人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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料理長ビッグ・ボギー「あぁん?狭間の地復興祈念パーティーだぁ?」

ラーヤ「はい。私達全てが行う、大復興パーティーの料理を拵えてもらいたいと…」

ビッグ・ボギー「成る程…ついにカニとエビが狭間の地の代表料理になるってことか。悪くねぇ」

ラーヤ「では!」

ビッグ・ボギー「さぁ準備しろ!忙しくなるぜ!」

ラーヤ「はい!ならず者様!」

ビッグ・ボギー「ならず者はやめろ。今の俺は、王宮料理長だぜ…!」


それぞれの道筋〜黄金の一族・満月の女王〜

黄金樹は復活し、エルデンリングは掲げられた。

 

狭間の地の律は蘇り、新しい豊穣の時代を生命は迎えることとなる。それぞれの道を、それぞれの想いを以て。

 

まず、ゴッドウィンを始めとした神々は黄金樹の下に還り、再びの生命を以て新生。完全なる復活を果たした。

 

ゴッドウィンは正式にゴッドフレイの後を継ぎ、王座に就任。しかし、ゴッドフレイは王として新たなる世界の在り方を示す。

 

『これからの世界のあり方は一人の王が決めるのではなく、世界に生きる一人一人が作っていかなくてはならない』

 

その宣言の通り、ゴッドウィンが掲げたのは王政ではなく民主主義。

 

彼は自分一人ではなく、たくさんの絆と想いで世界を築くことを良しとするリーダーを目指したのだ。

 

ゴッドフレイとマリカは象徴としての存在とし、新たなる法を以て狭間の地は運用されていく事となる。

 

『より良い未来は、皆の手で作っていこう!差別なく、区別なく、誰とも手を取り合える世界は皆で作っていくんだ!』

 

ゴッドウィンのもたらした政策は、その人柄と強い意志の発露からローデイルの民達に瞬く間に受け入れられた。

 

黄金の貴公子による、民主主義の誕生である。

 

「見ているか、フォルサクス。俺はお前と語り合った良き未来、良き世界を作り上げてみせるぞ!」

 

その決意の根幹には、友への誓い、そして……、

 

 

「もう世界を、誰か一人に背負わせはしない。ご安心ください、母上……」

 

母マリカへの労りと、確かな敬愛があった。

 

 

そして、マリカとゴッドフレイは王座を退き、ゴッドウィンに後継した後、実質的に表舞台より引退。

 

狭間の外、つまり影の地の村…マリカの故郷に、アスラを侍従として連れ、帰参を果たしていた。

 

「…………」

 

マリカは大母の像の前にて祈る。かつて誰もいなくなった故郷に一度だけ戻り、黄金にて包んだ場所。そこは、全ての始まりの地。マリカが終わりを告げに戻ったと伝えるために訪れたのだ。

 

「アスラ、お前はこれからどうする?狭間の地には争いや戦いといったものは少なくなっていくだろう。私達戦士の役目は廃れていく上でお前は何を…」

 

「私はしばらく狭間の地に留まり、エルデンリングの律が不具合を起こさないかを見守る。その後は狭間を出て旅をするつもりだ」

 

「旅をか?」

 

「あぁ。この世界のどこかにあると言う聖なる山…そこにいるセフィアラという女神を探し、求婚するつもりだ」

 

「おおっ!?」

 

「私の生を、強く望んでくれたあの慈愛…。私は柄にもなく、惹かれてしまっているらしい。この想いを果たさねば、後悔する自覚がある」

 

「そうか…!無論オレは応援する!頑張れよ!」

 

「ありがとう。だがその前に…まずはマリカの故郷の再建から始めよう」

 

「ありがとう、アスラ。そしてゴッドフレイ。浮かれるのはまだ早いわよ」

 

マリカが、立ち上がる。

 

「私達神々は、カルデアの作戦に参加し星の外に出るのだから」

 

「おう!楽しみではないか。偽りの神を見つけ出す魁とは!」

 

「まだまだ、隠匿は叶わなさそうだ」

 

 

三人が花に満ちた広場を見下ろす。

 

「マリケスー!こっちの運んで〜!」

 

【うむ】

 

そこには快復した巫子達と共に村を建て直すマリケスと…。

 

「次なる物資は……」

 

「こちらよ、兄さん」

 

それらを指揮する、メスメルとメリナの姿が在った。

 

このように、デミゴッド達もまた平和な世界にてそれぞれの道を選ぶ。

 

モーゴットは王の座を降りた後、民間警備部隊の隊長としての地位を確立。影から民達を護る責務へと就く。

 

そこにはかつて差別し虐げられていた角人、忌み子たちが多く所属。影より黄金樹を護る者達としての道を選んだ。

 

「我々には栄誉は無用。共に生きることを許された以上の救いがあるものか」

 

モーゴットらはただ、黄金樹とそこに生きる者達に尽くし続ける。

 

彼等はただ、黄金樹を愛しているのだ。

 

「モーグ、しっかりと責務を果たすのだぞ…」

 

モーゴットの弟、モーグは戦火の爪痕深い影の地に新たなる王朝を設立。

 

虐げられし者、愛されぬもの、あるいは流刑や犯罪者たちをも受け入れる場所として影の地を再編、角人達との外交を担当することとなった。

 

【罪は償い、また赦されなくてはならない。私達の愛が、幾許かの助けとなることを祈って…】

 

無論モーグ達は武闘派なので、角人達の複雑な胸中にも正面から受け止められる力と度量を有する。

 

【愛よあれ。影の地の全て、報われぬ全てに!】

 

その手腕は確かなものであり…

 

影の地に平穏が齎されたのは、そう遠くない未来であった。

 

そして黄金の一族が新たなる道を見つけている間、月の一族もまた再編を果たす。

 

『フリーレン、並びにトープス。あなたたちをアズール、ルーサットに次ぐ魔術学院の最高師範に任命するわ』

 

フリーレン、トープスはレナラの許しを得て、神にすら通ずる魔術を編み出した功績から最高師範のローブと座を得ることとなる。

 

「良かったね、トープス。鈍石だなんてもう誰も馬鹿にできないよ」

 

「何を言うんだ、レン。全ては君があの時に私を見出してくれたからこそ今がある。君のお零れの私が君と肩を並べるなんて、恥ずかしいやら烏滸がましいやら…」

 

「自信を持ちなよ。君の魔術と発見は確かに神に通じた。その功績と頑張りは、君のものなんだから」

 

「……。ありがとう、レン。君はやはり、心優しい耳のエルフだったのだね…」

 

『フリーレン、あなたはまた旅に出るのでしょう?学院は、私とトープス、娘に任せて』

 

「あ、そうか。こっちのラニは別にいたんだっけ」

 

『これは餞別。あなたは、人間を知る為に旅をするのでしょう?』

 

「そのつもり。でも、リッカや皆を知ったからちょっと目的は変わるかな」

 

『?』

 

「人間を……助ける為に旅をしようと思う。人間は可能性を秘めてはいるけど、神や私達に比べたら弱いから。人間は素晴らしいと知ったなら、後はそれらを護ってあげなきゃ」

 

『素晴らしい何かを、生み出せるように?』

 

「そういう事」

 

「それではレンは、まるでヒーローのようだね」

 

「そこはヒロインって言うんだよ、トープス。セフィアラからお詫びとしてマウンテンバイクとスマホももらった。カルデアとも連絡は取るし、後はレナラからの杖とローブでずっとやっていけるよ」

 

『そう。ではこれも覚えておいて。……あなたは私の、可愛い弟子であり血の繋がらない新しい娘よ』

 

「!」

 

『いつでも遊びに、帰っていらっしゃい。トープスと共に、此処をずっとずっと過ごしやすい場所にしておくわね』

 

「君がいなかったら、女王の覚醒もカーリアもレアルカリアもこうはならなかった。ありがとう、我等魔術師の英雄よ」

 

「英雄……。ふふ、悪くない響きだね。それじゃあ…」

 

フリーレンはトープスの肩を叩く。

 

「頑張れよ、ハゲだからって舐められないようにね。最高師範」

 

「ふふ、その為の魔術輝頭さ。可愛く作ってもらったろう?」

 

「違いない。……そして、旅路をずっと見守ってくれていて、ありがとう。満月の女王レナラ」

 

『フリーレン…』

 

フリーレンが、レナラの胸に抱き寄る。

 

「あなたは私の人生の中で、最高の魔法使いであり魔術師だった。話せたこと、弟子入りできた事は一生の誇りだよ」

 

『ありがとう。長い旅路、身体に気を付けてね。フリーレン』

 

「はい。また、必ず会いに来ますから。偉大なる女王様。私の誇らしき義母様」

 

そしてフリーレンは、レアルカリア学院をたくさんの新生学徒に見守られながら後にする。

 

マウンテンバイクを駆り、彼女は人間を知る…いや、助ける為の旅を再会するのだ。

 

「その前にパーティーがあるし、カルデアにもワープポイントは用意しておかなきゃ。旅がぐっと楽になるぞ〜」

 

フリーレンの旅路は、祝福の導きを有しまだまだ続くのであった。




セフィアラ『おめでとうございます最高師範!やったね!』

フリーレン「うわ、うるさい」

セフィアラ『フリーレン、色々本当にお世話になりました!そして再び私に何か御用でしょうか!』

フリーレン「あぁ、聞いておきたくてね。…………」

『?』

フリーレン「私が、ナイスバディになれるのには…あと何年かかるのかな」

『一万年くらいですね!頑張って長生きしましょー!』

フリーレン「………一万年か………」


………………一万年かぁ………………

フリーレンの呟きが、マウンテンバイクを漕ぐ音へ掻き消えていった…
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