人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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アスラ、お前は妻を持たぬな。何故だ?

何故、とは。

お前は見目麗しく気配りも細やかだ。誠実さも群を抜いている。善き家庭を紡げるとマリカも言っていたぞ?

私は……家庭を築くに値しない。

ん?

私はどうしても、自身の幸せを優先できない。他者の苦難の解決や、誰かの為に何かをしたくなる。

アスラ……。

だから私は諦めている。

何もかもを優先し、愛せる個人など…

おそらく、現れはしないだろう。

人には、必ず大切な誰かがいる。

厄災を纏う自分が挟まる余地を持つ人など…

きっと、存在していないだろうからな。

(感想は明日返信します)


狂気と理性の覇者

【ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!】

 

 

ローデイル王座にて、吠えたける狂い火の覇王。アスラ・ルーたるその存在は、狂い火の全てをその身へと宿した。

 

それは奇しくもゴッドウィンが行ったように、全ての要因と因果をその身に宿した状態。

 

覇王とまでに至ったその身を滅ぼせば、狂い火の存在は消え去る。病に侵されるものもまた然り。故にこそ、アスラはその身を懸けて狂い火を受領した。

 

だがそれは、世界にとっても挑む者にとっても、あまりに高い難題である事は語るべきことですらない必然であった。

 

 

「アスラ!!俺はお前を止めるぞ!!」

 

ホーラ・ルーが先陣を切り、アスラへと組み合うために突撃する。

 

【!!】

 

触れれば燃え尽きる生ける業火であろうと、ホーラは決してひるまない。王であり、友であるアスラを取り戻すために彼は駆けた。

 

【……!!】

『ぬぅうあああああああ!!!』

 

焼き尽くされながらも、ホーラはアスラを天高く投げ飛ばす。せれは、肉体のみで興される必殺の業。

 

『目を覚ませ!!アス────』

 

そのまま、渾身のパワーボムのセットアップに移らんとした時。

 

【───!!】

『ぬぅうっ!?』

 

アスラは鋭くホーラに頭突きを食らわせ体勢を崩させ。

 

『ぬぉお!!』

 

そのまま技を素早く切り返し、パワーボムからパイルドライバーの形でカウンターの如くにホーラを捉え。

 

『ぐあああああああっ!!』

 

王座に、その肉体を串刺した。圧倒的な技量による切り返し。狂い果てている炎に有りながら、あまりにも冴え渡る身体捌き。

 

【ぬおおお!!戦士の理性たるアスラと戦うは光栄の至り!!】

 

瞬間、吠えるはラダーン。最初から渾身の、星砕きの一撃たる総身突撃をアスラに向けて放つ。

 

【我が総決算が一つ!星砕きを以て貴殿に挑戦する───!!】

 

アスラはそれを見据え、狂い火を刀の形状に変えた武器を展開し、構える。

 

【──!】

 

それは狂い果てているとは思えぬ静謐な、そして堂々とした構え。星となって迫りくるラダーンの身に……。

 

【ぬうっ!?】

 

半歩、身を躱しずらすことにより、ラダーンの渾身を『いなした』。

 

(見切られた───!?)

 

星砕きの英雄の全身全霊。それを、狂える身でありながらも完全なる明鏡止水の足捌きで躱してみせた。

 

「無窮の武練…!」

 

リッカにはそれが心当たりがある。どの様な精神状態であれ、身に染み付いた武芸を十全に発揮できるスキル。

 

アスラはそれを当然のように備えていた。ホーラの力の故の姿とはあまりにも対照的な、技と理性の権化たる姿。

 

狂い火に焼かれ、その身に宿そうと。透徹した理性と技は微塵も陰りを起こしていない。それがアスラという戦士であった。

 

【─────!!】

 

アスラが構える。ラダーンの身首を過たず跳ね飛ばすための構え。

 

「やらせません!!」

 

素早くマシュ、ヘラクレスが割って入る。アスラは二人に囲まれる形となりそのまま近接戦に移行する。

 

マシュの防御とヘラクレスの攻撃、それを一方的に受けるアスラ。

 

「その狂い火、世界には不要なものだ。消させてもらおう!」

 

ヘラクレスの打撃と剣戟を重ね合わせた武力の境地、アスラは嫐られ続ける。

 

しかし。

 

(拳に手応えがない…これは、受け流しか!)

 

スリッピングアウェー。受けた瞬間に衝撃をいなし受け流す技を、ヘラクレスに対して使用するアスラ。

 

無論口伝で伝えるだけでは伝えきれぬほどに途方もなく難解な技である。完全に相手の技術と技量を見極める洞察力とそれを可能にする体捌きがなければ行えぬ神業。

 

そして───

 

(鞘に────)

 

既にアスラは、狂い火の刀剣を鞘に収めていた。それはヘラクレスの振り下ろしよりも速く───。

 

【グオオオオオオオオオオオ!!!】

「ぐっ───!!」

 

ヘラクレスの両腕を叩き斬り吹き飛ばしていた。

 

「ヘラクレスさん!!」

 

瞬間、マシュの肩を踏み躍り出る影。

 

【雷位、開帳────!!】

 

それは、鎧を纏いし藤丸リッカ。紫電を放ち母の護り刀から、アスラが見せし居合を披露する。

 

【龍哮一閃!雲耀、神──!!】

【!!】

 

だが、それすらも。

 

【ッ────!?】

 

剣を抜き放つ瞬間。抜刀の刀身の末端。

 

それを、アスラは火の太刀にて抑え、止めてみせた。

 

それは、リッカの太刀が比類なき必殺で有ったが故と見切ったがために。

 

抜き放たれる事自体を止める、透徹した技量の極致による予兆の対処。

 

「先輩!!」

 

当然ながらそれは致命の隙。アスラはそのまま返す刀で首を狙い──。

 

『ぬおおおおおおおお!!!』

 

素早く体勢を立て直したホーラが、背後からアスラを無理やり突撃により引き剥がす。

 

「大丈夫ですか、先輩!?ヘラクレスさん!!」

 

「私は問題ない」

 

ヘラクレスの両腕が素早く接着される。不死身の肉体による治癒。

 

「黄金樹よ、傷を癒せ…!」

 

ラスティ、マリカ、フリーレンにより、傷はすぐさま治癒される。それにオルガマリーの固有結界の有り様にて回復は効率良く行われる事となった。

 

「戦士の、理性、アスラ・ルー…!信じがたいが、あの状態でも微塵も力は翳っていないようだ…!」

 

『ぐおおおおおっ!!』

 

力付くで組み付くホーラを容易く柔術でいなし叩き伏せるその姿が、ラスティの評価をこの上なく裏付ける。

 

狂い火、そして理性。それを完膚なきまでに両立させた覇王こそがアスラ。

 

『その理性があればこそ、世界は焼き尽くされなかったのだろう』

 

マリカが、静かに彼を讃える。

 

『誇らしくあり、痛ましい。我が王と比肩する男が、世界を滅ぼし得る有様に』

 

『狂気を宿しながら、決して狂わない。グランドバーサーカーはそういうクラスだったかしら…!』

 

セフィアラ、マリカの分析は正しい。

 

アスラはわけられるならばバーサーカー。

 

アダム、ナイア、温羅と同じ、狂わぬ狂気という理性の証左。

 

そして、絶技や奥義すらも見切ってみせる隔絶した技量。

 

そして、戦うことすら許さぬ狂い火の猛り。

 

カルデアの介入が無ければ、全ては【ここ】で終わりであった。

 

この狭間の地にて、王を名乗るに相応しきもの。

 

無冠の王にして、狂い火の覇王。

 

それこそがラスティの父。別次元における純然たる女神の伴侶となりし男である力の本領であった。

 

【ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

 

そして、身体中から狂い火の奔流が溢れ出る。それは驚異的な威力と驚愕の怒涛を以て、オルガマリーの固有結界を吹き飛ばさんと燃え滾る。

 

『お前達。伏せろ』

 

ラニの夜の律の展開と────

 

【ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア────ッ!!】

 

狂い猛る狂い火の奔流が固有結界内に満ち溢れたのは、同時の出来事であった。

 

南極の氷を一瞬で融解させるが如きの破滅的大熱量。

 

【………………………!!!】

 

そして立つ、アスラの姿こそは狂い火の覇王。

 

世界の全てを破壊し、焼き溶かし、生命を大いなる一つとする者。

 

カルデアの狭間の地の旅路に最後に降り立った、最大の敵。

 

【ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

 

無限の豊穣と繁栄の為に乗り超えねばならぬ、最後にして大いなる仇敵そのものであった。




セフィアラ『む〜〜〜!こんな無粋な炎なんてあの人には必要ないのに〜!』

マリカ『アスラ………』

ラニ『………だが、諦めるわけにはいかん。そうだろう、我が王』

ラスティ『勿論だ!』

全ての傷と苦痛を癒し、皆が立ち上がる。

リッカ「流石はラスティさんのお父さん…!」

ヘラクレス「これだけの英傑がいて、押しきれぬとは…」

ラダーン【強い!!それでこそだ!!】

マシュ「ですが、なんとか突破口を見つけなくては…!」

フリーレン『セフィアラ、なんかないの?』

セフィアラ『ある!!』

フリーレン『あるんだ』

セフィアラ『大切なのはエルデンリング!そして!』

『愛!!』

『「「『『「愛…!?」』』」」』
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