人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ヘルメット団「うわあああああ!?」

ヘルメット団「くそっ、なんだこりゃあ!?」

ブラックマーケットエージェント「あんなオンボロ列車が何故こんなハイテクに!?」

ブラックマーケットエージェント「なんの科学だ!?」

ノゾミ「先生すごいじゃーん!こんな即席カスタムできたんだー!」
ヒカリ「スペシャルカスタムー、ノゾヒカミレニアムー」

アダム「大人になれば、君達もこれくらい朝飯前だ」

アオバ「いや絶対無理だと思いますけど!」 

アダム「ノゾミ、ヒカリ。このカスタムには列車操舵や管制に長けた生徒の協力が不可欠だ」

「「!」」

アダム「やれるか?」

ノゾミ「パヒャヒャ!もっちろん!」 
ヒカリ「海に沈めてやるー」 

アダム「では頼むぞ。ゲヘナ自治区に入れば──」

ヘルメット団「あ、あれを見ろ!!」


空崎ヒナ「───────!」
【執行官】【──────!!】

ヘルメット団「う、うわあぁぁぁぁぁっ!!」
ヘルメット団「風紀委員長と、粛清執行官だぁあぁぁっ!!」


アダム「頼もしい味方が助けてくれるからな!」
アオバ「げ、ゲヘナの風紀委員長と……」  

【執行官】【──────】  


アオバ「ひぃいっ…!?」





ダイヤグラム・スイープ

「という訳でヒカリ!正当防衛で撃って撃って撃ちまくっちゃお!」

「おー!グレンキャノンもだー!」

 

ミレニアムカスタム『ユウカ』として生まれ変わった列車は、搭載された兵器と武装をフル活用し纏わりつく敵対者達を問答無用で撃墜していく。 

 

レーザーバルカン、マイクロミサイル、ブラスターカノンと言った最新鋭機器を、卓越した管制能力で的確に操りみるみるうちにチンピラやヘルメット団を打ち払うノゾミとヒカリ。

 

そして、ゲヘナ自治区に侵入した事により無法者の始末は決定した。

 

『アダム先生。やっぱり騒動の解決に乗り出していたわね』

 

シッテムの箱に、風紀委員長ヒナの通信が届く。

 

『問答無用の執行官というアコの思い付きに付き合ってくれているリッカと一緒に、あなた達を援護するわ。すぐに終わらせるから』

 

「本当にありがとう。こんな混迷を極めた状況でも、私を信じてくれるのだな」

 

『当たり前よ。私は私以上に、アダム先生を信じているもの。それじゃあ───』

 

瞬間、列車の反対方向から驚異的な速さでヒナが飛行し、すれ違う。

 

『行ってくるわね、アダム先生』

「いってらっしゃい、ヒナ」

 

そこから先は、もはや戦闘ではない。ヒナの持つ武器からは、無数の銃弾がレーザービームに見えるほどの勢いで連射され。圧倒的なる面制圧の『蹂躙』が始まった。

 

「ぎゃあぁぁあぁぁあーーーー!!」

「に、逃げろ!逃げろーーーーっ!!」

 

大混乱に陥る中、運転座席に漆黒の龍鎧を纏う何者かが着地する。

 

【───────】

 

「ひ、ひぃいぃぃっ!?」

 

恐ろしい風貌の存在は、ぬうっとアオバに手を伸ばす。

 

「ひ─────あ、あれ?」

【───────】

 

その手は危害や攻撃ではなく、優しげな、不安を和らげるもの。

 

「おおー、謎の存在ー」

「こんなのゲヘナにいたんだ?」

 

「─────頼んだぞ」

【(グッ)】

 

黒き執行官に激励の言葉を贈るアダム。それにサムズアップで応え、列車から飛翔する執行官。

 

【───────!!】

 

上空から対軍レベルの掃射を放ち続けるヒナに加え、手にした二刀を閃かせ、執行官は曲芸めいた技を魅せる。

 

「ひぃいぃぃいぃい!?」

 

「うわぁあぁあぁぁあ!?」

 

跳躍、着地と同時にバイクを切り刻み、同時にチンピラ達を掴み上げ上空に投げ捨てる。

 

「しきか、じゃないや執行官ー!!回収はこちらにおまかせをー!」

「思う存分やっちゃってくださいー!!」

 

それを、巨大な黒龍に乗った風紀委員達がフックショットを使用し、素早く回収。

 

「ぎゃあぁぁあぁぁあ!!」

「助けてくれぇぇぇぇ!!」

 

尋常ではない覇気を纏った黒い正体不明の存在は、ヒナという絶対強者がもたらした大パニックを更に加速させる。敵対勢力は、風紀委員長と謎の執行官により総崩れとなった。

 

『アダム先生!相変わらず大騒動に巻き込まれてるみたいだな!』

「イオリもいてくれるか!」

 

『撃墜した生徒の心配はしなくていい!私達風紀委員は全体の練度も上がってる。全回収してやるぞ!』

 

上空に浮かぶ巨大ドラゴンに乗り、風紀委員を統率するスナイパー、イオリの指揮により、救助と検挙は同時に行われる。

 

『『『『『我等風紀委員にお任せください!!』』』』』

 

「頼もしいな。心から感謝するぞ、皆!」

 

『ならアコちゃんにも時間を割いてやってくれ。委員長とアダム先生を援護しろー、って焚き付けたんだからな』

「約束しよう。さぁ──こちらも押し返すぞ!ノゾミ!ヒカリ!」

 

「「おーっ!!」」

 

ノゾミとヒカリによるミレニアムトレイン『ユウカ』の武装と制圧は勢いを増し───。

 

「全ミサイル照準ー!」

「やってるー。エーテルキャノンもー」

「トドメを刺すよー!全ミサイル!撃ち尽くせーっ!!」

 

「アロナ!」

『はいっ!ミサイル着弾過程を一時破棄!因果律着弾ー!』

 

全車両から放たれる、弦が飛ぶようなミサイルの軌跡がついに周囲の全ての敵対勢力を飲み込んでいった。

 

「…………す、凄い………」

 

アオバはアダムの、魔法のような逆転劇に目を奪われていた。

 

列車を魔法の様に変身させたのは間違いなくアダムの力。しかしアダムは、それを使用して全て自らで終わらせはしなかった。

 

お膳立てをした後は、列車の扱いに長けた二人に全てを任せ、救助と救出に不思議な動物達を使役することに終始していた。

 

そして混沌の決め手になるかと思われていたゲヘナの生徒達は、皆全てアダムの知り合いにして味方。

 

あれ程の不利や要因がありながら、当然のように状況をひっくり返し。

 

全てを制する力がありながら、生徒達に活躍を託した。

 

「これが……大人の、凄さ……」

 

「あー楽しかったー!」

「気分はまさにー、スペースランナウェイー」

 

『状況終了。アダム先生、風紀委員は帰投するわね』

「ありがとう、ヒナ。来てくれて本当に嬉しかったよ」

 

『当然よ。先生は私の大切な宝物だもの。いつでもどこでも、力になるわ』

「光栄だ。また、共に素敵な時間を過ごそう」

 

『えぇ、また…』

 

「かっこよかったよー!ゲヘナの偉い人ー!」

「地獄に仏ー、ファンミにゲヘナー」

 

『え、えぇ。ありがとう。…………気をつけてね』

 

「「おー!」」

 

「リッ……じゃないや、執行官!任務完了だ!戻ってこーい!」

 

【────】

 

「ひぃい……」

「ば、化け物…化け物だぁあ………」

 

「そこのヨロイもー、ありがとー」

「銃ないのー?へんなのー!」

 

【──────(敬礼)】

 

どんな生徒も、アダムと一緒にいる時には眩いばかりの光を放つ。

 

それはいけすかず、相容れないと思っていたはずの二人ですらも。

 

これが、自身を助けてくれた大人の姿。

 

「大丈夫か?」

 

自身に伸ばされた手。

 

「あっ、あ────」

 

「もう怖くないぞ、アオバ」

 

頼もしい笑顔と共に差し出された手を握り、立ち上がる頃には。

 

「あり、がとう……ございます……」

 

彼の顔を、まともに見ることが出来なくなっていた。

 

『ミレニアム・スペシャル・トレイン解除!通常形態に戻ります!』

 

「あー、戻っちゃったー」

「さらば、ハイテクー」

 

「先生ー!また絶対やろうね!パヒャヒャッ!」

「ハイテクをー、忘れられぬー」

 

「勿論だ。仕事を完璧に成し遂げてからな」

 

「「おーっ!」」

 

(……私にも、私にも出来ることを…!)

 

完全に触発されたアオバは、列車の各損壊部位をチェックしに回る。

 

「おおー、完全にスイッチ入ったじゃーん!」

「プロフェッショナル、情熱大陸ー」

 

「二人とも」

 

「『やるべきこと』が、ちゃんと分かってるなら。ちょっと前のアオバみたいにクヨクヨウジウジしなくて済むってわかったみたいだね!」

「どんなこともー、引き受けた事はちゃんとやるって話ー」

 

「そうそう!アオバは列車をメンテナンスすること。私達は受け取った荷物をちゃんと必ず届けるってこと!それが鉄道を司るハイランダーの仕事で『責任』ってやつだからね!」

 

「………!」

 

「それ以外は無視ー。考えただけでストレスー」

「どう?アダム先生!ちょっとは見直した?」

 

アダムは驚きを隠せなかった。彼女達は破天荒で自由気ままではあるが……

 

だれよりも真摯に、誠実に。自分たちの『やるべきこと』を全うすることに責任を果たすプロフェッショナルであったのだ。

 

そしてそれは、困難を乗り越えた今だからこそ見えた一面であり。

 

「───あぁ、その通りだ」

 

「おおっ?」

「わぁー」

 

「偉いぞ、そして立派だ。二人とも」

 

「もー、先生ー!ハグしたいなら言ってよ〜!」

「アダム先生のハグー、クセになっちゃうかも〜」

 

先生として最も喜びを感じる瞬間…。

 

生徒達の魅力と、大いなる可能性を感じた瞬間であった。

 

 

 




ノゾミ「で、どう?列車は異常なし?」
ヒカリ「緊急メンテー?」

アオバ「…………………………けど」

アダム「ん?」

アオバ「……………ブレーキ……効かないんですけど……」

ノゾミ「えっ」
ヒカリ「えっ」

アダム「─────最後の、正念場か」
アロナ『大変じゃないですか〜〜〜〜!!』

ハイランダーの生徒達に、最後の試練が訪れようとしていた。
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