはずです!

 

《ふははは、言葉のキレが変わらず鋭いなこやつめははは》

 

「善き名前です。エルキドゥとも近しい響きですし、疎外感もありません。やはり河原での殴り合いと適度な運動は必修科目ですね」

 

騎士王も満足げにドゥン・スタリオンとラムレイの世話を行っている。互いに騎士王の愛馬であり、ラムレイはランサーオルタの愛馬だが、彼女は別に有しているのだ。

 

「プリンセス。改めて祝辞を。新たなる成長の門出、おめでとうございます」

 

──ありがとうございます、アルトリア!偉大なる騎士王でありながら、ワタシを個人的に護ってくださる騎士王には感謝しかありません!あとラマッスシリーズをくださった獅子王にも心からの感謝を!

 

エアの騎士を立候補した騎士王は、こうしてエアを気遣い助言を授け導く姉のような立場を取っている。或いは、大人と子供の違い故に娘のような感覚なのやもしれない。

 

「カルデアの宝を護るのは、こちらも望むところ。残りの命名も、どうか励まれますよう」

 

──はいっ!アルトリアの期待にも応えてみせますよ!

 

「名字にあたる部分の見当はついていますか?財宝からつけたのなら、次は歴史から付けるのはいかがでしょう」

 

───歴史……つまり!ギルガメシュ叙事詩!!

 

「はい。きっと、ギルガメッシュも喜びます」

 

《命名される輩がアレでなければ諸手を挙げたものだが……》

 

「一人では閃きに時間が掛かるやも。となれば…」

 

──友達と共に!あぁ、アルトリアはなんと人の心を解した王なのでしょうか!かんげき〜!(キヴォトスアシフット並感)

 

「──────。……どうやら、成長したのは私も、のようですね」

 

──それでは早速!……とその前に…

 

「?」

 

──ら、ラムレイさんとドゥン・スタリオンさんに触れてみても良いでしょうか!フォウとは違う肌触りを是非とも…!

 

「…ふふ。勿論、構いませんよ」

 

───やったー!

 

こうして騎士王と共に、名前を見出したエア。

 

乗馬も体験し、それはもうホクホクなのであった。

 




千年城


アーキタイプ・アース『この石板は…』

──アルク!

読もう!ギルガメシュ叙事詩!!

原典石板!!!


アーキタイプ・アース『…………はい』

圧と共に、アースはエアとギルガメシュ叙事詩閲覧会を行うのであった。
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