人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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騎士の末路


マテリアル〜風車に向かう男〜

『ひ、ヒハハハハハハハハ!!悪徳なるカルデアよ覚悟せよ!!

 この偉大なる王ザッハーク様にお仕えする一の騎士、ドン・キホーテが汝らの首級を上げて見せようぞ!!!

 ああ、ああわが偉大なる主ザッハーク様、ザッハーク様ァ!!この勝利、貴方とわが姫・………………

 わが、姫?わが姫とはいったい誰であっただろうか?

 いや、もはやどうでもいい!!この勝利、我が王へと捧げようぞオ!!

 わが騎士道はここにありイイイイイイイイ!!!』

 

 

 真名:ドン・キホーテ(イケロス、パンタソス、モルペウス)

 クラス:アルターエゴ

 属性:混沌 悪

 出典:『ドン・キホーテ』『ギリシャ神話』

 出身:スペイン、ギリシャ

 筋力 E~EX 耐久E~EX 敏捷E~EX 魔力EX 幸運E 宝具 EX

 

 

 クラススキル

 

 騎乗:E~EX

 乗り物に騎乗する能力。

 本来は愛馬ロシナンテに騎乗できる程度のランクでしかないが、彼の夢想、すなわち思い込みが強ければ強いほど、すなわち狂気が強まれば強まるほどそのランクは上昇していく。

 最高ランクともなれば竜種どころか神、悪魔といったこの世のありとあらゆる乗騎に騎乗できる。

 

それが、たとえただの夢なのだとしても。

 

 対魔力:E~EX

 魔術に対する抵抗力。

 本来はほとんどの魔術を無効化できないレベルの弱いものでしかないのだが、彼の思い込みが激しくなればなるほど、そのランクは上昇していく。

 最終的にはこの世全ての魔術どころか5つの魔法すらも彼には通じなくなる。

 

 無論、すべて彼の妄想でしかないのだが。

 

 狂化:EX

 

 本来はバーサーカーが保有するスキル。理性と引き換えにステータスを上昇させる。

 ドン・キホーテの場合は後述の精神崩壊スキルも合わさり、正気や理性は完全に喪失、言語は話せるものの、意思疎通は完全に不可能となっている。

 例えどんな言葉も説得も、自身の都合のいいようにねじ曲がり、彼には一切届かない。

 

 自身の理想の夢の中におぼれ、妄想の中に逃避しているその姿は、さながら重度のアルコール依存症患者か薬物中毒患者の如しである。

 

 夢神の神核:EX

 

 夢を司る神であるオネイロイ、即ちイケロス、パンタソス、モルペウスの神核を保有する。

 EX評価なのは完全な神霊だからというわけではなく、彼自身の強すぎる狂気と妄想の影響によって、本来の神核とは全く異なる異常な状態へと変異してしまっているが故である。

 本来は精々がB、あるいはCランク。

 

 夢の権能:EX

 

 自身、あるいは他者の夢を自在に行き来し、操ることができる夢の神々が保有する権能。

 本来は他人の夢にすらも干渉可能であるが、正気を失い自身の夢の中に引きこもり続けるドン・キホーテは自身の夢の中に他者を引きずり込むこと以外には使用しない。

 上記のステータスの変動はこのスキルの影響であり、彼が夢の中により深く沈み込めば沈み込むほどそのステータスは上昇していく。

 完全に己の夢に沈み込んでしまえばそのステータスはかの遊星の使徒すらも一撃で消し去れるであろう、おおよそサーヴァントとしてはあり得ない常軌を逸したレベルにまで到達するであろう。

 逆に、現実に戻ってしまった場合には、その姿はただの弱弱しい骨と皮のみの老人と化し、ステータスもただの人間以下の数値へと落ち切ってしまう。

 

 

固有スキル

 

 精神崩壊:EX

 

 己が愛したすべて、己の半身たる存在、それらを自分で破壊してしまったことにより精神が壊れてしまった状態。

 上記の規格外の狂化も合わさって会話、対話により意思疎通は完全に不可能となっており、あらゆる言葉を今の自身に都合のいいように解釈、捻じ曲げてしまう。

 一応精神干渉を完全にシャットアウトするというプラスの効果も存在するが、それ以上にデメリットが大きすぎるマイナススキル。

 かつて敬愛していた姫、ドゥルシネーアも、従者であるサンチョも、その他数々の冒険で出会った人々の記憶も、これの影響によって完全に忘れ去っている。あるいは、実は覚えているが目を逸らしているのだろうか。

 

 ただし、他ならぬ夢から覚めて現実に戻った己自身、即ちランサーで召喚されたドン・キホーテとサンチョならば、このスキルを無視して彼に言葉を届けることができる。

 

 堕ちた騎士道:EX

 

 本来己が守るべき姫を、守るべき無辜の人々をこの手で殺めてしまったことにより完全に騎士として堕ちてしまったことを象徴するスキル。

 かつて夢想として憧れたそれから完全に逸脱した存在に成り果て、それでもなお誰かに忠誠を尽くす騎士であると、彼は夢に、妄想に逃れ続ける。

 

 その無様で憐れな姿を、彼を壊した絶対悪は嗤い続ける。

 

 宝具

 

 汝、夢想に堕つ道化(ドン・キホーテ・オネイロイ)

 

 ランクEX  結界宝具

 レンジ1~100  最大補足1~100

 

 ギリシャ神話における夢の神々、オネイロイの権能と、ドン・キホーテの強すぎる狂気と妄想が合わさった宝具。彼が限界している限り常時展開されている夢の結界。

 己の描く『理想の夢』の中へと他者を引きずり込む。

 その夢の中のドン・キホーテは自身が夢見た最高にして最強の騎士であり、どんな英雄、怪物、果ては神や悪魔すらも打ち倒し、勝利する完全無欠の存在として設定されており、この夢の中で戦う限り、ドン・キホーテはいかなることがあろうとも敗北することはなく、必ず勝利する。

 どんなに敵が己よりも強かろうと、どんなに敵が己より優れた武器を、防具を、乗騎を、あるいは軍団を率いていようとも、彼は必ずそれらすべてを上回り、勝利する。

 その勝利の栄冠はすべておのが主であるザッハークへと捧げられ、己は主から真の騎士と讃えられる………という妄想、夢を現実として、そこに他者を巻き込んでいくという一種の固有結界である。

 夢に引きずり込まれた対象は、夢に引きずり込まれたという意識、自覚すらもないまま、ドン・キホーテの行う一人芝居、『正義の最強の騎士ドン・キホーテが己が敬愛する主であるザッハークの敵を打ち倒す』という妄想に巻き込まれ、ただの敵役として無残に殺戮されていくこととなる。

 その夢の強制力はすさまじく、対魔力などの魔術への抵抗性や幸運といったものでは回避は不可能、ただの人間や英霊どころか、神話の神々といった存在すらも知性と理性を持つ限りこの夢に引きずり込まれ、ドン・キホーテの狂気と妄想に巻き込んでいく。おおよそ夢を持ち、夢を見る存在は、この宝具に抵抗することはできない。

 この夢に引きずり込まれないもの、あるいは引きずり込まれても影響を受けないものは数少なく、まず己を生み出した創造主であるザッハーク=アジ・ダハーカ、理性も知性も持たない機械そのもの、自身の霊基に複合された神々と同じく夢の中を行き来できる夢魔、あるいはそれと同じ力を持つもの、最初から知性がない野獣そのもののような存在、そもそも人格を持たないORT等のような規格外の存在、そして、他ならない己と同じドン・キホーテ、夢と妄想から覚めて現実に立ち向かった己自身であるランサーのドン・キホーテのみである。

 

 

 そして同時に、この宝具を破り、消滅させる手段はただ一つ、ランサーのドン・キホーテ、そして彼の従者であり、友であり、敬愛する姫君であり、そして物語の最後で彼を苦しめ、死へと至らしめた『現実』そのものであるサンチョ・パンサのもつ第二宝具のみである。

 

 

 人物

 

 ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ。あるいはアロンソ・キハーノ言わずと知れた世界的名著である『ドン・キホーテ』の主人公である老騎士。

 彼自身は既にランサーのサーヴァントとしてカルデアとは縁を結んでおり、カルデアによっては既に召喚され、人理のためにその槍を振るっているのは言うまでもない。

 ちなみにランサーとして召喚される際には(何故か女性となった)従者のサンチョ・パンサも一緒に召喚される。何故サンチョが女性なのかについてはここでは割愛する。

 このように、既に楽園含むすべてのカルデアで縁を結んでいるドン・キホーテではあるが、このアルターエゴのドン・キホーテはランサーとして召喚されたドン・キホーテとは明らかに異なっている。

 本来老騎士が全盛期であり、その姿でしか召喚されないはずのドン・キホーテであるがこのアルターエゴのドン・キホーテは筋骨隆々の若々しい姿で召喚されており、本来痩せウマのはずのロシナンテもブケファラスや赤兎馬もかくやと言わんばかりの巨体の名馬となっている。

 この時点で違和感しかないのだがそれ以上にこのドン・キホーテには一切会話が通じない。

 言葉を話すことはできるのだが、ただただ意味不明な言葉を口走るのみでありこちらの意見を一切聞こうともしない。いや、聞いてはいるのだろうがそれを自分の都合のいいように解釈し、捻じ曲げてしまっており、完全に会話やコミュニケーションが通じない。

 その意思疎通の不可能ぶりは大抵のバーサーカーよりも上といってもいい。

 その強さも通常のドン・キホーテとは比べ物にならないどころか並みいる大英雄すらも上回る凄まじいを通り越して異常なものとなっており、ただの槍の一振りが聖剣魔剣の一撃すらも凌駕、粉砕し、その鎧はありとあらゆる宝具の一撃すらも弾き返す、そんな理不尽ともいうべき強さを誇っている。

 

 

 そして、それらすらも上回るであろう最大の相違点、それは、彼のそばには彼にとっての半身であり、友であり、敬愛すべき姫君であり、己の運命そのものであるサンチョ・パンサがいないことであり、彼自身もサンチョどころかドゥルシネーア姫の名前すらも口にせず、完全に記憶から消えてしまっている。

 

 完全に狂気と妄念の中に埋没してしまった、本来のドン・キホーテとは似ても似つかないアルターエゴ。彼の正体とは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その正体はザッハーク=アジ・ダハーカの手によってキュリー夫人の次に生み出された改造英霊、『芸術作品』の二体目である。

 元々このドン・キホーテは通常のランサーの霊基の彼と同じくサンチョと共に召喚されたサーヴァントであった。思考、思想に関してもランサーのドン・キホーテと同じで、臆病ながらも善良な性格を持った老騎士であった。

 そんな彼が絶対悪であるザッハークに従うはずもなく、召喚されて即座に自害しようとすらした。だが、ザッハークはそんな彼らを嘲笑いながら令呪を持って二つの命令を課した。

 

 一つ目は自害を禁じること。

 

 二つ目はサンチョとどちらかが死ぬまで殺しあうこと。

 

 結果、ドン・キホーテとサンチョは望まぬ殺し合いを強いられた挙句、最終的にサンチョはドン・キホーテの手によって命を落とすこととなってしまう。

 己が半身を失い悲嘆と絶望に暮れるドン・キホーテにザッハークはさらなる改造を施す。

 彼の霊基に三柱の神霊、ギリシャ神話に伝わる夢の神オネイロイ(イケロス、パンタソス、モルペウス)の霊基を強制的に組み込んだのだ。

 それだけにとどまらず、ザッハークはドン・キホーテをありとあらゆる微小特異点へと送り込み、彼にそこに住まう人々を残らず殺戮させた。

 

 本来ならば己が守るべき、多くの無辜の民たちを、無惨にも何人も何十人も虐殺させたのだ。

 

 本来討つべきサンチョの仇も討てず、その霊基では本来納めきれないであろう神霊三柱を無理矢理組み込まれ、挙句無辜の民の殺戮という悪行を幾度となく行わされたドン・キホーテの精神は完全に崩壊。

 もはや現実すらも直視できず、今の己の有様にすら耐えられず、かつて己が焦がれ求めた騎士道からも遠くかけ離れ、完全に己の造り出した夢の中へと埋没することとなった。

 

 すなわち、『偉大なる王ザッハークに仕え、敵を撃つ最強にして最高の騎士ドン・キホーテ』という妄想に。

 

 かつて死の間際、妄想から目覚めて現実に立ち戻った老騎士は、あまりにも無惨かつ悲惨な現実に耐えられず、再び夢の中へと逃げることとなってしまったのである。

 

 筋骨隆々の若々しい騎士としての姿は彼の妄想より生まれたハリボテの姿であり、本来の彼は幾多の芥子(アヘン)の花に覆われた骨と皮のみの骸骨同然の老人である。

 

 いつまでもいつまでも、終わらない夢を見続けながら、壊れた老騎士はまどろみ続ける。

 

 ……現実にて、幾多の無辜の命を奪うという、望んだ姿とはかけ離れた末路をさらしていると知らぬまま、見ようとせぬままに。

 

 ザッハーク=アジ・ダハーカからは素晴らしい完成度と(芸術作品として)高く評価されている。

 その壊れていく過程と壊れ切ってからの末路は笑いが止まらずあまりの美しさに涙すら零れそうだったとのこと。

 

 

 

 人間関係

 

 ザッハーク=アジ・ダハーカ

 

 己が最も尊崇する主であり偉大なる王。

 ………と妄想している実際は己の命よりも代えがたい半身を奪い去り、己を堕とした不倶戴天の敵。

 ザッハーク本人からすればそのあまりの滑稽さに爆笑したいのをこらえるので必死だったという。

 

 

 楽園含むすべてのカルデア

 

 己が主に仇なす敵達。人類最後のマスター全ての首級を上げて見せるとザッハークに誓っている。

 一方カルデア側、特に楽園カルデアからはその痛ましくも悍ましい姿に本来のドン・キホーテを知っている誰もが痛ましさを覚えており、同時にこんなことをした黒幕、すなわちザッハーク=アジ・ダハーカへの殺意は天井知らずで増していっている。

 

 ドン・キホーテ(ランサー)

 

 本来召喚されるべき己自身にして、最終的に夢から覚めて現実へと戻った己自身。

 今の己が絶対に見たくもない存在にして、己の狂気を切り裂いて言葉を突き立ててくる最大の天敵。

 

 『あ、ああ、ああああああああああ来るな来るな来るなああああああああ!!!!この化け物め!!!!その目で見るなその口で語るなやめろやめろやめろおおおおおおお!!!』

 

 『……何たる姿か、ワシ自身よ。だが、これもまたワシのありえたかもしれぬ姿ということか……』

 

 『旦那様……』

 

 『……すまんなサンチョ。こやつがワシである以上、ワシがけじめをつけねばならぬ。付き合ってくれるか?我が従者、我が友、我が姫君よ』

 

 『もちろんです旦那様。私はいつでも、いつまでも旦那様と共に……』

 

 

 サンチョ・パンサ

 

 己と共に召喚された自身の半身にして、己の手で殺してしまったもの。

 その嘆きと絶望から逃れるために、彼は彼女の記憶、即ち自身の歩んだ物語である『ドン・キホーテ』の記憶のほぼ全てを消し去り、封じ、忘れ去っている。

 もしも思い出せばもはや自分も耐え切れなくなってしまうがゆえに、もはや騎士とは名乗れなくなってしまうがゆえに……。

 ゆえに、ランサーのドン・キホーテに召喚された彼女を目撃したならば、彼はどうなってしまうのか……。それは誰にもわからない。

 ランサーのドン・キホーテに並ぶ、あるいはそれ以上の天敵。

 

 『お、おお、おおおおおお……サンチョ、ドゥルシネーア姫……私は、ワシは、お前を、貴方を……、ああああああああ………』




天秤座の暗黒聖闘士さん、ありがとうございました!
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