人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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エルデの獣『─────』

マシュ「エルデの獣、弱体化しています!今なら…!」

マリケス【龍よ】

リッカ「!」

マリケス【運命の死を得たお前は…何を、殺す?】

リッカ「─────」

「誰かの幸せを踏み躙る、全ての敵!」

マリケス【そうか】

【運命の死のルーン】

リッカ「!」

マリケス【成せ】

【神を…旧き黄金を、殺せ】

リッカ「────うんっ!!」

エルデの獣『─────』

アジ・ダハーカ・アンリマユ【おぉおおぉおぁあぁあぁあぁあーーーーーーーーーっ!!!!】


新たなる時代への旗印

遂に、エルデの獣は膝を屈する。

 

リッカ達の、マシュの奮闘により黄金律の空間は砕け、エルデの獣の領域は極めて狭まった。それは、神にとって致命的な瑕疵。

 

『───────』

 

剣を杖代わりにぐったりとしなだれる獣は、最早戦う力を残していない。

 

マリケス、マシュ、ラスティ、デミゴッドにグランドマスターズ。そしてマリカがこれを導いた。

 

【──────】

 

雄々しき二本足で大地を揺るがし、歩み寄るは悪神龍王アジ・ダハーカ・アンリマユ。

 

一歩一歩踏み抜く大地が砕け、口からは清らかな七色のマナが溢れ出る、リッカが『神霊』を宿せし擬似サーヴァントに成るに等しい最強にして無敵の姿。

 

旧律の獣に、終極の獣が最も恐れる悪神が迫る。

 

『─────!!』

 

エルデの獣は身体を起こす。目の前の存在は、運命の死の一端を宿せし存在。即ち、自身を殺し得るもの。

 

生存本能か、或いは存続機能かラダゴンを変化させた神の遺剣を輝かせ迎撃せんとする。

 

だが。

 

『!!』

 

アジ・ダハーカ・アンリマユは、そんな稚拙な抵抗を乱雑に無力化する。左腕で右腕を、右腕で首を絞め上げる力は、神たる比類なきもの。例え万全であれ、離脱は叶わなかっただろう。

 

【─────】

 

悪神龍王は静かに締め上げる。それだけでも首をへし折り息の根を止めるには充分だが──。

 

【返せ。その遺体は──】

 

だが、リッカにはエルデの獣を許せぬ理由が一つあった。

 

【ラダーン達のお父さんだッ!!!】

 

それは、ラダゴンの尊厳の破壊。

 

例え傀儡であろうと、家族を利用するものをリッカはけして許さない。

 

ラニに憎まれ、ラダーンに憧れられた偉大なる英雄ならば尚更だ。

 

『───────』

 

武器を奪われ、吹き飛ばされるエルデの獣。余すことなく瀕死の死に体、満身創痍だ。

 

【決める────!!】

 

リッカに慈悲と容赦はない。彼女は旅の完遂の為にならば決して惑わず、迷わない。

 

新たなる世界のために。

 

遥かなる終極の獣を討ち滅ぼす為に。

 

【うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉああぁぁあーーーーーーーーッッッッッッ!!!!】

 

咆哮を上げ、獣の首を捻り上げながら飛翔し、縦横無尽にエルデの獣を空間の全てに叩き付ける。

 

それら一撃一撃が時空を揺るがす大破壊の攻撃であり、加速度的にエルデの獣が砕けていく。

 

【だぁあぁあぁあぁああっ!!!!】

 

最上空から、最下層へ。渾身のスローにて、エルデの獣を大地に叩き付け───。

 

【はぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあッッッ!!】

 

上空から一気に落着する、ストンピングライダーキックの要領でエルデの獣の腹に深々とトドメの一撃を放つ。

 

『──────────』

 

最早それは致命傷となった。破壊、死は免れない。

 

しかし、まだ世界に仇なす影響は残っている。運命の死なくば、獣は死なない。

 

【これで終わりにするっ!!】

 

更にリッカは、エルデの獣を天空に放り投げる。

 

【食らえ─────!!】

 

四肢を雄々しく踏ん張り、翼を完全展開。

 

託された運命の死の一端を魔力に変換し、原理をブラックバレルに転換した【寿命】を削り取る最大最悪の生命特効の一撃を展開する。

 

空間が激震し、生命が戦慄する死が充溢する。

 

悪神に邪悪なる龍の力のみが扱える、忌むべき禁忌の死たる原点。

 

それを撃ち放てし真名は────。

 

【『終極超克す(オメガデストラクション・)黎明の鏖哮(アルファ・ノヴァ)』ァァァァァァァァァァァァッッッ!!!】

 

運命の死と、リッカが溜め込みしプレシャスパワーの反作用により、ワールド・エンドクラスにまで威力が高まりし、狭間の地の旅路の総決算。

 

オメガを超え、滅ぼし皆殺しとする。全ての生命が、偽神を超え本当の意味で黎明を迎える。

 

その真名を冠した一撃は、過たずエルデの獣へと穿たれ──。

 

『──────────────』

 

断末魔一つ残さず、瞬く間に消滅。

 

それだけに留まらず、その一撃は狭間の地から七つの次元にまで風穴を開ける程の威力を以てアジ・ダハーカ・アンリマユの口から放たれ───。

 

【グゥオォアァアァアァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッ!!!】

 

新世代の来訪を告げる……

 

龍の咆哮が、鳴り響いたのだった。

 

 

『ひぃ、ひぃ…なんとか次元の穴を塞いだよ〜』

 

まぁ当然そのような威力は周辺被害が大変になったので、空いた次元はルゥが修復。時空崩壊は祖龍の頑張りで事なきを得た。

 

「ありがとう、ルゥちゃん様!ごめんね!」

『いいよいいよぉ。人の為に何かするの大好きなんだぁ』

 

にんまりするルゥの頬をモチモチした後、一行はラスティの下に向かう。世界を砕いた無茶は、いかなるほどか。

 

「ラスティさん!ご無事ですか!?」

 

世界を砕いたラスティは───。

 

「やったね、リッカ、マシュ、マリケス!最後の龍!凄かったよ!」

 

まるで平気であり、二人を高らかに抱き上げるほどに元気であった。

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

『当たり前だ。永遠なる私の王だぞ?見くびってもらっては困る』

 

自慢げにするラニだが、人形の損傷は著しい。4本ある腕は二本に、あらゆる箇所が剥げ落ち、顔面にはヒビと亀裂が入っている。

 

しかし、その魂には傷一つない。夜の神は、健在であった。

 

『だが流石に疲れたな…。まだやる事はある。油断せずに挑め』

 

「「はい!!」」

 

「マリケスも、ありがとう。本当に助かったよ」

 

【………我は、マリカの獣。それ故に、手を貸すのは当然だ】

 

マリケスがゆっくりと、彼方を見やる。

 

【行け。マリカは彼処だ】

 

「────」

 

一同が、息を呑む。

 

『─────』

 

立膝で、磔の姿勢。顔の半分と左半身が砕け空洞の、壊れかけのマリカ。

 

「いよいよ、此処まで」

 

フリーレンが息を呑む。

 

『長かったような、あっという間だったような』

 

ルゥが名残惜しげに呟く。

 

『だが、痛快であった』

 

ラニが愉快げに笑う。

 

「そしてこれは、始まりだ」

 

ラスティは油断なく頷く。

 

「先輩!」

 

マシュが、床を指さす。

 

「うん、解ってるよ」

 

其処には、黄金と白金のサイン。

 

マリカとエルデンリングを手にすれば王となれる。

 

だが、リッカは王座や支配になど微塵も興味がない。

 

故に───。

 

「お待たせ!ギル、姫様!」

 

躊躇いなく、そのサインに触れる。

 

「──漸くだな、マスター。退屈はしなかったが…待ち侘びたぞ?」

──本当に、本当にお疲れ様でした!

 

世界は、手にするべきものが手にする。きっとそれでいいのだとリッカは笑った。

 

「フフ…」

 

「どうした、ラスティ?」

 

ヘラクレスの問いに、ラスティは笑う。

 

「いやぁ…懐かしいな、ってね。自分もラニのサインに、真っ先に触れたからさ」

 

思えば、それは必然だったのかもしれない。

 

王の道とは、王だけを望むものには拓かれない。

 

当たり前の道を愉快に、確かに、力強く踏破する。

 

強さと優しさで、試練を超える。

 

それら全てを成し遂げた者の道こそが、王道なのだとラスティは思う。

 

『さて……』

 

夜の神たるラニもまた、見守る。

 

カルデアの王が、何を成すのかを。

 

《エア》

──はいっ。

 

ギルはエアより、万象律の修復ルーンを受け取る。

 

それは壊れかけのエルデンリングに掲げることで、修復に使用される。

 

王が望みし世界。永遠の豊穣が約束されし世界。

 

その世界の為に、エルデンリングは修復される。

 

「さぁ、在るべき姿に戻るがよい」

 

ギルガメッシュが、高らかに器にルーンを掲げる。

 

「うわっ!?」

「眩しい!」

 

瞬間、輝ける虹色の光が空間を満たす。

 

世界は、エルデンリングは修復される。

 

壊れ、狂い果てた世界は今、在るべき姿に。

 

───いいえ。

 

だが。

 

──まず治すべきは、世界ではありません。

 

エアは、静かに。

 

そっと目を閉じた。

 

 

 




─────そして。

?『…………う、ううん……』

目を覚ませしは、始まりの女王。

『これは……一体……?』

目覚ましは、始まりの神。

『まさか───!』

彼女が顔を上げると、其処には。

───長らくお待たせして、申し訳ありませんでした。

穏やかな笑みと共に手を差し出す…

───おはようございます。女王マリカ!

マリカ『……………あぁ、やはり…………』

白金の姫の、姿が在った。
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