人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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???

リッカ「─────はっ!?」

?『やぁ、こんにちは。エアのマスター』

リッカ「あ、あなたは…ここは!?」

アカシック『ここは『根源』と呼ばれる場所の管制室のようなもの。私はアカシック。根源の端末であり、エアとフォウ…そして、ティアマトのマネージャーみたいなものだ』

リッカ「ご、ご丁寧に!私は」

『藤丸龍華、だろう?勿論知っているさ。君の活躍は全部ね』

リッカ「!」

『そしておめでとう。君は『根源』に辿り着いた。始まりの娘、人類の始祖。魔法と魔術を修める素養を持つ、イヴが産み出した奇跡』

リッカ「根源…魔術師が追い求めてるやつ?私が?」

アカシック『説明は不要だ。全て理解できる。そして、魔法は根源に辿り着いたご褒美というもの』

リッカ「魔法…」

アカシック『人類に残る五つの課題、それとは違う第六の魔法。…そうだな、君には『皆を幸せにする』という魔法がいいかな』

リッカ「!それ好き!」

アカシック『だろ?根源への道は君に繋がった。魔術の行使において、君は万能になるという副産物と共に、君は君の魔法を定義しなくてはならない』

リッカ「定義……」

アカシック『皆を幸せにする。その方法を…君の『魔法』を、私に教えてくれ』

リッカ「皆を幸せに……」

アカシック『………』

リッカ「───うん。解った!私の…」

「私の、皆を幸せにする魔法は───!」


人類最初の『魔法使い』

〘───────〙

 

汎人類史に出現……否。遂に顕現した『始まりの娘』。偽神の無数の枷と呪いをジブリールが、人類が、仲間たちが取り払い生まれた『魔法使い』。

 

『始まりの娘…根源…!?』

 

吹き飛ばされ、しかし態勢を立て直したゼインが、憤懣と憤怒も顕に『始まりの娘』を睨む。

 

『ふざけるな、ふざけるなよ供物如きが……!!選ばれたのはオレだ!!私だ!!』

 

〘────────〙

 

『穢らわしい獣の貴様じゃない!お前などでは……!!』

『ファイズブラスターフォーム!執行!ジャスティスオーダー!』

 

怒りのままに、執行する。

 

『お前なんかじゃない────!!!』

 

撃ち放たれる、仮面ライダーの力。

 

〘────〙

 

始まりの娘は、身動ぎ一つしない。ただ、右手をそっと上げ。

 

〘聖霊〙

 

起こす事象を、告げた。その瞬間。

 

『!!!』

 

始まりの娘の周りに、光り輝く無数の魂が現れ、ゼインの攻撃を完全に弾き返す。

 

『お前達は────!?』

 

リッカを護ったのは『聖霊』。カナンにて高き館の主に従いしかつての民達。

 

『バアルの、眷属共……!?』

 

神に従いし聖霊が、始まりの娘を守護している。かつて、唯一神…偽神が貶めた存在。それが、かつての祝福の姿のままに。

 

〘豊穣〙

 

始まりの娘が言葉を紡ぐ。聖霊が応え、姿を変える。

 

〘月穹〙

 

始まりの娘の手に、武器が握られる。

 

オルテギュアー。アルテミスの神威。

天沼矛。伊邪那美命の慈愛。

 

聖霊が始まりの娘に集い、莫大な真エーテルを展開する。

 

〘雷霆〙

 

ゼウスの持つ威光。

 

〘悪滅〙

 

シヴァの持つ劫炎。

 

〘暴嵐〙

 

バアルの持つ嵐雨。

 

〘調停〙

 

ヴィシュヌの持つ調和。

 

〘統合〙

 

それら全てが、弓に番えられた天沼矛に集結する。

 

『なん、だと……馬鹿な!?』

 

〘神話編纂〙

 

神霊の力の行使。

 

そんなものは人間には不可能である。神秘が薄れた現代において、神霊は虚ろなる信仰のシステムとなっている。

 

そもそも神霊の力を自在に行使できるのならば、聖杯や魔術などなんの意味も無く。必要すらない。

 

抑止力、神秘の衰退。それら全てが不可能と断じるもの。

 

神話集結魔法(オムニバス・マイソロジー)────執行〙

 

だが────。

 

〘発射〙

 

世界の理や道理など、根源に到達した者には。

 

『ぐ、おぉおーーーーーーーッ!?』

 

『始まりの娘』には、後から作られた小賢しい取り決めでしか無く。

 

『ぐぎゃあぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』

 

当然の様に無視し、無効化し、自身の成すべき事を押し通すために踏みつけるものでしかない。

 

『がぁ、あ…………ぁ…!?』

 

光に呑まれたゼインは、一秒の間に一万の死を一万繰り返した。

 

『ば、かな……こ、これは………!?』

 

人が、当然の様に神の力を行使する。その事実に狼狽するゼイン。

 

 

────第六魔法。

 

あらゆる世界、あらゆる時空で定義されていない『未知』の概念。

 

魔法とは、根源に辿り着いた者に齎される恩寵。

 

初めて辿り着いた者が至り、そのルールは二番手には閉ざされる。

 

故に、その魔法は『辿り着いた』者の意志と想いにて定義される。

 

かつて誰かが『皆を幸せにする』という仮説を提唱した魔法。

 

その事象を、全能の端末たるアカシックは把握していた。

 

故にこそ、次に辿り着いた者には『皆を幸せにする魔法』を託してみようと定義していた。

 

そして、遂に顕現せし『始まりの娘』。

 

本来の存在たるアダム、リリスの素養を受け継ぐもの。

 

イヴが担うもの。それは『知恵』『叡智』。

 

自らの子孫が生み出す全て、編み出す全て、行使する全て。

 

それら全てを把握し、行使する権利。偽神が入念に破壊した人の知性と技術の覇者。

 

異聞帯のアダムが『全てを統べ、切り拓く』素養と対を成す、始まりの男が担わぬ全てを司るもの。

 

即ち、魔術師としての頂点。

即ち、根源に至る者、賢者。

 

故にこそ、顕現し、覚醒した瞬間に根源に至る資格を有するもの。

 

EDENのリリスが、偽神に立ち向かうために発展を極めようと習得したもの。

 

それを、『始まりの娘』は宿している。

 

そして彼女が辿り着いた『第六魔法』。

 

それは『皆を幸せにする』魔法。

 

皆とは誰のことか?

 

幸せにする、とはどのようなものか?

 

……覚醒した『始まりの娘』が唯一所持していない『定義』がそれであった。

 

そのままでは、彼女は根源から引き出した無限の力をただ振るうのみであっただろう。

 

だが、『始まりの娘』には送ってきた人生がある。

 

『藤丸龍華』という人生。生まれ、生き、送った人生。そこに『皆を幸せにする』という概念の答えが宿った。

 

 

 

「皆を幸せにする魔法を、私が使えるなら……」

 

『───────』

 

「皆は、世界そのもの!そして私が大切だと思う、世界に生きる全ての存在のこと!」

 

アカシックに告げた、『皆の定義』。

 

「幸せにする方法は、色々あるけど……私の思う幸せは『尊び、重んじ、受け入れてもらえること』!」

 

アカシックに告げた『幸せの定義』。

 

「そしてそんな大切な人を、幸せを護るために戦い抜くこと!」

 

アカシックに告げる『魔法使いの覚悟』。

 

「皆を幸せにする力を、皆を幸せにするためだけに使うと誓う!そして皆の幸せが、私の幸せになる!」

 

それが『根源』に告げる『藤丸龍華』の決意。

 

「私は───そんな魔法使いになりたい!そんな魔法使いでありたい!」

 

『…ふふっ。流石……』

 

それにより『第六魔法』は定義された。

 

『僕が尊ぶ、彼女のマスターだ───』

 

『皆を幸せにする魔法』。

 

それが、始まりの娘の手に委ねられた。

 

 

〘─────────〙

 

それは『繁栄の約束』。第六魔法使いの『始まりの娘』が顕現した瞬間、汎人類史は歴史の分岐において『枝』から『幹』となる。

 

あらゆる外時空からの干渉を跳ね除け、タイムパラドックスを無効化し、人理強度を最大にまで引き上げる。始まりの娘ある限り、平行世界どころか七つの次元からの歴史改竄を無力化する。

 

それは、尊重と肯定。

 

人理にとっての幸福とは何か?

 

それは『肯定』。人類が、霊長の全ての歩みが間違っていなかったと、素晴らしいものだと後押しされる事。

 

〘───────〙

 

始まりの娘は言葉無く言祝ぐ。

 

あなた達の歴史は、本当に素晴らしい。

 

間違いも、進歩も、発展も。全てに意味があった。

 

皆の全ては、間違いなんかじゃない。

 

ありがとう。

 

生まれてきてくれて、ありがとう───。

 

その想いが、始まりの娘の人理証明に関わる全てを極限にまで引き上げる。

 

全ての歴史と世界を簒奪せんとする全ての前に、この魔法使いは立ちはだかる。

 

皆を幸せにするために。

 

彼女はずっと。皆を幸せにする為に戦い続けるのだ。

 

そして、その戦いは決して一人ではない。

 

人が産み出したものが、人と共に生きる神が、人が編み出した可能性が、この魔法使いの力となり魔術となる。

 

根源に至った路から、無限大の魔術と魔力と法則を行使する。

 

人理の全てが、彼女の魔術である。

 

当然それは、神霊の力ですら例外ではない。

  

〘剣魂〙

 

日本神話の布都御魂。

 

〘探求〙

 

オーディンのグングニル。

 

〘雷鳴〙

 

トールのミョルニル。

 

〘波濤〙

 

ポセイドンのトライデント。

 

〘調停〙

 

ヴィシュヌの調停により、束ねられる。

 

人類史に刻まれし神々の力、武具、それらを自在に行使する。

 

それは偽神という【唯一】を騙る神が御座にいることへのカウンター。

 

唯一を名乗るのであれば、数多無数の神の力にて打ち砕く。

 

オムニバス・マイソロジー。

 

始まりの娘たる彼女が振るう、幸せを護るための力。

 

〘執行〙

 

『ッッッ─────』

 

原初の人間にして、始まりの魔法使い。

 

『ぎゃあああぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!』

 

使徒ごときに太刀打ちできる存在ではない。

 

彼女こそは───。

 

〘────〙

 

人類史の歩みを保証するもの。

 

その歴史を、守り抜くもの。

 

歪められぬ、普遍的な意味を持つ……

 

────『正義の魔法使い』、なのだから。

 

 




ゼイン『が、あ…………』

始まりの娘〘…………〙

ゼインは焼き尽くされ、膝をつく。

『選ばれたのは……』

譫言のように呟くゼイン……

否。

始まりの娘〘────!〙

ホムンクルス「選ばれたのは……俺なんだ……俺が……」

『藤丸龍華』が知る、醜悪なホムンクルス。

それを目の当たりにし、始まりの娘の表情が強張る。

「おれ、が─────」

そして、肉体が霧散した瞬間───。

雑魂【オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

内にあるものが、溢れ出す。

始まりの娘〘──────〙
雑魂【それを、それヲ…………!!それヲよこせエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!】

無数の魂が〘始まりの娘〙へと殺到するが…

始まりの娘〘────〙
雑魂【エ────】

〘始まりの娘〙は雑魂を掴み取り。

【ギャアァアァァァァァァァァァァァァァァ─────!!!】

【偽神】へ繋がる情報源として、全てを読み取り消滅させた。

始まりの娘〘─────〙

倒すべき敵が何者か。

どこにいるのかを把握した〘始まりの娘〙。

〘─────〙

此処ではなき場所で戦う、偽神の勢力を退ける為に。

背に生えたジブリールの翅を慈しむように撫で──。

戦禍へと、飛び立った。
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