人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「――いいんだ、母さん」


『・・・?』

「僕は、あなたに産み出されたこと、あなたに必要とされていることこそが・・・唯一にして絶対の誇りだった。・・・それだけが、僕の存在意義だった」

『・・・』

「――願いが、叶ってしまったじゃないか。会話は初めてだけど・・・こんなに子供に甘いなんて、予想外だった」

『キングゥ・・・』

「・・・情けない話だけど、僕はもう停止しかけで、期待に応えられない。・・・こんな僕に出来ることは・・・」

『・・・』

「あなたの、話し相手になるくらいだよ。・・・母さん」


エビフ山

「イシュタル様」

「シドゥリ!?なんでこんなところに!?」

「イシュタル様の危機とあらば、馳せ参じるは当然でしょう。・・・なんと酷い有り様。さぁ、清掃を開始いたしましょう」

「ありがとう、助かるわ!ねぇ聞いてくれる!?ギルガメッシュのやつ、また――」

「・・・――(ニヤリ)」


ウルクが湧き立つ日

「さて、彼方より来た異邦人。部員どもの元締めよ。改めて――貴様らの名を聞いておこうではないか」

 

 

玉座に座り、此方を真剣な表情で見定める賢王ギルガメッシュ。一同は顔を見合わせる

 

 

「王は皆様を深く歓迎しております。我がウルクを、メソポタミアを救いに現れし勇者達。ブイン族の皆様のお言葉を聞き、今か今かと待ちわびて・・・」

 

「シドゥリ、王のワクワクなど語らずともよい。カリスマブレイクには些か早すぎよう」

 

失礼しました、と一歩下がる、祭祀長シドゥリ。彼女もまた、カルデア一行を待ちわびていた一人なことに変わりはないのである

 

「ふはは、後でどちらの王が仕え甲斐があるか聞いてやらねばな、シドゥリ?」

 

「カルデアに在るギルガメッシュ王、どちらにせよ私の首を飛ばすようなお戯れはお控えください」

 

苦笑いしながら、英雄王のからかいを流す。王の軽口を許される辺り、立場の高さが窺える

 

――生身のシドゥリさん・・・変わりませんね。やっぱり

 

(元だからね。当然さ。――今度は、最後までウルクにいてほしいものだ)

 

フォウの思い詰めた様子が、エアの心に留まるのは、無理からぬ話だろう。・・・フォウは本当に、何を見たのだろうか

 

「えぇい!ペースを乱すな愚かな我!貴様はすぐに己の独壇場に持ち込もうとするのが始末に終えぬ!少しは空気を読まぬか!」

 

「フッ、我がそんな自重をすると思うか?――まぁよい。では詫びに、我が財を貴様らに見せてやろう!さぁマスターから順に挨拶せよ!構わぬ、許す!」

 

英雄王が笑い、マスターの背中をばしんと叩く

 

「応!私は藤丸リッカ!マスター番号48番!好きなことはコミュニケーションとサブカルチャー全般!嫌いな事は先入観!座右の銘は『意思があるなら、神様とだって仲良くなる』です!」

 

「藤丸リッカ・・・成る程、それが貴様らの切り札か。・・・――ただの人間ではないな、貴様」

 

「アジダハーカやってます!」

 

「アジダハーカ・・・?そのような神は、メソポタミアには・・・」

 

「異教の邪龍よ。マスターと侮るなよ?こやつは紛れもなく、ウルクの民を上回る人類最強のマスターよ」

 

僅かに眉をあげる賢王、まぁ・・・と口を抑えるシドゥリ

 

――彼女の真価は、神や人、分け隔てなく心を繋げるそのあり方、魂そのものです!

 

「――そうか。確かに覚えたぞ、リッカ。貴様の混沌と輝き、存分にウルクの為に使うがいい」

 

「ありがとうございまッ!さ、次はマシュだよマシュマシュ」

 

王に御辞儀し、マシュを前に押す

 

「はい!恐れながら、自己紹介を!」

 

生真面目に姿勢を正しながら、マシュが声をあげる

 

「私はマシュ・キリエライト!先輩の正式契約サーヴァントです!よろしくお願いいたします!」

 

「こやつの目標はな、我が至高の一撃を受け止めることなのだぞ?」

 

「ははははははははははははははは!!!なんと大きく出たものよ!!いかん、水を持てシドゥリ!これはまずい、命がまずい!!大人しい顔立ちとは裏腹に野心家ではないか!はははははははははははは!!!」

 

高らかに笑い、シドゥリの差し出した水を飲み干し冷静になる賢王

 

「あ、ありがとうございます!私は、その・・・」

 

「よい、胸を張れ、マシュ。賢しき我はお前の大望を認め、不意を衝かれ笑ったのだ。王を笑わせるなど中々にない事だぞ?」

 

「こ、光栄です!」

 

その物言いに、シドゥリが優しげに笑う

 

「そちらの猛々しきリッカ様とは違った魅力・・・穏やかなものを御持ちなのですね、あなたは。よろしくお願いいたします」

 

「は、はい!」

 

「そして、裏方で我を支える者共を紹介してやろう!まずは――オルガマリー!」

 

 

『はい。――拝謁の栄を賜り光栄の至り。私はオルガマリー。カルデアスの責任者にして、メインオペレーターを担当しております』

 

賢王の威厳を真っ向から見つめ返し、自分のあり方を伝えるオルガマリー

 

「よい面構えだ。上に立つ者の責務と責任を自覚した者と見える。――貴様、随分とよい拾いものをしたな?」

 

賢王と英雄王が笑い合い、頷き合う

 

「我の手に入れた財において最高級品の一つよ。リッカめがマスターとして最高峰ならば、オルガマリーは魔術師として最高峰。・・・げに見上げしはその健気さでな。シドゥリめの転生体かと幾度も思ったほどだ」

 

笑いながら英雄王が評価を下したとき・・・

 

『――――』

 

『所長――!?』

 

あまりの光栄と恐縮に失神、気絶するオルガマリー

 

「・・・小心に過ぎるな。まぁ、そこはこれからに期待よ」

 

『じゃ、じゃあ僕だね。僕はロマニ・アーキマン。ソロモンやってるんだ』

 

「――――・・・貴様の口にした事実が何を意味したか分かっているのか?」

 

『あぁ。僕が隠すことは何もない。この姿が僕の覚悟だ』

 

「・・・そうか。貴様らがよいなら何も言わぬ」

 

『私はロマン様の伴侶、シバニャンで~す♥魔神達からのカルデア透視を阻んでいまーす♥よろしくお願いいたしますね~♥』

 

「気の早い女でな。大いにフライングしてロマンと身を固めに参った策士よ。こやつがカルデアの帳簿を握っておるのだ」

 

「貿易と公益にて歴史に名を残せし才女か。――後方支援も一流どころを揃えているようだな」

 

『そして私が万能の天才!レオナルド・ダ・ヴィンチ!ダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ!オルガマリーの師匠の一人でもあるよ!オルガマリーは私が育てた!』

 

「美しき人か。・・・随分と愉快な者ばかり集めたものよな。だが・・・人理を救う天命を受けた者共なのだ。これくらいの面子は揃えなくてはな」

 

一通りの対面を終え、賢王が思案し、――やがて、裁定を告げる

 

「良かろう。遥か彼方より訪れし勇者どもよ。貴様らの力、我が時代を救うに不可欠なものと認めよう。――此処に王の名の下、貴様らを我が名代、同盟者たる者として認めてやろうではないか」

 

瞬間。ジグラット中から祝福の捧げ銃が巻き起こり、王の決定を祝い、カルデアの来訪を祝い、その決議を総出で祝い上げる歓喜の歓声が巻き起こる

 

 

「英雄王と賢王が手を取り合ったぞー!!」

 

「俺達の滅びは、覆されるんだ!!」

 

「ブイン族に伝わりし勇者が降臨した!俺達の戦いは無駄じゃなかったんだ!!」

 

「ウルク万歳!カルデア、万歳ぁーい!!」

 

大歓声がジグラットに、ウルクに響き渡る。その様子に圧倒されるカルデア一行

 

「歓迎されてる!私達歓迎されてるよ私達!」

 

「はい!部員の皆様の奮闘が、此処に繋がったんですね・・・!」

 

『壁画にもなっていたしね・・・後世の歴史にはシュメール人が宇宙人という説もあるし・・・どう足掻いても解明できないだろうなぁ』

 

歓声は収まるどころか、ますます大きくなる。国を巻き込んで、民の歓喜を形にし、盛大に盛り上がり、身体中を打ち付ける

 

 

「ふははははははは!!ノリのよい馬鹿者共よ!よい!許す!歴史的瞬間、ウルク第五王朝の存続を祝うがよい!ははははは!ふははははははは!!!」

 

盛大に笑い、焚き付ける英雄王

 

「えぇい!堪え性のない者共よ!気持ちは解るが静まれ!会合の途中なのだ、会話にならんではないか!控え!控えぃ!」

 

理性を以て民を諌める賢王

 

「どっちだ!?どっちも王だ!」

 

「騒げ、静かにしろ・・・間をとって、いつも通りだな!」

 

「よーし、魔獣も消し飛んだんだ、余裕が出来た分、祭りの準備だー!」

 

 

民達は笑いながら、いつもより気持ち愉快げに生活に戻っていく

 

――皆さん、陽気で素敵な方ばかりですね・・・!

 

(頑丈なのは身体ばかりじゃ無いみたいだね。宇宙人なんじゃないかなマジで)

 

 

「まったく・・・貴様らの抱える戦力、練度、何より我が御膳立てしたという事実。手を借りるに不足はない。――未だ人理焼却が達するに半年を残す見事な仕事の早さだ。ははは、・・・タイムアタックでもしているのか?」

 

「迅速なのはこのメソポタミアでも同じよ。見るがいい。――『この特異点の覇権は、とうに握っている』」

 

愉快げに指をならし、『聖杯』を手に取る英雄王。――ゲーティアが送り込み、歴史を崩した絶対の自信の証を見せつける

 

 

――マルドゥークを降臨させ、女神と・・・キングゥを名乗る何者かを返り討ちにし、この聖杯を手に入れたのです、賢王

 

『仕事が早いにも程があるわ!来て数秒でこの難題の七割を解決しおって!――だが、仕掛けたのは奴等であり、貴様らは迎撃したまでのこと。奴等の詰めが甘かっただけの話――ご苦労であったな』

 

「あぁ、つまり・・・我等の戦いは、本当に・・・」

 

感涙に咽び泣くシドゥリ。ウルクの民が願い、戦い、生き抜いた故の勇者達の降臨に――涙を流す

 

「いちいち涙せずともよい!・・・確かに、魔獣は洪水にて流され、複合神性は潰え、聖杯は此方の手に渡った。――だが、七割が解決してはいるものの、残り三割が残っているのは解っているな」

 

賢王の言葉に、一同がうなずく

 

「背の高い太陽みたいなお姉さん、黒髪の、薄着の女神様だっけ?残ってるの」

 

「ほう、よい記憶力だ。そやつらが『三女神同盟』の女神どもだ。北のエビフ山に寂しく居住せし我等がウルクの恥さらし『イシュタル』。部員どもの調査によって判明した『ケツァル・コアトル』。――前者はともかく、後者は中々に厄介でな。女神の中で最も理性的であり、また強大である。――見たところ、マルドゥークの脅威を知り撤退した、といった所か」

 

「違うな。こやつはケツァル・コアトルめと盟約を果たしたのだ。『決闘』という名の盟約をな。――ふむ、ここまで言えば、我等の役割も自ずと見えてくるというものよな」

 

英雄王の自信に満ちた笑みを見、賢王もまた深く頷く

 

「ほうほう。――そういえば、そのマスターのモットーはなんだったか?」

 

リッカを指差す賢王。シドゥリが告げる

 

「『意思があるなら、神様とだって仲良くなる』・・・――ハッ、まさか!」

 

「うむ!敵方も『女神』、こちらは神とも蜜月の関係を紡ぐマスターよ。――此処まで言えば解るであろうよ!」

 

 

――成る程!ワタシ達のマスターの得意分野です!

 

一同の視線が、リッカに向けられる

 

「?、?」

 

「光栄に思うがいいカルデアの!貴様らには『三女神同盟』の残党どもの対処を申し付ける!北のイシュタル!南のケツァル・コアトル!そして死に損ないの複合神性!見事討ち取ってみせよ!」

 

キョトンとしていたリッカが、数秒した後に我に返り声をあげる

 

「つまり私達は――親善大使!女神を何とかして和平を結んで、解り合えって事だね!」

 

ばしり、とリッカが拳を鳴らし、力強く応える

 

「解りました!賢王!女神達の対処はお任せください!私達の戦いは――そういうものですから!」

 

その返答に英雄王は満足げに頷き、賢王は辛抱たまらずといった様子で笑う

 

「ふははははははははははははははははははは!!解り合うと!神と解り合うと来たか!人間が神と解り合うと!?理不尽と脅威の化身に!和解を、和平を結ぶと来たか!?はははは!!傑作だ!愉快にも程がある!我が予想を容易く覆すとはやるではないか!これが――我を招いたマスターの度胸か!!――シドゥリ!」

 

「はっ」

 

笑い転げながらシドゥリに素早く指示を飛ばす賢王

 

 

「こやつらの生活を保証してやれ!カルデアの手並みを拝見する前に、拠点を確保し、我がウルクのなんたるかを味わわせよ!こやつらに足りないものを補わせるにも丁度よい!」

 

賢王はそういいながら、エアを、英雄王を見ており、自慢げに告げる

 

 

『手を組むのならば、何かを救うと言うのならば、まず護りたいものの価値を知らねばならん。名も知らぬ、価値も知らぬに護るなど虚言、偽善者の物言いよ。――エア。一ヶ月の間、このウルクを堪能するがよい。そして、人々の営み、生存の尊さを肌で感じるがよい。――その後に、このウルクの未来を、共に掴むのだ。・・・歩みだしたお前の生にも、必ずや得るものがあろう』

 

 

賢王は、まずエアに『生活』を堪能せよと告げた。人理を臨み、戦いに戦いを重ねてきた日々に、潤いを与えよと

 

『このウルクにて過ごす時は――必ずやお前の糧になろうさ』

 

――あ、ありがとうございます!賢王!

 

その心遣いに・・・深々と御辞儀し、感謝を捧げるエア。

 

《ふははははははは!!父か貴様は!甲斐甲斐しいにも程があろう!父性に対して右腕だけ黄金というあまりにさもしくみみっちい有り様な分際でありながらな!》

 

言われてみれば、賢王の姿は右手の手甲のみだ。黄金の比率が、あまりにも少ない

 

『ぬぅ、躊躇いもなくその話題に踏み込んできおって!我は貴様と違い、このウルクのすべてを結集して戦わねばならぬ故にこの姿を取っているのだ!我だけ強ければよいといった事ではないからな!国土を護り、作物を育て、全てを結集してこの難題を乗り越えなければならん!そしてエアよ、我はまだ本気出していないだけだ。我の本気を目の当たりにしたとき、我はお前の憧憬と尊敬を一身に集めることだろうよ!』

 

賢王の言葉に、英雄王は鼻を鳴らす

 

《お前の本気の姿なぞ、第四辺りで目の当たりにさせた訳だが?》

 

『えぇいだまらっしゃい!我の本気は更に凄いと言っておこう!大体貴様、忌々しいまでに自由に振る舞いおって!我等が取り組んでいた難題をあっさり片付けるとは何事か!そもそも――』

 

賢王が頬杖をつきながら問いかける

 

「ひとつ聞いておかねばならぬ事がある。――貴様らの戦艦、マルドゥークの事だ」

 

彼は疑問に感じていたのだ。マルドゥークの有用性、運用の是非を

 

 

「あの機構に、かの大神の権能を下ろしたのは見てとれた。カルデアを『都市』と定め、戦艦を『神体』とし、それを依り代として顕現させたのは認めよう。――だが、そこまでして対処すべきものとは何だ?たかが三女神の対処などに呼び寄せるようなモノではなく、また呼び出せるような格でもない。――答えよ、愚かな我。はぐらかすような真似はするまい」

 

真剣に、真っ直ぐ英雄王に問いかける

 

「かの大神は、何のために降臨させた?」

 

その問いに微塵も臆する事なく、至高の王は告げる

 

「ふははははははは!!事此処に至ってそのような愚問とはな!――我等が掴むは完全無欠の結末のみ!ただの一つの禍根は残さぬ!――三女神など所詮は前座!――我が欲するは、大将首一つのみ!」

 

・・・英雄王が見据え、討ち果たさんと牙を研ぐ目的はただ一つ。

 

 

「人類の自滅機構!人類が産み出し、人類が滅ぼす悪!災厄の獣、大洋に眠る原初の罪――人類悪ビーストⅡ!ティアマトこそ――我等が討ち果たすべきモノに他ならぬ!!」

 

――人類悪。・・・ティアマト・・・

 

 

(・・・あぁ。それこそが。ボクたちが戦う、本当の敵だよ、エア)

 

 

・・・此処に、真なる敵の姿が定まる

 

此処からは、真に・・・――メソポタミアの全てを結集するための戦いへと移行する

 

 

 

 

・・・幼年期の終わりは、すぐ其処まで来ているのだ――




カルデア大使館


「此処が私達のハウスだね!」

「凄いです!私達の、拠点・・・!」

「此処にて、皆様の生活は保証されます。――よろしかったのですか?ギルガメッシュ王。ジグラットを拠点にせず・・・」



『エアめには、ウルクにおいて活動を許そう。――だが、その姿は隠し、身分を知られぬようにせよ。案ずるな。お前には我の名代、身分証明手形を預ける。問題なく仕事は斡旋されようさ』

――あ、ありがとうございます!

(見た目隠しか。まぁ無理もないかな。エアの見た目はもう、ウルクが激震する美しさだからね。自由活動どころじゃないから仕方無いね。――窮屈かもしれないけど、我慢できるかい?)

――もちろん!初めての都市探索!そんな幸せだけで充分だから!よーしフォウ!お仕事、頑張ろうね!

《慎重よな。異論はないが。姫の姿を晒すは、相応しき舞台ではならん。――それを理解しているな、賢しき我》

『無論だ、愚かな我よ。――我が眼には、エアの披露宴に相応しき舞台を見据えている』

――相応しき、舞台?

《此方の話よ。――息苦しい自由ではあるが、今は我等を信じ、耐えよ。エア》

――王を信じなかった日などありません!賢王、英雄王!よろしくお願いいたします!

(――自由行動か。なら・・・ボクもついていかなきゃね)

――フォウ?

~~

「明日から一ヶ月。――楽しい滞在になりそうではないか?」

「・・・本当に、上機嫌な王なのですね・・・このような安宿に招くとは不敬者め、と怒り狂うかと・・・」

「ははは、誰だその暴君は。困ったものよな」


「鏡を持っているかい?やぁ皆!マーリンだよ!半日かけて掃除していて挨拶が遅れ本当にすまな」

(マーリンムゴタラシクシスベシフォーウ!!!)

「百烈蹴り――!?」

――マーリンさん!!いらっしゃったのですね!

「・・・ナイスです。小さなけものさん。・・・アナです。よろしくお願いいたします」

「・・・人間が、怖いの?あなた」

「――・・・あなたは、怖いです。・・・近寄らないでください」

「ガーーーン!!!」

「先輩が死んでしまいました!」

『しっかりリッカ!』

「皆様、よくぞお越しになりました!私は巴御前。巴、と御呼びください。皆様の生活を補佐する女将として、皆様に付き添わせていただきますね」

(大和撫子だ!こんな素晴らしい人を呼んでいたのかアイツ!)

「おや、皆様集まっておられたのですね。我が名、牛若丸と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。首が入り用ならば、是非お申し付けを!」

「武蔵坊弁慶と申す者。牛若丸様に御付きいたしておりまする。牛若丸様の『あぁ、そうなんだ・・・』的な武勇伝を知りたくば、是非私めに」

「リッカ殿、その置物は無視してください。矢避けに侍らせているのですが、中々そのような機会がなくて」

「アッハイ」

「・・・・・・・・・・・・」


「・・・巴さん?牛若丸さんが、何か?」

「――いえ。私が憎むは、義経、頼朝。・・・それを名乗らぬのであれば、いさかいを持ち込むは愚かなことです。・・・呉越同舟。今は、王のために」

「・・・はい。頑張りましょうね!」


「そして私がぁ!レオニダスでございます!魔獣戦線は大逆転に終わりましたがだがしかぁし!戦いは終わっておりませぬ。有事に備えて!筋肉と計算を極めなくては!」

「私は天草四郎時貞。宣教や懺悔を受け止めています。辛いときには是非・・・知ってる?それは失礼しました」

「・・・風魔、小太郎です。見張りや、医療、農耕の手伝いをしています。その、よろしくお願いいたします」

「残り一人は山にて放し飼いにされている茨木童子がおりますが、それは追々。では皆様、何でも屋『カルデア大使館』として、一旗あげるといたしましょう!」

「「「「「「「「おーっ!!!」」」」」」」」


『大所帯だなぁ!楽しくなりそうだねリッカく・・・あれ?マーリンとギルは?』

「・・・部屋に、行きました」



英雄王自室


《さて、明日から初の自由時間となるわけだが・・・不安はないか、エア》

「はい!そして、身分を隠す術はもう完璧なのです!英雄王!」

《?確かに賢しき我の衣装はあらゆる魔術を弾きはするが・・・他に何かあるのか?》

「ありますとも!」

『獅子の面』

「これと!」

『純白の外套』

「これを身につければ~・・・!完成!」

《――――》

「その名も!ウルクを駆ける何でも屋!ラマッス~~~~!仮面!!――どうですかどうですか!似合いますか!?」

《ははははははははは!!よい!よくぞ頭を捻った!獅子王めも粋な贈り物をしたものだ!だがなエア。――ラマッスは、顔は人面なのだ》

「――えっ!?」


マーリン自室

「いよいよギルガシャナ姫が外界に触れるときだ。お目付け役の準備はいいかいキャスパリーグ」

(キャスパリーグって呼ぶな。ボクはフォウだ。――当然だろ。だけどエアは迂闊に姿を見せられない。だからお付けとして侍る。その為に――)

「な、何だって!?キミ、その姿は――!?」

其処にいたのは、淡いセミロングの紫髪、美しい蒼き瞳。齢20代前半の絶世の美女。神秘的かつ、落ち着いた雰囲気と、しなやかかつ魅惑の肢体を持つ、『マーリンの女性体』といった装いのフォウが顕れる

「この姿なら、不躾な視線はボクに集まる。姿を隠したエアが姫とは誰も思うまい。異世界のオマエの姿を貸してもらうよ。デコイとしてね!」

「おのれキャスパリーグ!オマエもトランスセクシャルか!あざとい!実にあざといぞ!ギルガシャナ姫の魔術師として名を売る気だな!君はオスだろう!それはそれとして写真頼めるかな!」

「――暴力ヒロインはボクがもっとも嫌いな人種だ。報復は控えてやる。だが――調子乗んな屑野郎。夢魔の弱点言い触らしてやろうか」

「その見た目で言われると・・・クるものがあるなぁ!!」

「まぁいいや、オマエ何てどうでもいい。――エアはボクだってわかってくれるかなぁ?わくわく!」


エビフ山

「・・・なにこれ」

『ルチフェロなりしサタン麻婆』

「イシュタル様への感謝の供物です。どうぞ」

「どうぞってこれ食べ物なの!?なんか私のカラダがものすごく拒絶したがってるんだけど!?」

「まぁ――イシュタル様、あなたを信じる者の信仰を、供物を無下になさると・・・?マルドゥーク神のお怒りを買ってしまい、容易く滅ぼされてしまうのでは・・・?」

「ぐぎぎぎ、ぐぬぬぬぬぬ・・・!あの金ぴか!金ぴか~~!『御兄様(マルドゥーク)』を呼ぶとか大人気ないにも程があるでしょうが――――!!!」

・・・あんぎゃぁあぁぁあぁあぁあぁあぁあ~~~~~~~~~~!!!!!!!


『麻婆食って死にかけ失神しているイシュタル』

「・・・君は実に馬鹿だね。シドゥリが一人でエビフ山に来れるわけないだろう」

『エルキドゥに変化するシドゥリ』

「暫く眠っていてもらおうかな。ウルクは暫く平和にしたいからね。――写真を撮っておこう。フォウくんが喜んでくれるといいな」

『麻婆』

「・・・・・・・・・(もぐもぐ)」


「うん。ニトロ代わりに使えるね。おいしい!」

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