人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「一つ、聞いてもいいかな。母さん」


『・・・?』


「旧人類・・・いや、人間とは何者なんだい?不完全で、穴だらけなくせに・・・最終的には『兄』たるマルドゥーク神すら降臨せしめる、あの憎たらしい生き物は、一体」

『――彼等は、集まり、寄り添うからこそ・・・強い。一人では何もできなくとも、集まり、高め、立ち向かい・・・『完全』となる。・・・一人で何でもできる生命は、いないのです。キングゥ』

「・・集まり、高め、立ち向かうからこそ完全・・・なら僕は、結局・・・完全では無かった、と言うことか。いや・・・『完全にはなれなかった』と、言うことか・・・」

『・・・・・・』

「いいんだ、母さん。・・・新型である事も、新人類であることも・・・結局は『あなたに認めてほしかった』と言うことが大前提だった。――あなたに子として認めてもらったんだ。そんな肩書き・・・もう、どうでもいいさ」

『キングゥ、あなたは・・・』

「・・・ねぇ、母さん」

『・・・?』

「・・・僕は、今からでも・・・あなたの役に立てると思うかい?」

『・・・あなたは、あなたの思うままに。あなたから、目をそらす真似だけは、いたしません』

「そうか。・・・なら、僕は・・・」


「うぅん。また気絶してしまったわ・・・いけないわね、ギルの前で醜態を・・・」

――メッセージが届いています


「・・・?」

『凄いのだわ!二人のギルガメッシュにあんなに誉められるなんて!あんなに手放しで称賛された人間はきっとはじめて!本当に素晴らしいのだわ!』

「・・・ふふ、ありがとう」

『この調子で、無理せず頑張るのだわ!――それと、あなたにアドバイス』

「アドバイス?」

『エレシュキガルは、冥界にて無敵。それは例え、御兄様の力をもってしても。・・・いい?『冥界に、希望の華を咲かせなさい』。勝つ手段は、それしかないのだわ』

「冥界に・・・希望の華・・・」

『話はそれだけ。これからも、無理せずファイト!なのだわ!』

「・・・ふふ。そろそろ姿を見たいものね――」


はたらくおひめさま!そして庶民的邪龍

「よく似合っていますよ、プリンセス」

 

 

カルデア大使館を結成したその翌日。英雄王の自室にて、騎士王に装いの着付けを担当してもらうエア

 

ぴっしりと身体に吸い付く黒いレオタードをインナーに、獅子王の色違いたる『白金』の鎧、そして外套、獅子の面を装着する。獅子王の加護を受けし鎧と面は、あらゆる環境に適合し、適応し、蒸れ、汗、髪の痛み、外的環境の害を退ける神の護りとなる。黄金の絹がごとき滑らかかつ美しい髪もまた、鎧より伸び、風にたなびく

 

《馬子に衣装ならぬ姫に獅子か。これでお前を女子と思う輩はいるまい。麗しき頭髪も、獅子の鬣とみまごう事だろうよ》

 

獅子王ならぬ獅子姫、ラマッス仮面の誕生に笑いながら太鼓判を押す英雄王。この姿ならば、あらゆる激務にて傷ひとつつかぬだろうと確信を持つ

 

当のエアからしてみても、不満や苦しさは何一つない。まるで身体の一部のように、ピッタリとフィットし、着用していることを忘れるほどだ

 

(ありがとうございます、獅子王。貴女の力、お借りします!)

 

満足げに頷き、ピシリとポーズを取るエア改めラマッス仮面

 

「これよりワタシは、ウルクを駆ける獅子!ラマッス仮面としてウルクに、王に貢献いたします!英雄王、アルトリア!よろしくお願いいたします!」

 

「はい。剣が入り用ならば、直ぐに御用命を。駆けつけますよ」

 

《準備は整ったな?では赴くとするか!・・・しかし、獣は何処に行った?エアの晴れ姿、頼まれてもおらぬのに来るが奴であろうに》

 

王の疑問に応えるように、ノックの音が響き渡る

 

「あ、来客でしょうか?はーい!」

 

ボイスチェンジャーにて誤魔化されし雄々しい声音にて答えるラマッス仮面

 

「あ、プリンセス。迂闊に出ては・・・」

 

ガチャリと開くと其処にいたのは、絶世の美女・・・

 

「え、あ・・・フォウ!?その姿・・・!」

 

「やぁ、気付いてくれると信じていたよ、エ・・・ラマッス仮面。お互い仮初めの姿だね。でも、こうして目線を近しく出来たのは本当に嬉しいよ、エア」

 

イタズラっぽく微笑む、異世界のマーリンを象ったフォウを見て、面の下で喜色満面となるエア。思うまま、手を握り、称賛を口にする

 

「フォウ!綺麗!可愛い!よろしくね!素敵!可愛い!」

 

「キミからプレシャスパワーを貰えたからだよ。――さぁ、行こう。君の旅路に、ボクが華の祝福を捧げるときだ」

 

誇らしさと喜びを浮かべながら、フォウはエアの手を引き、歩き出す

 

「アルトリア!行ってきまーす!」

 

元気よく手を振る、ラマッス仮面

 

「はい。お気をつけて。――また、マーリンの悪戯ですね。――諌めなくては」

 

カルデアに戻るついでに、サボるマーリンを徹底的に痛め付ける騎士王であった。マーリンは、ちょっとだけ真面目に働いたという

 

(これからウルクで、人々の営みを手助けできる!よぉし、頑張るぞー!)

 

《フッ――》

 

ヤル気に満ち溢れる姫を、王は優しげに見守っていた・・・

 

 

 

仕事内容 羊の毛を刈れ!

 

 

「あなたたちが王直属の何でも屋だね?」

 

「ラマッス仮面!参上!」

 

「どうどう。リマト氏でしたね。羊の毛皮を刈ってほしいとの事。お任せください。我等カルデア大使館、誠心誠意勤めさせてもらいます」

 

「ラマッス仮面は仕事を選ばない!」

 

「ははは、愉快な人だなぁ!早速頼むよ!羊の毛皮は重要な交易品だ。180頭いるんだが、自分だけでやると一ヶ月はかかるからね。これを短縮できたら凄い利益が生まれるんだ。この時期の毛皮はもこもこで、きっとやりがいがあると思うよ」

 

「もこもこ・・・ラマッス仮面は楽しみです!」

 

「ライバルは狩らなければなるま、いやいや。承知いたしました。ボクたちにお任せあれ」

 

思い思いの所感を告げながら、用具をもって仕事に移る

 

「たのむよー!しかし、あんな美人に、ラマッス仮面なんて・・・ブイン族に伝わる勇者は色々あるんだなぁ・・・」

 

特に細かいことは気にしない、ウルク民であった・・・

 

 

「大丈夫だよ、痛くしないからね。生活と日々の循環のために、あなたの恵みをワタシ達に分けてくださいね」

 

「めぇー♥」

 

エアの優しく、気遣いに満ちた効率よい毛狩りが行われる。その手際のよさと労りに、幸せそうに声を漏らす羊

 

《なるほど、羊飼いとしての才もあったか。カリスマ(羊)か・・・いや、ありか?うむ、ありだな。ダビデやロムルスめも羊飼いであったと言うしな。案外王の責務に相応しいのやも知れぬ》

 

――そうなんですか!?

 

《そうとも。今で言う何処にでもいる高校生よ。――そこはこう、刃を入れるがよい。羊めを傷付けるなよ》

 

「はい!もう少しの辛抱だからね、大丈夫だから、いいこにしててね~。もこもこ~、はい、もこもこ~」

 

「めぇえぇえ~♥」

 

王の手解きと、最適な手を選ぶ手先。そして千里眼を使用し、一頭四時間のところを20分で終わらせるエア

 

《我ながら才能に満ち溢れているな。ふむ、羊飼い王としても我は万全であったか・・・》

 

自画自賛を強める王に頷き、羊を労る

 

「ありがとう。無駄にせず、大切に使わせてもらうからね」

 

「めえ、めえ♥」

 

ぺろぺろと面をなめじゃれつく羊と戯れるエアを、愉快げに見つめる英雄王

 

《獣めの手際はどうか?》

 

「あ、そっちも終わった?こっちもなんとか」

 

「めえー・・・」

 

幻術にて迷わされ、昏倒している羊から毛をもらうフォウが歩み寄る

 

「ライバルは狩り尽くす。もふもふマスコットはボクだけでいい」

 

《個人的な怨恨による業務、ご苦労であった・・・》

 

「ノルマは四匹だったかな?さっさと済ませよう・・・ん?」

 

ラマッス仮面が戯れているなか、リマト氏が駆け寄ってくる

 

「いやぁすまない!あなたたちの手際のよさを見込んで、羊毛狩りをもっと頼みたい!」

 

「どうかしたんですか?」

 

「いや、それが・・・」

 

「めえー♥」「めえー♥」「めえー♥」「めえー♥」「「「「「「「めえー♥♥♥」」」」」」」

 

徒党を組んで、羊たちがラマッス仮面に雪崩れ込み、高く胴上げる

 

「ほわぁあ~!?」

 

「どうにもラマッス仮面を気に入っちゃったみたいで、自分達も刈られたいと聞かなくてさ。銀は弾むから、頼まれてはくれないかな?」

 

《ふははははははは!!だそうだエア、やってやるか?》

 

「もちろんです~!!ラマッス仮面は、民の味方ー!ほわぁあ~~!フォウ~!たすけてぇ~!」

 

「エアの尊さに気付いたのは認めるけど・・・獅子に群がるとか大丈夫なのかコイツら・・・」

 

エアの労りと列整理、フォウの手際と私怨により、一日にて羊の毛狩りを完遂することに成功したのだった・・・――

 

羊の毛狩り clear! 報酬 王の銀一枚

 

 

 

次なる仕事の依頼 浮気現場を調査せよ!

 

 

武器製作人、キッシナムゥ氏の妻が不穏な動きをしているという。気になって仕事のノリが悪いため、早急に調査してほしいとの依頼だ

 

《世知辛いものよな・・・うむ、だが中々に面白そうではないか。不倫現場を暴かれた間男に女の顔は見物だ、笑顔で付き合ってやるか、エア》

 

「はい!ラマッス仮面は仕事を選ばない!早速尾行ですね!」

 

「どうせチンケな逢い引きだろ?さっさと終わらせて帰ろう」

 

そう言って気楽なムードの三人を待っていたのは――

 

 

「食らいなさいヨヒメン!『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!」

 

「実は私は一回刺されただけで満足しまきゃあぁあぁ!わ、私達の地上進出計画が――そんなぁ――!!」

 

「ヨヒメンがやられたようですわね」「彼女は私達ヨヒメンの中でも最弱」「ウルクの民に破れるなど」

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!」

 

「「「あい!して!まーす!♥♥♥」」」

 

「聖なる剣は、別になくても倒せます」

 

「私達の仕事は浮気現場の調査な気がしましたが別にそんな事はありませんでした」

 

「そうですか」

 

「さぁ、行きますよヨヒメン――!!」

 

「来なさい!ラマッス仮面一行――!!!」

 

ウルクの地下空洞と溶岩地帯に生息する地上進出を目論む異種を、騎士王の力を借りて撃退

 

「私達は間違っていました・・・どうか皆様、幸福な生を・・・」

 

最終的に――ヨヒメンの愛が、世界を救ったのだった・・・

 

浮気現場を調査せよ clear! 報酬異種生物との婚姻、友好の法律制定

 

 

仕事 河に住み着いたワニ100匹を退治せよ

 

 

ユーフラテス河に住み着いたワニをやっつけよとの仕事が舞い込む

 

「ここがワニ達の溜まり場だね!」

 

リッカ即座に急行し

 

「ヘラクレス!アキレウス!兄貴!行くよ!」

 

「うむ」

 

「あぁ!」

 

「応!!」

 

【今日はワニ肉だぁ――!!!】

 

大英雄三人と邪龍の力にて、並みいるワニを蹴散らし、穿ち、吹き飛ばし、僅か半日で討伐を終えたのだった――

 

河に住み着いたワニをやっつけよ! clear! 報酬 ワニ肉 羊の銀7枚

 

 

酒の仕分けを完遂せよ!

 

 

「なんてこった!三つの市の酒を、ラベルをつけないで混ぜちまった!」

 

「いちいち仕分けてたら三日はかかっちまう!どうすりゃいいんだ!」

 

「そうだ!皆で彼を呼ぼう!」

 

「あぁ!黒き邪龍と肩を並べる、ブイン族の勇者!その名も――!」

 

 

「ラマッス~~~~!!仮面!!」

 

「「「ラマッス仮面だ――!」」」

 

「助けてくれラマッス仮面!酒がなんだか分からなくなっちまった!ギルス市、ニップル市、ウルク市の酒なんだが・・・」

 

「任せておきなって。ラマッス仮面の得意技さ」

 

ラマッス仮面は素早く色、色彩、味を見極め、てきぱきと分別し、荷台を整理する

 

「こちらがギルス市、こちらがニップル市、こちらがウルク市となります!ご確認を!」

 

「すげぇ!全部合ってる!」

 

「すごいぞラマッス仮面!まるで全てを見分ける王のようだ!」

 

「ありがとう!ラマッス仮面!こちら銀となります!」

 

「ラマッス仮面は・・・――皆の味方!さらば!ラマッス!」

 

フォウをお姫様だっこし、駆け抜けるラマッス仮面

 

「「「ありがとう!ラマッス仮面――!!」」」

 

酒の仕分けを完遂せよ! clear! 報酬、沢山の麦酒 魚銀5枚

 

 

家の中の蜂の巣を駆除せよ!

 

「家の中に毒蜂が巣を作っちまって寝られない!なんとかしてくれ!」

 

【任せてください。龍の蜂駆除術、見せて差し上げましょう】

 

アジダハーカアーマーを着け、家を閉め切り

 

【――せいっ!!】

 

意を決し、蜂の巣を叩き壊す――!

 

大量の羽音を鳴らし、部屋を真っ黒に染め上げる程の蜂の大群が満ち溢れる! 

 

【はははははは!そんな針は効かないんだなぁ!輝け~!深淵の如く!漆黒の最凶マスター!アジ・ダハーカ!リッカ~!】

 

腕をクロスし、身体にまとわりつく蜂に目掛け――

 

【刺す、っていうのはこうやるんだよッ!!!】

 

アジダハーカアーマーをトゲトゲに展開し、針を伸ばし、蜂を皆等しく貫き殺すリッカ

 

【龍の鱗は、蜂には貫けぬのだ・・・なんちゃって!】

 

無事に、蜂の駆除は完遂したのだった・・・

 

蜂を駆除せよ! clear! 報酬 銀4枚 (リッカの女子力↓↓↓)

 

ウルクのお菓子を調査せよ!

 

 

「うちの菓子は凄い旨いんだぜ!ブイン族の作る未来の菓子にも負けないぞ!」

 

「なんのなんの!うちの菓子も天下一品!皆が喜ぶ最高の品さ!」

 

「ブイン族伝来のパンケーキ!美味しいよ~!まだまだ無限に食べられる訳じゃないが、味はだんだん近づいてきた!さぁ食べた食べた!」

 

「では、だれが一番凄いのだ?」

 

 

「「「もちろん俺の菓子さ!――むっ!」」」

 

「くはははは、これは争うしかあるまいなぁ?」

 

「「「よろしい、ならば菓子王決定戦だ!」」」

 

そうしてウルク一の菓子王決定戦が行われ、ウルク全体を巻き込み大騒ぎとなり、美味なる菓子が皆に振る舞われたのだった・・・

 

「くはははは、人間は焚き付けてやれば争う。愚かな者よな。さて、こっそり・・・――ぬぉうっ!?」

 

瞬間、茨木がいた箇所に凄まじき一閃が繰り出される

 

「何奴ッ!?――な」

 

「食い逃げと騒動の元を発見!母上!やっちゃって!」

 

リッカの指示を受け、静かに殺意を燃やす頼光

 

「えぇ。リッカ、見事な虫退治でした。私も負けてはいられませんね。――誅罰、執行――」

 

「げぇっ、源氏――!!」

 

菓子王決定戦 clear! (茨木、1週間半泣きで頼光から逃げ回る羽目になる)報酬 銀1つ

 

 

風紀を取り締まれ!

 

「よいですか?ウルクは確かによき都市。ですが、風紀の乱れは必ずや広がっているものなのです。それを見逃すことなく、気を引き締めて見回りに参りましょう!」

 

「はい!巴ねぇ!」

 

「まぁ、姉などと・・・人懐っこい、よき方ですね、リッカ様。・・・あなたが義仲様と出会っていたら、さぞ・・・」

 

「あ、何か起きてるよ!」

 

「むむ、確かめに参りましょう!」

 

その現場は、荷台が穴にはまり、進退窮まる様相が展開されている

 

「無茶して積みすぎたこりゃあ!どうする!男手じゃうんともすんとも・・・おおっ!巴様だ!皆!巴様が来てくれたぞ――!!」

 

「あっ(察し)」

 

「え?あ、いや、その。今はリッカ様と、風紀を・・・」

 

「お願いいたします!巴様!」

 

「ですが――、・・・リッカ様?」

 

ぽん、とリッカが巴の肩に手を置く

 

「『義を見てせざるは、勇無きなり』」

 

グッ、とサムズアップつきで巴を焚き付けるリッカ

 

「義仲様・・・!解りました!巴!一肌脱ぐと致しましょう!」

 

素早く頷き、荷台に駆け寄り

 

「――――ッアァアァッ!!!」

 

男十人で動かす荷台を、高らかに持ち上げる巴

 

「おぉおぉお!!流石は巴殿!俺達の女将巴殿だぜ――!!」

 

「まさに猛将!流石はトモエ・ホイップとかいう技の開祖だ――!」

 

「巴ねぇ、すげぇ!!」

 

「ハッ!?――うぅ、ありがとうございます・・・」

 

沢山の称賛を受けつつ、涙を流せし巴であった・・・

 

風紀を取り締まれ! clear! 報酬 銀5枚

 

 

兵士100人組手!

 

レオニダスの誘いにて、ラケダイモニオイ100人組手に挑戦するマシュ

 

「ぐぁはぁ!!参ったぁ!」

 

100人目を倒し、肩で息するマシュ

 

「あり、がと、ござい、ました!」

 

果たしたと同時に倒れ込むマシュ。レオニダスが紳士的に木に寄りかからせる

 

「お見事でしたマシュ殿ォ!このようにぃ!100人組手は60人辺りで限界を迎えるがぁ!ここからが真の戦いであーる!万全の体調で出来ない事はありません!万全なのですから!ですが万全な体調など戦場では秒単位で過ぎ去って行くもの!諸君らにはグッドコンディションではなく、バッドコンディションのつきあい方を学んでほしい!」

 

「「「うぉお――――――!!!」」」

 

「なにも出来ない状態で何が出来るのか?それを知っているだけで生存率は格段に跳ね上がります!ですが負傷はいけません、負傷は。傷は気合いでは治りませんから。傷を受けたならまず休む!そして疲れたならば即座に寝る!それが戦場の直中であっても!そしてあ、やばいなと感じたら即座に覚醒、目の前の魔獣に槍を叩き込む!疲労とは寄せては返す波のようなもの!ピークが過ぎたらまた戦えるのです!よろしいですね!」

 

「「「お、おぉ?まぁいいや、うぉお――!!!」」」

 

「よろしい!筋肉哲学はここまで、次は頭脳のレクチャーに至りましょう。――『盾は同じものには出会えない!』よいですか、槍などはどれでも一緒ですが、盾は無くしてしまうと二度と同じものには出逢えない!マイ・ベスト・シールドを手に入れるのです!円形のものこそ至高にして最優!けして、見栄を張って重い盾を選ばぬように!彫刻や華美で攻撃は防げません!」

 

「「「まぁそうか!うぉお――――――!!」」」

 

「これが・・・ナンバーワン盾英雄の深遠なる哲学・・・!」

 

『ははは。マシュ殿もすっかりラケダイモニオイめいてきましたなぁ!』

 

「はい!ディスイズ!スパルタ!ですね!」

 

「何も空を飛べ、と言っているのではありません!煉瓦を手に取り、此処に並べる!それは誰にでも出来て!最も重要な事なのです!」

 

レオニダスの筋肉哲学に、マシュは瞳を輝かせ感じ入っていた・・・

 

レオニダス100人組手! clear! 報酬 銀5枚

 

 

悪霊を祓え!

 

【光射す世界に!汝ら悪霊!住まう場所なし!!渇かず飢えず!無に、還れぇえっ!!】

 

雄叫びを上げながら、花屋の天辺にたむろする悪霊を除霊するリッカ。主に拳で

 

「・・・ありがとうございました。でも、騒がしいです」

 

アナも鎖と鎌をしまい、頭を下げる

 

「いいのいいの!マスターとサーヴァントは助け合いでしょ!」

 

朗らかに笑い、リッカはアナと目線を合わせる

 

『神代において、死は終わりじゃない。魂が冥界に連れ去られるのは病のようなものなんだ。冥界から魂を奪い返せば、死んだ体は生き返る。それは、一種の治療行為なんだよ!』

 

「はい。部員の皆様が貼った結界をすり抜けてきた悪霊でしたから、これで大丈夫かと」

 

「良かった良かった!アナもお疲れ様・・・っとと」

 

アナの言葉を思いだし、あえて距離をとるリッカ

 

「声かけてくれて、ありがとね。じゃ、また――」

 

「あの」

 

駆け出そうとしたリッカを、うつむきながらアナは呼び止める

 

「・・・その、あなたを怖いといったのには、理由があります。・・・あなたが、人類悪というのも、あるのですが・・・」

 

「・・・いいよ、続けて?」

 

優しく促し、視線を屈んで合わせる

 

「・・・あなたは、ボロボロです。裏切られて、傷つけられて・・・見ていられないくらい傷だらけです。・・・謂れのない迫害や、攻撃を受けて・・・何故あなたは人を護れるんですか?」

 

「――・・・」

 

「人に・・・失望をしたことは、ないのですか?」

 

アナは、リッカの事がまるで『解らない』のである

 

人類悪でありながら、人を護れる理由がわからない。

 

迫害されながら、人でいられる理由がわからない

 

わからないから・・・行動すべてが、怖い

 

そんなアナの問いかけに――リッカは笑顔で答える

 

「だって、いいも悪いもあるのが人間だしね。悪いとこばっかでも、それと同じくらいいいとこあるのが人間だから!」

 

「・・・え?」

 

「確かに私はまぁ、ちょっとだけ辛い目に遭ったけど、それは私だけの話じゃないしね。人間は、悪いとこばっかりじゃないってだけ!私は、人間のいいところを信じてるから!」

 

「・・・信じているから、護れるんですか?」

 

「そゆこと!悪いとこも、いいところも、私はどっちも好きだから、それを両方持ってる人間が好きなの!そして――私が、未来が欲しいから、戦ってるの。それだけ!」

 

リッカは明るく笑い、それだけだと告げる

 

未来が欲しいから戦う

 

人間が好きだから衛る

 

頭を捻らなくていい。私は、それだけだと。アナに・・・伝えたのだった

 

「・・・・・・解りました」

 

目をぱちくりしながら、アナは・・・笑う

 

「あなたは、ばかなんですね」

 

「そうだよ~!とびきりのばかだよー!ははははー!」

 

「ふふっ・・・報告に行ってきますね。それでは・・・また、後で」

 

ペコリ、と頭を下げるアナ。屋根から屋根へ飛び移り、ジグラットへ駆けていく

 

 

「私の事は単純明快。――コミュ障ならぬコミュ馬鹿なんだよね!我ながら素敵な名称だね!うん!」

 

うんうんと頷き、大使館に戻ろうとしたとき・・・

 

【――――心せよ】

 

「!?」

 

背筋が凍るような、それでいて思い遣りを感じる声が、身体を穿つ

 

【――憎しみに理解を示してはならぬ。喜びに賛同を示してはならぬ。労働に、称賛を示してはならぬ】

 

それは、忠告であった。これより先に、嵐に挑むマスターへの、忠告

 

【例えこれらが人道に反していようと、そも神に人道を語ることが愚かである。――忘れるな、藤丸リッカ。神と真に解り合いたくば、安易な共感を懐かぬ事だ――】

 

その声は、遠ざかり、やがて闇に消える

 

「――じぃじ・・・?」

 

聞き違える事のない、その厳しくも優しい言葉を・・・リッカは心にしかと刻み込んだ・・・

 

悪霊を祓え clear! 報酬 銀7枚 謎の忠告

 

不毛な争いを収めよ!

 

 

「羊肉!羊肉こそが一番だ!何にでも合う!」

 

「いいや!鶏肉だ!鶏肉こそが旨いんだ!ヘルシーだしな!」

 

羊肉か鶏肉か。(ラムオアチキン)高騰した嗜好の品を巡る争いが市場にて起こる

 

真っ向からぶつかり合う二人の争いに、待ったをかける者が現れる――

 

「ラマッス~~!仮面!」

 

びしり、とポーズを振り、降臨するは皆のヒーロー、ラマッス仮面

 

「おぉ!ラマッス仮面!」

 

「あんたも聞いてくれ!どっちが――」

 

その争いに、手をかざし制するフォウ

 

「――・・・・・・」

 

「あんたは・・・」「ラマッス仮面のお付き・・・」

 

そして、最適解なる答えを導き出す――

 

 

(ビーン)

 

麦酒と、枝豆を与えるフォウ

 

「これは・・・!」

 

「おぉ・・・!」

 

――此処に、争いは静まる

 

どの肉にも、酒とつまみはピッタリだと・・・

 

 

不毛な争いを収めよ! clear! 報酬 上質なつまみ 銀三枚

 

王をマッサージせよ!

 

 

「ラマッス仮面!さんじょ」

 

「随分とノリノリではないか、エアよ。余程楽しいのであろうな、ふはは!」

 

王の私室に足を踏み入れたエアが見たものは、ベッドにてうつ伏せに寝そべる賢王の姿であった

 

《ほう、我には依頼の内容が見えたぞ。生前の我ならば切り離せぬ問題よな》

 

「うむ。愚かなる我の通りよ。――王の責務と言うのは中々に身体に負担がかかるものでな。肩や腰、座ることが多いゆえに疲労を溜め込みやすいのだ。・・・今はウルクの火急の時。万が一にも倒れるわけにはいかぬ。――よってエア。お前に依頼するは――」

 

パチンと、宝物庫より、オイルや器具を召喚し、高らかに声をあげる

 

「王の肉体の整体よ!喜べ!王の玉体に触れる栄誉を許す!その気配りと細やかな指で、我が肉体を癒すがよい!」

 

「な、なんとぉ~!?」

 

驚きの声をあげる。無理もない。王の整体、つまり、マッサージを頼まれたということは、ギルガメッシュの肉体に触れると言うこと――畏れ多き栄誉に他ならぬからだ

 

《こやつめ、態々エアを整体師に指名するとは分かっておるではないか!職権濫用の気がしないでもないが是非もあるまい!》

 

「栄誉を喜ぶべきか、なにやっているんだ賢王というべきか・・・どうする、エア?」

 

一瞬気後れし、後ずさるエアだが・・・即座に覚悟を決める

 

「――やります!ラマッス仮面は何でも屋!畏れ多い王の勅命でも、困っているならワタシはやります!それが、ラマッス仮面の矜持です!」

 

「うむ、よく言った!時にエアよ、ラマッスは人面だぞ?」

 

愉快げに笑う賢王の近くにより、身体を伸ばす王に一礼する

 

「失礼します!――賢王、大変お疲れ様でした!」

 

「うむ。敬意と畏れを以て、我が肉体をリラックスさせるがよい。――お前と愚かな我の関係上、中々触れ合いの機会は無いであろうからな」

 

笑いながら、エアの指圧を受け御満悦になる賢王

 

《うむ。些か出し抜かれた気がしないでもないが・・・来るべき時に、王に触れたことがないなど話にもならぬからな》

 

「仕方無い、仕事は仕事だ。――じゃあ僕はBGM代わりに・・・エアの話をするとしようか」

 

笑う英雄王、語り出すフォウ、満悦な賢王、敬意をもってマッサージするエア

 

「どうだ、エア?生の営みは良きものであろう?」

 

「はい!とても!」

 

《フッ。――我が庭、必ずや取り戻さなくてはな――》

 

・・・ウルクの日々は、駆け抜けるように過ぎていった・・・――

 

「エアよ。我が何故魔術師のふりなどをしているか解るか?」

 

「ふり、なのですか?あの沢山の魔杖を操りながら・・・?」

 

《ふりだとも。魔術師は世界の神秘に手を伸ばし魔術を編み上げる。詩や小説にて自らの世界を織り込む作家どもともまた違う。道具に頼り、形だけをそれらしく見せているだけの擬きにすぎん》

 

「・・・た、戦いにくいのでは?王は人類の可能性を思うがままに振るうが強み。よりにもよってキャスターでは、王の負担が・・・」

 

「然り。我はな、あえてこうしているのだ。――これはな、当てつけだ。嘲笑っていると言い換えても構わんぞ?グランドキャスターめを名乗る魔術式めを嗤っているのだ」

 

「・・・ゲーティアを?」

 

《ゲーティアはグランドキャスターを名乗りながら、その魔術のすべてをソロモンの屍にて賄っており、魔術式は人間に使われなければ起動せぬ。冠位を名乗りながら、何一つ己の力で魔術を行使しておらぬのだ。高次の生命でありながら奴等は使役されねば存在できぬ。価値がないとした人間に使われなければ行使されぬ――そら、まがい物にも程があろう。其処の酔狂ものと同じであろう?》

 

「然り。だからこそ、我はこの姿をとっているのだ。『冠位なぞ笑わせるな。貴様は我の酔狂以下の紛い物よ』と、嘲笑っているのよ。ククッ、滑稽よな」

 

「そもそもゲーティアって、偉そうな事を言ってる割に計画の推敲が甘いんだよなぁ。・・・死や悲しみを乗り越えた?ラフムが理想なのかな?だからお前らは、第七を笑えないんだ。『自分達の理想』の体現がアレなんだからさ」

 

「・・・ゲーティア・・・」

 

「いずれ対峙する際、お前の言葉を浴びせてやれ。『人生の結論』を。お前の得た、真理をな」

 

「――はい!」

 

《御膳立ては任せておけ。――あらゆる意味で、見物よな。冠の一つも・・・見繕ってやらねばなるまいよ――》




杉の森


「ん、ぅ・・・はっ!」

がばり、とエアが身体を起こす

《起きたか。――全く。些か不躾ではないか?エルキドゥ》

「あはは、ごめんごめん。フォウ君もいるよ。ほら」

「良かった。目が覚めた。――エルキドゥに拉致されてね。早朝だよ、まだ」

「ここは・・・」

《杉の森。説明した通り、我がウルクは木材が不足しがちでな。此処にて数多の木を仕入れる神聖な場所でもある》

「うん。――君には、会ってほしいものがいるんだ。ついてきてくれるかい?こっちだよ」

「あ、エルキドゥさん!」

《――構わぬ。エア、ついていくがよい。お前も知っていよう。この先に、何がいるかなど》

「・・・――は、はい!」

「よしきた。足元に気を付けるんだよ、エア」

「ありがとう、フォウ」


フワワの墓


「・・・やぁ、フワワ。今日はすごい人を連れてきたよ。生前にもいなかった、友に寄り添う姫様さ」

そこには、綺麗に整頓された空間と・・・丁寧に編まれた、花飾りが添えられていた

《・・・・・・》

「あれは・・・」

「・・・ごめんね。今日は一日、僕に時間をくれないかな。君と、フォウくんに・・・この場所で過ごしてほしいんだ」

《・・・貴様はやはり兵器としては落第よ。あまりに気を遣いすぎる》

「そうかい?でも、これは・・・僕の望みでもある。・・・エア、君を見ていると思い出すんだ。姿は君とは違って、怪物だったけど・・・心の在り方は、ともすれば・・・君よりも無垢だった、少女の獣に、君を会わせたかった」

エルキドゥは片ひざをつき、ただ、華を、墓石を見つめている

・・・彼が望み、願うことを、自らができるかどうか解らない

だけど・・・一つだけ分かることは、エルキドゥは、決して無慈悲な兵器ではない、優しい心を持った生命であるということだ

ならば、自分は・・・

「・・・ギル。我が願いを、聞き届けてくださりますか」

《・・・赦す。述べるがよい》

・・・安心し、言葉とする

「華の冠の作り方を、教えてください。ワタシと、フォウに」

《――・・・休日なのだ。たまには手慰みに興ずるのも・・・悪くはないか》

「――ありがとう。フォウくんも、いいかい?」

「あぁ。ボクだって、心はあるからね」


・・・そうして、少女の怪物に、新しい絆が添えられる


丁寧に編まれた華の冠、ありのままに編まれた華の冠。・・・豪奢に編まれた、新たなる冠

「ありがとう、皆。・・・ここは、無事で良かった」

たおやかに笑うエルキドゥ。手を合わせるエア、華を咲かせるフォウ、腕を組み、目を閉じるギル

・・・新たなる叙事詩の中心の者達の穏やかな休日は・・・杉の森の、大地に眠る友の傍にて過ぎていったのだった――

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