人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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《イシュタルがグガランナに不調をきたしているかも、だと?》


――はい。グガランナ、という単語を聞いた直後、明らかに顔色が変わっていました。なにかしら不調を、・・・召喚に不備を抱えているのかも知れません。・・・もはや契約は果たされた以上、どうなる、という事ではありませんが・・・

《であろうな。ヤツはグガランナめに逃げられたとして、おかしくはあるまいよ》

――な、何故ですか?

《今のヤツは――牛を扱うにしては貧相に過ぎる。あらゆる意味でな》

――貧相・・・?貧相な事と、グガランナには関係が・・・?

《ははは、分からずともよい。下の話だ。――よいかエア、我は『グガランナ』の為に五割財をなげうった。これは今も変わらぬ。例え、グガランナ自体が失せていてもだ》

――は、はい

《――雪の広場が見えるな。そうか、ヤツめに取られ、手を離れたか。・・・無くしたとは自らからはけして言い出すまい。ヤツは見栄だけは一人前だ。――そう動くのも織り込み済みよ》

王は、愉しげに笑う

《我はイシュタルなんぞに微塵も期待していない。ただ酒の肴に楽しむのみだ。グガランナが在るならば我等が助力になり、無ければ無いでそれもよい。詐欺が暴かれる迄にどんな無様を晒すか、暴かれた際に何をほざくか。・・・結局のところはな、『我が愉快ならばそれでよいのだ』。我を愉しませるならば、宝など気前よくくれてやる》

――な、成る程・・・!これが、王の愉悦・・・!

《そう言うことだ。この事は賢しき我に言うな。反応が見ものであろうからな。――そう不安がることはないぞ?言った筈だ。『グガランナが欲しい』とな。――無くなったと気付き、新たな手を打つのか、賢しき我に罰を受けるか。――その顛末、共に愉しもうではないか?エア》

――どうか、イシュタル様が王の怒りに触れませんように!


猛特訓!リッカがやらねば誰がやる

「ふははははははははははははははははははは!!!よくぞ戻った勇者たちよ!いや、三時間とは言ったが三十分程度で帰ってくるとは二重の意味で驚いたがな!」

 

 

 

もはや辛抱たまらぬと言った様子で笑い転げる賢王ギルガメッシュ。なんにせよ、王の笑顔を見れるのは嬉しいことだと、エアは顔を綻ばせる

 

 

《箸が転がるだけで愉快な年頃か。全く、笑いの沸点が低いにも程があろう》

 

 

「どうだ!そこな女神!恥知らずな出戻り我等が軍門に下りし感想は!述べてみるがよい!」

 

「だーれが軍門に下ったって言うのよ!私は其処にいるリッカと契約した女神イシュタル!なんか一瞬だけ会った気がしないでもない、凄いマスターと契約した先見の明溢れる女神!見てなさい、彼女ものすっごいマスターになるんだから!というか、すっごいマスターになるまで爆発四散しようが私が生き返らせるから!どちらが勝ち組かは明白!それでアンタは言うわけよ!『おぉ!やはりイシュタルは勝利の女神であったか!無念だ!よし、我死のう』ってね!」

 

「誰が死ぬかたわけ!寝所まで開放してやったというのにまるで反省しておらんな貴様!」

 

「あそこは元々私のものでしょーが!あぁ、なんかまた腹立ってきたわ!なんで勝手に押収してるわけ!?あーもう頭来たわ!!ムカッと来た!」

 

顔を合わせるなり、愉快な喧騒を繰り広げる賢王に駄女神イシュタル。ジグラット中にその声が響き渡っており、兵士たちが遠巻きに眺めている

 

(止めなくていいのかい、ギルガメッシュとしては)

 

《心底どうでもよい。役に立つも野垂れ死ぬも好きにせよ。――だが、いつまでも無様なコントを見せられていては話が進まぬ》

 

英雄王は玉座の傍に侍るシドゥリに、『腕組みしながらでも出来る王様ハンドサイン』を送り、会話の進展を促す

 

 

「・・・お二人とも、どうかそこまでに。何であれ都市神が実際に舞い降りるなど、祭祀を司る者としてこの上無い名誉なこと。――カルデアの皆様に襲いかかった等は水に流し、イシュタル女神のご帰還を祝いましょう」

 

「そら、シドゥリもこう言っている。さっさと静まらぬか貧相なイシュタルめ」

 

「誰が貧相よ誰が!・・・く。シドゥリ相手に文句は言えないわね・・・ウルクで一番信心深い御手本みたいな神官だし・・・彼女を尊重しないで何を尊重するのかって話だし・・・」

 

シドゥリの言葉に平静を取り戻し、ジグラットに静けさが戻る。

 

 

「――まぁよい。今は貴様の諸々の制裁と粛清は後回しにする。次なる問題の解決に移るぞ、者共」

 

賢王ギルガメッシュの威厳に満ちた声音に、気を引き締める一同。リッカが挙手し話題を提言する

 

「南の女神!太陽お姉さんだね賢王!」

 

「そうだ。我等の最大の敵が人類悪、ティアマトだと解った以上、極めて有効な武器がある。――幸いにして担い手たる英雄神が降臨している事であるしな」

 

(え、ティアマト母さんが人類悪!?どういうこと!?)

 

(察せよ)

 

耳打ちしてくるイシュタルを、うざったそうにシッシッと追い払う英雄王

 

「――かつてティアマト神の喉を切り裂いたマルドゥーク神の手斧。それが南のエリドゥには保管されていたのだ」

 

マルドゥーク神とティアマト神。この両者の戦いの決着は諸説ある

 

マルドゥーク神と戦い、業を煮やしたティアマト神は天と地の巨大さを誇るその身体を使い、マルドゥーク神を呑み込まんとした

 

だがマルドゥーク神は飲み込まれる刹那、その大口に嵐を呑み込ませる。口を閉じられなくなったティアマト神の口から弓矢を射り、心臓を貫いたという説が通説だったのだが・・・事実は、ティアマト神の喉を斧で切り裂いたのが正解だったのか・・・

 

 

――凄いスケールだね、フォウ・・・

 

ほぇーと口をあけるエアののどに、やさしくてしてしと手を押すフォウ

 

(お母さんにエグいことをするものだ。神というのは恐ろしいなぁ)

 

「成る程。マルドゥークの手斧を英雄神が使用する。適役よな」

 

『エリドゥ。シュメル神話において、最初に天から王権が降りた都市だね。でも、今は――』

 

「そうだ。我等はなんとしても密林に覆われしエリドゥを奪還しなければならん。――正体は知っていよう。ヤツは太陽にして、金星の女神。翼ある蛇と名高い・・・」

 

「――そう。私と同じ金星の女神。ケツァル・コアトルよ」

 

・・・翼ある蛇、ケツァル・コアトル。あの混乱のただ中、真っ先にマスターを狙ってきた、無駄のない女神。マスターでなければ死んでいただろう

 

『ケツァル・コアトル。マヤの征服王、トルテカの太陽神。紛れもない主神だ。・・・あれ?でもケツァル・コアトルって男性神じゃなかったっけ?』

 

ああ、そっか。と、イシュタルがポンと手を打ち捕捉する

 

「あなたたちでいうところのメキシコ、南米の神話体系は一段と変わり種なの。あそこの神性はこの惑星で生まれたものじゃなくて、空から降ってきたものだと言われているわ」

 

――空から?空って、宇宙からですか?

 

《――ほう。それは確かに珍妙だ。南米の神々は死と再生を重んじる。風変わりなのは伝承だけではなかったか》

 

イシュタルの説明は続く

 

「地表に衝突した小惑星、その惑星についていた何かが植物に寄生して、生き延びて・・・やがて現地生物を神に変化させる微生物となって、あの土地の文明を築き上げた。南米の神性は『人間から人間に乗り移るもの』。その中には女性の器もあったんでしょうね」

 

――・・・・・・???

 

《つまり、南米の神は我等とは異なる、遥か魔境の神性と言うことよ》

 

頭に?マークを浮かべぽへーとしていたエアに捕捉を授け覚醒させる

 

(神性って?)

 

――あぁ!

 

 

『とんでもない情報をありがとう女神様!この星は奥が深いなぁ!』

 

「ケツァル・コアトル・・・貴様らカルデア一行が来る前、奴は単独で何度も我がウルクを襲撃してきた。それに迎撃する形で、部員の連中が一人一人ヤツと対戦したのだが・・・」

 

賢王の沈黙が、結果を雄弁に語る

 

「食い止めるだけで精一杯、だったってこと?」

 

「異教の主神、覇の道を行く神でせいぜい痛み分けといった所だ。倒すには至らなかった。――ヤツの力はまこと出鱈目でな。生身でウルクの城壁に風穴を空け、何度吹き飛ばしても凄まじい速度で帰還し部員どもを蹴散らし、異世界に飛ばされながら数秒で帰って来るなど当たり前のようにこなしていた。――純粋な武力なら、女神随一であろうよ」

 

その言葉に目を見張る一同。部員総掛かりで勝てなかった程の力を宿す女神・・・

 

「私は、そんな女神と戦う約束を・・・」

 

・・・リッカは、震えていた。身体中が、小さく、小刻みに

 

「ちょっと、まさか今になって怖くなったとか――」

 

「たわけめ。我がマスターを侮るでないわ」

 

英雄王の言葉に、マシュやカルデア一行が深く頷く

 

「――――燃えてきた!!部員の皆が戦って時間を稼いでくれた事に感謝して、全力でぶち当たらなきゃ!――ルチャドーラ・・・!相手にとって不足なし!!ムーチョ!!」

 

闘争本能をたぎらせ、燃えたぎるリッカ。困惑を表すはイシュタルのみだ

 

「え?なんで今の話聞いて燃えてるわけ?絶望したりするところよね?あなた、人間?」

 

イシュタルの言葉に、バシリと拳を鳴らすリッカ

 

「燃えない訳がないよ!だって主神クラスの神が極めた武術!それすなわちマスタークラス!どんな道も、極まった人の胸を借りられるのは光栄のいたり!モデラーしかり海賊しかり武術しかり!そんな貴重な体験を私は出来る!!――燃える!たぎる!奮い起つ!!アジダハーカ的に悪役だけどまぁそこはいーや!!やるぞー!!」

 

「・・・ギルガメッシュ。あんたのマスターってこんな闘争本能むき出しでいいわけ?」

 

「気骨が溢れて良いではないか。気付かぬのか?こやつは人類悪、本物の邪龍だぞ?」

 

「は!?」

 

本当!?とマリー達に聞き返す。皆、一様に頷く

 

『だってリッカだし』

 

『リッカ君はね、人類の範疇にはもういないんだ』

 

『ついでに嫁の貰い手も人類には』

 

「言わないで、くださいっ――!!・・・あれ?そう言えばなんでケツァル・コアトル様がルチャ?ルチャの女神なの?ケツァル・コアトル様って」

 

「ハーイ!それは何処かで召喚されたのち、翼無くとも自由に空を飛ぶルチャドールに感動と未来を感じ、その経験が座に焼き付いたからデース!」

 

後ろからリッカを抱き抱え、覗き込むように視線を合わせるその女性は――

 

「!物見!何をしていた!?」

 

「ちょっと寝てもらいましタ!ご挨拶にきたのデース!ハァイ☆可愛らしいルーダ・ドラゴンちゃん?お姉さんが会いに来ちゃいマシタ!チャオ☆」

 

マシュとイシュタルが即座に戦闘体勢を取る――が

 

「よい。好きにさせてやれ」

 

英雄王がそれを制する

 

「ですが・・・!?」

 

「こやつがルチャ何やらと言うならば、挑戦を受けたならば・・・無粋はすまいよ」

 

王の言葉に、陽気に笑うその女性

 

「ヤ!もちろんデース!決着がほとんどついた今、無粋はしませんよ?」

 

「あなたは、ケツァル・コアトル様!」

 

「お姉さん、でいいですよ。可愛らしいマスターさん?一ヶ月間、楽しかったですか?ユカタン?」

 

問い掛けに、頷くリッカ。満足そうに笑うケツァル・コアトル

 

「それは何よりデース!私も楽しみでしタ!リングを作り、ウォームアップを繰り返し身体をあっためていました!そして――準備万端デース!」

 

「――リングが、出来た?」

 

「イエース!エリドゥはいつでもルチャが出来る環境、リングに早変わり!あなたの挑戦を受けて立てる場になりマシタ!――ですので」

 

ひょいっと、リッカの肩に倒立する。腕の力だけで、軽快に

 

「私ととことん、楽しみマショウ?あなたと私、肉体と肉体のぶつかり合い!素敵な時間になること間違いなしデース!――あ、でも・・・」

 

すたり、と降り、リッカの身体をまさぐり、筋肉の着き方を確かめる

 

「んー!徹底的に実戦的な筋肉の質と量デスネ!確かにこれなら敵は倒せるけど、空を飛ぶにはちょっと重すぎかも・・・?ルチャ向けじゃないかもしれマセーン!」

 

「重い・・・!」

 

精神にダメージを受けながらも、目線はそらさずケツァル・コアトルを見つめる

 

「パンクラチオン、ギリシャの格闘技・・・一切の無駄のない技術を叩き込まれたのですね。ちょーっとプロレス向きではありませんがいいでしょう!何とかなりマース!――そして、一つアドバイスを」

 

スッ、と、落ち着いた様子で語りかける

 

「私と戦うつもりなら、『高さ』と『受け身』を学びなさい?ルチャリブレはする方もされる方も、身軽な受け身が重要。――相手を倒す技術は充分身に付けているようだから、次は自分を護る技術を身に付けること。そうしないと、私の相手は、そして『これからの旅路』はやっていけないわよ?」

 

 

・・・リッカは其処に『理性』と『慈愛』を見た。陽気で、愉快ながらも。そこには他者を思いやる『優しさ』が溢れていたのだ

 

故に――

 

「――はい!姉さん!」

 

元気よく、朗らかに答えたのだった。なんの禍根もなく

 

「いい御返事デース!では、一週間待ちます!それまでに受け身の初級は身に付け、私のもとにやって来てくだサーイ!エリドゥで――存分にムーチョしましょう!私とあなた!肉体と肉体で!」

 

「――・・・」

 

「手を出さなかったのは正解ね、賢王。ジグラットが瓦礫の山にならなくてすみました☆」

 

「ちょっと、アンタ・・・!」

 

「今日は挨拶だけデース☆それじゃ、チャオ~☆」

 

言いたいことを告げ、バック宙返りと跳躍、三角跳びを駆使し・・・ケツァル・コアトルは去っていった・・・

 

 

――なんと、陽気で知性溢れる女神だったんでしょうか・・・

 

自分の目には、そう映った。陽気なのも、理性的なのも、間違いなく彼女の顔

 

だからこそ・・・彼女は、太陽たる女神であるのだろうと、感じることが出来たのだと思う。

 

「・・・だ、そうだ。直々の指名に対戦の日取り。諸々を段取られたが、何か言うことは――」

 

「受け身だ・・・」

 

リッカが、ポツリと呟く

 

「む?」

 

「私には・・・『受け身』が足りないんだ!賢王様!すみませんが、少しだけ領地を貸してください!」

 

鼻息荒く告げるリッカ。その目は、闘志に燃えている

 

「その目、挑戦は変わらぬと見てよいのだな?」

 

「勿論!一週間の間、やることをやって挑みます!!」

 

「ちょ、正気!?ただの人間が、女神と戦って勝てるわけ――」

 

「戦うんじゃないよ、イシュタル」

 

キラリ、と歯をきらめかせ、サムズアップで応える

 

「私は姉さんと・・・解り合うの!」

 

それだけを告げ、リッカはジグラットより走り出す!

 

「ケイローン先生!ヘラクレス!アキレウス!講義お願いします!!」

 

サーヴァントを召喚しながら、リッカは駆けていった――

 

 

「見たか駄女神。あれが我がマスターよ。人の、王の、神の予測すら越えて戦う者。人類最強のマスターに他ならぬ。――嫁の貰い手は・・・まぁ、話は別とするが」

 

「――私のカラダが言ってるわ。マスターって、魔術師ってそういうのじゃないんじゃないかって・・・」

 

『・・・それを君が言うのかね』

 

キョトンとした空気の中すかさず、エミヤが苦言を呈するのだった・・・

 

 

 

・・・それから一週間、リッカは投げに投げられた

 

 

「よいですか?受け身の体勢は様々です。今回は打撃と投げの受け身をみっちり叩き込みますよ」

 

スリッピングアウェー、受け身のイロハの全てを解りやすく叩き込まれ

 

「げぅ――――っ!!」

 

「どうしたリッカ!ダメージがあると言うことは、まだまだ受け身が甘いということだ!」

 

ヘラクレスにリングにて投げられ続け、呼吸困難になりかけながら受け身を練習し

 

「はっ、はっ、ひゅ、ひゅっ・・・ま、だまだぁ・・・!!」

 

「オラオラオラオラ!!綺麗な顔がぐしゃぐしゃになる前に首を捻れ!見極めろ!目を閉じんな!!」

 

「わぶぶぶぶぶぶぶ!!」

 

アキレウスの神速の拳を受け続け、くらい続け、スリッピングアウェーを叩き込まれる

 

「げほっ、げほっ!もう、ワンセットぉ!!」

 

 

「――・・・あれほど肉体的にボロボロになったマスターは中々おるまいよ」

 

「先輩・・・!」

 

――どうか、無茶だけはしないように・・・

 

来る主神との戦いに向け、リッカは己を磨きあげるのであった

 

 

「ルチャリブレは、互いの信頼感が一番大事・・・」

 

・・・全ては、互いが解り合う為に

 




前夜


「ぶはぁ・・・!」


(付け焼き刃というか、スパルタで叩き込まれた・・・!どれだけ通じるかな・・・)

「・・・」

「?イシュタル?」

「・・・お疲れ様なのだわ。はいこれ、果物」

「あ、ありがとう!」

「・・・隣、いい?」

「いいよ~」


「・・・」

「・・・」

「・・・ねぇ」

「ん?」

「なんで、そんなに頑張れるの?無理とか、していないの?」

「・・・どしたの、いきなり」

「気になったのよ。――マスターってだけで大変なのに、自分も傷付いて。辛い、とか、逃げ出したい、とか・・・考えたこと、ないの?」

「そりゃああるよ。たくさんある」

「なら・・・」

「でもさ、『逃げた先に、幸せがあるとは限らないじゃん』?」

「・・・!」

「何もかも捨てて、逃げられたらそれはそれでいいかもしれないけど・・・その先に、逃げ出した事を忘れられるような幸せがあるかは解らないし。そもそも、逃げ出せる勇気もなかったし」

「逃げ出せる、勇気?」

「逃げる人は、ある意味賢いんだよ。勇気もある。『私には無理だ』ってちゃんとわかるし『みっともないけど逃げる』って、決断も出来る。――逃げた人を、私は笑わない。ただ・・・『自分はそうできないってだけ』。だから、私は馬鹿みたいにぶち当たるだけなの。それが、私の生き方だから」

「私の、生き方・・・」 

「あ、勘違いしないで。生き方に正解はないから。私はこうってだけ。・・・だから、私はきっと死ぬまでこう。死んだ場所が、私のゴール。だから――」

「・・・」

「そこまで頑張りたい!それだけ!・・・ごめんね語っちゃって。さ、寝よっか?」

「・・・そうね。お休みなさい、リッカ」

「お休み、『イシュタル』。――高さ、まだ・・・足りない・・・」

「・・・生き方に、正解はない・・・」



翌日


「――来ましたネ、可愛いドラゴンさん?」

ズタボロのカルデア制服上着を片手で持ちながら、スパッツとスポーツブラの格好でリッカがエリドゥに足を踏み入れる

「来たよ、姉さん」

「この戦い・・・荒れるニャ!」

その様子を、変なジャガーが目にしていた・・・

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