人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ライカード「あれが…黄金律そのものか…!」

フリーレン「やっぱりそうなんだ。アレが、狭間に降りてきたエルデンリングの本当の姿」

ラダーン【ならば、討ち果たし今度こそ新たなる世の到来を──ぐっ!?】

エルデの獣『──────』

マレニア「これは…力が……!」

ライカード「どうやら、律の下の生命を縛るか…!」

ルゥ『まずいよ、ラダゴンで皆ほとんど出し切っちゃったから…!』

エルデの獣『─────』

フリーレン「!あれは……」

ラスティ「『エルデの流星』か!ラニ!」

ラニ『解っている』

エルデの獣『!』

リッカ「ラニ様!?」

ラニ『奴は押し留めておく。…兄上らにあれは殺せん。故に早急に私の王と決しろ』

リッカ「!」

ラニ『リッカ。マシュ。──お前達が、神を討つのだ』

マシュ「神を…」

リッカ「───!」


黄金の洛陽へと

遂に姿を現せし、エルデンリングの本当の姿、『エルデの獣』。大いなる意志が送り遣わした、最初の流星。黄金律、原初の姿。

 

その威容は、その権能はラダゴンに輪をかけて強大。ラダーンら黄金律に生まれしものを縛り、無力にするはもとより……。

 

「距離が……」

 

『遠すぎるよ〜!』

 

時間と空間すらも掌握したエルデの獣は、リッカらの同じ時空位相に存在しない。遥か坂の上から、坂の下に向けて何かを投げているかのように攻撃を早め、こちらには決して懐に辿り着かせない。

 

ヘラクレスの武力も、フリーレンの知力も、マシュの防護も意味を成さない。何故ならそれは、時間と空間を超越するものではないからだ。

 

『──────』

 

ルゥの目が細まり、赤雷が迸る。ならば雷槌を…。彼女はそう決議したが…。

 

「駄目だ、ルゥ!エルデンリング諸共世界が消し飛ぶ!」

 

『あわわ、むむむ…!』

 

壊れかけの世界は、ルゥの雷槌に堪えられない。即座に全てが塵になる未来にルゥは使用を留まる。

 

「此処まで来て…!」

 

『よい。お前達は存分に頑張った。此処は私に任せろ』

 

マレニア達の前に立つのは、夜の神ラニ。黄金律の流れ出す世界を、夜の律で押し留める。相殺の様相にて、律がぶつかり合う創世神話の光景。

 

『───────!!!』

 

しかし、エルデの獣はラダゴンの軛やマリカの戒めから逃れた法そのもの。人形に魂を定着させたラニでは、相殺は成せない。

 

「ラニ、無茶だ…!」

 

ラニの青き人形の各所がひび割れて行く。4本腕の一つが吹き飛び、皮膚が剥がれていく。フリーレンの言葉が響くも、ラニは一顧だにしない。

 

『私の王。此処まで来たのならば終わらせるのみだ』

 

仮初の肉体が朽ちていこうと、微塵も揺らがぬ夜の神。

 

『先の戦いでは寄り添えず無念だったが、今は違う。私も最後までお前と一緒だ』

 

雪魔女の帽子が吹き飛ぶ。ラニは前だけを見ていた。

 

『さぁ、そやつらの道を拓け。私の王の真価を魅せるのだ』

 

皆を律で護りながら、自らの王に全てを託す。

 

ラニは母の誇り高さをも、完全に受け継いだ娘だった。

 

「───リッカ、マシュ!あのエルデの獣を討つのは、君たちだ!」

 

ラニの後ろ姿に頷きながら、ラスティは神殺しの全容を託す。

 

「いいかい、落ち着いて聞くんだよ。アレは一見怪物だが、剥き出しの弱点であり殺せる生命だ。マリカ、ラダゴンという防衛機能を剥ぎ取られた悪足掻きにすぎない。殺せるものだ!」

 

「生きているなら、神様だって殺せるってことだね!」

 

「あぁ!だがアレは世界の物理法則を歪めて、自身への道を閉ざしている。アレを討つには、世界を叩き砕くしかない!」

 

ラスティはルゥから手渡される。マリカの槌を。祖龍は起死回生の一手を手にしていた。

 

「カルデアで俺は学んだ。『憑依経験』と『壊れた幻想』という魔術用語をね。憑依経験とは道具に宿った持ち主や使い手の情報。壊れた幻想は、宝具を壊した一回きりの必殺技。だろう!?」

 

「は、はい!大体合っています!」

 

「オレは今からそれをやる。『エルデンリングを砕いた』というマリカの憑依経験を読み取り、マリカのこの槌で『壊れた幻想』を発動し、渾身の力で奴の齎す物理法則を砕く!!」

 

一同は息を呑む。

 

ラスティは…ゴッドロードは告げた。

 

生身で、世界を砕くと。

 

「一人の時は運命の死があったから省略したけど、今はそうした方が手っ取り早いからね!」

 

力こそ王の故。彼はアスラの息子でありホーラの理念の体現者でもあるのだ。

 

「世界を叩き壊した後、奴は態勢を崩すはずだ。自らの世界の基盤が壊れた神など無事でいられるはずがない。その隙にリッカ、人にして悪神たる君がヤツを討つんだ!神殺しという、人の究極を再び成せ!」

 

「…!」

 

「偽神をやっつけるんだろう?だったらアレは、格好のリハーサル相手さ」

 

笑顔で、リッカの頭を撫でるラスティ。この旅路の主人公は、いつだって君だと告げるように。

 

「だが追い詰められた奴は抵抗するだろう。マシュはリッカのフォローだ。傷一つなくリッカを奴の懐に導いてくれ!」

 

「!」

 

「君の守護をずっと見てきた。そして確信した。ヤツの全ては、君の勇気を挫けない!」

 

ラスティの言葉は激励と肯定。強く、そして優しく奮わせるもの。

 

「全ての厄災を受け、災厄の席に立つ騎士。神に見せてやるんだ。マシュ・キリエライトの守護は神をも跳ね除ける勇気の城だと!」

 

「ラスティさん……!はい!!マシュ・キリエライト、神すらも阻む守護となります!」

 

「私も、やるよ。アンリマユとアジーカも最高潮のテンションだから!」

 

頷く二人を抱きしめながら、ラスティはルゥより槌を受け取る。

 

「ルゥ様、あなたはリッカとマシュを運ぶ翼と…」

 

「ううん、それは大丈夫。見て!」

 

瞬間、突如エルデの獣に向けて【死の斬撃】が放たれる。

 

『!!』

 

それは、ラニ達の後方より飛来、跳躍にて現れた。

 

【───我が使命に力添えし、グランドマスターズの要請に応え、我は此処に来た】

 

白き獣の身体に、黒き鎧を纏いし巨大なる獣。

 

「き、貴公は…」

 

「まさか、あの【マリケス】か!」

 

マレニアと、ライカードが慄く。

 

それはデミゴッドの死。

 

それはマリカの義理の弟たる戦慄の影獣。

 

カドック達が応援に差し向けた【運命の死】をマリカにより託された存在。

 

【星見の龍よ。我が背に乗り──神を、殺せ】

 

【黒き刃のマリケス】。マリカが神殺しの為に伏せし、切り札たる存在であった。

 

カドック達は、死を封じた彼…司祭に扮した彼に協力し狭間の死を集めた。

 

その恩義に、彼は報いるためにこの場へとやってきた。

 

「カドック、皆……!」

 

「グランドマスターズの皆さんが、やってくれたのですね!」

 

「マリケスだなんて……!最高の援軍じゃないか!」

 

「むふふ、だから言ったでしょ?ラスティは私に乗って、高いところからハンマーどーん!リッカ達はマリケスに乗ってダーッシュ!これで行こうよ!」

 

それが、神殺しの為の陣形。

 

全ての手筈は整った。

 

『ラスティ!行くよ!落ちちゃだめだからね!』

「お願いします、ルゥ様!」

 

「マシュ、行くよ!」

「はい!そう言えば私の名前もマから始まります!黄金の一族みたいですよ先輩!」

 

「物怖じしていないみたいで大変結構!マリケス、よろしくね!」

 

【カドックらの献身に、我も応えよう。────いざ】

 

「ラニ!!」

 

ラスティが、ラニへと呼びかける。

 

『フッ、もう少し時間を懸けても良かったのだぞ、私の王よ』

 

腕の、青い皮膚の大半が剥がれ、二本の腕がもげかけながらも、ラニは腕を組み不敵に笑ってみせる。

 

『…お前との子も見積もる頃合いだ。そろそろ人形とはお別れせねばな』

 

「取り戻そう。レナラとラダゴンから授かった、君の麗しい肉体を」

 

『……そうだな。お前との子にして母の孫は、とびきり優秀であってほしいからな』

 

夜の律に無数の黄金が叩き付けられる。

 

『無粋な輩め。……ん?』

 

『────!!』

 

瞬間、エルデの獣に『鎖』が巻き付けられた。動きを力づくで封じ込める、秘中の秘。

 

「あれは!王の───」

 

『天の鎖』。ギルガメッシュもまた見定めたのだ。

 

ここが、分かれ目だと。

 

「────行け!!リッカたち!!」

 

ヘラクレスが、吼えた。

 

【グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!】

 

マリケスが、駆ける。

 

『行くよ、ラスティー!』

「はっ!!」

 

ルゥが、飛び立つ。

 

『───流石に、やや疲れたな…』

「ラニ!」

 

崩れ落ちるラニを、ライカードとフリーレンが支える。

 

『──────!!』

 

力付くで、鎖を振り払わんとするエルデの獣。

 

最後の攻防の幕が──

 

今、上がった。




ギルガメッシュ「さぁ行け、我等が龍よ!!」


「神に挑むは人の究極!!名実ともに、我がマスターの称号を手にする時だ!!ふふはははははは─────!!」

───リッカちゃん、マシュ…!

どうか、無事で…!
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