人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

2924 / 3000
戦闘区画

天使第二階梯『─────』
天使第二階梯『─────』

天使第一階梯『─────』

ネロ「物言わぬ天使とはまた無粋よな。大量生産というのがまた風情のない!」
はくのん「天使ってもっと綺羅びやかじゃないのかな、うん」

ネロ「その通りだ奏者よ。しかし数と質は中々だ。さて、どう切り崩すか……むっ!?」
はくのん「!?」

瞬間、天使の全てが爆散する。上空から飛来した光条によって。

はくのん「え───」
ネロ「あれは──」

電子の海を飛翔する、翅を翻す人物。

はくのん「───リッカ?」

緋色の髪をたなびかせし存在は、はくのんらの危機を救い──。


月面

始まりの娘〘──────〙

ムーンセルが安置されし月面に降り立つ。

そこには──。

天使『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『───────────────』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

黒い宇宙を白く埋め尽くす、無数の天使が満ち溢れていた。


人類の守護双天使

〘───────〙

 

始まりの娘は、宇宙を一人見上げる。そこは生命の存在が赦されぬ宇宙空間。

 

彼女の目の前を埋め尽くすは、高次元より遣わされたのであろう無数の天使。第九から第三までの機械による尖兵。

 

ジブリールを回収するため、地球圏と月面を掌握するために派遣された手駒達。

 

最早それは、人類に対処できる量ではない。圧倒的な物量。サーヴァントですら手間取る質量。

 

人類は、滅亡の侵略に脅かされる───筈だった。

 

〘─────────〙

 

始まりの娘は翅を開く。

 

それは、大天使ジブリールの力が顕現し形を成したもの。

 

ルシファーに次ぎ、大天使の力を有する至極の神秘。

 

始まりの娘たる彼女は、ジブリールの力を行使する。

 

ジブリールの使命は『外敵侵略生命体、脅威の排除』。

 

それは、地球に飛来するエイリアン、インベーダーといった脅威に対処するもの。

 

彼女は星を、神の庭を、そこに在りし生命を守護する使命を担っていた。

 

隕石に付着した、原生物に寄生する生命体。

 

機械同化を図る物質。

 

霊的昇華を強要する神格。

 

外宇宙に蠢く、不可思議の生物。

 

それら全てから、神の愛を受けた生命を護る。

 

新生と守護の大天使。

 

故に─────。

 

〘─────────〙

 

宇宙を埋め尽くす天使。

 

『そんなものは、何の脅威にもなり得ない』。

 

始まりの娘は『剣と盾』を引き抜いた。

 

ジブリールの有するそれは、神の祝福と裁きを担う神器。

 

ミカエルの持つ武器と同じ、必ずや勝利する剣。

ウリエルの持つ武器と同じ、全てを護る黄金盾。

 

盾にマウントされた、祝福の剣を引き抜く。

 

『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『────────────』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

天使達が、始まりの娘に殺到する。ジブリールを回収するために。

 

始まりの娘が、剣を引き抜き高らかに掲げる。神に、その御業を祈るかのように。

 

〘──────〙

 

すると、祝福の剣が輝く。太陽のように、暁の光のように。

 

六枚の翅が眩く、雄々しく、神々しく輝く。

 

その輝きは、やがて全ての天使を照らし出し。

 

そして─────。

 

〘────〙

 

その輝きに染められた天使、その全て。

 

『それらが、音もなく全て消滅を果たす』。

 

始まりの娘が有したジブリールの翅、そして剣と盾。

 

それは彼女に宿し、護っていたジブリールのオリジナルの力。

 

例え第一階梯であろうとも、量産を主とした天使と特別に鋳造された大天使の間では絶望的なまでの隔たりがある。

 

その差は、始まりの娘が振るうことにより鮮明かつ浮き彫りとなり、当然の帰結を引き起こす。

 

即ち、全ての消滅。ジブリールの齎した輝きは、太陽系にやってきていた全ての天使の九割九分九厘を消滅、撃破せしめる。

 

ルシファーの全てを統率するため造られたマスターユニットとしての力は無い分、戦闘に特化した武力担当。

 

神の庭を守護するもの。

 

撃滅守護す普遍の暁光(パラダイス・ガード)』。

 

それが、ジブリールの有する権能。

 

新生した、大天使の力の本領であった。

 

〘─────────〙

 

しかし、始まりの娘は警戒を解かない。

 

まだ、倒すべき存在がいる。

 

彼女の眼前の空間が引き裂き、全長は1キロに到達せんとされる天使が現れる。

 

『─────────────────』

 

第零階梯、セラフィムタイプ。

 

文明侵略殲滅を担当する、指揮官系統の機械天使。それが、ジブリールを追ってこの空間へとやってきていた。

 

〘──────〙

 

狙いはジブリール。彼女の魂。それは、偽神の情報を有している。

 

『─────────────』

 

始まりの娘を認めたセラフィムは、その巨大なる腕を振るい破壊、押し潰さんとする。

 

最早奪還は不可能と判断したが故の行動か。

 

〘────〙

 

始まりの娘は身動ぎもせず、盾を浮遊させ前方に展開する。

 

するとそこにセフィロト樹形図の方陣が現れ、セラフィムの鉄槌を完全に阻む。

 

『─────────』

〘─────〙

 

……侵略できない、という単語にはもう一つ意味がある。

 

『──────!』

 

それは即ち。

 

〘───────〙

 

『侵略行為を試みた全ては、彼女に撃滅される運命にある』という事。

 

始まりの娘の身体に刻まれた令呪が輝く。

 

『!』

 

それは、セラフィムと同じ招集命令。

 

ジブリールには、同じ使命を担う大天使の記憶がある。

 

それを、『決戦術式』という形で行使召喚したのだ。

 

〘───────〙

 

頭上に現れしは、死の風格と雰囲気を纏いし大天使。

 

【アズライール、此処に】

 

死を告げる大天使、アズライール。神の元を離れたが故に無事であった大天使を、時空と因果を越え召喚する。

 

【ジブリール、か?その姿は……】

〘──────〙

 

始まりの娘は頷き、手を翳しアズライールに宝具を鋳造する。

 

〘──────〙

 

連結式のブラックバレル。『ツインバスター・ブラックバレル』を根源より創り出し、アズライールに託す。

 

【────了解した】

 

その真意を読み取り、アズライールは天に昇りブラックバレルを構える。

 

【ターゲット、ロックオン。デッドカウント開始】

 

アズライールは翅を翻し、正確に見極める。

 

アズライールは、全ての生命に死を告げるもの。

 

その生命の寿命、死、それらを見抜き支配する。

 

故に、巨大なるセラフィムの弱点をも見抜く。

 

【ジブリール。我等が主は健在なのだな?】

 

〘──────〙

 

【───了解した】

 

全ての寿命を撃ち抜く、ツインバスター・ブラックバレルのエネルギーが臨界を越える。

 

【目標、セラフィムタイプ。逆説から真説へ補正。祝福装填─────】

 

 

『─────────!!』

 

セラフィムは離脱できない。ジブリールの盾に、拳を囚われている。

 

アズライールのデッドカウントは、正確にセラフィムを捉えている。その中核を。

 

【最大出力。殲滅開始────!】

 

そして満を持して。

 

──────【死】が、放たれた。

 

『───────!!』

 

セラフィムの防護により伸ばされた腕。それを容易く貫通し、打ち砕き、その砲撃は、正確にセラフィムのコアへと到達する。

 

『────────!!!!!』

 

悶えることも、苦しむことも無いほどの一瞬。

 

遥かなる巨大なセラフィムの肉体を、中核をその一撃が厳かに貫く。

 

それは消滅、霧散ではなく【崩壊】を巻き起こす。

 

アズライールは【死告】の権能を有する。

 

全てに死をもたらし、死を告げる。

 

不滅、不壊の存在すらも死の運命を付与するもの。

 

かつて神が与えた恐ろしき使命に相応しいブラックバレルという武器により、その使命は果たされた。

 

セラフィムは崩れ落ちて、やがて存在した痕跡すらも残さぬほどに瓦解していく。

 

【どうやらお前の復活を帳消しにしたかったようだが、目論見は水泡に帰したようだ】

 

アズライールが、始まりの娘に問いかける。

 

【随分と寡黙になったな。生真面目で厳格なのがお前だった筈だが】

 

〘──────〙

 

【いや、何事も変わるものか…。主の祝福だけだ。変わらぬものは】

 

その時、アズライールの霊基が解けていく。

 

【どうやら簡易契約では此処が限度のようだな】

 

始まりの娘は、頷く。

 

【次は同志たる人間を見つけ、新たなる契約を結ばなくてはなるまい】

 

『────』

 

【私はそれまで、ヤツの戦線を削る。……死ぬなよ、ジブリール】

 

アズライールは頷き、やがて暫しの別れが訪れる。

 

【真なる父に、我等は永遠の忠誠を誓う者也────】

 

アズライールの契約は解け、やがてツインバスター・ブラックバレルも役目を終え霧散する。

 

〘─────〙 

 

目的を達成した始まりの娘は、飛翔し帰投する。

 

ジブリールを回収しに現れた天使達は、全滅した。

 

最早汎人類史を崩す事は困難を極めるだろう。

 

破滅の運命、無粋な侵略には彼女が立ちはだかる。

 

始まりの娘───、

 

藤丸龍華という存在が。

 

 




はくのん「ムーンセルがボドボドになっちゃった」

ネロ「えぇい!無粋な輩どもめ!風情がないではないか風情が!」

戦闘跡になってしまったムーンセルは、少なくない損害を受けていたが……

はくのん「!」

それら全ては、瞬時に修復される。

はくのん「これ……」

始まりの娘〘──────〙

降り立つ、始まりの娘。

はくのん「リッカ!」

はくのんは、始まりの娘に駆け寄る。

はくのん「ジブリール、復活したね。良かった良かった」

始まりの娘〘─────〙

はくのん「あれ?どうしたの?」

始まりの娘は沈黙している。

沈黙しているが──その表情には、汗が滲んでいた。

はくのん「………もしかして…」

始まりの娘〘───────〙

はくのん「いつものリッカへの戻り方が、わからない…?」

始まりの娘は…………

汗まみれの表情を浮かべながら、壊れた人形のようにぶんぶんと頷いた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。