人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ラスティ「勢いが消えた!」
ラニ『今なら奴等に近付けよう』
メリナ「……旅は、まもなく終わる」
「死なないで、皆」
リッカ「勿論!」
(感想返信は後日行います!)
フリーレンが作り上げた、ギデオンの搭載せし対空兵器の沈黙の隙。それを縫い、一同はエルデの王座へと降り立った。黄金樹の膝下たる、エルデの王が坐すべき場所。
しかし、今の其処に存在するは、最初のエルデの王たるゴッドフレイ…否、戦士ホーラ・ルー。
並びに、神として帰還したミケラと、依代たるゴッドウィン。光と力が荒れ狂い、王座を、ローデイル全体を、狭間を激震させていた。
【まさかこの目で!ゴッドフレイの真価を見定めることができようとは!!】
『言っている場合ではないぞ。あの姿、噂に聞く戦士ホーラ・ルーのものか』
「あぁ、そうなんだ。ゴッドフレイは王として振る舞うのをやめ、ゴッドウィンと肉体でぶつかり合っている…!」
ラスティの言う通り、ホーラ・ルーは斧と鎧を捨て去り、ひたすら己の肉体のみでゴッドウィンと肉薄している。
ミケラの光はゴッドウィンに光速移動を可能としているが、それによる攻撃をあえて受け、掴んで反撃という捨て身の戦法にて神へと食らいついている。血に染まり、肉が裂け、骨が砕けようと戦いは止まらない。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
力こそ王の故。誰もが憧れ、誰もが震えた最初の王。
原始的にして、原点なる王の姿が其処にあった。
「皆、黄金樹の下へ行くんだ」
ラスティが、声を上げる。
「オレとラニがこの三人を抑える。その隙にマリカを!」
「無茶だよラスティ!?いくらなんでもこんな頂上決戦に二人で…!」
『案ずるな。奴等は片や神であり王、片やエルデの王。私の王は、どちらも完全に兼ね備えている。不足はない』
ラニもまた、ラスティと共に時間稼ぎに留まる意志を見せる。
「此処まで来たんだ。後は君たちが挑むべきは神であり───」
その時、
「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ゴッドウィンが、ホーラ・ルー渾身のパワーボムを叩き込まれる。周囲が大激震し、大地震もかくやの振動が伝播する。
「あわわわ、ハンターだってこんな無茶出来ないよ〜!」
「ネメアの獅子すらも叩き潰せるやもしれんな。本当に只人であるのか…?」
その時、ホーラ・ルーは一人の男を捉えた。
「────アスラ!?」
それは、ラスティ。ラニの王を目の当たりにし出た言葉。
「!」
「ウオオオオオオオオオッ!!」
ゴッドウィンを投げ飛ばし、悠々と、しかし頑然とラスティに近寄るホーラ・ルー。
「先輩!私の後ろに!」
「待って、マシュ!警戒まま待機!」
「え、はい!」
リッカは皆を待機させる。ホーラ・ルーはラスティに近寄り、ラスティもまたホーラ・ルーを見上げる。
「若獅子の鎧、そしてエルデの冠。……格式ある出立ちを纏っているが、俺には解るぞ、アスラ……」
ホーラが、ラスティの肩を掴む。
「蛮族の王ホーラ・ルー…」
「……そうか、アスラ……お前は子に、全てを託し…帰ってきたのだな。見間違いはせぬ、この美丈夫たる貌はまさしくヤツの…」
ホーラは、親友…アスラの息子たるラスティを感銘と共に迎えていた。
アスラとホーラは、共に蛮族の戦士の王と腹心。そして比類なき友。
故にこそ、例え世界が違おうと間違えない。
今此処に、約束は果たされたのだと。ホーラは確信する。
「アスラの子よ、名は」
「ラスティ。ラスティ・エングウィン」
「そうか。傍らに在るのは、暗月の王女ラニだな」
『あぁ。やつは私の王であり、私の夫だ』
「───そうか。最早お前は、王なのだな。ならば尚更、話は早い!」
突如ホーラが、リッカらを庇い立つように立ち上がる。
「アスラの子よ、その仲間達よ!エルデンリングに見え、世界を救え!俺はあの神と王を押し留める!」
「何!?」
「ヤツは俺と約束したのだ!『いつか必ず戻った暁には、マリカの豊穣を永遠としてみせる』とな!それがどのような世界かは想像もつかんが、あやつは決して虚言は口にせん!」
ミケラ、ゴッドウィンが起き上がる。そして光を纏い、宙へ浮遊し、輝きを増していく。
「お前があのアスラの子だというならば、成し遂げてみせろ!強さこそ王の故!慈愛こそが世界の故!ヤツの言葉通りにな!」
ミケラの光。全てを吹き飛ばし滅する輝きの光。
「マリカの願いを、最も良く聞き及んでいたのはヤツだ!俺もマリカも、やつの理想を信じている!」
「ホーラ・ルー……!」
「往け!!神にすらも挑み、世界を新たに掴んでみせろ!!」
「リッカ、黄金樹に見えるのは始まりの君達だ」
その時、レダをはじめとした信奉者、黒き刃の三人がホーラ・ルーに並び立つ。
「ミケラ様を止める。その戦いを完遂するためにも、此処は我々に任せてくれ」
「レダさん…!」
「君に託す。どうか───優しい世界を、マリカに示してほしい」
「王になりなされ。神などではなく、人々の為の王に」
「トリーナ様に、また会いに行きましょう」
「悲しみの終わった世界で、会おうね」
「………神を、殺せ。新たなる始まりのために」
『やれるのだな。シフ、ラトリア、グィネヴィア』
【はっ!】
【任せてよ!ゴッドウィンは1回やった相手!】
【死力を尽くします。エルデンリングをお掴みください!】
『僕達はもう少し時間がかかる。今、獣の司祭グラングと話をしていて、【運命の死】を、マリカに渡す事ができるかもしれないそうだ』
「運命の死…?」
『黄金律から外された死の根源らしい。それを使う相手を見定めるみたいだ。だから、君達は君達の成すべき事を!』
【マレニア、貴殿はどうする!?】
「……確かに、兄様を取り戻す事は私の全てだ」
「マレニアさん…」
「しかし、今私が成すべきは貴公らをエルデンリングに導くこと。…レダよ、どうか兄様を…!」
「お任せくださいマレニア様。死力を尽くし、時を稼ぎます!」
方針は定まった。一同は駆け出す。
「皆、死なないで─────!!」
リッカの言葉と同時に───
光が、王座の全てを呑み込んだ。
〜
「来たか。よくぞ長き旅を終え此処まで辿り着いた。褒めてやろう」
黄金樹の中心へ続く道。拒絶の棘の前にて迎えしは英雄王ギルガメッシュ。
──この向こうに、マリカが…エルデンリングが、共に。
「この棘を破るには、本当は黄金樹を焼かなきゃいけない。でも、私達なら」
「レン!」
「やぁ、リッカ。フリーレンって名前だから、次から……。うん。今は君の巫女、レンでいいよ」
「祖龍。夜の王に葬送の魔術師、そして最初の逸話…。皆の力を、其処へ」
呼ばれたままに、皆は構える。雷槌、魔を敷く法。そして乖離剣エアの一撃を。
「万象の律の顕現が為に…拒絶の棘よ、消えるがよい」
その圧倒的な力を前に、拒絶の棘は燃え尽き散ることとなる。
「──道は開けた。この先に待っている。エルデンリング…そして、マリカが」
メリナは、告げる。
「さぁ、行って。エルデンリングに修復ルーンを掲げ、新たなる世界を」
「………うん!」
始まりのメンバー、そしてラダーンとマレニアが頷き合い、決意を示す。
その時、黄金樹の内部が眩く輝きだし、皆を飲み込む。
「っ────!」
そして、其処は石御台のみが置かれし、広き空間。
「……かつて、マリカがエルデンリングを砕こうとした」
そこに置かれし、壊れかけの槌。
ラダゴンは、それを修復しようとした。
その石御台の上に───
「その大過により、マリカはずっと囚われていた」
遂に、一同は見上げる。
『────────────』
壊れかけの肉体のまま、死の力に貫かれ磔とされている──
「彼女が……」
──女王、マリカ……!
神となりし人。エルデンリングの器。
女王マリカの姿が、其処にあった。
リッカ「すぐに降ろしてあげなきゃ!」
ラスティ「待つんだ、リッカ」
リッカ「え?ラスティ、さん?」
ラスティ「覚えているかい?ラダゴンとはマリカである、と」
リッカ「う、うん。………!」
瞬間、マリカの磔が剥がれ落ち、マリカが地に落ちた。
ラスティ「その意味は、つまりこういう事だ」
──マリカの手が、槌を掴む。
「世界を戻す為に、倒さなくてはならない者がいる」
マリカの金髪が、紅蓮の真紅に染まっていく。
ラダーン【───まさか】
マレニア「兄様と、同じ…」
壊れかけた女体は、壊れかけた男性の肉体へ。
胸から左腕が壊れながらも、右手の槌で石御台を破壊する。
ヘラクレス「───成る程、即ち…」
ラニ『我等に立ち塞がる、黄金律の犬のお出ましだ』
狭間の地における『神』にして【英雄】。
黄金律、ラダゴン【────────────────】
万象律。マリカの願いに立ちふさがる最後の相手。
それは────
肉体にエルデンリングを宿せし黄金律そのものたる…
赤髪の英雄、ラダゴンであった。