人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ミケラ『愚かな真似は辞めなさい、レダ』


レダ「ミケラ様…!」

ミケラ『人は、神には抗えない。人は、神を殺せない』

ダン『…………』

ミケラ『ラダゴン、あれもまた神。マリカが壊れた以上、その肉体は仮にも神のもの』

シフ【何が言いたい…!】

ミケラ『新たなる世界は…』

『神で無き者に、作れはしないのです』


半壊せし神

【──────────】

 

遂に邂逅した、女王マリカ。その半身たるラダゴンが、壊れかけのままにリッカ達へと相対する。

 

【父よ、まさかこうして相見える日が来ようとは夢にも思わなかったぞ…!】

 

ラダーン、マレニア、そしてラニ。ここにいるデミゴッド達の父にして、レナラの夫たる男。再会を果たした…というには、その有り様に情らしきものは見られない。

 

【───────】

 

槌を片手にゆっくりと歩むその姿に、意識と精気はまるで感じられない。壊れかけの身体も相俟って、それはまさに傀儡…。黄金律を維持し、体現するために動いている機械のような有様を見せる。

 

『黄金律の犬。マリカは奴をそう吐き捨てたようだが……あれはまさしく、黄金律そのものということか』

 

ラニが目を細める。

 

『おそらく最早意思すら介在していまい。あれもあれで、マリカとは別の致命的な壊れ方をしたようだ』

 

「父上……」

 

マレニアは、静かに父の成れの果てを見やる。つまりラダゴンは、黄金律を万全にするために生み出された存在。

 

マリカの半身として芽生えさせられ、ラダゴンとしての人格を植え付けられ、常にマリカを蝕み、黄金律の世界を維持するため、レナラとリエーニエを手にするための英雄としての役割を果たした。

 

レナラを愛し、子を産ませた。そこにラダゴンの意思は確かにあったとしても、それは徹頭徹尾『黄金律の体現者』以上の意味はない。

 

マリカが黄金律に反旗を翻した時から、その精神は大いなる意志や神たる存在の操るままでしかなかったのだとラニは言う。

 

『恐らく、我が母の下を離れた時には既に……』

 

ラニの言葉と共に、ラダゴンが動きを見せる。

 

【────────】

 

軽く跳躍し、左手に黄金の槍を展開。凄まじい速さで、それをリッカらに投げ飛ばしてみせる。

 

「先輩!!」

 

マシュが素早く一同の前に立ち、防いでみせるが、その一撃はあまりにも重い。

 

「っああぁぁっ!?」

「マシュ!!」

 

ラウンドシールドこと吹き飛んだマシュはリッカに支えられる。祈祷の槍は、マシュの防御を正面から破ってみせたのだ。

 

『殺す気で行け、お前達。あの不逞の男は腐っても我が母の配偶者だ』

 

「ッ────!!」

 

その時、マレニアが素早く躍り出、身体を限界まで捻り片足で跳躍。その必殺たる水鳥乱舞の始動を行う。

 

「お父様、我々は進まねばならないのです」

 

【──────】

 

「お覚悟を…!!」

 

そして放たれる、無数の斬撃。その神域の斬撃は、ラダゴンを粉微塵に寸断し──。

 

「!!」

 

否。その斬撃がラダゴンを斬ることは無かった。

 

「が、っ───!」

 

【─────】

 

なんと、ラダゴンは乱舞に移る瞬間のマレニアの首を左腕にて掴み上げたのだ。それはマレニアの姿勢と始動を完全に読み切り、なおかつ見切りきったが故のまさに神業。

 

マレニアの剣の腕前は神の領域。それすら尚、ラダゴンは壊れかけの肉体のままにて反応してみせたのである。

 

【──────】

「がは、っ────!!」

 

そのまま、猛然とマレニアを地に叩きつける。背骨をも折らんとする衝撃が、マレニアの身体に多大なる一撃となって降りかかった。

 

【───────】

 

右腕の槌が輝き出す。かつてエルデンリングを砕いた時のように、槌にてマレニアを砕かんとする必殺の構え。

 

【おおおおおおおおおおおお!!】

「ぬぅうぅうっ!!」

 

だがそれをラダーン、ヘラクレスが阻んだ。剛力の赤獅子と大英雄が、二人がかりでラダゴンを引き離す。

 

【─────】

【父よ!!目を覚ませ!英雄たる貴方が、そのような腑抜けた立ち振る舞いで良いはずがない!】

 

ラダーンがラダゴンに呼びかける。

 

【我等は貴方を、マリカを助けに来たのだ!黄金律では至れぬ領域に、皆で至らんが為に…!】

 

【────】

 

だが、その返礼は左腕に集まる光のみ。

 

「ッ!!」

 

本能的に『死』を察したヘラクレスは、ラダーンとそしてリッカを突き飛ばし、庇い立てする形でラダゴンに掴まれる。

 

【ヘラクレス殿!!】

 

「ぬう、っ………!」

 

左腕で首を掴まれたヘラクレス。振り解こうとするもそれは叶わない。

 

(壊れかけだと言うに、なんという力か…!!)

 

その拘束力は、信じがたいことにヘラクレスの力すら上回っていた。半神のヘラクレスとは異なる、正真正銘の神たる力。

 

「ぐっ!!」

 

叩き伏せられ、マレニアが食らうはずだった渾身の一撃を振り下ろされる。

 

「ぐうぉおっ…!!!」

 

その一撃はヘラクレスを突き抜け、大地の陥没をすら起こしてみせる。見目すら壮絶な一撃、それはまさに必殺。

 

「ぐぅあっ………!!」

 

一撃、二撃、振り下ろされた一撃は、なんと一撃ごとにヘラクレスの命を奪い去った。

 

一撃で五つの命を。二撃で十の命を。

 

ヘラクレスの生命は、12の内なんと10を削り取られてしまったのだ。今の一瞬で、即座に。

 

『─────!』

 

瞬間、『祖龍の尾』がラダゴンを遥か後方へと吹き飛ばす。

 

ヘラクレスを救わんが為、神に等しきルゥの本気の一端が振るわれたのだ。

 

「ヘラクレス殿、無事か!」

 

ラスティの言葉と共に、ヘラクレスは立ち上がる。

 

「神と、身を一つにするだけはある……」

 

「無理をしてはいけない、今生命を回復させる!」 

 

ラスティが素早く生命のストックを回復させにかかり、フリーレンとラニがその活路を開く。

 

『滅びるがいい、母の恥め』

「魔術ならどうだ…!」

 

ラニの暗月、レナラの満月。二人が並んでラダゴンへと放つ。

 

【──────────】

 

自身に向かって飛んでくる二つの魔術を、ラダゴンは──。

 

「な…」

 

『左手』で、軽く振り払うように打ち消してみせる。パリィの要領にて、完全にそれらをかき消したのだ。

 

「ッ!!ラニ、フリーレン!!」

 

ラダゴンは既に反撃に移っている。魔力を槍にし、フリーレンとラニを串刺しにせんと祈祷を装填していたのだ。

 

ラスティはそれにいち早く勘付き、我が身を盾にラニとフリーレンを護る。

 

【────────】

 

ラスティを認めた瞬間、魔力は更に高まり巨大な丸太の如き槍としてラスティに一直線へと放たれた。

 

「ぐぅあああああっ!!」

 

すんでのところで受け止めるも、その勢いはあまりにも強く壮絶。

 

「うぉぉぉぉぉっっっっ!!!」

 

「うあっ!」

『私の王…!』

 

フリーレンとラニのもとにまでふっ飛ばされる程の勢いにて、三人を纏めて制してみせた。

 

【ぬうおおおおおおおおおおおおおッ!!】

 

獅子の如き咆哮を以て、ラダーンが重力魔術を展開する。

 

【此処まで来て、仲間達を喪うわけにはいかぬ!!】

 

【─────────】

 

【父よ!討ち果たさせてもらうぞ────!!】

 

重力魔術にて回転。螺旋の軌跡となってラダゴンに突撃するラダーン。

 

しかし、それすらも。

 

【ッ!?】

 

ラダゴンは大跳躍にて軌道より流れ、そして槌に黄金の波動を漲らせる。

 

それは、ラダゴンの力を込めた渾身の一撃。

 

神の半身たる、絶対の一撃。

 

ラダゴンの、英雄的殴打。

 

【くっ─────!!】

 

ラダーンの決死の防御と、それは同時。

 

【─────────】

 

『黄金砕き』。

 

石御台の全てを染め上げる、ラダゴン窮極の殴打が、空間一帯に叩き込まれた。

 

大爆発。

 

大轟音。

 

大崩壊。

 

周囲にあるその全てを巻き込んだ、黄金の破滅的力場の展開。

 

それこそは、神たる一撃。

 

それこそは、黄金律の体現たる一撃。

 

完璧にして、完全なる一撃。

 

【───────】

 

それを、二度、そして三度叩きつけるラダゴン。

 

やがて、大地にエルデンリングの紋章が傷痕として刻まれたその時、ゆっくりとラダゴンが起き上がるその時に……

 

【─────────】

 

黄金律に仇なすその全ては。

 

完全に、その姿と痕跡を…

 

石御台より、消し去っていた。




ラダゴン【──────────】
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