人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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感想がフォウくんで埋め尽くされてるの本当笑う


聖杯くん、フォウくん。美しいものはここにあるよ

雨で憂鬱、そんな貴方に僅かでも楽しい時間を

提供はギルガメッシュファンがお送りいたします


定義

「ふぅ……」

 

 

ラ・シャリテに到着し、バイクを入り口に停車させる

 

 

「我はここで待つ。精々有益な情報を集めよ。脚で稼げ。よいな」

 

 

「「はい!」」

 

「私もここで待ちます。……その、今の私は、混乱を招きますから」

 

「分かった!待ってて!」

 

「マスターの警護はお任せください、英雄王」

 

「うむ、では行け。何かあったら我を呼べ」

 

 

マシュの手を引き、街にかけてゆくマスター

 

 

それはさながら、姉妹のようで……ほほえましく感じた

 

 

「フ、人の存続を懸けた戦いと言えど、愉悦を忘れてはならぬからな。笑顔は大事よ」

 

フゥ、と気を抜き、空を見上げる

 

 

 

高い空――白い雲。見渡すには幾星霜かかる果てしない蒼穹

 

――心地よい

 

 

土の匂い。踏みしめる感触。感じる強固さ

 

 

――懐かしい

 

 

どこまでも広がる世界。自ら踏みしめ、眺める景色

 

 

バイクにもたれ掛かり、目を細める

 

 

「見飽きた風景とはいえ、多少は見映えが違うものよな」

 

 

――――世界を全身で感じることが心地いい

 

 

髪を撫でる風、藁の匂い、町の喧騒

 

 

獣の鳴き声、鳥のさえずり、川のせせらぎ、森のざわめき

 

 

――その総てが、自分の魂に。得難い経験となって蓄積されていく

 

 

手を伸ばせば掴めそうなそれを、静かに噛み締める

 

 

――転生したうち、初めてみた景色は焼け落ちた町。右も左も解らぬ旅路の始まりだったが

 

 

こんな景色が見れたなら――転生も、悪くないと思える

 

 

「――旅人なのですね、貴方も」

 

 

隣にいたジャンヌの言葉に、器は振り向くことなく耳を傾ける

 

「貴方は、英雄王。なのに、どうしてでしょう――その在り方がどこか、初々しく思えます」

 

「我が初々しいだと――そうだな」

 

よりふかくもたれ掛かり、財宝から酒を取り出す

 

 

「まさか、我が子守りをするなど思いもよらなんだ……クク、随分と手間のかかる連中だが」

 

「子守り、ですか?」

 

 

「そうだ。――我は人類を見定めるものだ」

 

 

グイ、と酒を呷る

 

 

その味は、苦く、甘く。蕩けるような芳醇な香りを以て魂を揺らす

 

「この星を守護するのが我の役目。故に我は観測者に徹し、手を出すつもりはなかったのだが――」

 

 

飲むか?とジャンヌに尋ねるが、丁重に辞退するジャンヌ

 

「我の守護の形は安寧ではない。人間どもを吹き飛ばし諫める嵐の如くだ。人間どもは、試練なくば価値を示さぬ生き物、発破をかけねば動かぬ怠け者だ」

 

「呆れ果てるばかりよな。4600年の時を経てなお、怠惰を極めし人間どもは価値を示せずにいる。――裁定の時は未だ訪れぬのだ」

 

 

グラスを揺らし、空を仰ぐ

 

 

「価値は示さず、しかし価値のあるものを産み出す者共、その道筋を、紡がれる織物を眺めるのが我の愉しみである」

 

――その言葉は、何者に語る言葉か

 

 

「――が、それら総てを横合いから焼き払った者がいる」

 

グラスを持つ手に、力が入る

 

 

「人理焼却……奴等から聞いていよう。とある雑種によって、人は諸とも焼き払われたのだ」

 

「……はい。人類は、カルデアにいる人員だけだと」

 

 

「あぁ。――我は気に食わぬ」

 

 

ビシリ、と、グラスを握る手に力が入る

 

 

「我は人間がどのような結末に至ろうがどうでもよい。繁栄を貪るもよし。滅びるのもそれはそれでよい」

 

「だが――――『滅ぼされる』事だけは認めぬ。地上にある総てのものを、我以外の者が裁量するのは断じて認めぬ」

 

「どのようなものであろうと、人類を滅ぼす根底にあるものが『愛』であろうとだ」

 

――愛

 

愛が、人間を滅ぼす?

 

 

「そう、人類に仇なすものは悪意ではない。憎しみなどに害されるは精々一人のみだ」

 

 

「人類を滅ぼすもの――それは『人類をよりよくしよう』というものに他ならぬのだ」

 

 

――愛

 

 

愛……前世には無かった、求めなかった感情

 

 

誰かを想う気持ちが、世界を滅ぼす……?

 

 

「――……」

 

「意味が解らぬ、といった顔だな。それでよい。我の観るものなど、誰にも解らぬさ」

 

ははは、と笑う英雄王。その眼は、遥か遠くを見通すかのように細められる

 

 

「事実として、我は我の庭を荒らす狼藉ものを罰するために奴等に力を貸している。というわけだ。簡単な話よな」

 

飲み干し。カランと器を投げ捨てる

 

「幸い――カルデアの連中は紛れもなく『良いもの』であった。レフとかいう雑種めが、我の間引きの手間を省いたのでな」

 

「――世界を救う大役に、我に支配されるに足る資格を持つもの――地獄を生き延びた者共を害する『雑種』はいらぬ。その点で言えば、カルデアの者たちは見処があり、無き者は一掃された。それだけの話よ」

 

 

「……あなたは、マスターやマシュ、カルデアの皆様を好ましく思っているのですね」

 

 

「まだまだひよっこだがな。我があれこれ見てやるのは『何故か機嫌がいい』からだ」

 

 

器は笑う。こんな機会は二度とない、とも

 

 

「足掻く姿は見応えがある。それが人理を巡る旅であろうと、己を磨く旅であろうとな」

 

「我は自らの愉しみには出資を惜しまぬ性質でな。我を愉しませるかぎり、投資、出費は惜しまぬさ」

 

愉快そうに、バイクに寝転がるギルガメッシュ

 

 

――なんとなく、理解する

 

 

人間を見守り、人間を見定め、時には自らが守護する

 

その果てに、輝かしい未来があると信じて

 

 

――この王は

 

傲岸不遜なこの王は

 

人間を、愛しているのだ。すっごくわかりにくいけど

 

――魂が、またこの器に教えられた気がした

 

 

「自らの愉しみのために、人間を救う――確かに貴方は、遥か高みにいるのですね」

 

「幻滅したか?貴様らの原典たる我が人でなしと気付き」

 

「いいえ――素直じゃないな、と」

 

「……やはり田舎娘には難しい話題であったか。恋愛もせず旗を振り筋力Bに至った女など」

 

「なっ――!」

 

顔を真っ赤にするジャンヌ

 

 

――独り言というが

 

 

器は、教えてくれた気がするのだ

 

魂の、己の在り方を

 

 

――まずは、自分を定めよ

 

 

総てはそれからだ――

 

そう、言われた気がした

 

 

「そら、暇潰しは終わりだ」

 

クイ、と顎をさす器

 

 

「招かれざる客が来たようだぞ?」

 

「――あれは!」

 

 

空を埋め尽くすワイバーン

 

 

先頭を飛翔する五つの陰

 

 

 

中心には――黒き、聖女がたたずんでいた

 

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