人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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改築編となります



「・・・人間は、様々なものを作っている・・・」

『はたらくくるま』

『建築名鑑』

『乗り物図鑑』

「――かつての子供たちには・・・人間の、こういった事を・・・学んでほしかった・・・」

「お母様、また沈んでいるのだわ・・・」

「・・・今度こそ、間違いはおこさせない。・・・過ちしか学べぬのなら、いっそ・・・――」

「お母様!これを見てほしいのだわ!」

「?」

「ガゼル!」

『小さいガゼル召喚』

「――・・・」

「・・・か、可愛いと、私は思うのだわ・・・」

「――はい。ありがとう。・・・エレシュキガルは、頑張りやさんで、優しい子になりましたね・・・」

「そ、そんな・・・」

「冥界は、貴女あってこそ。・・・自信を持ちなさい。貴女の頑張りは、私の誇りです」

「お母様~!!」

「――イシュタルは、ワガママに育ってしまっていますからね・・・活発で、よいこだけど・・・Aaaaaa・・・」



幕間 日々こそ至宝
天元突破御機嫌王改築


「そしてこやつと来たら。無銘の際は薄味の分際でやたらと剛胆でな。なんと丸腰で我が身を反逆者の前に差し出したのだ!我への信頼が揺るぎないとは言え、恐れを知らぬにも程があろう!まぁ、我がカリスマと弁舌にて華麗に切り抜けてやった訳だがな?」

 

 

「ふふっ。そっかぁ・・・随分とハチャメチャな旅だったんだね」

 

王の部屋にて、エルキドゥ、フォウ、エア、そして王にて穏やかな時間、賑やかな一時を過ごす。今、王は無銘であったエアの冒険譚を上機嫌に口にし、友に語っているのである

 

(あのときのエアは何といっても突っ込みのキレが物凄かった!空手形とか、イマジナリフレンドとか、あ、ギルの言葉を引用していじめてたっけ?)

 

《見果てぬ夢の結末は、セイバーリリィであったな、エア?》

 

――うぁ~!あぅ~!

 

顔を真っ赤にし、ベッドに顔を埋めながら足をパタパタするエア。笑うフォウ。自慢げに酒を飲む英雄王

 

「次なるオケアノスはマルドゥークの披露に我が対人余興を編み出した話が酒の話に最適であろうよ!イアソンなどといった地上最高峰の道化に、魔神柱の蹂躙!ふはははははは!!語る話の種は尽きぬ!何度読み返しても愉快痛快!我とエアが織り成すゴージャス叙事詩とは、この世で最もゴージャスな娯楽である!!」

 

「そうだね。君の姿を見ていれば解るよ。――・・・本当に、良かった」

 

ベッドに腰掛け、パタパタしているエアの頭を優しく撫でながら、緩やかな休日を過ごすウルク組

 

生前の友、第二の生で得た至宝、獣。最早王が倦怠に晒される余地は何処にもなく、慢心は自信と確信に満ち溢れている

 

「気分がよい!太陽のめの気分も解るというものよ!最早我に敵はおらぬ!勝ったな!あらゆる面で磐石よ!」

 

「それ、フラグになりかねないから程々にね。君は落とし穴に誰よりも豪快にハマるアレな人だから」

 

「ははは、辛辣よな!無銘の頃のエアを思い出すわ!」

 

――あぅー!うぅ~!

 

(ボクはエアを慰めるんだ。顔が真っ赤なエアをやさしみにて癒すんだ・・・)

 

――フォウ~!因果応報や自業自得にならないよう、日頃の言動には気を付けてね~!

 

ごろごろ転がりながらフォウを抱きしめるエア。それを見て、たおやかに笑うエルキドゥ、愉快げに、楽しげに笑い酒を進める英雄王

 

生前、サーヴァントとしての充実を噛み締めている一同に、ノックにて待ったがかかる

 

 

「英雄王。改築案が纏まりました」

 

騎士王の声に即座に笑いを収め、立ち上がる英雄王。魂を起動させ傍に寄り添うエア

 

――行きましょう、王

 

《うむ。王の愉快な改築の時間よな》

 

慣れた様子で出陣する英雄王とエアを、愉快げにみやりながら頬杖をつき、見据えるエルキドゥ

 

「ふふっ、暴君スタイルなのに賢い王様スタイルでもあるのかい?君、丁寧に道具を扱えたんだ?」

 

(わぁ、お腹は、お腹はやめてぇ)

 

「ふはは、此度の我は唯一無二!貴様的に言えばワンオフというやつよ!主に魂が二つあるのだからな!」

 

――クラス・ゴージャスは伊達じゃないのです!

 

フォウにちょっかいを出しながら笑うエルキドゥに、また愉快に告げる王、胸を張る姫

 

「そうだね。エクストラクラスは君の望むところだろう。――行ってらっしゃい。僕は僕で、作りたいものがあるからね」

 

たおやかに手を振り、片手でフォウをお手玉する

 

(うわぁ~)

 

――エルキドゥさん。ワタシの親友をお願いいたします

 

「お任せ。さぁフォウくん。君の速さを見せておくれ」

 

(ボクはランナーじゃなーい。気を付けてねエア~)

 

――うん!

 

「では、ダイジェストと行くか!」

 

こうして、御機嫌王の改築が始まるのであった――!

 

 

 

三蔵 読経部屋

 

 

「ありがとう!まずはこれよね!お釈迦様に近付くためにも日々これ精進!進歩なくして大悟なし!善哉善哉!」

 

「マメな事よ。倒れぬよう程々にするのだな」

 

「ありがとう!気遣ってくれるなんて優しいのね!」

 

「フッ、外付けで得ることでも無くば、基本我は無慈悲にして鬼畜なのだがな?」

 

「うっそだぁ~。――ところで、あの、なぴ、なぴゅ、してむのきば、って、どんなところ!?」

 

「衆生全てに絶望したなら赴くがいい」 

 

「ヒエッ――」

 

――立ち入り禁止の結界を張っておくべきでしょうか・・・

 

 

俵藤太 いつでも食べれる駆け込み食卓

 

 

「唐突に腹が減った!小腹が空いた!そんな皆の要望に答える、いきなり食卓部屋!いやぁすまん、ありがとう!これで拙者も飲み食い寝太郎ができるというものよ!」

 

「食、と言う点において貴様は無二よな。よい、足を運んでやるとしようではないか」

 

「ははは!その時はたらふく旨い飯を食わせてやるとしよう!美味しい食事に、王も民も、上も下も無いわけだからなぁ!」

 

――これが、真なる平等のカタチ・・・

 

 

モーセ 丘に草原・大樹にハンモック

 

「ありがとう。ぶっちゃけ僕は欲が薄くてね。空と海、大地があってごろごろ出来れば幸せなのさ」

 

「聖人としては模範的だが・・・拳は鈍らぬか?」

 

「ははは、鈍るようなら鍛え方が足りないのさ。逆だよ。『いくら老いさらばえようが拳は若々しく』の境地に至らなきゃ、拳は究めるべきではないと思うのさ、僕はね」

 

――聖人とは・・・そしてモーセさん、やはりどことなくエルキドゥさんと雰囲気が似ています・・・

 

「ラーメスには神殿を作らぬのかと聞かれたけど、流石にねぇ?『神でもないものが神の殿に奉られてはならぬ』なんて天罰落ちたら嫌だし。ともかく、ありがとう。僕は基本穏やかに過ごしてるから・・・何かあったら呼んでね」

 

「うむ。拳の極致、期待してやろうではないか」

 

クレオパトラ フィットネスクラブ『ウラエウス』+経理補助

 

 

「ありがとう!これで私の実力が遺憾無く発揮されると言うわけね!このカルデア、宇宙に進出しても問題ないくらいな、一大組織にしてみせてよ!」

 

「――何とは言わぬが、やはり先見の明があるな、貴様は」

 

「?・・・そして、私の威信をかけて――カエサル様を美しきあのお姿に!い、いえ?今も、美しくは、あるの、だけれど!」

 

「次だ」

 

静謐 マスター部屋の天井

 

「ありがとうございます。これで、マスターと・・・」

 

「一応部屋の体はとったが・・・貴様これで本当に良いのだな?」

 

「はい――何故なら、ここにあれば――」

 

瞬間、天井から『刃』が突き出し、静謐を穿たんと襲いかかる。それを華麗に舞いながらかわす

 

 

「――マスターの御側にいられ、頼光様に稽古をつけていただけます・・・」

 

「――天井の素材を特注するゆえ、あまり派手にやり過ぎるなよ・・・」

 

――アサシンの愛、こわい

 

 

百貌 マンション・ハサン

 

 

「我ら一人一人に個室を・・・!?豪気だな貴様!?」

 

「当然であろう。・・・あの拷問の人格はどうした」

 

「幼児のサーヴァントどもに預けた。・・・そして、これを貴様にだそうだ」

 

『黄色い華』

 

「――フッ。気を遣いおって」

 

――良かったですね、ギル!

 

《少なくとも、悪くはないな。――次だ!》

 

ベディヴィエール 最高級リゾートホテルの一室

+弁当屋さん

 

「こ、このような豪華な部屋を、私に・・・?」

 

「騎士王たっての注文でな。『癒されよ』とのことだ。ならば、作らぬ訳にはいくまい?」

 

「な、何から何まで、ありがとうございます・・・!・・・あの。もしよろしければ、各国のお弁当を振る舞わせてはもらえませんか?」

 

――なんと!

 

「ほほう?大きく出たな?良かろう!休憩がてらいただいてやろうではないか!」

 

「はい。それではまずは、デーモンのハツから――」

 

アグラヴェイン ありとあらゆるリラックスグッズを取り揃えたヒーリングルーム

 

「骨抜きにでもなる気か貴様は」

 

「王は私に休暇をもたらした。その期待に私は応えなくてはならない。あらゆる休息を堪能すべきと考え、要望させてもらった」

 

――ま、真面目にも程があります・・・!

 

「感謝する。全力で休ませてもらおう。・・・余った執務があれば申し付けてくれて構わない」

 

「馬鹿め。肩肘を張って、休む輩がいるものか。力を抜け力を。――次だ」

 

 

セイバーリリィ 馬小屋

 

 

「ありがとうございます!あぁ、干し草の柔らかさ、抗いがたいです・・・!」

 

「貴様は特異な英霊、成長を、未来を望める英霊だ。このカルデアの王にて様々な事象を・・・む?」

 

「・・・・・・すぅ、くぅ・・・むにゃむにゃ・・・」

 

――ふふっ、寝てしまいましたね

 

「これがアレになるだと?・・・ふはは、まことマーリンの輩は重荷を背負わせたものよな」

 

――お休みなさい。セイバーリリィ。よい夢を・・・

 

 

ロムルス テルマエ

 

 

「――・・・テルマエとは、ローマである」

 

「それは理解に足る概念よ。やはり身体は清潔であらねばな。まぁ――わくわくざぶーんには叶わぬがな」

 

「うむ、うむ。流れる水は繁栄をもたらし、研磨されし文化は豊かさを呼ぶ。憩いの場たるテルマエが産み出す安らぎの興りは――ローマなのだ」

 

――ローマって凄い・・・

 

《いかん、ミーム汚染が始まったか!しかしこやつめ、神祖を名乗るだけあり中々の懐の深さよな・・・!アヌにも届かんばかりではないか》

 

「王よ、姫よ。そなたらの魂もまた、癒しと安らぎを受け入れる資格がある。――労働を一先ず置き、安らかにローマにて、ローマするがよい」

 

――ギル!お風呂に入っていきなさいと仰っています!御身を癒しましょう!

 

《ローマにてローマするなどどのような文法か!だが――業腹だが安らげそうではないか!エア!風呂上がりの酒を持て!》

 

――はい!天空神のアレですね!フォウも後で連れてこようっと!

 

《枝豆もあったか・・・?酌をせよ、エア!》

 

――喜んで!

 

「うむ。――ローマは、永遠である・・・――」

 

 

エルキドゥ 静かな森

 

「うん。やはりこういった場所が好みだね」

 

――王と相部屋でなくて、宜しかったのですか?

 

「君やフォウくんがいるからね。マナー、エチケットというやつは護らなくちゃ。親しき仲にも、と言うんだろう?君達の場合は」

 

――ですが・・・

 

王と生前の関係の唯一無二の友、エルキドゥ。本当なら、彼こそが王と共に在るべき、という気持ちも、ないといえば嘘になる

 

《構わぬ。こやつはどうせ、ひょっこり顔を出そうよ。それに、――傍に置くならば、お前がよい》

 

――王、それは・・・

 

《こやつはこう見えて大の悪戯好きでな!とてもではないが相部屋など望めぬわ!枕は抜き取るベッドはひっくり返す!耳元で天命を囁く武器を研ぐ!歌い始めるなどととにかく落ち着きがない!まともな安眠を確約するならばエア、お前しかおらぬわ!》

 

――アグレッシブにも程がありますエルキドゥさん!?

 

「だって暇なんだよー。僕は睡眠なんて要らないからギルは僕を置いて眠るんだ。それならほら、僕はさ。――邪魔しなきゃって(使命感)」

 

「ふはははははははははは貴様のその性根は誠にどうかとおもうぞ!友として!」

 

「ありがとう。――はい、エア。君にはこれを」

 

『絢爛な花飾り』

 

――わぁ!これは・・・!

 

「フォウくんとレイシフトして作ったんだ。君の、自画像みたいな感じかな。僕なりの、感謝の印。――ギルをいつも愉しませ、喜ばせてくれるお礼に。彼、口下手だから。言われてないかなぁと思ってさ」

 

――二人とも・・・!

 

「む、何を言う。我とて感謝の一つは・・・・・・・・・・・・・・・称賛はしているが、感謝はしておらぬな」

 

「ね?だから・・・きっと君に似合うとおもうな」

 

――ありがとうございます!大切に、大切にします!・・・えへへ。似合うかな?フォウ?

 

(勿論だとも――あっ――(花畑になる))

 

「へぇ。それが人類愛の力の蓄積かぁ。僕もやっていい?ギル、とうとい(棒読み)」

 

「待て、止めよ!自爆にしかならぬ!良い子と兵器は真似をするなと言うのだ――!!」

 

「あははははっ!本当に、今のキミは愉快だなぁ――」

 

穏やかな時間が、また始まる

 

エルキドゥと共に、野を駆け、自然を楽しみ、笑い合う、原初の姿の王

 

そんな二人に、ふよふよと浮きながら寄り添うエア、抱き抱えられるフォウ

 

三人と一匹は、陽が暮れるまでシミュレーションの自然を楽しみ、夜になっても笑い合ったのであった――

 

 




ビーストネット


「最近、ゲーティアさんもティアママもフォウさんも来なくて暇ー。キアラさんも?」

「私は・・・常に頭で、人類が如何に気持ちよくなれるかを考えておりますので・・・えぇ」

「うわっ。・・・フォウ先輩、約束・・・どうなるのかな・・・王子様負けてないし・・・やってあげてもいいんだけどな・・・」

「ゼパなんとかさんも、この次元ではイキらなそうですし・・・もしかしたら、聖女なるキアラがカルデアに流れ着くやもしれませんね・・・」

「うわっ。マジで?――フォウ先輩怒らなきゃいいけど・・・今の先輩だと、私達『殺されちゃう』からねぇ・・・」

「それはそれで、乗っとるというのも・・・」

「聞こえてるぞアバズレ」

「まあ♥盗み聞きだなんてはしたない♥」

「オメーに言われたくねーよ!!」


深夜

『――英雄、王』

「む、ティアマトではないか。なんだ?咽び泣いて眠れぬのか?」

『――私の、情報を・・・開示します。攻略に、役立てて・・・』

「――貴様の破滅願望、真のようだな」

『違い、ます』

「?」

『私は、自殺したいのではなく・・・あなたたちの手で、役目を終えたいのです』

「・・・」

『――もう、子を手にかけたくは・・・無いのです。この世界に、迷惑をかけたくは・・・無いのです』

「・・・受け取ってやろう。哀しき万物の母よ」

『ありがとう・・・私も、協力は惜しみません・・・』

――今度こそ、誰も傷つけぬ終わりを・・・『母』が、この星に無用になる結末を・・・今度こそ・・・


(ティアマト・・・)

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