人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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?「ちょっと待てよ!うちらへの依頼を取り消すってのはどういう事だ!?」

『どうしても何も…その理由は皆様が一番御存知の筈ですが?』

?「ぐ……で、でも速さはこっちが一番だぞ!?」

『それは存じております。しかし速さ以外の面はなんとも。配達品は傷だらけ、クレームまみれ…今回の依頼は、大切な品を運ばなくてはなりません。代わりの方には依頼しましたので、今回は』

?「あ、おい!…クソ!切りやがった!」

配達員「ボス〜!」

総長「ボスじゃねぇ!総長と呼べ!」

配達員「す、すみません総長!こっちもピンク髪のイカれた女に依頼やり直しを受けて…」

総長「クソッ……特急なんぞに移送を依頼しただと…?配達員のウチらを差し置いて舐めやがって…!」

配達員「ど、どうしましょう?」

総長「………奪うぞ」

配達員「へ?」

総長「その仕事は元々ウチらが受けてたもんだ!横取りなんぞ認めねぇ!奪い返してウチらが配達するんだよ!」

配達員「おぉ…!」

総長「見てろよ…!キヴォトス・トランスポーター。略してブロロロ連盟の底力、見せてやる!!」


何を載せて走るのか

「どうやら一足遅かったようだ。特急は次の駅に向けて発車してしまったようだな」

 

バスを降り、駅に向けて足を運んだアダム達。とうとう列車を確保したかと思いきや、またもやそこに列車の姿はない。一足早く、次の駅に行ってしまった事を悟り、消沈する一同。

 

「ば、バスにまで乗ったのに…」

 

「だが、速度的には必ず次の駅で検問を受け止まるだろう。最悪は、私が皆を抱え走って追い付く」

 

「追いつけるんですか!?じゃ、じゃあ今すぐ…」

 

「尋常ではない程のGに耐え酔わないか、振動を耐えて安全に疾走するかのどちらがいい?」

 

「ま、まだ遠慮させていただきます……」

 

遠く離れてはいても、そこは補足内。目と鼻の先なため、希望は見えている様相だ。

 

「何を積んでいるのかは聞いていないが、大切なものであるならば必ず在るべき場所に届けねばなるまい。もう一踏ん張りだ」

 

「く、詳しい話は聞いていなかったんですね…でも、こんなに親身になってくれるなんて、不思議な人……」

 

「三人に責任を咎められる訳にはいかないからな。青春途中下車などアダム青春列車は容認しない」

 

「わー!特等席もらいー!」

「キャビアと紅茶を所望する〜」

 

「で、でもアダム先生に不義理は良くないです…二人とも、中身を教えてあげるべきじゃないですか…?」

 

アダムの両腕にぶら下がる二人に示すアオバ。二人は顔を見合わせる。

 

「そういうなら発表しちゃおっかな!積荷の中身は──!」

「中身は〜?」

 

「わかんない!!」

「わかんない〜」

 

「……はぁ!?」

 

ノゾミもヒカリも、中身を把握していない。その驚愕の事実に、アオバは声を荒げる。

 

「別に中身に興味無いし」

「言われた通りに、言われた場所に運ぶだけ〜」

 

「そゆこと!だから知る必要もないの。パヒャッ!」

 

「なるほど」

 

「な、納得しちゃだめです…!積荷の中身くらい、把握してて当たり前じゃないですか…!?」

 

「んー、なんだっけなー。スオウから大事なものだって聞かされてたような気はするんだけど…」

 

「右から~、左に〜、聞き流し〜」

 

「えぇ…!?な、なんでそんなので幹部やっていられるんですか!?」

 

「だーかーらー!そんなのはどうでもいいんだって!」

 

「言われたことをー、言われた通りにー」

 

「そんな…じゃ、じゃあ二人は、言われた仕事をただこなすだけで満足なんですか…?」

 

「何か問題ー?」

 

「も、問題ってほどじゃないですけど…。で、でも。自分の事は、自分で決めたいじゃないですか…」

 

「ん〜、気持ちは解るけどさ〜。アオバも同じじゃん?やりたくてやってるようには見えないけど?」

 

「うっ……そういうとこばっかり鋭いんですから…」

 

ノゾミに真理を突かれたアオバは、胸中を吐露する。

 

「そりゃあ、下っ端の私なんかが自由に道を決めたりするのは夢物語かもしれないですけど…!お二人は幹部、上に立つ存在なんでしょう!?」

 

「幹部にも上には上がいるよー?スオウとかー」

「そうそう。私達はただの、中間管理職!」

 

「そ、そんな……」

 

「まー、最初は私達も仕事は退屈だったけどさー。つまんないからってやるだけじゃ、言われるままじゃもっともっとつまんないじゃん?」

 

「じゃ、じゃあ私は何を目指せば……」

 

「ここにいるよー、目指せる背中ー」

 

ヒカリがアダムを指差す。

 

「アオバ、自らの望む未来を選ぶ権利は全ての生命に有されている」

 

アダムはアオバに目線を合わせ、そっと頭を撫でる。

 

「目指し方が、選び方が分からないのならいつでも私に聞くといい。君の目指したい未来と人生に向かうための道を、いつでも切り拓いてみせよう」

 

「…!」

 

「君の理想という駅。辿り着くために進むか否かは、君次第だ」

 

「〜〜〜〜〜〜っ」

 

アオバは背を向け、俯いてしまう。彼に返す言葉は、毒舌ではならないと思ったからだろう。

 

「じゃあどうする?スオウに頼んで確認してみる?」

 

「ぜ、絶対ダメなんですけど…」

 

「大丈夫ー。上司は責任を取ることが仕事ー」

「パヒャヒャ!そうそう、責任取れない上司なんていなくていいし!中身、把握してて当然なんでしょ?」

 

「うぅ……まともなのがアダム先生しかいません…」

 

その時、ヒカリの懐の通信機が鳴り響く。

 

「はーい、こちらヒカリー」

 

『ヒカリか。スオウだ。列車を発見、なんとか緊急停車させた。お前達の位置の、丁度隣駅だ』

 

「おおー、有能上司ー」

 

『だが、いつ発車してしまうかは予想がつかん。なるべく早めに合流を───』

 

その時だった。ノゾミがポン、と掌を叩く。

 

「そうだ!折角だから聞いてみたらいいじゃん!」

 

「え……?」

 

「大事なものがなんで大事なのかを聞けば気合も入るでしょ?ね、アダム先生!」

 

「それはそうだが、待つんだノゾミ。今確かスオウはクロノス報道部の──」

 

アダムの制止は道理が通っていたが……

 

道理では、好奇心にブレーキを掛けられなかった。

 

「ねぇねぇスオウ!その貨物列車に積まれてる、とっても大事なものってなーにー!?」

 

『なっ────!』

 

「絶対知られちゃいけないものって何かなー!すっごい超兵器とかー!?」

「オキシジェンデストロイヤー、或いはー、バスターマシン3号ー?」

 

『たわけ、今ここには誰がいると──!!』

 

 

「ねー!もしかしたらー!噂の『雷帝』の───むぐ!」

「んむむー」

 

素早くアダムが緊急手段としてノゾミとヒカリの口を塞ぐが……。

 

 

「………馬鹿者め…………」

 

スオウがいたのは、次の駅。止まっていた貨物列車。

 

貨物列車がダイヤを外れ、停止していたという『事件』。

 

そこに、情報を糧に動き生きている者達が嗅ぎつけないわけがなく。

 

そこは『クロノス報道部』の取材中であった。

 

「……………」

「……………」

 

先のノゾミの言葉。

 

並びに、スオウというハイランダーの上層幹部が動いているという事実。

 

飛び込んで来た、幹部からの極秘連絡。

 

それは、クロノス報道部にとって…。

 

「─────特ダネだ!!

 

「皆さん!!聞きましたか!?今此処にある貨物列車に、とても大事な積荷が載せられているとの事です!それはキヴォトスの命運を左右するほどのものでしょうか!?はたまた、キヴォトスの勢力図を変えてしまうほどの超兵器でしょうか!?」

 

断然、口を閉じ秘匿できるようなものではなく。

 

「よせ、そのようなデマゴーグを地上波で…!」

「果たしてその正体は!?クロノスが最後までお送りいたします!!」

 

ハイランダーの秘匿は破られ…。

 

その全ては、キヴォトス全域に向けられてしまった。

 

 

「とんでもねぇお宝……!?」

 

「一生遊んで暮らせるようなもんか!?」

 

チンピラ達……。

 

「超兵器……キヴォトスを左右するほどのものならば、ブラックマーケットのさらなる飛躍と躍進に繋がる…!」

 

「なんとしても、我々が確保しなくては…!!」

 

ブラックマーケット…。

 

「そんなもん………!!」

 

「奪うしかねぇだろ!!」

 

「準備しろお前ら!お宝がアタシ達を呼んでるぜ!!」

 

ヘルメット団───。

 

おおよそ、全ての飢えし者達に示された『宝』を求め動き出す。

 

 

「「「「「「この世の全てがそこにある!!お宝を手に入れろ────!!!」」」」」」

 

この瞬間より、キヴォトスの安寧の地は消え去った。

 

此処より始まるは、非情極まる仁義なき争奪戦。

 

積荷と列車を巡る、壮絶なる透き通りし地獄が今、顕現しようとしていた。

 

「…………愚か者どもめが……」

 

それは未来を予見したものか、もしくはノゾミとヒカリの能力のみを重視し、守秘義務一つ教えなかった上層部に対してか。

 

これから始まる混沌に捧げる、自らの幕は無い現実への恨み言か。

 

熱狂の報道に対し告げるスオウの二の句は、最早無かった。

 

 

 




ノゾミ「………………」
ヒカリ「………………」
アオバ「………………」

アダム「迅速な報連相だったな(精一杯のフォロー)」

ノゾミ「ありがと、先生………これ、終わったかも」

アダム(キヴォトスに向けられたお宝があるという報道…。間違いなく荒事になるか。やむを得ん)

アダム「ヒカリ、ノゾミ、アオバ。鈍行ぶらり旅は終わりだ」

ヒカリ「おぉ?」
ノゾミ「パヒャ?」
アオバ「ひゃぁ!?きゅ、急に私達を何故抱えて……」

アダム「私も、恐らくあの荷物を奪われては困る人間だ。故に───」

アダムは三人を抱え、けして落とさぬように──

アダム「フルアクセル超特急で行くぞ────!!」

超高速のダッシュからの、大跳躍にて列車に向けて飛翔する───!!

アオバ「きゃあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあーーーーーーーーーーーー!!!???」
ノゾミ「すごーーい!はやーい!たかーい!!」
ヒカリ「風をかんじるー。かっこつけてー、落ちてるー!」

アダム「少しの辛抱だ!此処からの道は、フルスロットルだぞ────!!」

アオバ「もう帰りたいですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーー!!!」

ヒカリ「いけー!アダム先生、スーパーマンー!」
ノゾミ「列車と同じくらいはやーい!!先生、さいっこー!!」

ヒカリとノゾミの歓声と、アオバの絶叫が───。

透き通る青い空に、吸い込まれていった。
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