人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

2853 / 3000
2850話など通過点に過ぎない!!

何故ならハーメルン様の限界は3000話であるからです!

誰も越えられない、並び立つしか出来ない領域はもうすぐ!

皆様、これからもよろしくお願いします!


死の王、ゴッドウィン

【来るのだ。狭間の地に散らばりし宿痾……グラングが貪りし死の根源は今、此処にこそある】

 

黄金の長髪、死の竜の鎧、巨大なる破砕槌。満を持して神の門に現れし、死の王ゴッドウィン。彼の魂と肉体は、友フォルサクスが全てを投げ出し依代となった為に遂に復活した。

 

その性質は、かつて黄金律より取り除かれた【死】。アンデッド、ゾンビを生み出す歪みが、今ゴッドウィンそのものとなり封じ込められている。

 

即ち、ゴッドウィンを制し、殺せるのであれば。抹消できるのならば叶う。

 

黄金律により消え去るべきとされた死の根絶が。その回帰が果たされるのだ…!

 

【─────────】

 

だが、黄金律、黄金樹の時代にて【黄金】と称されし貴公子ゴッドウィンの醸し出す覇気、殺意、そして気迫。それらは、物理的な重圧すら醸し出す程の風格となりて一行を穿つ。

 

「まさか、ゴッドウィン様と相対できるとは。長生きは、してみるものですな」

 

「まずは、我々が道を拓く…!」

 

レダを始めとした、ミケラの信奉者だった者達が斥候としてゴッドウィンへと相対する。

 

「ゴッドウィン殿。我等はミケラ様をお救いしなければなりません」

 

【…………】

 

「死の王、比類なき黄金の貴公子。マリカの輝ける子。……押し通らせて、いただきます!」

 

レダ達が一斉に、ゴッドウィンへと攻撃の態勢へと移る。

 

レダは無数の針を。ダンは拳を。アンスバッハは鎌の練り上げられた練武を。ティエリエは渾身の毒を。フレイヤは燃え滾るような大剣の一撃を。ムーアは、渾身の盾の一撃を。

 

どれもが、死の王に向けられし渾身の力を込めた一撃。それら全てが、全身全霊の一撃だった。

 

【────────】

 

ゴッドウィンは、静かに槌を振り上げた。数多の攻撃に晒されながら、黄金に輝きながら死の黒に蝕まれた、槌を振り上げたのた。

 

(ッ──────!!)

 

一瞬だった。それを感じたのは歴然たる戦士のレダ、そしてアンスバッハ。

 

突き抜けるような、打ち貫かれるかのような予感、否。【確信】ですらあった。

 

決して逃れられぬ宣告のようですらあった。理そのものが、形を成した様であった。

 

─────死ぬ。

 

「皆!伏せろ─────!!!」

 

レダが声を張り上げた。ティエリエ達をアンスバッハ達が庇い、ムーアとフレイヤが盾となった。

 

【─────────!】

 

槌を、叩きつけた。力を込め、気迫と共に地を槌が揺るがした。

 

動作はそれのみ。それのみであった筈なのに。

 

「ぐあああああああああっ!!」

「うっ、ぐっ……!!」

 

周囲全てに満ちる【死の雷】。死を撒き散らす【光輪】、更に地を揺るがす【地鳴らしの振動】。それらが全て、レダ達に攻撃として降り注いだのだ。

 

「これ、は……!」

 

アンスバッハが、瞠目と共に呻きを漏らす。

 

これは、かつてゴッドウィンが得意とした雷。かつて黄金であったものが、死により黒く変化したもの。

 

それらは周囲に【死】を振る舞った。問答無用にして、無慈悲なる【死】の作用。状態異常とすら呼べるもの。それ程までの、死の具現。

 

だがそれは、王に相応しい……死の王たるに相応しい力であった。

 

「ぐぅうあぁぁぁっ…!!」

 

フレイヤの肉体に、無数の【死の棘】が生えていく。それは死に触れてしまったものの、死への侵食。

 

「フレイヤ殿!ぐっ……!!」

 

レダもまた例外ではない。死の棘が、死そのものが、取り払われたはずの地にて生命を蝕んでいく。

 

「………………!!!」

 

それらは急速に、レダ達を蝕んでいく。

 

そして、それはあまりにも単純に、あまりにも無味乾燥なまでの結果を齎した。

 

「神、は……やはり、凄い……」

 

ムーアが、その言葉を最後に……死の棘に貫かれ、高々と掲げられる。

 

「ムーア……!」

 

ティエリエもまた、うつ伏せに這いつくばるように、身体を全て死の棘に刺し貫かれ固定される。

 

「───────」

 

ダンは抗った。抗ったが故に、より多くの死の棘に貫かれ、皮肉にも、黄金律掲揚の姿勢にて掲げられる皮肉を晒した。

 

「うう、おおっ!!おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

フレイヤはそれでも尚突撃した。ゴッドウィンに向けて、刃を掲げ吶喊した。

 

「はぁああぁあぁあぁ!!」

 

そしてその剣を振り下ろす刹那の態勢で……数多無数の死に貫かれ、沈黙した。

 

「黄金の……死の王、ゴッドウィン……」

 

黄金の貴公子。死王子。復活した死の王。

 

勝てない。

 

人の身で、挑んではならない。人などが、倒せる域になどいない。

 

彼は王である。死を統べる王となった者。

 

黄金の化身、マリカの子たる者が、死そのものにすらなった。それ程までの、力と威厳。

 

ただの槌の一振り。ほんの落雷の招来にて、ミケラに仕える者達の命運は決した。

 

レダらの肉体から、無数の死の棘が貫き出ている。

 

それらは死であり、死の王の王権たる力。抗えるものではない。

 

「だが………!!」

 

だが、レダは諦めることをしなかった。

 

ミケラの祝福を以て、全てを懸けて生成した針は、速やかにゴッドウィンを貫く。

 

「えぇ。まだ半死半生であるならば──」

 

跳躍せし、アンスバッハ。既に過たず肉体を死の棘に貫かれながら、跳躍にてゴッドウィンを切り刻む。

 

【………!】

 

血飛沫を上げ、肉体を刻まれるゴッドウィン。燃える呪血が、ゴッドウィンを切り裂く。

 

「活路を、我が血に懸けて──!」

 

呪血の手刀が、ゴッドウィンを断ち切らんとする。

 

「ミケラ様の、友の、ために…!!」

 

力を振り絞り、ゴッドウィンに針を突き刺していくレダ。

 

───しかし、それは数秒の出来事であった。

 

ほんの数秒。レダらが攻撃を開始した数秒の出来事。

 

死の王に挑んだ者達。斥候を名乗り、ゴッドウィンに果敢に挑んだ一番槍達。

 

時間にして、5秒が10秒。

 

あまりにも早い、決着であった。

 

【……………………】

 

貫かれし、ミケラの信奉者たち。

 

レダも、アンスバッハも、ダンも、ムーアも、ティエリエも、フレイヤも。

 

余すこと無く、死に穿たれた。

 

死に触れてしまった。

 

それにより───【死】を発症し、貫かれてしまったのだ。

 

 

それは、敗北を越えた完全敗北。

 

カルデアの皆で挑んでいたならば、最悪の事態となったであろう敗北。

 

【死に挑む。勇猛かつ果敢でなくては選べぬ戦い】

 

ゴッドウィンが、静かに語る。

 

【しかし、我が友フォルサクスがそうであったように……】

 

貫かれ、完全に停止したレダ達を見やりながら。

 

【力で死を打ち果たすことなど、出来はしない】

 

それは諦念か、落胆か。静かに、低く告げるゴッドウィン。

 

【これはその報い。死に挑む意味を、誤ってはならないという戒めとして、彼等は散った】

 

狭間の地における敵は、全て戦いというステージに至った。

 

しかし、ゴッドウィンだけは違う。

 

ゴッドウィンへ勝つ事は、決して武力のみでは成し得ない。

 

【何が、王の故か。何が世界の故であるか】

 

死の王が、カルデアに問う。

 

【それを識らねば、この神の門にて屍を晒すと知るが良い】

 

黄金にして、その死の全てを手にした王。

 

神の降臨の為の、死の器。

 

ミケラの計画……

 

否。ミケラの計画すらも超越したその地点にて、彼は座していた。

 

理の瑕疵。即ち…

 

世界の歪みを、打倒する力を待ち望んでいる。

 

【我が身は死の王。ミケラが招きし神の依代】

 

死が、静かに語る。

 

【示すのだ。何が、世界の故であるのかを】

 

かつての王が、神が辿り着けなかった境地を要するゴッドウィン。

 

その有り様は、間違いなく。

 

───影の地における、最大の試練に他ならなかった。

 




上空

ギルガメッシュ「さて……ネルガルもかくやの死の化身、童の児戯に遇するには真面目にすぎるが。どのように向き合うのであろうな?」

──その時に備え準備をしましょう。ギル!

メリナ「…目覚めて、リッカ」

「全てが、死に果ててしまう前に。あなたはきっと───気付くことが出来る」
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