人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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アダム「こうなった以上、やるべきことは一つだ」

ノゾミ「先生!」
ヒカリ「もしかしてー」

アダム「私のこの身で、列車の勢いを殺す!」

「「おぉ〜〜〜〜!!」」

アダム「機を見てフロントに飛び降り、力付くを決行する。───アオバ」

アオバ「は、はい!」

アダム「君達の安全を考慮し、スピードを徐々に落とす形式を取る。……もしかすれば、止まりきれないかもしれん」

アオバ「!」

アダム「万全を期す為、君の力を借りたい。手はあるか?」

アオバ「アダム先生………」

「………あります!」

「「おぉ〜〜〜〜!!」」



アオバ「ブレーキって、つまり摩擦で制動をかけるんです。この爆弾を使って車輪を壊して摩擦係数を高めて、アダム先生の力と合わせたら…!」

ヒカリ「列車は止まる〜?」

アオバ「は、はい!線路は壊れて、列車もめちゃくちゃになっちゃいますけど……」

ノゾミ「あれ?通信だよ?」

スオウ『各員、聞こえるか』

ノゾミ「スオウ!」

スオウ『全責任は私が取る』

『被害を列車に留めることに全力を尽くせ。以上』

ノゾミ「パヒャヒャ!上司みたいじゃん!」
ヒカリ「恐らく上司ー」

アオバ「あ、アダム先生……。私、こんな根暗でネガティブで、面倒くさい女なんですけど…」

アダム「…………」

アオバ「でも、でも…変わります!アダム先生と一緒に!その、だから…!」

アダム「あぁ」

アオバ「私の『やるべきこと』を…!助けてくれますか!?」

アダム「───勿論だ!」

〜駅

駅員「あ、来た」

「…………あれ、スピード出し過ぎじゃない?」

「止まれる…?」

スオウ「各員ホームから退避しろ!」

「えっ!?」

スオウ「緊急事態だ……!」




全身全霊のセーフティ・ラン

「アロナ、行くぞ。準備はいいな」

 

ブレーキを失った貨物列車。その暴走した車両は制動を失い爆走し、線路をひた走る。そのままでは、甚大な被害が出るだろう。それを阻むためにアダムは先頭車両末端に立つ。

 

『はいっ!制動フィールドは任せてください!』 

 

その身を呈し、列車を力付くで抑え込む事により、被害を抑える決断をしたアダムはネクタイを下ろす。

 

正気の沙汰ではない選択だ。自らをブレーキにして、大質量を抑え込み無力化するなど。

 

「頼りにしている。ミカへのいいみやげ話が出来たな」

『アコさんからも、食事のお誘いが来ていますよ!』

 

だが、やらねばならないことだ。ノゾミ達の安全のため、ハイランダーの明日のため。

 

何より──。

 

「せ、先生!」

 

「!」

 

「わ、私、頑張ります!だから……!」

 

「アオバ…」

 

「────頑張ってくださいっ!!」

 

ようやく前を向くことの出来た、生徒の為に。

 

「────あぁ!」

 

示さなくてはならない。

 

「行くぞ───!」

 

生徒達に。人の可能性に。

 

───いずれなるべき大人には。

 

『全リソース肉体強化に転換!!』

 

不可能など、何もないのだと言うことを───!!!

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああーーーーーッッッッッッ!!!」

 

気迫の咆哮。キヴォトスが激震する程の覇気。アダムが遂に、列車の前に自らの身体を投げ出した。

 

『いっけーーーーーっ!!アダム先生ーーーっ!!』

 

アロナのサポートにより、肉体の崩壊は万に一つもない。その足が、その肉体がブレーキとなり列車の勢いを殺していく。

 

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

一息に止めるわけにはいかない。容易くはあるがノゾミ達に万が一がある手段を取りはしない。

 

徐々に、徐々に勢いを殺さなくてはならない。そしてヒカリとノゾミ、アオバが投げ出されないパワーのベクトルを、程度を計算すれば……

 

完全に止まれるかは、パパポポのみが知る事象であった。

 

『頼むっポよ、…アオバ君!』 

 

 

「この爆弾を使って車輪を破壊します!二人はすぐ何かに掴まってください!」

 

アオバは素早く設置作業を完了し、二人に指示を出す。それは怨嗟と諦観に満ちた先程とはまさに別人の姿。

 

「アダム先生を助けなくっちゃね!」

「うまくいったらスーパーマンじゃなくて、ウルトラマンー」

 

「うまくいったら、じゃないです…!」

 

アオバが二人を遮った。

 

「「?」」

 

「うまくいかせるんです!アダム先生に、色んな事を教わるために…!」

 

それは、なんとなくや諦めと共にしていた仕事ではない。

 

「おーっ!!」

「アダム先生、カッコいいから好きー。明日も好きでいたーい」

 

「では、起動します!!」

 

自らの『やるべきこと』を全うする『責任』に燃える…、

 

小さなプロフェッショナルの、姿が在った。

 

 

『アダム先生!こ、この速度ではギリギリ駅をオーバーランしてしまいます!』

 

線路の中央部を破壊し尽くしながら、死の押しくらまんじゅうに死力を尽くすアダムにアロナの計算が届く。

 

『だけど力を込めてしまえば列車は脱線してしまい、三人の生命は……!』

 

「ギリギリなのだな!?」

 

アダムは問う。

 

「ギリギリ、オーバーランしてしまうのだな!?」

 

生徒を護るが故に、瞬時に終わるはずの苦痛に身を晒そうとも。

 

『は、はい!』

 

「ならば大丈夫だ、問題はない!」

 

アダムは更に、全身に力を込める。

 

「そのギリギリは────」

 

瞬間、大爆発音が響き渡る。

 

『!』

 

「生徒達が、容易く埋めてくれるものだ────!!」

 

アオバの設置した爆弾が爆発。列車の車輪が吹き飛び、摩擦係数がオーバードライブする。

 

「アダム先生ーーーーーッ!!」

 

顔は見えないが、声が耳に届く。

 

「起爆しました!私も、幹部たちも、やるべきことはやり尽くしました!!」

 

アオバの────

 

「もう諦めません!頑張って素敵な明日を目指します!だから───!」

 

「「だから!」」

 

生徒達の声が、胸に届く。

 

 

「頑張りは報われるって!信じさせて────!!」

 

「「いっけー!!アダム先生ーーーッ!!」」

 

その応援に──

 

「勿論だ────!!」

 

全ての先を生きる王は、全霊を以て応える───!!

 

 

「う、うそ!?あれ、噂のアダム先生!?」

 

残り100m。

 

「そうだ。彼がその身を呈して止めている」

 

残り80m。

 

「嘘でしょ!?と、止まるわけ───!」

 

残り60m。

 

「いや、止まる」

 

残り40m。

 

「彼は───」

 

「全ての先を、生きる王だからだ」

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!」

『アロナもやります!やるべきことを全力で!!』

 

残り20m。

 

『アロナのヘソクリリソース全開放!!』

『大天使たちの翅も使え、アダム!』

 

残り10m。

 

『アダム・カドモン、肉体神代回帰!全力で──』

 

残り5メートル─────

 

『いっけぇえぇえーーーーーーッ!!』

 

残り───────

 

「止まれええぇぇぇーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッ!!!!!」

 

─────────0m。

 

「ひいっ、ひぃいいぃいいぃいいぃいっ!?」

「………………」

 

───────列車…………

 

「───蒼き世界に希望を載せて。示せ未来の青信号」

 

「………」

 

「ハイランダー鉄道学園、定刻通りにただいま参上」

 

「…………確かに」

 

…………完全停止。

 

「アダム先生ーっ!!」

「ハラショー、ブラボー、うおおーっ」

 

「よ…………良かったぁ…………」

 

列車、少破。

 

線路、被害甚大。

 

乗車員3名………

 

────無傷にて、生還。

 

 

「あははーっ!凄い凄い!先生凄ーい!」

「うおー、ねぎらいだいぶー」

 

「おっと!」

 

ノゾミとヒカリが、アダムの胸に飛び込む。

 

「ホントにやり遂げちゃったね!アダム先生ってばつよーい!」

「これはまさしく、ウルトラマンー。私達のヒーロー」

 

「無事で何よりだ、ノゾミにヒカリ。………そして」

 

「あ、あの………ホントに、本当に……」

 

おずおずとアダムに近付くアオバ。

 

「良くやった」

 

「!!」

 

「君のお陰だ。本当に───」

 

「「グッドジョブ!!」」

 

「あぁ。素晴らしい整備だったぞ、アオバ」

 

「!!………あ、うああ……!!」

 

その言葉は……。

 

「うああああ…………!!あああーーーーっ………!!」

 

誰かに、言ってもらいたかった……。

 

心からの、感謝の言葉だった。

 

「変なの。嬉しいくせに泣くなんて」

「うわーん、しくしくー。おーいおいー」

 

「パヒャヒャ!迫真の涙じゃーん?」

 

「ノゾミ、ヒカリ」

 

安堵した二人に、スオウが声を掛ける。

 

「スオウー!どう?私たちでちゃーんと届けたよー!」

「私達は、最高のチームー」

 

「………………」

 

スオウはノゾミとヒカリに……。

 

「………元々、お前達の腕前だけを当てにし、するべき教育をしなかった上層部に問題があったのだ」

 

「わっ」

「おおー」

 

「無事で良かった…。素行はどうあれ、お前達はハイランダーの宝なのだからな」

 

安堵の抱擁を交わすのだった。

 

「パヒャヒャ!私達、ちゃーんと勉強するよ?」

 

「何?」

 

「アダム先生にー、分からされちゃったー」

「先生の授業ならやってもいいかなって!」

 

「…………そうか」

 

スオウは二人の意志を汲み、アダムに向き合う。

 

「アダム先生。此度の被害や責任は全て私と上層部が請け負います」

 

「スオウ……」

 

「ノゾミ、ヒカリ、そしてアオバ。…ハイランダーの大切な生徒達を、無傷で保護して下さった事に深い感謝を」

 

全ては上司として、立場あるものとして……。

 

「よろしければ、彼女らの良き未来のために…ご指導ご鞭撻を、よろしくお願い致します」

 

「───フッ。望むところだ」

 

アダムと硬い、握手を交わすのだった。




ノゾミ「それにしても、ここまでしなきゃいけない荷物ってなんだったのー?」

スオウ「それは………」

?「ハッハッハ!!お勤めご苦労!!」

アダム「む」

ブロロロ連合総長「先んじて回り込み、荷物を奪えば私らが配達!こりゃあ大した賢い手段だ!」

アダム「確か……ブロロローム連合か」

「ブロロロ連合だよっ!!」

「よくもわたしらの仕事を横取りしてくれたな!」

「忘れたとは言わせねぇぞ!」

ノゾミ「ヒカリ、知ってる?」
ヒカリ「ピザ頼んだー、ぐちゃぐちゃだったー」

アロナ『アダム先生!あちらにミカさんを怒らせた配達員がいます!』

アダム「成る程、そういう繋がりか」

アオバ「横取りってなんの話ですか…!?」

ブロロロ連合「見事な配達だったぜハイランダー……。だが!流通の頂点に立つのは私達だ!!」

ヒカリ「愚かなー、秘密のアダムパワーを思い知れー」

アダム「すまない、生徒に振るう拳は持ち合わせていないんだ」
ヒカリ「優しいー、好きー。ぎゅー」

「お前ら─────やっちまぇ!!!」

アオバ「ここまで来て───」

ブロロロ連合の侵攻は……。

スオウ「────失せろ」

「えっ!?がっ!?」
「ぎゃっ!」
「ぐわぁあぁ!!?」

アダム「!」

(今の射撃……、ホシノに比肩する精度だった)

スオウ「任務完了。…こちらへ」

依頼人「クックック……。おやおや、奇遇ですねぇ、アダム先生……」

アオバ「え………」

依頼人「私の『荷物』。受け取りに来ましたよ?ククッ…ワッハッハッハッ!」
アダム「───えぇ、勿論です」

アオバ「……嘘、ですよね?アダム先生………?」

アオバの困惑を受けながらも、アダムは静かに……

受け取りと、サインを済ませたのだった。
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