人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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フリーレン「そうだ、まだ終わってるわけじゃないよ。外にはゴッドフレイや皆が…」

マリカ『ゴッドフレイや、ミケラ達の事ね。此処は任せて』

ラスティ「マリカ様、何を…?」

マリカ『知らせてくるわ』

『新時代の到来を』


黄金の黄昏、狂いの黎明

「ぬぅ、っ…………」

 

エルデの王座。ローデイルにて戦う戦士、ホーラ・ルー。

 

戦士の王たる彼が、遂に膝を付いた。その身は余すことなく血に塗れ、満身創痍の半死半生。

 

「ゴッドフレイ!」

 

「案ずるな、生命には届いておらぬわ…!」

 

カドック達の懸念正しく、彼はゴッドウィンとミケラとの戦いにて壮絶を越えた壮絶なる死闘の果てに至っていた。それはカドックらの防護を受けて尚、神話の領域。

 

『──────』

 

ミケラが擁せしゴッドウィンは、余すことなく四肢を砕かれ倒れている。ホーラとグランドマスターズの戦いは、確かに黄金の貴公子を凌ぎきったのだ。

 

………だが。

 

『旧律の王、旧き者達よ』

 

ミケラが、ゴッドウィンの背にて語る。

 

『もう良いでしょう。皆様は充分に戦いました』

 

ゴッドウィンが、起き上がる。ミケラに助け、引き起こされるように。

 

「なん、だと……」

 

修復されていく。ミケラの神の力にて、ゴッドウィンの肉体の損傷が直っていくのだ。

 

ミケラにとって、ホーラやカルデアは邪魔にはならない。なぜならミケラもまた神であり、何度でも自らは再生、再誕が出来る。

 

その王の依代たるゴッドウィンもまた然り。ラダーンという王を招くまで何度でも、何度でも再誕してみせるのだ。ミケラの手によって。

 

「その強さで無限回復はクレーム案件ではないだろうか!」

「泣き言を言うなキリシュタリア。気合と努力と根性しかない…!」

 

カドック、キリシュタリアを前線としながら皆は戦う。勝てはせずとも、決してリッカ達の邪魔はさせぬ覚悟。

 

『藻掻き、足掻き、苦しみ、嘆く。希望を求めて』

 

「何が言いたい…!」

 

『憐れです。炎に向かう蛾のように』

 

ミケラとゴッドウィンが、再び浮かび上がる。

 

「まずい!あれは!!」

 

それは、カドック達が目の当たりにしたミケラの光。

 

範囲の全てを滅する、神たる力。

 

ローデイルを半壊せしめた、ミケラの本領。

 

「おいキリシュタリア!あれだ、自慢のメテオでなんとかしてくれ!」

 

「そうしたいがだめだベリル!詠唱とスカイフォーミングが間に合わない!」

 

一同はアレを知っている。

 

受け止められるようなものではない事を。

 

真なる神威を迎えられるはキリシュタリアやリッカという、規格外のマスターのみ。

 

それは、人の軛を完全に超越した天空の神や悪神と邪龍を宿せしものの領域。

 

人は、平等に滅びるのみなのだ。

 

神という絶対者に。その神威により。

 

「だが諦めるつもりはない!!ゼウス、ギリギリまでやってみよう!!」

『高速神言か。早漏はあんまりウケがよくないからイヤだけど仕方ない、ヒナコちゃんやオフェリア以下女性マスターの為に頑張ろう』

 

それでもなお、キリシュタリアは諦めない。メテオを展開し一同は守護に入る。

 

『さらばです。旧き生命よ』

 

間に合わない。セットアップはミケラの方が速い。

 

「─────!!」

 

その時、ゴッドフレイがグランドマスターの皆を、その巨体で庇い立てる。

 

「ゴッドフレイ!?」

 

神の光に焼かれ、ゴッドフレイは死ぬやもしれない。それでもなお、ゴッドフレイはグランドマスターズ皆を庇った。

 

「アスラの子の希望らはやらせぬ…!!」

 

血の滾り、闘志の充溢は免れない。

 

しかしそれでもなお、彼は王。

 

願いに応え、やってきた子孫の仲間を護る。

 

王の矜持が、マスターらを護った。

 

『─────』

 

ミケラはそれでも変わらず、光を放たんとして───。

 

『─────鎮まれ!!』

 

王座を切り裂く、強き声が響き渡った。

 

「!!」

 

ゴッドフレイは顔を上げる。その声の主は、間違えることはない。

 

『───────』

 

ミケラは、初めてその顔に微かな驚愕を見せた。

 

『頭を垂れよ。女王の御前である』

 

その者は、黄金樹よりゆっくりと現れた。

 

黄金の神、黒き閨着。

 

『ゴッドウィン、並びにミケラよ。既に世界は新たなる時代の律を迎えた』

 

静かに、然し確かに女王たる風格を示し歩む者。

 

『剣を置け。そして至尊の寵愛を受けよ。エルデンリングは掲げられた』

 

その者こそが、女王マリカ。

 

「リッカ…!やったんだな……!!」

 

カドックが感銘の声を上げる。

 

マリカの帰還、それは即ちリッカらが神に勝利した証左。

 

『不甲斐ないぞ、我が王。アスラの子たる夜の王はこんなものではなかった』

「ぬぅ……オレも年波には勝てんということか」

 

『だがよい。旧律の王も女王も、次代に譲り去る時が来たに過ぎぬ』

 

一同を庇い立て、マリカは立つ。

 

『ミケラ…。愚か者め。人の全てを捨て神になるとは』

 

「………………」

 

『ゴッドウィン……。時には躾も必要だというに。教育係たるアスラの気質を受け継ぎすぎたか』

 

ミケラ、そしてマリカ。神たる者が今向かい合った。

 

『永遠の女王マリカ。蘇ったのですね』

 

『エルデンリングは、相応しき者に託され掲げられた。無限の豊穣、永遠の繁栄は確かに齎される』

 

マリカは、女王として厳かに告げる。

 

『下れ。そして我が下に戻れ。あの犬との間とは言え、確かに貴様は私の子だ』

 

『…………』

 

『ゴッドウィン共々、新律の王たちに無様な真似を晒すでない』

 

マリカの言葉に、ミケラは沈黙の後告げる。

 

『世界を優しくするのは、私です。私と、我が約束の王』

 

『ミケラ…………』

 

『私にはもう、それしかない。それしか出来ず、それしか残っていないのだから……』

 

ミケラは捨てた。あらゆる全てを。

 

ミケラは望んだ。あらゆる救いを。

 

誰もがミケラに救いを願った。

 

ミケラも誰もに救いを願った。

 

だが、ミケラの救いを願ったのは、トリーナだけ。

 

 

彼はあらゆる全てを救う。

 

だがそれ故に、孤独であった。そんな彼は、成し遂げんとする。

 

『女王よ。我等に道を譲りたまえ』

 

ゴッドウィンが動き、マリカにへと槌を向ける。

 

『罪と哀しみを、知るのであれば』

 

『─────痴れ者めが』

 

マリカは、静かにそれを手に取った。

 

女王が手にせしは、ゴッドフレイの王斧。

 

大の大人十人が懸命に持ち上げて漸く浮くほどの重みを、マリカは持ち上げる。それは力ではなく、祝福によるもの。

 

ゴッドウィンの高速移動。ミケラの手によりそれは極めて速く、光の如し。

 

その破滅の光が、マリカに迫る。

 

『マリケス!』

 

マリカの言葉と、マリケスの相殺は同時だった。

 

【────────!!】

 

『マリケス。…そんな』

 

【恐れよ。黒き剣のマリケスを】

 

ゴッドウィンに刻まれしかつての死。

 

ゴッドウィンを再び殺せる者にミケラは慄く。

 

『最早我等の争いは不要』

 

瞬間、マリカが斧を振り上げる。

 

「な───」

 

『故にミケラよ、その嘆きを私が連れて行こう』

 

黄金の波動と、輝ける波紋が満ち溢れし斧が、その声音の硬さと強さのままに振るわれ───。

 

『至尊の理を、受け入れよ』

 

それは、ミケラとゴッドウィンの運命を決した。

 

『─────!!』

 

それは、黄金の光輪が如き奇跡を伴う事によって、旧律の全てを包み込む一撃となった。

 

「ぁ────」

 

その一撃は、ゴッドウィンとミケラの意思諸共包み込み。

 

都市たるローデイルの破壊を、温かなる創造と修復にて満たし、元の王都の姿へと戻す。

 

黄金律の破壊によって狂っていた民達の呪いめいた破壊を癒し。

 

「傷が!」

 

「治っていく…!」

 

傷付けられし者達の苦痛を治し。

 

黄金樹が、先程とは比べものにならぬ輝きを放ち復活を始める。

 

葉を付け、身を付け、枯れ木から雄々しく、瑞々しき大樹へと変貌していく。

 

「これは、あの時の……」

 

ゴッドフレイが光り輝く黄金樹に、かつての時代を垣間見る。

 

それはかつて、アスラとマリカと共に全ての敵を平定し、遂に迎えた在りし日の黄金樹。

 

正しく黄金樹の恵みが無限であった…

 

輝ける、豊穣の全盛を誇った黄金樹の姿であった。




ミケラ『く………』
ゴッドウィン『─────』


マリカ『お前達の無念は理解する。だからこそ、戦うべきは我等ではない』

ミケラ『………!?』

マリカ『遥かなる外より───』

マリカの見つめる先に──

『狂い火の覇王が、帰還する』

【紅く燃え尽きる】、空が在った。
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