人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

2850 / 3000
『ナンバーワン……ナンバーワン……』

リッカ「ぅ……ううん……」

『ナンバーワン…ナンバーワン…!!』

リッカ「その声は……田村麻呂…?」

『目を開け、藤丸龍華。ナンバーワンの主人公よ…』

リッカ「ナンバーワン……?はっ!?」

黄金のロボット『契約だ。藤丸龍華』

リッカ「契約…?」

黄金のロボット『指輪を集めし者の、願いを叶える。我が名は『テガソード』…!』

リッカ「テガソード…手が、ソード…?」

テガソード『10万を越える物語の中でナンバーワンに至りし少女よ。お前には資格がある。指輪を有する資格が!』

『白い指輪』

リッカ「おおっ…!?」

テガソード『さぁ、願いを言え…!我等の契約は、其処より始まる…!』

(願い……)

「───私の、願いは……」


2850到達記念!〜ハーメルン・ナンバーワン!〜

「───ぱい!リッカ先輩!起きてください、リッカ先輩!」

 

顔の上から降り注ぐ、自らを呼ぶ声。リッカが目を開けると、其処には銀髪の幼い顔立ちの後輩。

 

「あれ…エルくん?それにここ…」

 

目を覚ませば、其処は夏草、そして噴水と整備された芝のコントラストが眩しい公園。リッカの魂の故郷。

 

「目が覚めましたね、リッカ先輩!テガソード様に選ばれし、人類のナンバーワンマスター様!」

 

「へ?ナンバーワン…何?」

 

「ナンバーワンですよ!ナンバーワン!テガソード様から指環を賜り、願いを叶える資格を得た僕の自慢の先輩!それがリッカ先輩じゃないですか!」

 

エルの言葉に首を傾げるしかないリッカ。言われたこと、与えられた情報が全く以て噛み合わない為だ。

 

「あ、申し遅れました!僕もまたテガソード様に、リッカ先輩への案内役の大役を仰せつかっておりまして、リッカ先輩のナンバーワンバトルをサポートさせていただきます!」

 

「テガソード様……?あの、マルドゥークみたいなロボット…?」

 

「はい!!あの御方こそは、『ユニバース大戦』において全てを救いあそばされた、救世主たるスーパーロボットであらせられます!!」

 

エルは鼻息荒く語る。ユニバース大戦、テガソードたる存在のあらましを。

 

 

かつて、『スーパー戦隊』の歴史が一瞬で終焉を迎える出来事が起きた。

 

突如顕れた大いなる闇に、全ての戦隊、そのロボット達は敗れ世界の全てが闇に閉ざされんとする『ユニバース大戦』なる動乱があった。

 

その末期に降臨したのが、黄金の救世主『テガソード』。テガソードは全ての戦隊ロボ、巨人達の力を合わせ闇を打ち払ったとされる。

 

その際に力を使い果たし、眠りについていたのだが…スーパー戦隊の指環が宇宙に散らばり、その指環の戦いに呼応し目覚めたのだ。

 

願いを叶える為の指環の奪い合い。願いを叶える為の戦隊バトル。

 

ナンバーワンを決める戦い。その果てに待つ神が如き存在こそが『テガソード』である…!

 

 

「今ってスーパー戦隊もそんなディケイドみたいな事になってるんだ…」

 

仮面ライダーに深い縁を持ちつつ、戦隊はやや疎めなリッカはそれなんてライダー大戦?といった感慨と共に指にはめられた指環を見やる。

 

「……白い、ドラゴン?黒じゃなくて?」

 

嵌め込まれた、『龍』の意匠を持つ指環。意匠が龍な事に異論はない。龍かっこいいし。

 

しかし、自分といえば黒のようなイメージがあったリッカは意外に思う。この白い龍といえば、アジーカやアンリマユではなく、マイペースナンバーワンなあの祖…

 

「僕は枕元でナンバーワンと繰り返されコンタクトされ、そしてリッカ先輩に指環の戦い方を導く役割を仰せつかりました!まさか未来の救世主ロボたるテガソード様にこのような大役を…!生命を懸けて務めさせていただきます!!」

 

「あ、なるほどー。救世主ロボだなんてエル君が燃えないわけ無いか!」

 

「はいっ!!という訳でこちらをどうぞ!」

 

リッカにエルが渡せしは、黄金の手に水色の刃が付いた武器。

 

「テガソード様の御神体です!肌見放さず所持しましょうね!」

 

「テガソード…手が、ソード!?ダジャレかいっ!?」

 

英雄王特効のネーミングセンスな神にずっこけるリッカ。だが、そこから感じる力は紛れもなく真実なるもの。

 

「リッカさんの持つ指環は『ゴジュウドラゴンリング』だそうです!カラーリングはなんと白!」

 

「なんで白なんだろうね?」

 

「知り合いのドラゴンを参考にしたとのことです!それと、彼女の魂の穢れなきを映した…とか!」

 

「ウォッ、ホホホホホホ………テガソード様ってもしかしなくても良い神様ァ〜?」

 

照れるリッカ、笑顔のエル。そして其処には、欠けてはならぬものがある。

 

「指環には願いが、契約には叶えたい願いが必要だそうです。リッカ先輩は、何をお願いしたんですか?」

 

「私?私の願い?」

 

願いならある。当然ながら、生きていく上で叶えるべき願いが。

 

しかし、『叶えて欲しい』願いといえば一つしかない。

 

「私の願いはね〜……」

 

隠すことでもない。その願いを口にしようとした……

 

その時。

 

「オー!クレイジー、ジャパニーズ!」

 

「ポリス、ポリスプリーズ!」

 

公園の一角で、声が響く。穏やかでない声が。

 

「夏草で争いとは命知らずな!」

「行ってみよう!」

 

リッカとエルはベンチより跳ね起き、現場へと向かう……。

 

 

「何がポリスだ。ポイ捨て、立ち入り禁止区域の侵入未遂。自分達がどんだけ他人に迷惑かけてると思ってやがる」

 

其処には、数人の外国人を観光客と…見慣れぬ青年が揉め事を起こしていた。

 

「あの人…夏草の人じゃないよね?」

「はい!纏う雰囲気は無慙さんにそっくりですが…」

 

黒いジャケットにジーンズ、赤インナーに黒マフラー、シルバーネックレスの抜き身の野生を宿した青年が、外国人に睨みを効かせる。

 

『今は配信を撮ってるんだぞ!』

『せっかくニホンにきてやってたのに、その態度はなんだ!』

 

「何言ってるか解らねぇな。日本に来たなら日本語喋れ!」

 

青年は観光客から、配信中のスマホを奪い取る。

 

『あ!』

『何をする、黄色いサル!』

 

「配信中なんだろ?じゃあ世界中に俺の言いたいことを行ってやる」

 

青年は、臆すること無くスマホに朗々と語る。

 

「郷に行っては郷に従え。日本の有り難い諺だ。旅行に行ったら、旅行の先のルールに従うのは人間として当たり前だ。自分だけ楽しけりゃ良いだなんてのは通らねぇんだよ」

 

それは、『日本人は怒らない』という認識から大きく逸れた『はぐれもの』の咆哮。

 

「日本人を舐めんじゃねぇ。まともなルールも護れねぇなら日本の土を踏むんじゃねぇ!よく覚えとけ、外国人ども!」

 

『ぅ、うぅ…』

 

「ほらよ、返すぜ。まだやるってんなら、自警団バイトの俺が相手になってやる」

 

日本人なら何をしても怒らない。そう侮り、治安と土地柄で日本の注目の場に至った夏草に湧いて出た悪質な観光客を、青年は威嚇する。

 

『ポリスはまだか!?何をしてる!?』

『はやくこの黄色いサルを取り締まれ!』

 

「あ、もしもし無慙さんですか?悪質な配信者がいますのでお願いします!」

 

「ヘイ、ガイズ」

 

『『ブゲェッ!?』』

 

エルの通報から数十秒後、観光客の顔面に深々と拳がめり込む。

 

「ハブ ア バッド デイ」

「地獄のような一日をお過ごしください」

 

『ァ、ア…』

『く、クレイジー…』

 

「夏草は寛容だが、ルールを外れた者にかける情けはない。うたう、連行するぞ」

「はい。悪事の数々は記録済みです。身元も完全に調べたので、悪質な存在として内海さんに報告を」

 

配信用のスマートフォンを電子ハッキングで破壊し、無慙が二人を連行する。

 

「二度と日本から出れると思うなよ、◯◯、◯◯◯◯…(恐ろしき差別用語)」

 

『ヒィィィ……』

 

『ゴメンナサイ、ユルシテ……』

 

首根っこを引きずりながら引き上げる無慙に、青年が頭を下げる。

 

「無慙さん。お疲れ様です!」

 

「お手柄だ、遠野。給与は振り込んでおく」

 

「はい!」

 

「あ、良かったらそちらの御二人とお話ください。彼女達が無慙さんの仰っていた…」

 

「……あぁ、夏草の学生ってやつか」

 

「ワイルドな方ですね!僕は高橋エルです!よろしくお願いします!」

「あ………」

 

「あ?」

 

リッカは、青年の手を握っていた。

 

「ありがとう!!私の故郷を護ってくれて!!」

 

「あ、お…おう」

 

「もしかして、別の場所からやってきたヒーローだったりします!?」

 

「ヒーロー…。いや、違うな」

 

リッカの手を、ぶっきらぼうに振り払う青年。

 

「俺はこの世のはぐれもの。この夏草で募集していた自警団のアルバイトに応募した…『遠野吠』。それ以上でも、以下でもねぇよ」

 

「……!」

 

エルは、遠野吠を名乗る青年の手を見逃さなかった。

 

その指に……『赤い指環』が嵌められていることを。

 

 

 

「悪ィな。飯まで奢ってもらっちまって」

 

その後の経過は、悪質な観光客はいつものように無慙とうたうちゃんが連行。今日のノルマを果たした吠は、その活躍に感銘を受けたリッカにご飯を奢られていた。

 

「ううん!私の故郷を護ってくれたんだもん、これくらい安いものだよ!どんどん食べてください!」

 

「お前…いいやつだな。だから無慙さんみたいな警官が頑張るわけだ」

 

自分をはぐれものと称する吠だが、厚意と食欲には抗えずご飯を贅沢に貪る。どうやら、あまり懐事情は良くないらしい。アルバイターというのも関係しているのだろう。

 

「吠さんは、どうして夏草に来てくださったんでしょうか?」

 

「バイトだ。食っていくには金がいる。だが俺はバイトを首になる常習犯。地元のアルバイトはあらかたクビになっちまって、千葉に遥々遠出ってわけだ」

 

無慙がうたうちゃんを、うたうちゃんが無慙を気遣って募集した『自警団アルバイト』。時給2000円の応募に受かった吠は、稼ぎに夏草に来ていたようだ。

 

「いい街だな。道行く皆は親切で、空気もキレイで過ごしやすい。こんな場所があったのかって驚くくらいだ」

 

「でしょ〜〜!?そうでしょ〜〜!?」

 

(リッカさんが夏草褒め殺しで偉いことになっています!)

 

「だが、いい場所だからこそああいうハイエナもいる。暫くは自警団で、ああいう奴らを追っ払ってやるつもりだ」

 

「是非お願い致します!何卒、何卒私達の故郷をぜひ!」

 

「お、おう…だから安心しろよ、坊主」

 

吠が、エルの頭を撫でる。気難しい顔をしているのを不安と受け取ったのだろう。

 

「勿論です。ですが、僕が安心するのはまだ早いですね」

 

「あん?」

 

「遠野吠さん。あなたもテガソード様に選ばれし『指環の救世主』ですね!?」

 

「!……お前…」

 

「あ、ご安心ください!実はこちらの、藤丸龍華さんも同じ存在ですから!二人は、対等の立場という事になります!」

 

リッカの手と、吠の手の指環を晒し合うエル。

 

リッカの手には白き龍の指環が。

吠の手には赤き狼の指環が嵌められている。

 

「…お前も、そうだったのか」

「い、いつの間にかそんなことになってて…」

 

和やかな雰囲気は、一触即発に変わる。

 

「どうする?お前も指環を奪う為に戦う口か?」

 

吠るの問いに、リッカは揺らがず答える。

 

「あ、それはしないよ。誰の指環も、願いも奪わない」

 

「は?」

 

「おおっ!?」

 

リッカは立ち上がり、高々と手を伸ばす。

 

「願いは叶えてもらうものじゃない。自分で叶えるものだと思うから」

 

「───お前……」

 

「強いて叶えて欲しい願いを言うなら……誰もの願いが、ちゃんと叶う世界。誰もが幸せになれる世界…かな?」

 

それは世界の理をなんとかしてもらうしかないからね!とリッカは笑い、向き直る。

 

「吠さんこそ、願いの為に指環を集めるの?もしそうなら…」

 

「いや。お前の指環や、誰かの願いに興味はねぇ」

 

「あらぁ!?」

 

テガソードの契約に真っ向から反発する二人に、エルはずっこける。

吠もまた、高々と立ち上がる。

 

「俺は、ナンバーワンになる。俺には…叶えたいような願いは無いからだ」

 

「願いが…無い?」

 

「あぁ。お前と違って、自分で叶えるような願いもな。…だが、テガソードに言われたんだ」

 

 

今のお前は雑草に塗れ、世界の大きさを測りかねている。

 

ナンバーワンになれ。ナンバーワンを目指せ!

 

そうすれば、お前の願いはきっと見つかる!

 

遠野吠!お前はもう一度生きるんだ!

 

 

「だから、願いを探してる最中だ。他人の指環はいらねぇが、この指環も渡さねぇ」

 

「吠さん……」

 

「そういう事だ。……ご飯、奢ってくれてありがとよ」

 

手を合わせ、店を出て行く吠。彼の背中は、まさに孤高の狼の如くに。

 

「狼の指環……言い得て妙なチョイスですね!」

 

「………」

 

「リッカさん?」

 

「なんか…ほっとけない!エル君お会計しといて!これお金!お釣りはあげる!」

 

リッカは意を決し、五万円を置いて吠の後を追う。

 

「あ、ちょっとリッカさん!?コースですから二万で事足りますよー!?」

 

エルはその後会計し、お釣りをきっちりリッカに返したのであった。

 

 

「吠さーん!待って、吠さーん!」

 

リッカは、先に出ていった吠を追いかける。その後ろ姿に追いついた…その時。

 

『ワーッハッハッハッハ!!日本都道府県、住みやすい街ナンバーワンになった夏草市の市民ども!よーく聞け!!』

 

街頭テレビから、謎の異形なる怪人の姿と声が響き渡る。

 

『俺様はサーモンNo.1!サモーン・シャケキスタンチン!!首都の放送圏をジャックしておいてなんだが、夏草の奴等に言いたいことがある!』

 

「なんだありゃ……」

「か、怪人……!?」

 

流石の二人も困惑する事態だが、サモーンを名乗る輩は、高らかに告げる。

 

『街興しのため!お前達はシャケを食え!!千葉県は海岸に面した土地!シャケと共に生きればもっともっといい街になる!』

 

瞬間、町中に現れる頭がベルの形をした者たちが道すがらにシャケ料理や海鮮丼を押し付けていく。

 

『ひな祭りにもシャケを食え!七五三にもシャケを食え!クリスマスも七五三に四六時中!シャケを食え!!』

 

「そこの男女アベックもだ!シャケを食え!!」

 

「ぐむっ」

「むぐっ」

 

吠とリッカの口にも、容赦無くシャケが放り込まれる。そのシャケは恐ろしくも…

 

「……美味いな」

「普通に美味しい!」

 

毒があるとか、原材料が人間とかそんな事は全くない、普通に美味しいシャケであった。

 

「おい!こいつらから肉の匂いがするぞ!」

 

「あ?」

 

「さては夏草で肉を食いやがったな!」

「夏草は水産メインに観光業を伸ばしていくのだ!」

 

取り囲まれる二人。美味しいシャケをばらまいているが、それはれっきとしたハラスメント。尊重の真逆を行く行為だ。

 

「好きなもん食って何が悪いってんだ。…肉も野菜も食わせないって縛るんなら…」

 

吠は人差し指と、親指で円を作る。

 

「「「「「!」」」」」

 

「お前らは俺の……獲物だ!」

 

意を決した吠は、指環を外し右手に黄金の『テガソード』を装着する。

 

「エンゲージ!!」

 

指環をテガソードに収め、変身シークエンスを開始する。

 

〈クラップユアハンズ!!〉

 

顔の横でクラップ2回、ステップを2回、再び顔の横でクラップを1回、身体の前で大きい円を描き、腰の横でクラップを2回。

 

「おおぉ、仮面ライダーでいう変身シークエンス!?」

 

大きくターンし、最後に頭上で一回クラップすることにより───

 

〈ゴジュウ!ウルフ!!〉

 

『アオオオオオオオオオオオオオオーーーン!!!』

 

指環の戦士ゴジュウジャー…ゴジュウウルフへの変身を完了したのだ!

 

「ゆ、指環で変身…ウィザードみたい…!」

「あれこそ、テガソード様が賜わせし力の具現!ゴジュウジャーのゴジュウウルフ!!」

 

「自警団のバイトの続きだ。全員まとめてしょっぴいてやるぜ!」

 

「「「「「かかれー!!」」」」」

 

大量の戦闘員との戦いに、ゴジュウウルフは単身飛び込んでいく!

 

「うおおおおらぁぁぁっ!!」

 

その戦いぶりはウルフの名に相応しい荒々しさを誇り、テガソードと体術を駆使した戦いにて次々と戦闘員達を葬っていく。

 

「リッカさん!リッカさんも指環の力で変身です!うたうちゃんは、別働隊と戦っているようですから!」

 

「うん!あ、でも変身シークエンスできるかな…!?難しくない!?今の戦隊ってああなの!?」

 

「大丈夫ですよ!僕が音頭を取りますから!さ、エンゲージ!!」

 

「え、エンゲージ!」

 

エルに圧されながらも従うリッカ。意外とマシュの声で圧されたらタジタジなのかもしれない。

 

「顔の横で、パンパン!」

 

「はいっ!(パパン)」

 

「ステップ、で、パン!」

 

「はいはい!(タタンッ、パン!)」

 

「円を描いて、パンパン!」

 

「はいはい!(パパン!)」

 

「最後に頭上でターンパン!」

 

「ほいっ!(パン!)」

 

シークエンスの完了により、リッカもまたテガソードの力を纏う!

 

〈ゴジュウ!ドラゴン!!〉

 

白と金、赤の意匠を記した〈ゴジュウドラゴン〉の変身を、無事にリッカは完了する。

 

「ゴジュウドラゴン!!完成です!!」

 

『なんかすっごい田村麻呂の声がするし、これモチーフルゥちゃんさ』

 

「さぁ行きましょう!夏草の為、テガソード様の契約のために!はいどーん!!」

 

『わぁあぁぁなんかエル君の押しが強いー!?』

 

戦いの最中に放り込まれるゴジュウドラゴン。ゴジュウウルフとあわや激突……

 

『丁度いい、手ぇ貸せリッカ!』

 

ドラゴンの手を掴み、振り回す要領で敵を蹴散らしていく。それは乱暴ながらも、即席のコンビネーション。

 

『えぇーい!こうなったらやけくそでクライマックスだー!!』

〈ドラゴンブレード50!!〉

 

胴体のリング部分から、巨大な大剣が抜き放たれる。白き専用武装、ドラゴンブレード50(ゴー)!

 

『あなた達全員、調和してやるーっ!!』

 

大剣を片手で自在に振り回し、戦闘員達を圧倒していくドラゴン。その名に相応しい、人智を越えた大立ち回り。

 

『やるじゃねぇか。オレも負けてられねぇ!』

 

テガソードと手の爪を振るい、野獣もかくやの俊敏な動きで敵を切り裂き撃破していくウルフ。

 

『リッカ!』

『飛んでけーっ!!!』

 

剣の腹で、ウルフを打ち出すドラゴン。その勢いは極限まで高まり──

 

 

『龍剣!合斗狼(アウトロー)ブレイク!!』

 

テガソードで、飛来する形で戦闘員全てを切り裂く──!!

 

「「「「「「ぐわぁあぁぁああぁあ!!」」」」」」

 

大爆発する戦闘員。二人の飾った初勝利にて、夏草への侵略の魔の手は払われたのだ。

 

『へっ。ルールを護らない観光客は人間だけじゃないらしいな』

 

『吠さん!やったね!!』

 

『おう。もう吠でいい。一回一緒に戦ったんだからな』

 

ハイタッチするウルフとドラゴン。いつか戦うのだとしても、そこには決して偽りでない絆が生まれたのだ。

 

「おぉおお……!!見ていますかテガソード様!指環が奪い合いでなく、確かに重なりましたよ!」

 

感激に噎ぶエル。

 

しかし、戦いは其処で終わりではなかった。

 

【お前らか!!夏草サーモン計画を邪魔したやつは!】

 

そこに現れしは、街頭テレビにて演説していた『サーモンNo.1』サモーン・シャケキスタンチン。計画を邪魔され、怒り心頭なようだ。

 

『親玉がノコノコ出てきやがった。さっさと終わらせてやるぜ!』

 

【ふっふっふ…でかい口を聞けるのもここまでだ!見ろ!】

 

『なっ…!!』

 

サモーンが投げて寄越したのは、なんと…倒れ伏す、うたうちゃん。

 

『うたうちゃん!?』

『てめぇ…うたう先輩に何をした!!』

 

【その娘は食いしん坊でなぁ。市民の口に放り込まれるシャケから民を庇って自分で食い続けていたんだよ!要するにそいつは、シャケの食べ過ぎだ!!】

 

「し、しばらく…海鮮系は御遠慮願います…がくっ」

 

『うたうちゃーーーーんっ!!!仮面ライダーだから変身も出来ずにシャケをインターセプトし続けたんだね…!?』

 

素早く身柄をエルに引き渡し、ドラゴンとウルフはサモーンに向き直る。

 

【せっかくこうして出張ってきたんだ。尋常なるナンバーワン勝負で決めようじゃないか!】

 

『尋常なるナンバーワン勝負!?』

 

【そう、どちらがより素晴らしいシャケを示す事の出来るかの勝負!勝ったほうが真のシャケ!勝ったほうが真のサーモンNo.1だ!!】

 

『真のサーモンNo.1!?』

 

風邪を引いた時の悪夢めいてきた展開に自慢のコミュニケーションが全てツッコミに変換されるリッカ。そんな中、ウルフが応える。

 

『おもしれぇ。勝ったほうが夏草の未来を手にするって訳だ。その勝負……俺達が受けてやるよ!!』

 

『俺達!?』

 

【良いだろう!ハンデはつきものだ!では行くぞ!決戦のバトルフィールド…決戦のサモーンフィールドへ!!】

 

今、夏草の命運を懸けたサーモンNo.1バトルが始める…!!

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

夏草料理スタジオ。

 

「そんな訳で始まりましたサーモンNo.1対決!実況はテガソード信者高橋エル!解説は夏草市長、内海羅王さんでお送り致します!よろしくお願いします、市長!」

「よろしくお願いします。あの怪人のシャケ料理は振る舞われましたが、とても美味しかったんですよ。ゴジュウジャーはどう立ち向かうか、期待しましょう」

 

市長とエルが見守る中、エプロン着用のウルフとドラゴンが厨房に立つ。

 

『……受けて立ったは良いけどよ、どうやって勝ちゃ良いんだ?』

『サモーンのサーモン感を破壊するくらいのサーモンを魅せるしかないよ!』

『お、おう…サーモンな…』

 

【ふん!サーモン道を知らぬヒヨッコに、負けるオレではないわ!】

 

「さぁお互いに料理の完成が見えてきそうです!この勝負、キモはなんでしょうか?」

「どちらがより深くシャケをサーモンするか…でしょうね」

 

「なるほど!おっと流石はサーモンNo.1!もう出来上がったようです!」

 

サモーンはずらりと、机に料理を並べる。シャケをふんだんに使った、海鮮料理。

 

【夏草の未来を変える、サーモンフルコースだ!たんと召し上がれ!!】

 

『わぁ!私海鮮丼大好きー!!』

『やっぱ刺身にはわさび醤油だよなぁ』

 

「もぐもぐ……これは美味しい!ですね市長!」

「はい。是非とも新しい夏草名物として推していきたいですね」

 

【ははははは!勝負はほぼ決まったようだな!情けだ、お前達のサーモンを見せてみろ!!】

 

『ウルフ!』

『ああ。……俺のサーモンは、これだ!』

 

「おっと!?僕達の前に出てきたのはおにぎり…!?」

「これは…!」

 

『ゴジュウウルフ特製、『シャケ握り』だ!喰らいやがれ!』

 

【ほう…確かにシャケ握りは手間もかからず、もっともポピュラーなシャケ料理の一つ!その発想、誉れ高い!】

 

「ん〜!塩味がきいてます!お母さんが握ってくれるおにぎり、凄く美味しいんですよ!」

「えぇ。手間暇かけるだけが料理じゃない。吠君、やり手です」

 

『しゃぁ!決めろ、リッカ!』

『うん!………』

 

「さて、ゴジュウドラゴンの料理ですが……?」

「ありませんね……ん?なんでしょう、この音は」

 

【どうした?サーモンを出さないのか?】

 

『………………』

 

【試合放棄するとでもいうのか?お前のサーモンを出せ!】

 

『勿論。…ほら、もうすぐ来るよ!』

 

『もうすぐ…?なっ!?』

 

「おお!?」

「あーーーーっと!!?これはーーーっ!!?」

 

スタジオを突き破ってやって来たのは、空中に浮かぶ無数の『鮭』。生きて空を泳ぐ鮭である!

 

『私の想いに応えてくれた、水族館にいるたくさんの鮭!これが私の、サーモンだ!!』

『想いに応える…!?』

 

「実況の市長!これは!?」

「センタイリングには一つ、装着者に特殊能力をもたらします。ウルフ君には超嗅覚といったように。恐らくドラゴンのリングは『超調和』」

「超調和!?」

 

「全ての生物と心を通わせる。テガソードさんの知り合いのミラルーツ君をモチーフにしたいい能力ですね」

「なるほどぉ!では次はつまりぃ!?」

 

『喰らえサモーン!!鮮度万全、サーモン整列!!』

 

【お、おぉお……!!】

 

『気運上昇!!ライジング・サモーン!!!』

 

【ぐわぁあぁぁあぁあぁあぁ!!鮮度ピチピチーーーーーーー!!!】

 

WINNER!!

ゴジュウウルフ・ゴジュウドラゴン!!

 

 

【ぶはぁあっ!!!】

 

『勝負あったね!』

『俺達が、サーモンNo.1だ!』

 

料理スタジオから、いつもの夏草に戻る三人。

 

【み、見事だ…!だが、お前達のサーモンのフレッシュさはオレにさらなる飛躍を見せたぞ!】

 

『なっ!?』

 

【まさに跳ねるシャケのようにぃいぃいぃ!!!】

 

 

『きょ、巨大化したぁぁぁぁ!?お約束といえばお約束だけどー!!』

 

「「「「「「サモン!サーモン!!」」」」」」

 

『新手が出やがったか。リッカ!こっちは任せろ!お前はテガソードでアイツを倒せ!』

 

『テガソードで!?』

 

『あぁ、リングインだ!』

 

それだけを告げ、ゴジュウウルフは戦闘員に突撃する。リッカはどうするべきかを、エルに全任せせざるを得なかった。

 

『ど、どうすればいいの!?』

「今こそリッカさんがテガソード様と一つになる日が来たのです!テガソード様!僕らの願いに応えください!!」

 

『え、流石に直ぐには来てくれないんじゃ…!!』

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

『来てくれたーーーーー!?テガソード様フットワーク軽っ!?』

 

夏草上空へと飛来せしテガソード。エルはリッカを、テガソードへと導く!

 

「その右腕のテガソードを開きます!」

『ひ、開く!』

 

〈アウェイキング!示せ!調和だホワイト!示せ!調和だホワイト!!〉

 

瞬間、変身が解けリッカの衣装が神官服が如くの神聖なる装いに変わる。

 

「なんか格式高くなった!?」

 

「さぁ高らかに!リングイン!!」

『り、リングイン!!』

 

テガソードにドラゴンの指環を装填し、準備は整う。

 

『「獣神一体!!」』

 

〈テ・ガ・ソォオードホワァアァアイト!!!〉

 

白き双剣と翼を有した金と白のテガソード、テガソードホワイトが高らかに夏草へとリングインする…!

 

 

【農林水産掌握し、目指すはイベント総サーモン!ノーサーモン・ノーライフ!サモーン・シャケキスタンチン!!】

 

『背負いし業は人類悪。愛と善の優しさ知って、羽化せし至福の人類愛!善悪総括!ゴジュウドラゴン!!』

 

 

【うおおおおおおおおおおおおおお!!】

『はああああああああああああああ!!』

 

互いの意地と意地を懸けた巨大戦が、今繰り広げられる!

 

【くらえ!!サモーンパンチ!!】

 

サモーンのパンチがテガソードホワイトに降りかかるも、テガソードホワイトはそれら全てを紙一重のスウェーで回避していく。

 

『はぁあぁあっ!!』

 

そして翼にて飛翔。テガソード形態と人形態を駆使し、サモーンを双剣で切り刻んでいく…!

 

【ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!】

 

『これで決める!』

 

サモーンの周囲をテガソードホワイトが大回転。雷雲逆巻く嵐を起こし、サモーンを遥か天空に押し上げていく。

 

【うおおおお!!?】

 

『テガソード!!開闢森羅万象斬!!』

〈ドラゴン!!ソードフィニーーーッシュ!!〉

 

そして自身も空高く飛翔し、竜巻に合流し縦横無尽にサモーンを切り刻んでいく!

 

【ぐわああああああああ!!これが本当の三枚下ろし!!美味しく残さず!召し上がれええええええええええ!!】

 

辞世の句を残し、大爆発を起こすサモーン。厳かに、地上に降りるテガソードホワイト。

 

〈フィニッシュフィンガー!ウルフ!!〉

『アオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーンッ!!』

 

同時に、戦闘員全員を倒したゴジュウウルフの咆哮が、高らかに夏草へと響き渡る。

 

───夏草を襲った、サーモン事件は無事に解決。

 

再び夏草に、平和が戻るのであった。




リッカ「吠さん!」

吠「…リッカか」

エル「地元にお帰りに、なられるんですか?」

吠「あぁ。家賃分は稼がせてもらった。また食い扶持に困ったら来させてもらうぜ」

無慙「いつでも来い。誇り高きはぐれものよ」
うたうちゃん「あなたの勇姿に、心から感謝を」
羅王「戦いが終わったら言ってくれ。夏草の何れかに、正社員雇用も検討しよう」

吠「至れり尽くせりだ。…はぐれものには、勿体ない街だぜ」

リッカ「…吠!これ!」

『ゴジュウドラゴンリング』

リッカ「持っていって!御守として!」

エル「おおっ!?」

吠「…いいのか?」

リッカ「うん。テガソード様には悪いけど、私…自分の願いは自分で叶えるよ!だから、この指環に願うのは別のこと!」

吠「別のこと?」

リッカ「吠の願いが、見つかりますように!叶えてね、私の願い!」

吠「……ありがとよ。それまでこの指環『預かっとく』」

リッカ「!」

吠「願いが叶ったら返しに来る。それまで、元気でやれよ。…リッカ、皆」

リッカ「うんっ!」

吠「無慙さん。うたう先輩。またいつかよろしくお願いします」

無慙「あぁ」
うたうちゃん「次は、私ももっと活躍してみせますから…!リベンジに、ご期待ください!」

吠「エル、じゃあな」
エル「リッカさんの指輪、失くしちゃだめですからね!」

吠「おう!」

…こうして、夏草の不思議な戦いは終わった。

リッカ「あれ、何か忘れているような…」

エル?「この戦いで、君を蝕む善の力は正しく使われた」

リッカ「あ!!そうだ!!え、エル君?」

テガソード『さぁ行け!君自身の戦いへ!!』

リッカ「!!ありがとう…テガソード様!また契約、果たしに来るからね!」

テガソードの手により、メシアライザー・アルファの副作用は解消された。

リッカは再び、王と神を巡る戦いへと身を投じる…!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。